○犯罪被害者等早期援助団体に提供する被害者情報に関する取扱要領の制定について(通達)

平成21年4月7日

達(県サ、生企、地企、刑総、交企、公)第161号

犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律(昭和55年法律第36号)第23条第4項に基づいて行う被害者情報の提供について、別紙のとおり犯罪被害者等早期援助団体に提供する被害者情報に関する取扱要領を制定し、平成21年4月7日から施行することとしたので、誤りのないようにされたい。

別紙

犯罪被害者等早期援助団体に提供する被害者情報に関する取扱要領

第1 趣旨

この要領は、被害者支援の適正かつ効果的な推進を図るため、犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律(昭和55年法律第36号。以下「法」という。)第23条第1項の規定により都道府県公安委員会から指定を受けた犯罪被害者等早期援助団体(以下「早期援助団体」という。)に提供する被害者情報の取扱いに関し、必要な事項を定めるものとする。

第2 用語の定義

この要領において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 早期援助団体

法第23条第1項の規定に基づき都道府県公安委員会から早期援助団体として指定を受けた団体をいう。

(2) 被害者情報

法第23条第4項の規定により早期援助団体に提供する犯罪の被害者又はその遺族(以下「被害者等」という。)の氏名、住所その他犯罪被害の概要に関する情報をいう。

第3 体制及び任務

1 総括責任者

(1) 県本部に総括責任者を置き、警務部長の職にある者をもって充てる。

(2) 総括責任者は、早期援助団体に提供する被害者情報の取扱いについて、管理及び運用に関する事務を総括するものとする。

2 総括副責任者

(1) 県本部に総括副責任者を置き、県民サービス課長の職にある者をもって充てる。

(2) 総括副責任者は、総括責任者の指揮を受け、早期援助団体に提供する被害者情報の管理及び調整を行うものとする。

3 本部情報連絡責任者

(1) 県本部に本部情報連絡責任者を置き、県民サービス課犯罪被害者支援室長の職にある者をもって充てる。

(2) 本部情報連絡責任者は、総括副責任者の指揮を受け、早期援助団体の情報受理担当者及び他の都道府県警察本部の被害者支援部門と連携を図り、被害者情報の提供、受理、連絡等が適正かつ迅速に行えるように総合調整を行うものとする。

4 所属情報連絡担当者

(1) 署及び高速道路交通警察隊に所属情報連絡担当者を置き、署の警務課長若しくは相談・支援係長又は高速道路交通警察隊の被害者支援係長の職にある者をもって充てる。

(2) 所属情報連絡担当者は、署長又は高速道路交通警察隊長(以下「署長等」という。)の指揮を受け、早期援助団体に対する被害者情報の提供、受理、連絡等が適正かつ迅速に行えるよう、本部情報連絡責任者と連携を図り、被害者等の心情に配意した情報提供を行うものとする。

5 情報受理担当者

早期援助団体において、被害者情報を取り扱うことができる情報管理責任者又は情報管理担当者に指定され、守秘義務を有する者をいう。

(1) 情報管理責任者

早期援助団体において、犯罪被害者等早期援助団体に関する規則(平成14年国家公安委員会規則第1号)第7条に規定する法第23条第2項第2号又は第4号に規定する事業の実施を統括管理する者をいう。

(2) 情報管理担当者

早期援助団体において、前号の情報管理責任者を補佐し、被害者情報の適正管理に努める者をいう。

第4 情報提供の対象事件等

早期援助団体に対する被害者情報の提供の対象事件は、事案の重大性、継続的支援の必要性等を踏まえ、次に定める身体犯、重大な交通事故事件及び本部長又は署長等が必要と認める事案とする。

1 身体犯とは、次に掲げる罪に当たる違法な行為をいう。

(1) 殺人罪(刑法第199条。未遂を含む。)

(2) 強盗致死傷罪(刑法第240条。未遂を含む。)

(3) 強盗・不同意性交等罪及び強盗・不同意性交等致死罪(刑法第241条。未遂を含む。)

(4) 不同意性交等罪(刑法第177条。未遂を含む。)

(5) 不同意わいせつ罪(刑法第176条。未遂を含む。)

(6) 監護者わいせつ罪及び監護者性交等罪(刑法第179条。未遂を含む。)

(7) 不同意わいせつ等致死傷罪(刑法第181条)

(8) 傷害致死罪(刑法第205条)

(9) 傷害罪(刑法第204条の罪)のうち、

被害者が全治1か月以上の傷害を負ったもの

(10) 上記以外で、致死傷を結果とする結果的加重犯において致死の結果が生じたもの又は致傷の結果が生じたもののうち、被害者が全治1か月以上の重傷害を負ったもの

2 重大な交通事故事件とは、次に掲げる交通事故事件をいう。

(1) ひき逃げ事件(車両等の交通による人の死傷のあった場合において、道路交通法第72条第1項前段に規定する措置を講じなかった違反に係るもの)

(2) 交通死亡事故

(3) 全治3か月以上の傷害を負った事故

(4) 危険運転致死傷罪等に該当する事件

(1)から(3)までのほか、危険運転致死傷罪(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条及び第3条)、無免許危険運転致傷罪(同法第6条第1項)及び無免許危険運転致死傷罪(同法第6条第2項)に該当する事件

3 本部長又は署長等が必要と認める事案とは、次に掲げるものをいう。

強盗事件、放火事件、暴力団関与事件、DV事案、児童虐待事案、ストーカー事案等、上記1及び2以外の事件・事故において被害状況等から本部長又は署長等が支援の必要性を認めた事案

第5 早期援助団体に対する被害者情報の提供

1 提供の要件

総括副責任者及び署長等は、被害者等の被害の状況、心身の状態等から早期援助団体による支援が必要と認める場合は、法第23条第4項の規定に基づき、被害者等の同意を得て支援に必要な被害者情報を提供することができる。

2 提供する内容

提供する被害者情報は、当該団体と被害者等との連絡を容易にし、各種支援活動が円滑に行われ、かつ、被害者等が自らの被害の内容を繰り返し説明することなどを避けるために必要なものとし、具体的には、次に掲げるものとする。

(1) 被害者等の氏名、性別、年齢、住所、連絡先等

(2) 犯罪被害の概要(被害の発生日時、場所、被害程度、内容等)

3 被害者等の同意

(1) 事前の説明

早期援助団体に被害者情報を提供しようとする場合には、被害者等の同意を得る前に、被害者等に次の事項を説明するものとする。この場合において、被害者等が未成年者等のときは、法定代理人たる親権者等にも説明することとする。

ア 早期援助団体が、都道府県公安委員会から公的認証を与えられた法人であり、役員、職員等に守秘義務が課せられていること。

イ 早期援助団体が提供し得る具体的な支援内容

ウ 被害者情報を早期援助団体に提供する理由

(2) 同意の確保

署長等は、被害者等から次により同意の確認を行うものとする。

ア 被害者等に対し、被害者等同意書(様式第1号)の記載及び提出を求めること。この場合において、被害者等が未成年又は適切な判断が下せない状態にある場合には、法定代理人たる親権者等から被害者等同意書を徴すること。

なお、被害者等同意書を得ることが困難な場合は、口頭等により同意を得た後、その経過を書面により明らかにしておくこと。

イ 同一の被害者等に関する被害者情報を2回以上にわたり提供する場合は、その都度アの方法により、当該被害者等の同意を得ること。

4 情報提供の具体的要領

(1) 被害者情報提供簿の作成

署長等は、被害者等から被害者情報を提供することの同意が得られた場合には、本部情報連絡責任者又は所属情報連絡担当者に、所属ごとの整理番号を付した被害者情報提供簿(様式第2号(その1))を作成させるものとする。

(2) 情報提供の方法

ア 所属情報連絡担当者は、被害者情報提供簿の写しを本部情報連絡責任者に、速やかに送付するものとする。

イ 送付を受けた本部情報連絡責任者は総括副責任者に報告するとともに、早期援助団体の情報受理担当者に対して被害者情報提供簿の写しを送付するものとする。

第6 早期援助団体における支援状況の把握

1 支援状況等の確認と記録

所属情報連絡担当者は、本部情報連絡責任者を通じ、被害者等への支援状況等の確認に努めるものとする。この場合において、確認した内容については、その都度当該被害者情報に係る被害者情報提供簿(様式第2号(その2))の早期援助団体の援助の経過欄に記載するものとする。

なお、早期援助団体に過度の事務負担を強いることのないように配慮すること。

2 他の都道府県警察から提供を受けた被害者情報に基づく支援状況の把握

総括副責任者は、他の都道府県警察から被害者情報の提供を受けた場合は、その内容及び支援状況の把握に努めるとともに、必要な協力・援助を行うものとする。

第7 早期援助団体に対する協力及び援助

1 早期援助団体に対する配意事項

総括副責任者及び署長等は、早期援助団体が行う相談業務等の円滑な運営を図るため、次に掲げる事項について配慮するものとする。

(1) 担当職員の派遣等による犯罪被害給付制度の説明、犯罪被害者等給付金の裁定の申請補助を行う上での留意点の教示

(2) 早期援助団体が主催する行事への積極的な参加及び後援

(3) 警察施設への早期援助団体に関するパンフレット等啓発物品の備付け

(4) 早期援助団体の活動等について警察広報紙等への掲載

(5) 警察施設利用等の協力及び援助

2 他の都道府県警察との連携

署長等は、被害者等の居住地が他の都道府県の場合であり、かつ、被害者等が支援を希望している場合には、総括副責任者と協議の上、当該都道府県への連絡、支援要請等の適切な対応に努めること。

第8 他都道府県の早期援助団体に対する被害者情報の提供

署長等は、他都道府県の早期援助団体に被害者情報を提供する場合は、第5に定める手続のほか、総括副責任者を通じ他都道府県警察本部の被害者支援担当部門との連携を図り、当該他都道府県の早期援助団体が提供し得る援助の具体的内容等について確認を行い、被害者等に必要な説明を行うこと。

第9 報告等

署長等は、次の事項に該当する場合は、県民サービス課長にあっては直接、署長又は高速道路交通警察隊長にあっては、総括副責任者を経て総括責任者及び本部長に、速やかに報告するものとする。

(1) 早期援助  団体に対して、被害者等から支援要請があったとき、又は支援活動を終了したとき。

(2) 早期援助団体の支援に対する被害者等からの苦情等を把握したとき。

(3) 早期援助団体における情報の不正な取扱いを把握したとき。

(4) 早期援助団体から、警察署等における取調べ等への付添い支援の連絡を受けたとき。

(5) その他早期援助団体が行う被害者支援活動に関し、特異事項を把握したとき。

第10 文書の保管・管理

被害者等同意書及び被害者情報提供簿は、当該犯罪被害者等の支援が終了した日から3年間保存するものとする。

様式第1号(第5関係)

 略

様式第2号(その1)(第5関係)

 略

様式第2号(その2)(第6関係)

 略

犯罪被害者等早期援助団体に対する被害者情報提供の流れ(チャート)

画像

犯罪被害者等早期援助団体に提供する被害者情報に関する取扱要領の制定について(通達)

平成21年4月7日 達(県サ、生企、地企、刑総、交企、公)第161号

(令和5年7月13日施行)

体系情報
警務部
沿革情報
平成21年4月7日 達(県サ、生企、地企、刑総、交企、公)第161号
平成29年7月12日 達(刑総、務、生企、地企、公)第227号
令和3年7月13日 達(県サ、生企、地企、刑総、交企、公)第249号
令和5年7月13日 達(刑総)第291号