○警備業界からの暴力団等反社会的勢力排除に向けた取組みの強化について(依命通達)

平成23年4月5日

達(生企・組対)第153号

みだしのことについては、次により、その排除の徹底に努められたい。

1 趣旨

近年、暴力団等反社会的勢力(以下「暴力団等」という。)は、関係企業や共生者を利用するなど巧妙な資金獲得活動により組織の存立と強大化を図り、その威力を背景として警備業にまで介入している事例が散見されるところであり、県警察では福島県暴力団排除条例の制定と併せ、その周知徹底や効果的運用を図りながら、あらゆる業界で暴力団等との関係遮断の取組みが徹底されるよう働きかけ、社会全体が一体となった暴力団等排除活動の一層の強化を推進しているところである。

とりわけ警備業は、人の生命及び身体に対する危害、財産に対する侵害等を警戒し、防止する業務を担っており、このような業務の性質にかんがみれば、他の業界以上に業の主体から暴力団等の排除の徹底を図らなければならない。

そこで、警備業者に対する指導、監督の強化等の対策を講じ、警備業界からの暴力団等排除の徹底を図るものである。

2 認定及び認定更新時等における照会等の徹底

(1) 警備業法第3条各号の欠格事項に関する確実な照会の実施

警備業法(昭和47年法律第117号。以下「法」という。)第3条第4号、第5号、第10号及び第11号においては、暴力団等に属する者等を欠格要件とし、これらの者を警備業者等から排除することとしている。

そこで、認定申請及び認定更新申請並びに役員に関する変更の届出を受理した際には、組織犯罪対策課に対して照会を確実に行い、暴力団等の排除が確実になされるよう徹底すること。

(2) 認定申請及び認定更新申請時等における説明の徹底と審査の厳格化

法第3条第4号、第5号、第10号及び第11号の警備業の欠格要件は、条文上、一般人には難解であることから、認定申請及び認定更新申請並びに役員に関する変更の届出においては、申請者等に対し、別添1の資料を活用するなどして確実に法第3条の説明を行い、その趣旨を十分に理解させること。また、法定の要件を満たすための警備業に係る申請書・届出書に添付する各誓約書については、申請者等がその内容を理解した上で署名等を行っていることを確認するなど、申請書等の審査を厳格に行うこと。

(3) 積極的な事件化による不適格業者の排除の徹底

前記(2)により、申請者等に確実に説明を行い、確認するなどして厳格に審査したにもかかわらず、暴力団等に属すること等を秘して、認定を取得した警備業者に対しては、生活安全部門と刑事部門(以下「関係部門」という。)が連携の上、法第58条等各種法令を駆使して、積極的な事件化を行うなど、警備業界から不適格業者の排除を徹底すること。

3 警備業に係る取引からの暴力団等排除に向けた働き掛けの推進

(1) 企業指針に基づいた取組みの支援

各署においては、関係部門が連携の上、個々の警備業者に対し、別添2「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」に基づいた取組みについて推進が図られるよう、立入検査をはじめ様々な機会を通じて働きかけを行うこと。また、契約の相手方が暴力団等であることが判明した場合には、契約を解除できること等を定めた条項(暴力団排除条項)を約款に導入するよう働きかけること。

なお、暴力団排除条項については、平成20年5月、社団法人全国警備業協会(以下「全警協」という。)が各都道府県警備業協会に「暴排条項(案)」を示しているところであるが、現在、警察庁の支援により、全警協において同条項の見直しを行っているところであるので、契約約款に盛り込む際には、全警協において新たに示される予定の暴力団排除条項案を活用するよう指導すること。

(2) 相談への的確な対応

契約約款へ暴力団排除条項を導入した警備業者から契約の相手方に関する個別相談を受理したときは、的確に対応するとともに、必要に応じて保護対策を講じるなど積極的に支援を行うこと。

(3) 暴力団等排除意識の高い企業に対する積極的評価等による気運の高揚

暴力団排除条項の導入に取り組むなど企業指針を実践する警備業者に対しては、積極的にこれを賞揚するなどし、広く警備業界の暴力団等排除気運の高揚に努めること。

4 報告等

警備業に係る暴力団等排除に関する効果的事例等については、その都度、生活安全企画課及び組織犯罪対策課あてに報告すること。

5 参考

社団法人福島県警備業協会に対しては、別添3により、暴力団等の排除について警察庁から全警協に要請がなされ、全警協から通知がなされている。

別添1

警備業用暴力団排除用説明資料(法人申請者用)

○ 警備業法では、

① 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(以下「暴対法」という。)第2条第6号に規定する暴力団員

② 暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者

③ 過去10年以内に警備業の要件に関する規則第2条に定める暴力的不法行為等を行ったことがあり、強いぐ犯性が認められる者

(以下「暴力団員等」という。)は、警備業者又は警備業者の役員になることはできないとされています。

具体的には、次の事項に該当してはいけません。

1 代表者又は役員が暴力団員等である(警備業法第3条第4号、10号)。

2 代表者又は役員が暴対法第12条の再発防止命令や同法第12条の6の中止命令を受けた者である(警備業法第3条第5号、10号)。

3 当法人の事業活動に関して、登記上の役員以外の者で同等以上の影響力を有する

・ 相談役、顧問の名称を有する者

・ 発行済株式の総数の100分の5以上の株式を所有する株主

・ 出資の総額の100分の5以上の額に相当する出資をしている者

・ 自己の近親者(事実上の婚姻関係にある者を含む。)を傀儡〔かいらい〕として当該法人の役員に就任している者

である(警備業法第3条第10号)。

4 暴力団又は暴力団員等から自己又は他人の名義で多額の出資や融資を受けている(警備業法第3条第11号)。

5 暴力団又は暴力団員等と多額の取引関係により事業活動に支配的な影響を受けている(警備業法第3条第11号)。

6 代表者又は登記上の役員に、暴力団員等の親族(事実上の婚姻関係にある者を含む。)又は暴力団若しくは暴力団員等と友人や愛人関係等の密接な関係を有する者がいる(警備業法第3条第11号)。

7 暴力団又は暴力団員等に対して、名目のいかんを問わず、多額の金品その他財産上の利益の供与を行っていることにより、事業活動に支配的な影響力を受けている(警備業法第3条第11号)。

8 暴力団又は暴力団員等と売買、請負、委任その他の多額の有償契約を結んでいるという事実から、事業活動に支配的な影響力を受けている(警備業法第3条第11号)。

○ これら1~8の事項を秘して、虚偽の誓約書を作成し申請書等に添付して公安委員会に提出した場合は、警備業法上罰則の適用があり、検挙されることがあります。

○ 認定を受けた後でも、1~8の事項に該当した場合は、認定が取り消されます。

○ 暴力団員や暴対法第12条の再発防止命令や同法第12条の6の中止命令を受けた者は、警備員にもなれません(警備業法第14条)。

警備業用暴力団排除用説明資料(個人申請者用)

○ 警備業法では、

① 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(以下「暴対法」という。)第2条第6号に規定する暴力団員

② 暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者

③ 過去10年以内に警備業の要件に関する規則第2条に定める暴力的不法行為等を行ったことがあり、強いぐ犯性が認められる者

(以下「暴力団員等」という。)は、警備業者になることはできないとされています。

具体的には、次の事項に該当してはいけません。

1 暴力団員等である(警備業法第3条第4号)。

2 暴対法第12条の再発防止命令や同法第12条の6の中止命令を受けた者である(警備業法第3条第5号)。

3 暴力団又は暴力団員等から自己又は他人の名義で多額の出資や融資を受けている(警備業法第3条第11号)。

4 暴力団又は暴力団員等と多額の取引関係により事業活動に支配的な影響を受けている(警備業法第3条第11号)。

5 暴力団員等の親族(事実上の婚姻関係にある者を含む。)又は暴力団若しくは暴力団員等と友人や愛人関係等の密接な関係を有する者がいる(警備業法第3条第11号)。

6 暴力団又は暴力団員等に対して、名目のいかんを問わず、多額の金品その他財産上の利益の供与を行っていることにより、事業活動に支配的な影響力を受けている(警備業法第3条第11号)。

7 暴力団又は暴力団員と売買、請負、委任その他の多額の有償契約を結んでいるという事実から、事業活動に支配的な影響力を受けている(警備業法第3条第11号)。

○ これら1~7の事項を秘して、虚偽の誓約書を作成し申請書等に添付して公安委員会に提出した場合は、警備業法上罰則の適用があり、検挙されることがあります。

○ 認定を受けた後でも、1~7の事項に該当した場合は、認定が取り消されます。

○ 暴力団員や暴対法第12条の再発防止命令や同法第12条の6の中止命令を受けた者は、警備員にもなれません(警備業法第14条)。

別添2

(別紙)

企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針

近年、暴力団は、組織実態を隠ぺいする動きを強めるとともに、活動形態においても、企業活動を装ったり、政治活動や社会運動を標ぼうしたりするなど、更なる不透明化を進展させており、また、証券取引や不動産取引等の経済活動を通じて、資金獲得活動を巧妙化させている。

今日、多くの企業が、企業倫理として、暴力団を始めとする反社会的勢力と一切の関係をもたないことを掲げ、様々な取組みを進めているところであるが、上記のような暴力団の不透明化や資金獲得活動の巧妙化を踏まえると、暴力団排除意識の高い企業であったとしても、暴力団関係企業等と知らずに結果的に経済取引を行ってしまう可能性があることから、反社会的勢力との関係遮断のための取組みをより一層推進する必要がある。

言うまでもなく、反社会的勢力を社会から排除していくことは、暴力団の資金源に打撃を与え、治安対策上、極めて重要な課題であるが、企業にとっても、社会的責任の観点から必要かつ重要なことである。特に、近時、コンプライアンス重視の流れにおいて、反社会的勢力に対して屈することなく法律に則して対応することや、反社会的勢力に対して資金提供を行わないことは、コンプライアンスそのものであるとも言える。

さらには、反社会的勢力は、企業で働く従業員を標的として不当要求を行ったり、企業そのものを乗っ取ろうとしたりするなど、最終的には、従業員や株主を含めた企業自身に多大な被害を生じさせるものであることから、反社会的勢力との関係遮断は、企業防衛の観点からも必要不可欠な要請である。

本指針は、このような認識の下、反社会的勢力による被害を防止するため、基本的な理念や具体的な対応を取りまとめたものである。

1 反社会的勢力による被害を防止するための基本原則

○ 組織としての対応

○ 外部専門機関との連携

○ 取引を含めた一切の関係遮断

○ 有事における民事と刑事の法的対応

○ 裏取引や資金提供の禁止

2 基本原則に基づく対応

(1) 反社会的勢力による被害を防止するための基本的な考え方

○ 反社会的勢力による不当要求は、人の心に不安感や恐怖感を与えるものであり、何らかの行動基準等を設けないままに担当者や担当部署だけで対応した場合、要求に応じざるを得ない状況に陥ることもあり得るため、企業の倫理規程、行動規範、社内規則等に明文の根拠を設け、担当者や担当部署だけに任せずに、代表取締役等の経営トップ以下、組織全体として対応する。

○ 反社会的勢力による不当要求に対応する従業員の安全を確保する。

○ 反社会的勢力による不当要求に備えて、平素から、警察、暴力追放運動推進センター、弁護士等の外部の専門機関(以下「外部専門機関」という。)と緊密な連携関係を構築する。

○ 反社会的勢力とは、取引関係を含めて、一切の関係をもたない。また、反社会的勢力による不当要求は拒絶する。

○ 反社会的勢力による不当要求に対しては、民事と刑事の両面から法的対応を行う。

○ 反社会的勢力による不当要求が、事業活動上の不祥事や従業員の不祥事を理由とする場合であっても、事案を隠ぺいするための裏取引を絶対に行わない。

○ 反社会的勢力への資金提供は、絶対に行わない。

(2) 平素からの対応

○ 代表取締役等の経営トップは、(1)の内容を基本方針として社内外に宣言し、その宣言を実現するための社内体制の整備、従業員の安全確保、外部専門機関との連携等の一連の取組みを行い、その結果を取締役会等に報告する。

○ 反社会的勢力による不当要求が発生した場合の対応を統括する部署(以下「反社会的勢力対応部署」という。)を整備する。反社会的勢力対応部署は、反社会的勢力に関する情報を一元的に管理・蓄積し、反社会的勢力との関係を遮断するための取組みを支援するとともに、社内体制の整備、研修活動の実施、対応マニュアルの整備、外部専門機関との連携等を行う。

○ 反社会的勢力とは、一切の関係をもたない。そのため、相手方が反社会的勢力であるかどうかについて、常に、通常必要と思われる注意を払うとともに、反社会的勢力とは知らずに何らかの関係を有してしまった場合には、相手方が反社会的勢力であると判明した時点や反社会的勢力であるとの疑いが生じた時点で、速やかに関係を解消する。

○ 反社会的勢力が取引先や株主となって、不当要求を行う場合の被害を防止するため、契約書や取引約款に暴力団排除条項を導入するとともに、可能な範囲内で自社株の取引状況を確認する。

○ 取引先の審査や株主の属性判断等を行うことにより、反社会的勢力による被害を防止するため、反社会的勢力の情報を集約したデータベースを構築する。同データベースは、暴力追放運動推進センターや他企業等の情報を活用して逐次更新する。

○ 外部専門機関の連絡先や担当者を確認し、平素から担当者同士で意思疎通を行い、緊密な連携関係を構築する。暴力追放運動推進センター、企業防衛協議会、各種の暴力団排除協議会等が行う地域や職域の暴力団排除活動に参加する。

(3) 有事の対応(不当要求への対応)

○ 反社会的勢力による不当要求がなされた場合には、当該情報を、速やかに反社会的勢力対応部署へ報告・相談し、さらに、速やかに当該部署から担当取締役等に報告する。

○ 反社会的勢力から不当要求がなされた場合には、積極的に、外部専門機関に相談するとともに、その対応に当たっては、暴力追放運動推進センター等が示している不当要求対応要領等に従って対応する。要求が正当なものであるときは、法律に照らして相当な範囲で責任を負う。

○ 反社会的勢力による不当要求がなされた場合には、担当者や担当部署だけに任せずに、不当要求防止責任者を関与させ、代表取締役等の経営トップ以下、組織全体として対応する。その際には、あらゆる民事上の法的対抗手段を講ずるとともに、刑事事件化を躊躇〔ちゅうちょ〕しない。特に、刑事事件化については、被害が生じた場合に、泣き寝入りすることなく、不当要求に屈しない姿勢を反社会的勢力に対して鮮明にし、更なる不当要求による被害を防止する意味からも、積極的に被害届を提出する。

○ 反社会的勢力による不当要求が、事業活動上の不祥事や従業員の不祥事を理由とする場合には、反社会的勢力対応部署の要請を受けて、不祥事案を担当する部署が速やかに事実関係を調査する。調査の結果、反社会的勢力の指摘が虚偽であると判明した場合には、その旨を理由として不当要求を拒絶する。また、真実であると判明した場合でも、不当要求自体は拒絶し、不祥事案の問題については、別途、当該事実関係の適切な開示や再発防止策の徹底等により対応する。

○ 反社会的勢力への資金提供は、反社会的勢力に資金を提供したという弱みにつけこまれた不当要求につながり、被害の更なる拡大を招くとともに、暴力団の犯罪行為等を助長し、暴力団の存続や勢力拡大を下支えするものであるため、絶対に行わない。

3 内部統制システムと反社会的勢力による被害防止との関係

会社法上の大会社や委員会設置会社の取締役会は、健全な会社経営のために会社が営む事業の規模、特性等に応じた法令等の遵守体制・リスク管理体制(いわゆる内部統制システム)の整備を決定する義務を負い、また、ある程度以上の規模の株式会社の取締役は、善管注意義務として、事業の規模、特性等に応じた内部統制システムを構築し、運用する義務があると解されている。

反社会的勢力による不当要求には、企業幹部、従業員、関係会社を対象とするものが含まれる。また、不祥事を理由とする場合には、企業の中に、事案を隠ぺいしようとする力が働きかねない。このため、反社会的勢力による被害の防止は、業務の適正を確保するために必要な法令等遵守・リスク管理事項として、内部統制システムに明確に位置付けることが必要である。

別添3

警察庁丁生企発第102号

警察庁丁暴対発第53号

平成23年3月4日

社団法人全国警備業協会会長 殿

警察庁生活安全局生活安全企画課長

警察庁刑事局組織犯罪対策部暴力団対策課長

警備業界からの暴力団等反社会的勢力排除の推進について(要請)

貴協会におかれましては、平素から警察行政各般にわたり御理解と御協力を賜り、厚く御礼申し上げます。

さて、近年、暴力団は、関係企業や共生者を利用するなど巧妙な資金獲得活動により組織の存立と強大化を図り、その威力を背景として警備業にまで介入している事例が散見されるところであり、目下、警察では、暴力団排除に関する条例の制定に併せ、その周知徹底や効果的運用を図りながら、あらゆる業界で暴力団との関係遮断の取組みが徹底されるよう働き掛け、社会全体が一体となった暴力排除活動の一層の強化を推進しているところであります。

とりわけ警備業界においては、その業務の性質に鑑みれば、他の業界以上に、業の主体から暴力団等反社会的勢力の排除を徹底すべきであるのみならず、取引の相手方から暴力団等反社会的勢力を排除する仕組みを構築することが喫緊の課題であります。

こうした暴力団等反社会的勢力の排除に当たっては、警備業界を挙げた取組みが必要であることから、貴協会におかれましては、傘下都道府県警備業協会及び警備業者の暴力団等反社会的勢力排除活動の実態を把握の上、取引約款への暴力団排除条項の導入を始め、「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」(平成19年6月19日犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ)に示された諸対策の推進について、指導を徹底していただきますようお願い申し上げます。

警備業界からの暴力団等反社会的勢力排除に向けた取組みの強化について(依命通達)

平成23年4月5日 達(生企・組対)第153号

(平成23年4月5日施行)

体系情報
生活安全部
沿革情報
平成23年4月5日 達(生企・組対)第153号