○防犯連絡所の運用方針について(通達)

平成2年3月19日

例規(外、防)第6号

みだしのことについては、「防犯連絡所の運用方針について」(昭和55年8月15日例規(防、外、刑総、交企)第18号。以下「旧通達」という。)により運用してきたところであるが、防犯連絡所活動の一層の活性化を図るため、福島県防犯協会連合会(以下「県防連」という。)と協議の上、新たに別添のとおり「防犯連絡所の設置及び運営に関する要綱」(以下「要綱」という。)を制定し、平成2年4月1日から施行することとしたので、各署にあっては、その趣旨に沿い、効果的な運用を図られたい。

第1 制定の趣旨、要点等

防犯連絡所は、地域住民の自主防犯活動の拠点として、地区防犯協会連合会(以下「地区防連」という。)の下部組織としての性格を有しているところから、これまで、防犯連絡責任者(以下「連絡責任者」という。)の委嘱は、地区防犯協会連合会長(以下「地区防連会長」という。)が行い、防犯連絡所に関する事務及び防犯連絡所に対する指導、助言等は、すべて各署の生活安全課(係)によって行ってきたところである。

しかし、各署の生活安全課(係)は、防犯連絡所を効果的に運用していくための十分な体制がなく、また、地域警察官の多くは、連絡責任者が地区防連会長から委嘱され、さらには地域警察と防犯連絡所とを関連づける規定もないことなどから、地域警察活動とは直接関係のない組織であると認識し、積極的な立寄りがなされていなかったため、防犯連絡所の活動は、極めて低調な実情にあった。

ところで、近年の都市化の進展等に伴う地域の連帯感の希薄化、住民の権利意識の高まり、あるいはアパート、マンションの増加等、住民意識、居住環境の変化は、地域住民の生活の場において、事件、事故等に関して様々な問題を生じさせているほか、犯罪を予防し、検挙していくために必要な実態掌握活動や各種情報収集活動をますます困難にしている。

このような情勢に対処し、地域住民の安全と平穏を確保していくためには、地域防犯活動とりわけ、その中核である防犯連絡所の活動の活性化を図り、警察と防犯連絡所とが緊密な関係を保持して、地域の安全を確保するために必要な情報が、積極的に提供されるようにすることが極めて重要である。

よって、旧通達による「防犯連絡所の設置及び運営に関する基準要綱」に代る新たな要綱を制定し、連絡責任者の委嘱は、警察署長(以下「署長」という。)と地区防連会長の連名によって行うことに改め、警察と防犯連絡所がより緊密な協力関係を醸成していくこととした。

また、防犯連絡所活動の活性化を図るため、地域警察の所管区、署単位に設置されている連絡責任者によって組織する連絡会及び防犯連絡協議会に関する事務を、生活安全課(係)から地域課(係)又は地域交通課地域係が担当することに改め、地域を活動の場としている受持地域警察官が、日常の勤務の過程において、防犯連絡所に常時立寄って、連絡、指導、助言等を行うこととしたものである。

第2 警察各部門の任務等

各部門は、新たな要綱の制定に伴い、防犯連絡所の運営に関して、それぞれ次の任務を担当し、防犯連絡所から積極的な協力が得られるよう配意すること。

1 連絡責任者の委嘱、防犯連絡所に対する日常の連絡、指導、助言及び運営に関する資料の作成、配布並びに連絡会、防犯連絡所協議会の運営に関する事務は、地域部門が担当すること。

また、地域部門は、防犯連絡所協議会連合会の運営に関する事務を、県防連と共同して担当すること。

2 生活安全部門は、生活安全警察の立場から、地域部門に対して、防犯連絡所の運営に関し必要な指導、助言及び援助を行うこと。

3 地域、生活安全部門以外の課、係員にあっては、機会あるごとに努めて防犯連絡所に立寄り、警察の立場から指導、助言等を行い、積極的な協力が得られるように努めること。

第3 運用上の配意事項等

1 防犯連絡所の性格(要綱第2)

防犯連絡所は、地域住民が自主防犯活動を行うに当たって、その中核となって活動する性格を有することを明らかにした。

2 防犯連絡所の設置基準(要綱第3)

「おおむね30世帯ないし50世帯に1箇所」の基準は、自主防犯活動を効果的に行うために適当と思われる一応の基準を示したものである。

したがって、地域の実態によっては、基準世帯数に多少の幅を持たせて運用してもよい。

また、アパート、マンションについては、連絡責任者として適任である管理人、居住者等がおり、おおむね設置基準に適合する世帯数がある場合には、棟ごとに設置するなど、地域の実態に応じて弾力的に運用できることとした。

3 防犯連絡所の表示(要綱第4)

防犯連絡所の標識について、その規格、基準を定めたが、従来から使用している表示札又は表示灯は、そのまま掲示してもよいこととする。

4 連絡責任者の委嘱等(要綱第5)

現在、地区防連会長の単独名で委嘱されている連絡責任者については、本要綱により、署長及び地区防連会長から委嘱されているものとみなし、改めて委嘱する必要はない。

その他連絡責任者の委嘱に当たっては、特に次の点に配意すること。

(1) 防犯連絡所は、地区防連の下部組織としての性格を有しており、防犯協会の役員と競合することが多いので、選任に当たっては、生活安全部門と十分協議する。

(2) 名誉職的な者ではなく、実質的に活動できる者を委嘱する。

(3) 長期間にわたって継続して活動できる者を充て、輪番制による区長等を充てることのないようにする。

5 連絡責任者の活動(要綱第7)

真に自主防犯活動の活性化が図られるかどうかは、連絡責任者に対する平素の連絡、指導いかんにかかっているので、特に受持地域警察官は、日常の勤務の過程において、常時、積極的に防犯連絡所に立寄り、連絡、指導、助言等を行うとともに、緊密な協力関係の保持に努めること。

また、連絡責任者の指導、助言等に当たっては、特に次の点に配意すること。

(1) 連絡責任者が、個人の秘密にわたるものを他に漏らしたり、活動が熱心のあまり、地域住民との間に融和を欠くことがないようにする。

(2) 「防犯座談会の開催」については、実施要領等について指導し、必要な知識を修得させる。

(3) 「防犯診断への協力」については、連絡責任者に単独で行わせることには問題があるので、警察官が行う場合に協力させる。

(4) 「防犯運動、活動への参加」については、各季の防犯運動、防犯の日の活動等へ積極的に参加させる。

(5) 「事件、事故等の通報」については、地域住民の安全と平穏を確保していくために必要な情報が、積極的に提供されるようにするため、平素から地域における犯罪情勢等の実態に応じた具体的な指導、連絡、刑事広報等を行う。

(6) 「意見、要望、相談等」については、主管課において事案を適切に処理し、その結果を受持地域警察官を通じて、連絡責任者に回答する。

6 連絡会の設置(要綱第8)

(1) 連絡会は、署所在地、交番、駐在所(以下「交番等」という。)ごとに設置することを原則とする。

ただし、地域が広範囲であり、あるいは交番等の所管区内に多数の連絡責任者がいるなどの地域の実態に応じて、効果的な活動ができるようにするため、複数の連絡会を設置することができることとした。

(2) 所管区単位に設置されている「交番・駐在所連絡協議会」との関係については、共存させる方法で運営すること。

7 連絡会の任務及び運営(要綱第9)連絡会は、交番等単位に設置することになるので、連絡会の運営に関する事務は、交番等の責任者が担当すること。

8 防犯連絡所協議会の設置等(要綱第10)

(1) 連絡会の連合機関として、署単位に防犯連絡所協議会を設置することになるが、地域の実態に応じ、例えば旧町村等の方部ごとに同協議会を設置する方法により運営することが、効果的な活動ができる場合などには、複数の交番等単位に設置することができることとした。

(2) 防犯連絡所協議会の運営に関する事務は、署の地域幹部が担当すること。

9 防犯連絡所協議会連合会の設置等(要綱第11)

防犯連絡所協議会連合会の運営に関する事務については、地域企画課が、県防連と共同して担当すること。

第4 関係通達の廃止

「防犯連絡所の運用方針について」(昭和55年8月15日付例規(防、外、刑総、交企)第18号)は、廃止する。

別添

防犯連絡所の設置及び運営に関する要綱

(目的)

第1 この要綱は、地域住民による自主防犯体制を確立し、犯罪や事故のない明るく住みよい地域づくりに寄与するため、防犯連絡所の設置及び運営について必要な事項を定めることを目的とする。

(防犯連絡所の性格)

第2 防犯連絡所は、地域住民の自主防犯活動の拠点とする。

(防犯連絡所の設置基準)

第3 防犯連絡所は、行政区画、住宅状況、交通環境、犯罪情勢等を考慮し、おおむね30世帯ないし50世帯ごとに1箇所設置するものとする。

(防犯連絡所の表示)

第4 防犯連絡所には、防犯連絡所の標識(様式第1号)を外部から見やすい箇所に掲げるものとする。

(連絡責任者の委嘱等)

第5 防犯連絡所に、防犯連絡責任者(以下「連絡責任者」という。)を置く。

2 警察署長(以下「署長」という。)及び地区防犯協会連合会長(以下「地区防連会長」という。)は、地域住民から信望があり、かつ、自主防犯活動に熱意と実行力のある者を、防犯協会役員、町内会長等と協議の上、連絡責任者に委嘱する。

3 連絡責任者の委嘱は、委嘱状(様式第2号)を交付して行う。

(連絡責任者の任期)

第6 連絡責任者の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。

(連絡責任者の活動)

第7 連絡責任者は、地域内の住民と常に連絡を密にし、防犯協会役員、町内会長、受持警察官等と協力して、次に掲げる活動を行う。

(1) 防犯座談会の開催

(2) 警察が行う防犯診断への協力

(3) 各種防犯運動、活動への参加

(4) 防犯広報資料等の配布、回覧及び掲示

2 連絡責任者は、次に掲げる事項について、110番その他適宜の方法により警察官に通報するものとする。

(1) 事件、事故の発生を知ったとき。

(2) 犯人、不審者と認められる者を発見したとき。

(3) 行方不明者、迷い子その他応急の救護を必要とする者を発見したとき。

(4) 非行少年等(犯罪少年、触法少年、ぐ犯少年、不良行為少年)を発見したとき。

(5) その他防犯上必要と認められる事案の発生を知ったとき。

3 連絡責任者は、次に掲げる事項について、地域住民等から意見、要望、相談等があった場合は、警察署又は最寄りの交番、駐在所に取次ぐものとする。

(1) 警察の業務に関すること。

(2) 防犯灯、防犯ベル等の防犯施設、器具に関すること。

(3) その他防犯上必要な施策に関すること。

4 連絡責任者は、第8の1に規定する連絡会に積極的に参加し、連絡責任者相互の良好な関係を保持するとともに、自主防犯の在り方などについて研修するものとする。

(連絡会の設置)

第8 署所在地、交番及び駐在所(以下「交番等」という。)の単位に、連絡責任者をもって構成する連絡会を設置する。ただし、交番等の実態により、複数の連絡会を設置することができる。

2 連絡会には、連絡責任者の互選による連絡会長及び必要な役員を置く。

(連絡会の任務及び運営)

第9 連絡会は、連絡会長が主宰し、地域における防犯連絡所の有機的な連携を図り、自主防犯活動を強化するため、次に掲げる事項について協議する。

(1) 地域内における自主防犯に関する事項

(2) その他防犯活動に関する事項

2 連絡会長は、連絡会を開催するときは、受持警察官と連携を図り、警察署幹部、防犯協会役員等の出席を要請し、防犯活動等について指導、助言を求めるものとする。

(防犯連絡所協議会の設置等)

第10 警察署単位に、防犯連絡所協議会(以下「協議会」という。)を設置する。

2 協議会の設置及び運営については、別添「防犯連絡所協議会会則(例)」により行うものとする。

3 複数の交番等を単位に、1に準ずる協議会を設置することができるものとする。

(防犯連絡所協議会連合会の設置等)

第11 県に、各協議会によって構成する防犯連絡所協議会連合会を設置することができるものとする。

2 防犯連絡所協議会連合会の設置及び運営については、別に定める。

(表彰)

第12 署長及び地区防連会長は、連絡責任者が防犯活動について特に功労があると認めたときは、表彰を行うものとする。

1 この要綱は、平成2年4月1日から施行する。

2 この要綱の施行の際、現に廃止前の防犯連絡所の設置及び運営に関する基準要綱(福島県防犯協会連合会制定)第3条第2項の規定により設置された防犯連絡所及び同要綱第4条の規定により委嘱された連絡責任者は、第3の規定により設置された防犯連絡所及び第5の2の規定により委嘱された連絡責任者とみなす。

様式第1号(第4関係)

 略

様式第2号(第5関係)

 略

別添

防犯連絡所協議会会則(例)

第1章 総則

(名称)

第1条 この会は、「○○防犯連絡所協議会」という。

(構成)

第2条 この会は、次の者をもって構成する。

(1) 防犯連絡所の設置及び運営に関する要綱第8の2に規定する連絡会長

(2) 地区防犯協会連合会の役員

(事務)

第3条 この会に関する事務は、警察署地域課(係)又は地域交通課地域係において担当する。

第2章 目的及び事業

(目的)

第4条 この会は、犯罪のない明るい社会を実現するため、防犯連絡責任者相互の連絡協調に努め、防犯連絡所活動の発展、促進を図ることを目的とする。

(事業)

第5条 この会は、前条の目的を達成するため、次の事業を行う。

(1) 防犯連絡責任者の活動のための研修

(2) 防犯思想の普及

(3) 連絡会相互の連絡調整

(4) その他この会の目的を達成するために必要な事業

第3章 役員

(役員の選出、任務等)

第6条 この会に、次の役員を置く。

会長 1名

副会長 若干名

2 前項の役員は、総会において構成員の互選により選出する。

3 会長は、会の事務を総理し、会を代表する。

4 副会長は、会長を補佐し、会長に事故あるときは、その職務を代行する。

(役員の任期)

第7条 役員の任期は、2年とし、再任を妨げない。

第4章 会議

(会議の種類)

第8条 会議は、総会及び連絡会長会(以下「会長会」という。)とする。

(総会)

第9条 総会は、毎年1回開催する。ただし、会長が必要があると認めたときは、臨時に招集することができる。

2 総会においては、次の事項を審議し決定する。

(1) 会則の制定及び変更

(2) 事業計画及び事業報告

(3) 役員の選任

(4) その他この会の運営に関する事項

(総会の運営)

第10条 総会は、会長が招集し議長となる。

2 総会の議決は、出席者の過半数で決し、可否同数のときは、議長がこれを決する。

(会長会)

第11条 会長会は、第2条第1号に規定する者及び第6条第1項に規定する者をもって構成する。

2 会長会は、会長が必要と認めたときに開催する。

3 会長会は、第5条の事業及びその他必要な事業について協議する。

この会則は、平成 年 月 日から施行する。

防犯連絡所の運用方針について(通達)

平成2年3月19日 例規(外、防)第6号

(平成22年3月1日施行)

体系情報
地域部
沿革情報
平成2年3月19日 例規(外、防)第6号
平成4年8月 一般(外)第31号
平成7年3月 一般(務)第37号
平成8年3月 一般(務)第40号
平成10年3月 一般(務)第27号
平成11年3月 一般(務)第27号
平成11年4月 一般(地)第7号
平成17年3月 達(地)第68号
平成22年3月 達(生企)第178号