○地域交通安全活動推進委員の委嘱、活動等に関する規程の制定について(通達)

平成10年6月30日

例規(交企)第16号

1 制定の趣旨

道路交通法(昭和35年法律第105号。以下「法」という。)及び地域交通安全活動推進委員及び地域交通安全活動推進委員協議会に関する規則(平成2年国家公安委員会規則第7号。以下「規則」という。)の一部が改正されたこと並びに道路使用適正化センターに関する規則(昭和61年国家公安委員会規則第8号)が廃止され交通安全活動推進センターに関する規則(平成10年国家公安委員会規則第3号。以下「センター規則」という。)が制定されたことから、旧規程の全面的な見直しを図り、新たに規程を制定したものである。

2 要点

(1) 地域交通安全活動推進委員協議会が組織される区域の地域交通安全活動推進委員(以下「推進委員」という。)の定数の規定(第6条関係)

旧規程では、推進委員の定数を規定していなかったが、新規程では、定数を地域交通安全活動推進委員協議会が組織される区域ごとに規定した。

(2) 推進委員に対して行う講習内容の整備(第8条関係)

法改正により、推進委員の活動に交通安全教育指針に従った「住民に対する交通安全教育」が加えられたため、推進委員がこれら教育を効果的に行うことができるよう推進委員に対する講習事項を定めた。

(3) 推進委員の解嘱、辞職等の規定の整備(第10条第11条関係)

法改正により、公安委員会は、推進委員が職務上の義務に違反したときは解嘱することができることとなったことから、推進委員の解嘱を行う事務手続(通知書による通知、解嘱通知書の交付)を定めた。

また、推進委員の辞職を承認する場合は、辞職承認書を交付することとした。

(4) 福島県交通安全活動推進センターとの連携(第13条関係)

センター規則の制定により、都道府県交通安全活動推進センターが行う事業が規定されたことから、第3章福島県道路使用適正化センターに関する規定を削除し、協議会は、任務の遂行に当たっては、福島県交通安全活動推進センターと連携して推進する旨を規定した。

3 運用上の配意事項

(1) 推進委員の推薦

警察署長は、推進委員を推薦する場合には、活動区域内に居住し、又は勤務するなど、活動区域の交通状況に精通していると認められる者について、法第108条の29第1項各号に定める委嘱の要件を満たしているか否かを慎重に判断して、適任者を推薦すること。

なお、法第108条の29第1項各号に定める委嘱の要件を満たしているか否かの判断は、次により行うこと。

ア 人格識見ともに優れ、行動においても地域住民の信頼があること。また、他のボランティア活動員からの信望も厚く、これらと連携をとりながら効果的な活動を行うことができること。

イ 交通の安全と円滑に資するための活動に熱意と使命感を持つとともに、自主的、自発的な活動を行う時間的な余裕があること。

ウ 経済的、社会的、家庭的に見て、生活基盤が安定していること。

エ 心身ともに健康であること。

なお、70歳以上の者については、活動力等の面から、十分に適格性を判断すること。

(2) 推進委員の活動の態様及び留意事項

推進委員の活動は、法第108条の29第2項第1号及び第2号並びに規則第4条各号に定めるところにより行うこととされているが、次の点に配意してその活動を促進すること。

ア 適正な交通の方法及び交通事故防止について住民の理解を深めるための住民に対する交通安全教育(交通安全教育活動)

管内の交通事故や交通安全教育指針についての理解を深めるための研修会を開催するなどして、地域住民に対する交通安全教育が適切に行われるよう支援すること。

なお、推進委員が行う交通安全教育は、歩行者や運転者が道路を安全に通行するために必要な事項を網羅的に教育する必要はなく、地域の実情に応じて、住民が安全に道路を通行するために知っておく必要のある事項を選択的に取り上げて実施すれば足りる。

イ 高齢者、障害者その他その通行に支障のある者の通行の安全を確保するための方法について住民の理解を深めるための活動(広報啓発活動)

関係機関・団体と連携して、道路を通行している高齢者や障害者及び高齢運転者標識、障害者標識又は聴覚障害者標識を表示する自動車に対する保護や配慮についての啓発活動、高齢運転者等専用駐車区間制度を周知するための広報活動など、高齢者や障害者の通行の安全確保等に関する住民の意識を高めるための活動を推進すること。

ウ 道路における適正な車両の駐車及び道路の使用の方法について住民の理解を深めるための活動(広報啓発活動)

関係機関・団体と連携して、違法駐車追放キャンペーン等の啓発活動、駐車対策等の必要性について理解を広めるための広報活動など、駐車問題等に関する住民の意識を高めるための活動を推進すること。

エ 自転車の適正な通行の方法について住民の理解を深めるための活動(広報啓発活動)

関係機関・団体と連携して、自転車利用者に対する通行ルール周知に向けた啓発活動、ルール遵守の徹底を図るための街頭指導活動など、自転車の適正な通行方法等に関する住民の意識を高めるための活動を推進すること。

オ 地域における交通の安全と円滑に資する事項について広報及び啓発をする活動(広報啓発活動)

関係機関・団体と連携して地域の具体的な交通状況、問題点を取り上げた広報、啓発活動を推進すること。

カ 地域において活動する団体又は個人に対し、地域における交通の安全と円滑に資するための協力を要請する活動(協力要請活動)

各種行事の主催者等に対する自主的な交通安全対策の実施要請、大規模施設建設等に伴う駐車場の確保要請、市町村の交通安全対策の充実促進等に配意して活動を推進すること。

キ 地域における交通の安全と円滑に関する事項について、住民からの相談に応じ、必要な助言その他援助を行う活動(相談活動)

「相談」に関して知り得た他人の秘密については、漏らさないように留意すること。

ク 地域における交通の安全と円滑に資するための活動に協力し、又はその活動を援助する活動(協力援助活動)

各季交通安全運動等への参加を促すとともに、商店会、自治会等の自主的な交通安全活動を積極的に援助すること。

ケ 地域における交通の状況について調査する活動(実地調査活動)

調査活動のための特別の権限は与えられていないことに配意すること。

(3) 推進委員の遵守事項についての指導

推進委員に対して、次の事項を遵守するよう指導を行うこと。

ア 関係者の正当な権利及び自由の侵害の防止

推進委員は、警察官や交通巡視員とは異なり、法律上特別な権限は認められておらず、あくまでも地域住民の理解と協力を得ながらその活動を行うものであることから、当該活動によって他人の正当な権利及び自由を害することのないように留意すること。

イ 政党又は政治的目的のための地位利用の禁止

推進委員は、特別職に属する地方公務員の身分にあることから、地方公務員法で規定される政治的行為の制限の適用はないが、規則第5条第2項で「政党又は政治的目的のためにその地位を利用してはならない」ことと規定されているので、指導を徹底し、推進委員としての活動が選挙運動等に利用されることのないよう十分配意すること。

なお、「地位を利用する」とは、

○ 交通安全教室等において、特定の候補者への投票を依頼する。

○ 交通安全のチラシとともに、特定の政党の機関誌を配布する。

など、推進委員であることの名称や推進委員としての活動に伴う影響力を政治的目的に行使することを意味する。

ウ 推進委員証の携帯及び提示義務

推進委員は、活動を行うに当たっては、所定の身分証明書を携帯し、関係者(活動の対象となる者)から請求があったときは、これを提示しなければならないこと。

エ 推進委員記章の使用義務

推進委員は、活動を行うに当たっては、規則別記様式第2号に定める様式の標章(推進委員記章)を用いなければならないこと。

地域交通安全活動推進委員の委嘱、活動等に関する規程の制定について(通達)

平成10年6月30日 例規(交企)第16号

(平成21年9月1日施行)

体系情報
交通部
沿革情報
平成10年6月30日 例規(交企)第16号
平成21年9月 達(交企)第379号