○交番・駐在所連絡協議会実施要綱の制定について(通達)
平成7年12月12日
例規(地)第23号
みだしの要綱を別紙のとおり制定し、平成8年1月1日から実施することとしたが、制定の趣旨、運用上の留意事項等は、次のとおりであるから効果的な運用に努められたい。
記
1 制定の趣旨
交番・駐在所連絡協議会(以下「連絡協議会」という。)については、これまで「派出所、駐在所連絡協議会実施要綱」(昭和56年12月25日付け例規(外)第27号)に基づき、管内の実態把握を効果的に推進することを主たる目的として、人口の流動の激しい団地等を管轄する所管区、事件事故が多発する歓楽街を管轄する所管区等に設置してきたところである。
しかしながら、交番及び駐在所(以下「交番等」という。)が地域における生活安全センターとして、地域の安全と平穏の確保に当たるためには、すべての交番等が連絡協議会活動を通じて、地域住民の意見、要望等を的確に把握し、それを前提とした地域警察活動を推進していく必要がある。
そのため、新たにみだしの要綱を制定し、連絡協議会を地域社会における身近な問題の提示、地域住民等との検討、協議の場として明確に位置付け、原則として、交番等の各所管区単位に設置することとするなど、連絡協議会の設置、運用等に関する規定の整備を図るものである。
2 運用上の留意事項等
(1) 連絡協議会の目的(第2関係)
連絡協議会の目的については、所管区内の住民等の意見、要望等を広く聴取し、相互に検討、協議して、安全で平穏な地域社会の実現を図るものとした。
なお、住民「等」とは、地域住民に限らず、所管区内の事業所、公的機関・団体等に勤務する者なども含むという趣旨である。
(2) 連絡協議会の設置及び組織(第3関係)
ア 連絡協議会の設置
連絡協議会は、地域社会の共同性に着目して設置することが望ましいので、原則として、交番等のそれぞれの所管区を単位として設置し、地域社会の多様な意見、要望等をきめ細かく把握して、所管区活動に反映することとした。
なお、「原則として」とは、地域社会の状況により、所管区を分割し、又は複数の所管区を統合した地域を単位とする連絡協議会(以下「単位連絡協議会」という。)を設置することが適当と認められる場合があることを考慮したものである。
イ 連絡協議会の組織
(ア) 委員の選定
委員については、広く地域住民等からの意見、要望等を聴取するため、特定の者に限定することなく、地域の各界、各層から幅広く選定し、人数は、おおむね10名程度を標準として、連絡協議会の円滑な運営と会議の効果、所管区の実情、当該交番等の体制等を勘案して決定することとした。
また、連絡協議会を効果的に運営するためには、地域住民、ボランティア組織、自治体等との連携が不可欠であるので、委員のうち、おおむね半数程度は、コミュニティ・リーダーとしての影響力等を有する、次に掲げる者の中から選定するよう配意すること。
a 自治会、町会等地域自治組織の役員
b 自治体等公的機関の職員
c 防犯協会、交通安全協会等の関係者
d その他ボランティア活動を行う団体の関係者
(イ) 運営担当者等
連絡協議会の運営に当たっては、所管区責任に基づき、交番等の勤務員が一体となることが不可欠であることから、当該所管区の勤務員全員を運営担当者に充てることとした。
また、総括的な責任者を置いて、対外的な窓口を一本化し、連絡協議会を円滑に運営する必要があることから、運営責任者を交番所長等から指定し、複数駐在所の場合は、勤務員の中から適任者を指定することとした。
(3) 単位連絡協議会(第4関係)
地域の特性により、所管区を分割して連絡協議会を設置したり、また、複数の所管区を統合して連絡協議会を設置した方が適当と認められる場合もあるので、要綱第3で規定した連絡協議会の特例として、単位連絡協議会を設置できるようにした。
(4) 職種等連絡協議会(第5関係)
所管区を単位とした連絡協議会や単位連絡協議会のみでは、その目的を十分に達することができない場合、これらのほかに目的等を限定した連絡協議会を別に設置することとした。
なお、「目的等を限定した」とは、所管区の実情に応じて、必要により、次のような連絡協議会を設置する場合があることを考慮したものである。
ア 団地等人口流動が激しい地域における、アパート、マンション、旅館等の管理者による連絡協議会
イ 繁華街や歓楽街等における、商店の経営者や雑居ビルの管理者による連絡協議会
ウ 外国人居住者等の保護対策を推進するための、外国人居住者等による連絡協議会
エ 女性の意見、要望を警察活動に反映するための、女性による連絡協議会
(5) 既存の連絡協議会の見直し
既存の連絡協議会を整理、統合するなど運用の見直しを行う場合には、あらかじめ委員等に十分にその趣旨を説明し、理解と協力が得られるようにすること。
(6) 会議の開催(第6関係)
ア 定期会議の開催
定期会議は、警察活動の重点、地域の行事等を勘案して、所管区の実情に応じて効果的な時期を選定し、年1回以上開催することとした。
イ 臨時会議の開催
臨時会議は、地域において犯罪等が連続的に発生するなど、住民に不安が生じている場合等にタイムリーに開催することとした。
なお、臨時会議においては、犯罪発生状況等各種情報の伝達、緊急時における連絡方法の指導、必要な協力要請等を行い、地域住民の不安解消に努めるほか、住民とともに犯罪等の未然防止、地域の安全確保等に関する対策の検討、協議を行うこと。
ウ 会議の出席者
地域警察活動を効果的に推進するためには、会議のメンバーを固定することなく、広く地域住民等の参画を得ることが望ましいので、会議の開催に当たっては、そのテーマを検討、協議するにふさわしい委員以外の地域住民等の参加を求めることとした。
なお、具体的には次のような者がふさわしいと考えられる。
(ア) 地域で児童対象の声かけ事案が連続的に発生しているような場合には、学校関係者、PTA等
(イ) 街路灯の設置要望等の環境整備問題については、対象地区の自治会役員、住民等
(ウ) 独居高齢者の安全対策等については、行政、ボランティアの関係者等
(7) 連絡協議事項(第7関係)
連絡協議会においては、警察からの連絡や地域住民等の意見、要望等の聴取のみに終わることなく、相互に必要な検討、協議を通じて、地域住民等とともに地域における問題への対応策を見いだすこととした。
特に、次のような具体的なテーマを決めて検討、協議を行うこと。
ア 地域住民等に身近な事件、事案等の発生状況及びその対応策
イ 災害、地域で多発する事故等の発生状況及びその対応策
ウ 地域の抱える問題及びその解決策
エ 地域の祭礼、行事等の進め方
オ 地域安全活動の進め方
また、連絡協議会の開催に当たっては、広報紙、統計資料等を効果的に活用し、さらに、要望事項等の措置状況については、参加者に確実な連絡をするとともに、当該措置を講ずるために時間を要する問題等については、問題解決活動のテーマを設定して計画的に推進するなど、適切に処理すること。
(8) 留意事項(第8関係)
連絡協議会は、交番等の勤務員が所管区責任に基づいて運営するものであるが、効果的かつ適切に運営するためには、署地域警察幹部の支援が不可欠である。
このため、署地域警察幹部は、その推進状況を具体的に把握して適切な指導を行うとともに、他機関、他部門との連絡調整、支援体制の確立等の措置を講ずることとした。
3 関係通達の廃止
派出所、駐在所連絡協議会実施要綱の制定について(昭和56年12月25日付け例規(外)第27号)は、廃止する。
別紙
交番・駐在所連絡協議会実施要綱
(趣旨)
第1 この要綱は、交番・駐在所連絡協議会(以下「連絡協議会」という。)を設置し、効果的に運用するため、必要な事項を定めるものとする。
(連絡協議会の目的)
第2 連絡協議会は、交番又は駐在所(以下「交番等」という。)の所管区において、警察と地域住民等の協力体制を確立し、住民等の意見、要望等を広く聴取して相互に検討、協議することにより、日常生活に身近な犯罪、事故及び災害(以下「犯罪等」という。)の未然防止、被害の拡大防止、被害の回復、的確な検挙活動等を図り、もって安全で平穏な地域社会を実現することを目的とする。
(連絡協議会の設置及び組織)
第3 連絡協議会は、原則として、交番等の各所管区を単位として設置するものとする。
2 連絡協議会は、委員及び運営担当者(以下「構成員」という。)をもって構成するものとする。
3 委員は、地域の実情に精通し、かつ、地域住民等からの信望の厚い者の中から、職業、年齢、性別等を考慮して、幅広く選定すること。
4 委員の任期はおおむね2年とし、再任を妨げないものとする。
5 署長は、交番所長等を連絡協議会の運営責任者として指定するものとする。
6 運営責任者は、連絡協議会を主宰し、会議の円滑な運営と活性化に努めるものとする。
7 連絡協議会の運営担当者には、連絡協議会を設置した所管区の勤務員全員を充てるものとする。
8 運営担当者は、随時、委員その他の参加者を訪問し、必要事項の連絡に当たるものとする。
(単位連絡協議会)
第4 第3第1項の規定にかかわらず、地域の特性に応じ、所管区を分割して、又は複数の所管区を統合して連絡協議会を設置することがより適当と認められる場合は、当該分割又は統合する地域を単位とする連絡協議会(以下「単位連絡協議会」という。)を設置することができるものとする。
2 第3第2項から同第8項までの規定は、単位連絡協議会について準用するものとする。
(職種等連絡協議会)
第5 所管区を単位とせず、職種、地区等に着目して連絡協議会を設置することが効果的と認められる場合は、目的等を限定した連絡協議会(以下「職種等連絡協議会」という。)を別に設置することができるものとする。
2 第3第2項から同第8項までの規定は、職種等連絡協議会について準用するものとする。この場合において、同第3項中「職業、年齢、性別等を考慮して、幅広く」とあるのは、「その目的等に則して」と読み替えるものとする。
(会議の開催)
第6 連絡協議会(単位連絡協議会及び職種等連絡協議会を含む。以下同じ。)の会議は、定期会議及び臨時会議とする。
2 定期会議は、年1回以上開催するものとする。
3 臨時会議は、地域で犯罪等が連続的に発生し、地域住民等に不安が生じるなど地域の問題解決に必要が生じた場合に随時開催するものとする。
4 会議は、組織の構成員のほか、会議のテーマ等に応じて、地域住民、地域の機関・団体の関係者等の参画を得て開催するものとする。
5 会議の開催に当たっては、関係部門の協力を得るものとする。
(連絡協議事項)
第7 連絡協議会は、地域住民等に身近な犯罪等の防止その他地域住民等の生活の安全と平穏に関する問題について連絡をするとともに、地域住民等の意見、要望を聴取して相互に必要な検討、協議を行うものとする。
(留意事項)
第8 連絡協議会の開催に当たっては、次の各号に掲げる点に配意して、真に効果が上がるように努めること。
(1) 署長は、署地域警察幹部を通じて連絡協議会の趣旨、目的、実施要領等について、勤務員に事前に十分な指導教養を実施するほか、会議内容及び推進状況を把握し、必要に応じて、他機関との連絡調整や具体的な支援体制をとるなど、適宜適切な措置を講じること。
(2) 署長は、必要な場合は他係幹部等を会議に参加させ、又は支援させるなど組織的かつ適切な運営に努めること。
(報告)
第9 連絡協議会に関する統計及び連絡協議会の開催結果については、次により地域企画課長あてに報告すること。
(1) 連絡協議会に関する統計については、暦年ごとに「連絡協議会設置・開催状況報告書」(様式第1号)により、翌年1月10日までに報告すること。
(2) 連絡協議会を開催したときは、「連絡協議会開催結果報告書」(様式第2号)により、速やかに報告すること。
附則
この要綱は、平成8年1月1日から施行する。
様式第1号
略
様式第2号
略