○「女性安全相談所」及び「女性被害相談所」の運用要領の制定について(通達)

平成11年12月2日

例規(地、鉄)第15号

みだし要領を別紙1及び2のとおり制定し、平成11年12月2日から施行することとしたので、実効の上がるようにされたい。

1 趣旨

地域警察部門においては、犯罪の被害に遭いやすく不安感の強い一人暮らしの女性に重点を置いた安全対策を推進するため、主要の交番を「女性安全相談所」に指定し、また、列車内は女性が被害者となる痴漢等の犯罪が発生しやすく、この種事案の取締りを求める要望が強い一方で、しゅう恥心等から被害の届出や相談が非常に少ない実情にあるため、鉄道警察隊に「女性被害相談所」を設け、それぞれ効果を上げているところであるが、女性の安全対策をより一層推進するため、この度、「女性安全相談所運用要領」及び「女性被害相談所運用要領」を制定することとしたものである。

2 運用要領

(1) 女性安全相談所運用要領

別紙1「女性の安全対策のための「女性安全相談所」運用要領」のとおり

(2) 女性被害相談所運用要領

別紙2「鉄道警察隊における「女性被害相談所」運用要領」のとおり

3 指定交番等

女性安全相談所及び女性被害相談所は、性的犯罪の発生状況、交番等の施設の状況等を考慮して、当面、次の交番等を指定し、運用するものとする。

(1) 女性安全相談所

ア~エ 〔省略〕

(2) 女性被害相談所

鉄道警察隊郡山分駐隊

4 報告

女性安全相談所の運用に伴う相談受理状況、反響、活動事例等については、別途指示する様式により、地域企画課長を経由して報告すること。

別紙1

女性の安全対策のための「女性安全相談所」運用要領

1 女性安全相談所の指定

性的犯罪の被害に遭いやすく、これらの犯罪に対する不安感の強い一人暮らしの女性等の安全をより効果的に確保するため、女性の警察官の体制、性的犯罪の発生状況、交番等の施設の状況等を考慮した上、都市部の主要な交番を女性の警察官が女性からの相談に対応する「女性安全相談所」(以下「相談所」という。)に指定する。

2 相談受理環境の整備

相談所の施設については、相談者のプライバシー等の権利の保護を確実なものとするため、

○ ブラインド等外部から相談者の姿を見ることができないようにするための設備を設ける。

○ コミュニティルーム、休憩室、相談室等の相談に係る会話を外から聞くことができない構造を有する部屋において行う。

など、相談者が安心して相談できるようその環境の整備に努めること。

3 実施体制

指定交番においては、原則として女性の警察官が窓口となって、来訪又は電話等による女性からの相談への対応を行うこと。

相談に当たる女性の警察官は、通常基本勤務を行いつつその業務に当たることとするが、相談者の利便を図るため、相談日(必要に応じて相談時間帯)を設定し、これを明示する掲示板を掲出すること。この場合、相談日に女性の警察官が確実に在所するとともに、相談時間帯がなるべく一定するよう女性の警察官の勤務時間の弾力的な運用を図ること。

また、女性の警察官の不在中に相談のため来訪、電話等があった場合には、その緊急性、必要性に応じ、女性の警察官への帰所の指示、相談者へ女性の警察官が在所する日時の教示等の措置を講じること。

4 活動内容

相談所の女性の警察官は、来訪、電話等による女性からの相談への対応、アドバイスを行うほか、必要に応じ、パトロール、相談者宅への訪問等の活動を行うこと。(女性の警察官が相談に応じることが不可能な場合には、相談者に男性の警察官が相談に応じる旨を伝え、これを相談者が了解すれば男性の警察官が相談等に応じること。その際、相談に対する事後の対応を女性の警察官が行うことが適当と認められるときは、相談を受けた男性の警察官は女性の警察官へ引継ぐこと。)

また、相談に対する措置として、男性の警察官が相談者と面談したり、相談者の居宅を訪問するなどの活動を行う必要がある場合には、可能な限り相談を受けた女性の警察官が同席することとするとともに、当該女性の警察官からあらかじめその旨を告げておくなど相談者の女性の心情に配意した措置を講じること。この場合において、相談者に対応する男性の警察官には、相談者の心情を害する言動を行うことのないよう指導を徹底しておくこと。

なお、相談の内容から判断して、交番又は相談者の居宅以外の場所において相談等に応じる必要がある場合には、署地域課長に事前に(やむを得ない場合には事後速やかに)報告して、これを実施すること。

5 広報活動

事前の広報はもとより、相談所がその活動を開始した後においても各種媒体を効果的に活用し、相談所の趣旨、業務の内容、相談日等について継続的な広報を行うこと。

6 業務管理

(1) 指導教養の強化

署長は、相談等を担当する女性の警察官の実務能力等を考慮し、女性の警察官に対する所要の教養の実施、教養資料の作成、地域警察幹部による指導体制の確立に努めること。

(2) 情報の管理等

ア 相談を受理した女性の警察官は、相談の内容、措置状況等について別記様式「女性安全相談カード」を作成して署長に報告すること。

イ 相談に係る情報の管理については、署地域課長を管理責任者に指定し、保秘の徹底を図ること。

(3) 引継ぎ等

ア 犯罪に関わるものと認められる相談を受理した場合は、事案に応じ、これを速やかに主管部門へ引継ぐこと。

イ 受持警察官又は他の交番等の警察官に連絡、引継ぎをする必要があると認められる相談を受けた女性の警察官は、相談者の了解を得た上、相談者のプライバシーの保護に十分注意して、署地域課長に報告した後、必要な連絡等を行うこと。

ウ 受持警察官が巡回連絡等を通じて女性の警察官が処理することが適当と思われる相談を受けた場合には、署地域課長に報告の上、これを相談所の女性の警察官へ引継ぐこと。

別記様式

 略

別紙2

鉄道警察隊における「女性被害相談所」運用要領

1 相談所の設置等

(1) 鉄道警察隊の本隊又は分駐隊その他適当な場所において、女性の警察官を中心とした痴漢等被害に関する女性被害相談所(以下「相談所」という。)の設置や相談日等を設定すること。

(2) 相談所には、電話番号、相談時間等を明示した掲示板を掲出するとともに、女性の警察官が相談等に応じる旨の広報に努めること。

2 相談等のしやすい受理体制及び環境の整備

(1) 相談所の開設時間帯には、女性の警察官の勤務時間を調整し、できる限り女性の警察官を配置すること。

(2) 相談受理時間については、できるだけ通勤・通学時間帯等痴漢被害の多発時間帯を中心に設定すること。

(3) 相談等の受理場所は、専用の相談室を設けることが望ましいが、相談室がない場合においても、衝立等で囲むなど相談者が安心して相談できるような環境の整備に努めること。

(4) 「よろず相談所」等の形で運用する場合においても、相談に来所する女性の立場を考慮して、窓口については女性の警察官を配置した上で、内容によって幹部が相談に対応すべき者を振り分けるなどの配意をすること。

3 同行警乗等による検挙活動の強化

(1) 相談等受理の結果、被害者が同一被疑者に繰り返し痴漢被害を受けている場合や類似事犯が連続発生している場合、保護者、学校関係者等からの取締り要請が強い場合等で必要があると認めるときは、女性の警察官を含めた私服での同行警乗等を実施し、被疑者の検挙に努めること。

(2) 痴漢等の被害実態を把握・分析し、痴漢等被害の多発時期や多発曜日等をとらえた取締り強化月間や警乗強化日等を設定し、重点的な活動を実施すること。

4 効果的かつ継続的な広報活動

相談所の一層の利用促進を図るため、相談所の活動について各種媒体を活用し、効果的かつ継続的な広報活動を推進すること。

5 駅前交番等配置の女性の警察官の活用

鉄道警察隊の本隊又は分駐隊に女性の警察官が配置されていない場合で、主要駅等の駅前交番等に女性の警察官が配置されているときは、鉄道警察隊は、当該駅前交番等を管轄する署と連携し、この要領に定める活動を行い、痴漢等の相談や被害届の受理に応じ得る体制の整備に努めること。

6 指導教養の強化

鉄道警察隊長は、相談等を担当する女性の警察官の実務能力等を考慮し、女性の警察官に対する所要の教養の実施、教養資料の作成、幹部による指導体制の確立に努めること。

「女性安全相談所」及び「女性被害相談所」の運用要領の制定について(通達)

平成11年12月2日 例規(地、鉄)第15号

(平成17年3月1日施行)

体系情報
地域部
沿革情報
平成11年12月2日 例規(地、鉄)第15号
平成17年3月 達(地)第68号