○福島県公安委員会事務専決規程等の制定について(通達)

昭和45年4月21日

例規(務)第25号

このたび福島県公安委員会事務専決規程等が制定されたが、その運用は次のとおりであるから事務処理上誤まりのないようにされたい。

1 制定の趣旨

(1) 公安委員会の事務の増大と複雑化

最近における社会情勢の変化に伴い、行政需要が増大し、かつ複雑化している。

これらのすべてについて公安委員会が処理することは困難であり、かつ、警察行政の非能率化を免れないところから事務処理の能率化をはかろうとするものである。

(2) 関係規程の整備統合

従来、公安委員会の事務処理については

ア 福島県公安委員会の権限に属する事務処理に関する規程(昭和37年福島県公安委員会規程第1号)

イ 福島県警察本部処務規程(昭和32年福島県警察本部訓令第8号)

ウ 福島県警察署処務規程(昭和32年福島県警察本部訓令第9号)

エ 警察署における次長等の専決事務について(昭和38年10月30日通達甲監第212号)

により専決処理してきたが、

ア 公安委員会の事務と警察本部長の事務との区別が必ずしも明確でなく、かつ、専決事項の範囲が狭く具体的でなかつた。

イ 前記の規程等の施行後、法令等に改廃があつたが、その補正が行なわれず、実情に沿わない点があつた。

などの問題があつたので、これらを整備し事務処理の迅速化をはかろうとするものである。

2 制定された規則等

(2) 福島県公安委員会事務の専決に関する訓令(昭和45年福島県警察本部訓令第12号)

3 規程等の要点

(1) この規程等は、公安委員会の権限に属する事務についての専決処理を明文化したものであること。

(2) 専決できる事務の範囲は、管理機関としての公安委員会の性格およびその事務の性質から、定例または軽易な事務について認められたものであること。

(3) したがつて、専決事項の範囲であつても、その内容が異例に属するなどその処理に疑義のあるものについては、順を経て公安委員会の親裁により処理すべきものであること。

(4) 専決事項の範囲を具体的に明示したことにより、事務処理の適正かつ迅速化を図るとともに、その責任の所在を明確にしたこと。

(5) 本部長から部課長および署長等に対し大幅な専決の委譲を行なつたこと。

(6) この規程等の制定により従前の関係規程等が改廃されたこと。

4 規程等の内容と解釈

福島県公安委員会事務専決規程(以下「規程」という。)および福島県公安委員会事務の専決に関する訓令(以下「訓令」という。)の内容および解釈は、次のとおりである。

(1) 目的について(第1条関係)

公安委員会の権限に属する事務の能率的な処理のため、必要な事項を定めたものである。

この規程および訓令において、「専決」とは、法令により公安委員会の権限に属する事務のうち、あらかじめ定められた範囲の事項について本部長、部課長および署長等が、公安委員会に代つて公安委員会の名と責任において最終的に意思決定することをいうのであつて、対外的な行政上の効果と責任は公安委員会に帰属するものである。

(2) 専決事務の範囲(第2条関係)

本部長が公安委員会の名と責任において処理することのできる事務の範囲を、別表により具体的に示されたものである。しかし、事案の内容が同条各号に該当する場合には、公安委員会の親裁により処理すべきことが明確に示されているが、その解釈は次によるものとする。

「重要または異例なもの」……とは、「重要」とは、当該事務に関し意思決定することが警察運営の面からみて、次のような問題があつて妥当性を欠くと認められる場合をいう。

(ア) その事務処理が杜会的、政治的に論議され世論の対象となり、またはそのおそれがあるような場合

(イ) その事務処理が後日行政不服審査申立てまたは行政争訟等のおそれのある場合

(ウ) その他新聞報道等により、警察運営上問題となるような場合

「異例」とは、過去に類例のない特殊な事務で、これが意思、決定にあたつて高度の意思判断を要すると認められるものをいう。

「法令の適用に疑義のあるもの」……とは、

当該事務の処理に関し、適用法条の選択に明確性を欠く場合はもちろん、その解釈にも学説、判例等に明確な解釈がないような場合でその適用に疑問がある場合をいう。

「公安委員会がとくに指示した事項」……とは、

公安委員会から個々の事案または事務について具体的に明示された場合をいう。

イ 訓令(第2条関係)

本部長から部課長および署長等に対し専決委譲された事務について、公安委員会の名と責任において処理することができる範囲を具体的に示したものである。

しかし、専決事務の範囲に属していても第2条各号に掲げるものについては、本部長自らが専決処理することとしたものであつて、これらの事務を除いた、いわゆる「定例または軽易な事務」で、別表に掲げる事項についてのみ部課長および署長等が専決処理できるものと解される。

また、「定例または軽易な事務」の解釈は次のとおりである。

(ア) 「定例」とは

a 日々反覆的に生起して、その処理が行政先例等により慣習的に行なわれる事項

b 事案に対し、法令または公安委員会の定めるものによつて具体的な処理基準が示され、単にそれを適用することによつて定型的に処理されるような事項

c 技術的専門的知識を有する職員によつて、類型的に処理されるような事項

d 単に相手方に利益を与えるにとどまり、後日問題の生ずるおそれがないと認める事項

(イ) 「軽易」とは

当該事務の性格、内容などが高度の意思判断を要せず、おおむね事務的に処理しても問題の生ずるおそれのないものをいう。

(3) 専決の委譲(規程第3条関係)

本部長が部課長および署長等に専決の委譲ができることを明文化したものである。

とくに同条第2項では、警視が配署されている分庁舎の長に対し、例外的に本部長が専決処理させることができるよう規定したものである。

しかし、この規定は、本部長が必要と認めたとき個別的に範囲を示して行なわれることであり、その範囲は、部課長および署長の処理範囲よりもより定例または軽易な事務に限られるものである。

(4) 専決結果の報告(規程第4条訓令第3条関係)

専決処理した結果については、部課長および署長等は本部長に、本部長は公安委員会に対しその状況を報告しなければならないこととした。

この規定は、必ずしも専決した事務を個々具体的に報告することを求めたものではなく、本部長が一括して公安委員会の承認を受けるものであるから、処理した事務をとりまとめ一覧表を作成して報告すれば足りるものである。

5 その他運用上の留意事項

(1) 規程等において「専決することができる。」という規定は、専決しなければならないという意味ではないので、より上級者の決裁を受ける必要があると認められるような場合には、その決裁を得るようにすること。

しかし、専決処理の趣旨は、事務処理を能率化し責任の所在を明確にするものである点から、できるだけ定められた区分により事務処理をするようにすること。

(2) 専決処理の区分は、本部長、部課長および署長等と明確にしてあるが、実務上は所属の職員により事務処理が行なわれるので、その責任を自覚するとともに誤つた権限意識による処理によつて問題をおこすことのないよう教養を徹底し適正な運用をはかること。

(3) 各級幹部は、つねに処理経過を明確には握し、その責任の所在を明らかにするとともに、専決結果の報告に遺憾のないようにすること。

6 関係規程等の整備

(1)廃止された規程

福島県公安委員会の権限に属する事務処理に関する規程(昭和37年福島県公安委員会規程第1号)は廃止された。

(2) 一部改正された訓令

従前、公安委員会事務を部課長および署長に専決させることを規定したものとして

ア 福島県警察本部処務規程(昭和32年福島県警察本部訓令第8号)

イ 福島県警察署処務規程(昭和32年福島県警察本部訓令第9号)

の訓令があつたが、このたびの規程等の制定に伴い、上記の訓令のうち「公安委員会事務の専決に関する事項」が削られた。

(3) 一部改正された通達

公安委員会の権限に属する事務のうち軽易な事務の処理に関しては、警察署の次長および課長が「警察署における次長等の専決事務について(昭和38年10月30日通達甲監第212号)」により専決処理をしてきたが、このたびの規程等の制定により公安委員会の事務については専決処理することはできなくなつた。

したがつて、前記通達の内容中「公安委員会の権限に属する事務」については専決権を有する上級者により処理される。

ただこの場合、公安委員会の名と責任において最終的な意思決定を行なうのは、専決権を有する上級者であるという意味であつて、意思決定に必要な受理―調査―資料収集などの事務処理については、当然に次長および課長がその責任において処理すべきことは従前と変わりない。

福島県公安委員会事務専決規程等の制定について(通達)

昭和45年4月21日 例規(務)第25号

(平成22年3月1日施行)

体系情報
公安委員会
沿革情報
昭和45年4月21日 例規(務)第25号
平成8年3月 一般(務)第40号
平成22年3月 達(務)第92号