○運転免許の効力の仮停止等に関する事務取扱要領の制定について(通達)
平成24年4月18日
達(運免)第166号
みだし要領を別紙のとおり制定し、平成24年5月1日から施行することとしたので、適正かつ効果的に運用されたい。
なお、運転免許の効力の仮停止等に関する事務の取扱要領の制定について(平成14年7月25日付け達(運免)第177号。以下「旧通達」という。)は、廃止する。
記
1 制定の趣旨
運転免許の効力の仮停止又は自動車等の運転の仮禁止(以下「仮停止等」という。)に関する事務は、旧通達に基づき実施してきたところであるが、制定後約10年経過し、その間、交通環境を取り巻く情勢が変化していることから、その迅速かつ適正な処理を図るため、旧通達を廃止し、新たに本要領を制定するものである。
2 目的
悪質かつ重大な交通事故を起こし、将来再び交通事故を起こす危険性が極めて高い者であっても、運転免許を取り消し、又はその効力を停止する処分を受けるまでは、自動車等を運転することができるとすれば、道路交通の安全に対する脅威を処分の時まで排除できないこととなる。
仮停止等の制度は、悪質かつ重大な交通事故があった場合に、事故の発生場所を管轄する署長等が、速やかにその交通事故を起こした者の運転免許の効力を停止し、又は自動車等の運転を禁止することにより、公安委員会による処分が行われるまで、道路交通上の危険を取り除こうとするものである。
3 要点
(1) 事案発生の報告等(第7)
仮停止等の対象となる事案が発生した際の報告要領について定めた。
(2) 弁明の機会の付与(第11)
仮停止等を行う際の弁明の機会の付与の手続について定めた。
(3) 意見の聴取の期日及び場所の通知(第14)
運転免許の取消し若しくは効力の停止、又は自動車等の運転の禁止を行う際の意見の聴取の期日及び場所の通知の手続について定めた。
別紙
運転免許の効力の仮停止等に関する事務取扱要領
第1 趣旨
この要領は、道路交通法(昭和35年法律第105号。以下「法」という。)第103条の2第1項の規定による運転免許の効力の仮停止及び法第107条の5第10項において準用する法第103条の2第1項の規定による自動車等の運転の仮禁止(以下「仮停止等」という。)に関する事務を適正かつ迅速に処理するために必要な事項を定めるものとする。
第2 仮停止等権者
仮停止等をすることができる者は、法第103条の2第1項(法第107条の5第10項で準用する場合を含む。)の規定により当該交通事故の発生場所を管轄する署長及び福島県道路交通規則(昭和35年福島県公安委員会規則第14号)第5条の規定により高速道路交通警察隊長(以下「署長等」という。)とする。
第3 仮停止等の期間
仮停止等の期間は、法第103条の2第1項の規定により当該交通事故を起こした日から起算して30日を経過する日を終期とする。
第4 仮停止等の対象となる交通事故
別表のとおりとする。
第5 対象交通事故の捜査
(1) 交通死亡事故現場への臨場
交通死亡事故は、仮停止等の対象となる場合が多いことから、(地域)交通(第二)課長が必ず現場に臨場して捜査の指揮を執ること。
(2) 交通事故管理システムへの登録及び関係書類の作成
署長等は、実況見分の結果等によって当該交通事故が仮停止等の対象となると認めたときは、直ちに、迅速かつ確実な捜査を行うために必要な措置を講じ、交通事故管理システムに登録するとともに、事故発生後(ひき逃げ事故にあっては、被疑者の検挙後)おおむね48時間以内に関係書類が作成されるようにすること。
(3) 免許事実の確認
交通事故を起こした者の中には、免許事実について偽った供述をする者がいることも予想されることから、事故捜査に当たっては、供述のみに頼ることなく、必ず免許事実を確認すること。
第6 事実の認定
1 違反行為に関する事実認定
仮停止等の対象となる事案の多くは、非現認の事故事件であることから、違反行為に関する事実認定に当たっては、実況見分を入念に行うなど、事案の真相を適確に把握しておくこと。
2 因果関係の究明
法第103条の2第1項第2号及び第3号は、一定の「違反行為をし、よって交通事故を起こした」ことを仮停止等の要件としており、違反行為が直接又は間接の原因となって交通事故が起きたこと、つまり、違反行為と交通事故との間に何らかの因果関係が存在することを要件としていることから、事実認定に当たってはこの関係の究明に努めること。
なお、この因果関係の究明を速やかに行うことが困難な事案については、仮停止等を行わないこと。
第7 事案発生の報告等
1 仮停止事案発生の即報
署長等は、仮停止等をしようとするときは、あらかじめ運転免許課長に事案の概要及び仮停止等を必要と認める理由を仮停止事案発生即報(様式第1号)により即報し、その意見を聴くものとする。
2 即報時の留意事項
(1) 即報は、発生した事案が仮停止等に該当する事案であるか否か、及び法第103条の規定による運転免許の取消し若しくは効力の停止又は法第107条の5の規定による自動車等の運転の禁止(以下「本処分」という。)に該当する事案であるか否かを判断するための資料となるものであるから、適確な判断ができる内容のものでなければならず、また、事案の真相が誤りなく伝達できるものでなければならないことに注意すること。
(2) まず、事案の概要を一報し、その後事案の真相が判明するに従い、逐次報告すること。
(3) 即報後、既に即報した内容に変更を来す新事実を発見したときは、速やかに追加又は訂正の報告をすること。
3 他の都道府県公安委員会に対する連絡
即報を受けた運転免許課長は、仮停止等を受けることとなる者(以下「処分対象者」という。)の住所地が他の都道府県にある場合は、その者の住所地を管轄する都道府県公安委員会に仮停止事案発生即報により連絡すること。
4 仮停止等の決定上の留意事項
(1) 負傷、病気等のため、明らかに仮停止等の期間内に自動車等の運転ができないと認められる者に対しては、仮停止等を行わず速やかに本処分の手続を採ること。
(2) 被害の程度又は責任の度合いが軽微なため、明らかに軽い処分に相当すると認められる場合には、仮停止等を行わず速やかに本処分の手続を採ること。
第8 処分対象者に対する仮停止等の通知
1 仮停止等の通知は、仮停止処分通知書又は仮禁止処分通知書(道路交通法施行規則(昭和35年総理府令第60号)別記様式第19号の2。以下「仮停止処分通知書等」という。)により行うこと。
2 仮停止等の通知は、あらかじめ処分対象者の申立てをよく聴取し、事実の認定に誤りがないかどうかを確かめてから行うこと。
第9 処分対象者の運転車両に対する措置
1 運転車両の現場からの移動
関係車両を事故現場から署その他の保管場所に移動する場合は、必ず、処分対象者以外の者に運転させること。
2 運転車両の保管
仮停止等を受けた者(以下「被処分者」という。)が運転していた車両は、引取人が来るまでの間、署又は適宜の場所に一時的に保管しておかなければならないことから、あらかじめ、その保管場所について対策を講ずること。
第10 免許証等の保管及び返還
1 被処分者から提出された運転免許証、国際運転免許証及び外国運転免許証(以下「免許証等」という。)は、法第103条の2第4項の規定により他の都道府県公安委員会に送付するものを除き、運転免許課において保管するものとする。
2 仮停止等の期間内に住所変更した場合の措置
被処分者が仮停止等の期間内に他の都道府県に住所を変更した場合の変更した後の住所地を管轄する都道府県公安委員会に対する法第103条の2第5項(法第107条の5第10項において準用する場合を含む。)の規定による処分移送通知書等の再送付は、仮停止等の期間内に法第94条第1項の規定による住所変更に関する運転免許証の記載事項の変更届出があったとき又は国際運転免許証若しくは外国運転免許証(以下「国際免許証等」という。)を所持する者から住所を変更した旨の通知があったときに限り行うこと。
3 免許証等提出者に対する教示
仮停止等を受けて免許証等を提出する者に対しては、次の事項を教示すること。
(1) 仮停止等の期間内に本処分が行われなかった場合における免許証等の返還場所は、その者の住所地を管轄する警察本部の行政処分担当課であること。
(2) 仮停止等の期間内に他の都道府県に住所を変更した場合には、当該期間内に、速やかに法第94条第1項の規定による運転免許証の記載事項の変更届出(国際免許証等を所持する者にあっては、仮禁止をした署長等に対し住所を変更した旨の通知)をすべきこと。
(3) (2)の届出又は通知を行わなかった場合における免許証等の返還場所は、事故発生時の住所地を管轄する警察本部の行政処分担当課となること。
第11 弁明の機会の付与
1 弁明の機会の付与の通知及び教示
法第103条の2第2項(法第107条の5第10項において準用する場合を含む。)の規定による弁明の機会の付与は、被処分者に対する仮停止処分通知書等によって行うこと。
なお、仮停止等の通知の際には、仮停止処分通知書等に記載された事項を口頭で説明するとともに、併せて次の事項を教示すること。
(1) 弁明は、特別な事情がない限り、署又は分庁舎で行うこと。
(2) 弁明は、指定した日に実施すること。ただし、特にやむを得ない事情がある場合は、弁明の日時を変更することができること。
(3) 弁明は、口頭による弁明に代えて弁明書を提出して行うことができること。
2 弁明の録取
(1) 被処分者又はその代理人から口頭による弁明が行われたときは、署長等の指名する職員が弁明調書を作成すること。
(2) 弁明を録取した職員は、録取後、速やかにその内容を署長等に報告すること。
3 仮停止等の取消し
署長等は、被処分者又はその代理人の弁明の内容を審査した結果、仮停止等をすることが適当でないと認めた場合には、あらかじめ運転免許課長の意見を聴いて仮停止等を取り消すこと。この場合には、被処分者に対し、速やかにその旨を通知するとともに、提出されている免許証等を返還すること。
第12 仮停止通知書等の送付
1 仮停止通知書等の送付要領
仮停止等をした署長等は、次により仮停止通知書又は仮禁止通知書(道路交通法施行規則別記様式第19号の3。以下「仮停止通知書等」という。)及び提出を受けた免許証等並びに当該事案に係る本処分の関係書類を被処分者の住所地を管轄する都道府県公安委員会に送付すること。この場合において、他の都道府県公安委員会に送付する場合にあっては、福島県公安委員会名による送付書を添えて仮停止等をした署長等から直接送付すること。
2 仮停止通知書等の送付方法
(1) 免許証等の紛失防止のため、必ず書留郵便又は逓送により送付すること。特に他の都道府県公安委員会に送付する場合は、必ず速達書留郵便により送付すること。
(2) 送付手続は、仮停止等があった日からおおむね3日以内に行うこととし、送付先が他の都道府県公安委員会の場合には、原則として、当該事案に係る法第104条第1項(法第107条の5第4項で準用する場合を含む。)の規定による意見の聴取(以下「意見の聴取」という。)の期日の5日前までに到着するように送付すること。
第13 警察庁情報処理センターに対する登録手続
1 仮停止等をした署長等から、第7の1による即報を受けた運転免許課長は、当該事案について速やかに警察庁情報処理センターに事故登録を行うこと。
2 運転免許課長は、事故登録に伴う警察庁情報処理センターからの点数通報を受理した場合に、被処分者の住所地が他の都道府県にあるときは、直ちにその者に係る点数通報書を関係書類とともに住所地を管轄する都道府県公安委員会に送付すること。
第14 意見の聴取の期日及び場所の通知
1 通知の要領
仮停止等の期間内に意見の聴取を実施し、本処分を決定する必要があることから、意見の聴取の期日及び場所の通知は、次により迅速に行うこと。
(1) 福島県公安委員会が意見の聴取を行う場合
運転免許課長は、第7の1による即報を受けた事案が意見の聴取の対象となる事案であると認めたときは、直ちに意見の聴取の期日及び場所を決定し、当該即報をした署長等に対し被処分者に対する意見の聴取通知書(様式第2号)の交付を依頼すること。
(2) 他の都道府県公安委員会が意見の聴取を行う場合
運転免許課長は、第7の3による連絡に併せて、当該都道府県警察本部行政処分担当課長と協議し、意見の聴取の期日及び場所の決定を受け、即報をした署長等に対し被処分者に対する意見の聴取通知書の交付を依頼すること。
(3) (1)又は(2)の依頼を受けた署長等は、仮停止等の通知に併せて意見の聴取通知書の正本の交付により意見の聴取の期日及び場所を通知し、処分対象者から受領書(様式第3号)を徴すること。
2 意見の聴取通知書の作成要領
(1) 意見の聴取通知書には、意見の聴取の期日等の所要事項を記載するほか、発信公安委員会の都道府県名(北海道にあっては方面名)を記載すること。
(2) 意見の聴取通知書の正本には、署長等の氏名を記載し、署長印又は高速道路交通警察隊長印を押印すること。
(3) 意見の聴取通知書の副本は、意見の聴取通知書の作成者及び交付取扱担当者を証明する文書として利用するため、受領書と併せて速やかに関係都道府県公安委員会に送付すること。
なお、意見の聴取通知書の副本には、意見の聴取通知書を作成した署長等の氏名を記載するとともに、交付を担当した職員の階級及び氏名を記載し、押印すること。
別表(第4関係)
仮停止対象の交通事故
種別 | 適用法条 | 違反種別 | 罰条 | |
死亡・傷害交通事故 | 死傷者救護義務違反 | |||
無免許運転 | ||||
酒酔い運転 | ||||
酒気帯び運転 | ||||
麻薬等運転 | ||||
過労運転等 | ||||
携帯電話使用等(交通の危険) | ||||
無資格運転 | ||||
妨害運転(著しい交通の危険) | ||||
死亡事故 | 警察官現場指示違反 | |||
警察官通行禁止制限違反 | ||||
信号無視 | ||||
通行禁止違反 | ||||
歩行者用道路徐行違反 | ||||
第17条第1項・第2項・第3項・第4項・第6項 | 通行区分違反 | |||
歩行者側方安全間隔不保持等 | ||||
速度超過 | ||||
急ブレーキ禁止違反 | ||||
法定横断等の禁止違反 | ||||
高速自動車国道等車間距離不保持 | ||||
追い越し違反 | ||||
路面電車後方不停止 | ||||
踏切不停止等 | ||||
遮断踏切立入り | ||||
第36条第2項・第3項 | 優先道路通行車妨害等 | |||
交差点安全進行義務違反 | ||||
第37条の2第1項・第2項 | 環状交差点通行車妨害等 | |||
環状交差点安全進行義務違反 | ||||
横断歩行者等妨害等 | ||||
徐行場所違反 | ||||
指定場所一時不停止等 | ||||
積載物重量制限超過 | ||||
積載物大きさ制限超過 | ||||
積載方法制限超過 | ||||
整備不良 | ||||
第71条第2号・第2号の3 | 幼児等通行妨害 | |||
安全地帯徐行違反 | ||||
本線車道横断等禁止違反 | ||||
免許条件 |
様式第1号(第7関係)
略
様式第2号(第14関係)
略
様式第3号(第14関係)
略