○「薬物対策重点強化プラン」の推進について(通達)

平成22年12月13日

達(組対、生企、少、生環、地企)第535号

対号1 平成16年12月20日付け達(組対、務、生企、刑総、交企、公)第333号「福島県警察組織犯罪対策要綱」の制定について

2 平成20年9月1日付け達(組対、少)第351号「第三次薬物乱用防止五か年戦略」について

3 平成22年8月12日付け達(組対、少)第377号「薬物乱用防止戦略加速化プラン」の策定について

みだしのことについては、別添のとおり、警察庁において、「薬物対策重点強化プラン」が策定されたので、管内の薬物情勢に応じて、同プランに沿った諸施策の推進に努められたい。

1 通達の趣旨

これまで県警察では、「福島県警察組織犯罪対策要綱」及び「第三次薬物乱用防止五か年戦略」に基づき、薬物供給の遮断と需要の根絶、薬物乱用を拒絶する社会の形成等を重点に、薬物犯罪組織の壊滅、末端乱用者の徹底検挙、薬物乱用防止広報啓発活動の推進等に取り組んできたところである。さらに、本年7月には、未然防止対策及び再乱用対策を中心とした新たな「薬物乱用防止戦略加速化プラン」が策定され、諸施策を推進中である。

そして今回、最近の薬物犯罪情勢の変化や薬物問題に対する政府全体の取組み強化等に的確に対処するため、警察庁において、関係部門の連携により特に目的意識を持って重点的に強化すべき施策を選定し、「薬物対策重点強化プラン」(以下「強化プラン」という。)が策定されたことから、同プランに盛り込まれた諸施策の積極的な推進を図ろうとするものである。

2 強化プランの要旨

(1) 薬物乱用を拒絶する気運の醸成(重点1)

ア 多様なネットワークを活用した薬物規範意識の醸成

イ 官・民連携による薬物乱用防止活動の推進強化

(2) いわゆる「運び屋」方式等による薬物密輸事犯への対処(重点2)

ア 組織の枠を超えた広範な実態解明・内偵捜査の推進

イ 県境・国境を越えた密輸関連情報の集約・分析・共有の促進

ウ 「運び屋」方式等による密輸事犯の抑止

(3) サイバー空間からの薬物密輸事犯の根絶(重点3)

ア 部門を超えた薬物密輸事犯及び助長行為等の取締りの強化

イ 官・民連携によるサイト管理者等に対する対策の強化

(4) 薬物再乱用防止に向けた取組みの強化(重点4)

ア 薬物乱用防止対策に関する情報提供

イ 関係機関・団体による薬物乱用防止教育に関する取組みの促進

別添

薬物対策重点強化プラン

【趣旨】

本強化プランは、最近の薬物犯罪情勢の変化や薬物問題に対する政府全体の取組み強化等に的確に対処するため、福島県警察組織犯罪対策要綱等を補強するものとして、警察において、今後関係部門間の連携により特に目的意識を持って重点的に強化すべき施策を選定したもの。

重点1 薬物乱用を拒絶する気運の醸成

【強化事項】

小・中・高・大学生等や新社会人・新成人に対する薬物乱用防止教室・講習会の実施等薬物乱用防止広報啓発活動の推進に加え、次の事項を強化する。

Ⅰ 多様なネットワークを活用した薬物規範意識の醸成

○ 社会人に対して、暴力団排除関連ネットワーク(例えば企業防衛対策協議会、証券警察連絡協議会、銀行警察連絡協議会等)、防犯関連ネットワーク、交通安全関連ネットワークその他の多様なネットワークを効果的に活用して、薬物乱用防止講習会の実施の拡充を図り、社会全体に薬物乱用を拒絶する気運の醸成を図る。

Ⅱ 官・民連携による薬物乱用防止活動の推進強化

○ 防犯ボランティア等との連携を強化し、薬物乱用防止活動を推進する。

○ 企業や事業者団体等への働きかけを強化し、主体的な薬物乱用防止活動の実施、薬物乱用防止活動への積極的な協力・参加を促進する。

重点2 いわゆる「運び屋」方式等による薬物密輸事犯への対処

【強化事項】

暴力団や中国人・イラン人・ナイジェリア人等の来日外国人犯罪組織による組織的な薬物密輸・密売事犯の取締りの推進に加え、以下の事項を強化する。

Ⅰ 組織の枠を超えた広範な実態解明・内偵捜査の推進

○ 暴力団対策部門や国際捜査部門の実態解明班等との情報交換、疑わしい取引の届出情報やその分析結果の活用等により、密輸首謀者や密輸ブローカー、「運び屋」等薬物犯罪組織及びその周辺に対する広範な実態解明を推進する。

○ 通信傍受やCD捜査等の活用、関係都道府県間や税関・海上保安庁等関係機関との緊密な情報交換・共(合)同捜査等により、「運び屋」等の背後にいる薬物犯罪組織の解明と摘発を推進する。

○ 仕出し国等の多様化に対処するため、外国捜査機関との連携を拡大強化し、情報交換・共同捜査を推進するとともに、国外での「運び屋」等の検挙を端緒とした薬物犯罪組織の追及を図る。

Ⅱ 県境・国境を越えた密輸関連情報の集約・分析・共有の促進

○ 断片情報を含む密輸関連情報を薬物事犯照会業務により管理し、全国的な情報集約・分析を行うとともに、関係都道府県警察間の情報共有を促進する。

○ 警察庁において、「来日外国人薬物密売組織情報連絡会議」及び「薬物密輸対策センター情報連絡会議」を定期的に開催するとともに、薬物密輸事犯の捜査指導体制を強化する。

Ⅲ 「運び屋」方式等による密輸事犯の抑止

○ 「運び屋」方式等の薬物密輸事犯を抑止するため、関係機関・事業者と連携し、海外渡航者に対して、「運び屋」等の実態や諸外国等の薬物事犯規制等に関する警告・広報を行う。

○ 薬物密輸の地方分散化傾向を踏まえ、関係機関等と連携して、地方空港・港における水際取締体制を強化する。

重点3 サイバー空間からの薬物密売事犯の根絶

【強化事項】

Ⅰ 部門の枠を超えた薬物密売事犯及び助長行為等の取締りの強化

○ サイバーパトロール、インターネット・ホットラインセンターからの通報等により、インターネット上の薬物関連違法情報の収集強化を図る。

○ 薬物対策部門とサイバー犯罪対策部門、情報技術解析部門等との連携を強化するとともに、譲受け捜査等効果的な捜査手法を活用するなどにより、インターネットを利用した薬物事犯の取締りを推進する。

○ 薬物密売関連情報を掲載するサイトの管理者に対する薬物密売罪や広告罪、これらの罪の幇助等の適用のほか、大麻種子の購入者・販売者に対する不正栽培罪・同罪の幇助等の適用等、薬物密売・乱用をインターネット上で助長する行為の取締りに努める。

Ⅱ 官・民連携によるサイト管理者等に対する対策の強化

○ 薬物関連違法情報について、サイバー犯罪対策部門やインターネット・ホットラインセンター等を通じて削除要請等を徹底する。特に、インターネットを利用した薬物事犯を検挙した場合は、利用に係るサイトの管理者等に対して警告及び再発防止指導等を行う。

○ 薬物関連有害情報等について、サイバー犯罪対策部門やインターネット・ホットラインセンター等を通じて削除要請等を推進する。

重点4 薬物再乱用防止に向けた取組みの強化

【強化事項】

○ 薬物事犯者で即決裁判手続等により執行猶予判決が見込まれる者や薬物事犯者の家族らに対し、未決勾留期間中にパンフレット等を配付・貸与するなどにより、薬物再乱用防止対策に関する情報を提供する。

○ 薬務部門、民間団体等に対する働きかけを強化し、関係機関・団体による薬物再乱用防止教育に関する取組みを促進する。

○ 未決拘禁段階からの薬物再乱用防止対策について、関係府省庁と積極的に検討する。

「薬物対策重点強化プラン」の推進について(通達)

平成22年12月13日 達(組対、生企、少、生環、地企)第535号

(令和2年7月7日施行)

体系情報
刑事部
沿革情報
平成22年12月13日 達(組対、生企、少、生環、地企)第535号
令和2年7月7日 達(組対)第278号