○遊泳者及びプレジャーモーターボートの事故防止等に関する条例

平成4年7月7日

県条例第80号

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、海等における遊泳者に係る事故の防止、プレジャーモーターボートの利用に伴う事故の防止等を図ることを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 海等 海及び湖沼並びにこれらに接続する岸をいう。

(2) 遊泳者 遊泳している者又はサーフボード若しくはセールボードをその本来の目的に従って使用している者をいう。

(3) 船舶 水上輸送の用に供する船舟類をいう。

(4) プレジャーモーターボート 海、湖沼又は河川において行うスポーツ又はレクリエーションの用に供するモーターボート、水上オートバイその他の機関を用いて推進する船舶をいう。

(5) 海水浴場等 遊泳する者の利便に供するための施設が設けられること等により、公衆が遊泳のために利用することができるものとして環境が整備された場合における海等の特定の区域をいう。

第2章 海水浴場等

(海水浴場等開設の届出)

第3条 海水浴場等を公衆の利用に供しようとする者は、公衆の利用に供することを開始しようとする日の10日前までに、次に掲げる事項を書面により福島県公安委員会(以下「公安委員会」という。)に届け出なければならない。

(1) 氏名及び住所(法人にあっては、名称及び主たる事務所の所在地並びに代表者の氏名)

(2) 海水浴場等の名称

(3) 海水浴場等の区域

(4) 海水浴場等の区域のうち遊泳に適すると認められる区域(以下「遊泳場」という。)

(5) 海水浴場等を公衆の利用に供する期間

(6) 海水浴場等に設けられる施設、設備等の概要

(7) 海水浴場等における遊泳者に係る事故の防止のためにとる措置の概要

(変更の届出)

第4条 前条の規定による届出をした者は、同条各号に掲げる事項を変更したときは、遅滞なく、その旨を書面により公安委員会に届け出なければならない。

(国の機関等の特例)

第5条 国の機関又は地方公共団体(以下「国の機関等」という。)は、海水浴場等を公衆の利用に供しようとするときは、第3条の規定による届出を要しない。この場合において、当該国の機関等は、同条各号に掲げる事項について公安委員会に通知しなければならない。通知に係る事項を変更したときも、同様とする。

(事故防止の措置)

第6条 第3条の規定による届出又は前条の規定による通知をした者(以下「海水浴場等開設者」という。)は、当該海水浴場等における遊泳者に係る事故の防止を図るため、次に掲げる措置をとらなければならない。

(1) 遊泳場を浮標、立標、旗等で明確に標示するとともに、海水浴場等の区域を看板等により明示すること。

(2) 海水浴場等内の見やすい場所に遊泳者の遵守事項を記載した看板等を掲示し、又はこれらの遵守事項を放送設備により放送する等必要な広報を行うこと。

(3) 水難救助を行うために必要な知識及び能力を有する者を置くこと。

(4) 救命浮輪、ロープ、ボートその他水難救助に通常必要と認められる救命用具を備えること。

(公安委員会等の指示)

第7条 公安委員会は、海水浴場等開設者が前条各号に掲げる措置をとっていない場合において、遊泳者に係る事故の防止を図るため必要があると認めるときは、当該海水浴場等開設者に対し、当該措置をとるよう指示することができる。

2 警察官は、海水浴場等開設者が前条各号に掲げる措置をとっていない場合において、遊泳者に係る事故の防止を図るため緊急の必要があると認めるときは、当該海水浴場等開設者に対し、必要な限度において、応急の措置をとるよう指示することができる。

(遊泳区域の指定)

第8条 公安委員会は、海水浴場等に、船舶が多数航行し、遊泳者と船舶とが混在している場合において、遊泳者と船舶との衝突等による遊泳者に係る事故を防止するため必要があると認めるときは、当該海水浴場等のうち特定の水域を、期間を限って、遊泳区域として指定することができる。

2 何人も、前項の遊泳区域において、船舶(人の身体に接触した場合に危害を及ぼすおそれのないものを除く。次条第1項第3号において同じ。)を航行させてはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。

(1) 水難救助に従事する場合

(2) 国の機関等が水難事故の防止、海等の管理その他行政目的を達成するため必要な場合

(3) 第19条第1項の許可を受けた催物に参加する場合

3 第1項の規定による遊泳区域の指定は、公安委員会規則で定めるところにより、標識を設置して行わなければならない。

4 何人も、みだりに前項の標識を移動し、又は損壊してはならない。

(海水浴場等における禁止行為)

第9条 何人も、海水浴場等において、次に掲げる行為をしてはならない。

(1) 正当な理由がないのに、水中銃、もりその他人の身体に危害を及ぼすおそれのある危険な器具を携帯すること。

(2) 遊泳している者に抱きつくこと、その他の人の遊泳に危険な行為をすること。

(3) 船舶又はサーフボード若しくはセールボードを疾走させ、急転回させ、縫航させる等により、遊泳者に迷惑を及ぼすような行為をすること。

2 警察官は、前項の規定に違反している者に対し、当該違反行為を中止することを指示することができる。

(遊泳者の遵守事項)

第10条 遊泳者は、海水浴場等開設者が、遊泳者に係る事故の防止を図るため、遊泳者の遵守事項を定めた場合又は遊泳に関する必要な助言を行った場合には、これに従うよう努めなければならない。

第3章 プレジャーモーターボート提供業者等

(事業の届出)

第11条 次に掲げる事業を営もうとする者は、事業を開始しようとする日の10日前までに、その旨を公安委員会に届け出なければならない。

(1) 海、猪苗代湖その他公安委員会規則で定める区域に設備を設け、人の需要に応じてプレジャーモーターボートを賃貸その他の方法により利用させる事業

(2) 海、猪苗代湖その他公安委員会規則で定める区域に設備を設け、人の需要に応じてプレジャーモーターボートを係留し、又は保管する事業

2 前項の規定による届出をしようとする者は、次に掲げる事項を記載した書面を公安委員会に提出しなければならない。

(1) 氏名及び住所(法人にあっては、名称及び主たる事務所の所在地並びに代表者の氏名)

(2) 事業に係る設備を設け、又はプレジャーモーターボートを保管する場所(以下「事業所」という。)

(3) 事業を開始しようとする日(一定の期間に限り事業を営もうとする者にあっては、当該事業を営もうとする期間)

(4) 事業の内容

(5) 水難事故を防止するためにとる措置の概要

(変更の届出)

第12条 第4条の規定は、前条第1項の規定による届出をした者に準用する。この場合において、第4条中「同条各号」とあるのは「第11条第2項各号」と、「変更した」とあるのは「変更したとき又は当該届出に係る事業を廃止した」と読み替えるものとする。

(国の機関等の特例)

第13条 第5条の規定は、国の機関等が第11条第1項各号に掲げる事業を営もうとする場合について準用する。この場合において、第5条中「第3条」とあるのは「第11条第1項」と、「同条各号」とあるのは「同条第2項各号」と、「変更した」とあるのは「変更したとき又は当該通知に係る事業を廃止した」と読み替えるものとする。

(事故防止の措置)

第14条 第11条第1項又は前条において準用する第5条の規定により第11条第1項第1号に掲げる事業に係る届出又は通知をした者(以下「プレジャーモーターボート提供業者」という。)は、プレジャーモーターボートの利用に伴う事故の防止を図るため、次に掲げる措置をとらなければならない。

(1) プレジャーモーターボート利用者(プレジャーモーターボート提供業者の事業の用に供するプレジャーモーターボートを利用する者をいう。以下この項において同じ。)に対し、天候、危険水域等安全な航行のため必要な情報を提供すること。

(2) 海水浴場等が付近にある場合にあっては、プレジャーモーターボート利用者に対し、遊泳場及び第8条第1項の規定による遊泳区域の位置その他海水浴場等における遊泳者の安全を確保するため必要な情報を提供すること。

(3) 強風、高波、霧等の状況から航行に危険があると認められるとき又はプレジャーモーターボート利用者が酒に酔った状態その他プレジャーモーターボートの正常な利用ができない状態にあると認めるときは、プレジャーモーターボートを利用させないこと。

(4) 救命浮輪、ロープ、ボートその他水難救助に通常必要と認められる救命用具を事業所に備えること。

(5) 水難救助を行うために必要な知識及び能力を有する者を置くよう努めること。

(6) 水難事故が発生した場合において、プレジャーモーターボート利用者が事業所に緊急連絡をすることができるような通信手段を整備するよう努めること。

(7) プレジャーモーターボート利用者に係る水難事故の発生を知ったときは、直ちに警察官に通報すること。

2 前項(第6号を除く。)の規定は、第11条第1項又は前条において準用する第5条の規定により第11条第1項第2号に掲げる事業に係る届出又は通知をした者(以下「マリーナ業者」という。)について準用する。この場合において、前項第1号中「プレジャーモーターボート提供業者の事業の用に供するプレジャーモーターボートを利用する者」とあるのは「マリーナ業者が係留し、又は保管するプレジャーモーターボートを航行させようとする者」と、同項第3号中「利用させない」とあるのは「利用させないよう努める」と、同項第4号中「備える」とあるのは「備えるよう努める」と読み替えるものとする。

(公安委員会等の指示)

第15条 公安委員会は、プレジャーモーターボート提供業者が前条第1項第1号から第4号までに掲げる措置をとっていない場合において、プレジャーモーターボートの利用に伴う事故の防止を図るため必要があると認めるときは、当該プレジャーモーターボート提供業者に対し、当該措置をとるよう指示することができる。

2 警察官は、プレジャーモーターボート提供業者が前条第1項第1号から第4号までに掲げる措置をとっていない場合において、プレジャーモーターボートの利用に伴う事故の防止を図るため緊急の必要があると認めるときは、当該プレジャーモーターボート提供業者に対し、必要な限度において、応急の措置をとるよう指示することができる。

3 前2項の規定は、マリーナ業者が前条第2項において準用する同条第1項第1号又は第2号に掲げる措置をとっていない場合について準用する。

(航行による事故の場合の措置)

第16条 プレジャーモーターボートの航行による人の死傷又は物の損壊(以下「航行による事故」という。)があったときは、当該プレジャーモーターボートの操船者は、直ちに負傷者を救護し、水上における危険を防止する等必要な措置をとらなければならない。ただし、当該プレジャーモーターボートに急迫した危険がある場合は、この限りでない。

2 航行による事故があったときは、当該プレジャーモーターボートの操船者(操船者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、同乗者)は、速やかに警察官に当該航行による事故が発生した日時及び場所、当該航行による事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度並びに当該航行による事故についてとった措置を報告しなければならない。

(プレジャーモーターボート操船者の禁止行為)

第17条 何人も、酒に酔った状態その他正常な操船ができない状態でプレジャーモーターボートを操船してはならない。

(プレジャーモーターボート操船者の遵守事項)

第18条 プレジャーモーターボートの操船者は、次に掲げる事項を遵守しなければならない。

(1) 人が遊泳している水域で疾走し、急転回し、又は縫航する等他人に迷惑を及ぼすこととなる方法で、プレジャーモーターボートを航行させないこと。

(2) プレジャーモーターボート提供業者又はマリーナ業者が水難事故の防止のため行う助言に従うこと。

第4章 催物開催の許可

第19条 猪苗代湖その他の公安委員会規則で定める海等の特定の水域において、公安委員会規則で定める期間内にボート競争、ヨット競争、水泳競技大会、水上パレードその他の公衆に観覧させるための催物(以下「催物」という。)を開催しようとする者は、公安委員会の許可を受けなければならない。

2 前項の許可を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した書面を公安委員会に提出しなければならない。

(1) 氏名及び住所(法人にあっては、名称及び主たる事務所の所在地並びに代表者の氏名)

(2) 催物の目的

(3) 催物を行う場所及び日時

(4) 催物の形態

(5) 事故防止のためにとる措置の概要

3 第1項の許可の申請があった場合において、当該申請に係る催物が次の各号のいずれかに該当するときは、公安委員会は、許可をしなければならない。

(1) 当該水域における遊泳者及び船舶の安全に支障を及ぼすおそれがないと認められるとき。

(2) 許可に付された条件に従って行われることにより当該水域における遊泳者及び船舶の安全に支障を及ぼすおそれがなくなると認められるとき。

4 第1項の規定による許可をする場合において、必要があると認めるときは、公安委員会は、当該許可に係る催物が前項第1号に該当する場合を除き、当該許可に当該水域における遊泳者及び船舶の危険を防止するため必要な条件を付することができる。

第5章 雑則

(指導)

第20条 公安委員会は、海等における遊泳者に係る事故の防止及びプレジャーモーターボートの利用に伴う事故の防止を図るため必要があると認めるときは、海水浴場等開設者、プレジャーモーターボート提供業者及びマリーナ業者に対し、水難事故の防止に関する指導をすることができる。

(講習)

第21条 公安委員会は、水難救助に従事する者又は従事しようとする者に対し、水難救助に係る知識及び能力を習得させ、又は向上させるための講習を実施することができる。

(海等の状況調査)

第22条 公安委員会は、海等における遊泳者に係る事故の防止、プレジャーモーターボートの利用に伴う事故の防止等を図るため、船舶、航空機等により海等の気象及び利用の状況について必要な調査を行うものとする。

(公安委員会規則への委任)

第23条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、公安委員会規則で定める。

第6章 罰則

第24条 次の各号のいずれかに該当する者は、3月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

(1) 第8条第4項の規定に違反した者

(2) 第16条第1項の規定に違反して、航行による事故(海における航行による事故を除く。)が発生したとき必要な措置をとらなかった者

2 次の各号のいずれかに該当する者は、20万円以下の罰金に処する。

(1) 第3条第4条(第12条において準用する場合を含む。)又は第11条第1項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

(2) 第7条第1項又は第15条第1項(同条第3項において準用する場合を含む。)の規定による公安委員会の指示に従わなかった者

(3) 第8条第2項の規定に違反した者

(4) 第17条の規定に違反した者

(5) 第19条第1項の規定に違反して、同項の許可を受けないで催物を行い、又は偽りその他不正の手段により同項の許可を受けた者

(6) 第19条第4項の規定により付せられた条件に違反した者

3 次の各号のいずれかに該当する者は、10万円以下の罰金に処する。

(1) 第7条第2項第9条第2項又は第15条第2項(同条第3項において準用する場合を含む。)の規定による警察官の指示に従わなかった者

(2) 第16条第2項の規定に違反した者

第25条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して前条第2項(第3号及び第4号を除く。)の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、同項の罰金刑を科する。

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から起算して30日を経過した日から施行する。ただし、第24条及び第25条の規定は、平成4年11月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の際現に海水浴場等を公衆の利用に供している者又は現に第11条第1項各号に掲げる事業を営んでいる者は、この条例の施行の日から50日を経過する日(その日以前に第3条若しくは第11条第1項の規定による届出又は第5条(第13条において準用する場合を含む。以下同じ。)の規定による通知をした場合にあっては、その届出又は通知をした日)までの間は、第3条若しくは第11条第1項の規定による届出又は第5条の規定による通知をしないで、この条例の施行の際現に行っているその業務を行うことができる。

3 前項の規定により、第3条若しくは第11条第1項の規定による届出又は第5条の規定による通知をしないでこの条例の施行の際現に行っている業務を行うことができる場合においては、その者を海水浴場等開設者、プレジャーモーターボート提供業者又はマリーナ業者とみなして、第6条第7条第14条第15条及び第20条の規定を適用する。この場合において、第6条中「当該海水浴場等」とあるのは「その者が公衆の利用に供している海水浴場等」と読み替えるものとする。

遊泳者及びプレジャーモーターボートの事故防止等に関する条例

平成4年7月7日 県条例第80号

(平成4年11月1日施行)