○銃砲刀剣類所持等取締法施行規則等の一部を改正する内閣府令の施行について(依命通達)
平成27年2月16日
達(生企)第45号
みだしのことについては、改正する内閣府令(平成27年内閣府令第6号)が本年1月30日に公布され、同年3月1日から施行されることとなった。
その趣旨及び概要並びに運用上の留意事項は、別紙のとおりであるので、事務処理上誤りのないようにされたい。
別紙
(凡例)
「法」:銃砲刀剣類所持等取締法(昭和33年法律第6号)
「銃刀法施行規則」:銃砲刀剣類所持等取締法施行規則(昭和33年総理府令第16号)
「猟銃用火薬類府令」:猟銃用火薬類等の譲渡、譲受け、輸入及び消費に関する内閣府令(昭和41年総理府令第46号)
「改正府令」:銃砲刀剣類所持等取締法施行規則等の一部を改正する内閣府令(平成27年内閣府令第6号)
「現行施行規則」:銃砲刀剣類所持等取締法施行規則等の一部を改正する内閣府令による改正前の銃刀法施行規則
第1 改正府令の趣旨について
近年の鳥獣による農林水産業等に係る被害の深刻化や狩猟人口の減少等を踏まえ、銃所持者の負担軽減が求められていることから、銃砲による危害予防上支障のない範囲で、各種申請書の様式や添付書類の見直し等を行うもの。
第2 改正府令の概要及び運用上の留意事項について
1 申請書等の提出通数の削減
猟銃等の所持許可申請書を始め、申請書、届出書、申込書を2通求めているものについては、1通のみ求めることとする。
また、銃砲刀剣類製造等届出書、教習用備付け銃等届出書、教習用備付け銃等変更届出書、猟銃等保管業届出書、準空気銃製造等届出書、模造けん銃製造等届出書、模擬銃器製造等届出書、猟銃用火薬類等輸入許可申請書については、提出する通数を3通としているところであるが、2通のみ求めることとする。
なお、提出すべき書類等の部数については、銃刀法施行規則に規定する部数の範囲内で都道府県公安委員会が定めることができる。
2 添付する写真の枚数の削減
銃刀法施行規則においては、申請書等に添付する写真の提出枚数が定められているところ、申請者等の負担軽減の観点から、その枚数について可能な限り削減することとするもの。
具体的には、以下の申請の場合には、改正府令の施行前は2枚写真を提出していたが、施行後は1枚提出すれば足りることとする。
・猟銃等講習受講の申込み(銃刀法施行規則第20条)
・許可証の書換えの申請(都道府県公安委員会を越えた変更に限る)(同第32条第3項)
・年少射撃資格認定証書換えの申請(同第78条)
・年少射撃資格講習受講の申込み(同第80条)
また、技能講習受講申込については、今後写真を求めないこととする。
改正府令により、これまで複数の銃を所持する者について、所持許可の申請ごとに提出させていた銃砲所持許可申請書若しくは刀剣類所持許可申請書又は猟銃等所持許可更新申請書について、複数の申請を一枚の申請書により行うことが可能となったことから、これらの申請については、複数の申請が同一の申請書によりなされた場合であっても写真は2枚のみ提出があれば足りることとする。
なお、年少射撃資格の認定の際、監督を行う射撃指導員が複数いる場合に認定申請ごとに提出させていた年少射撃資格認定申請書について、複数の申請を同一の申請書により行うことを可能とすることとしているが、この場合は受けようとする認定の数に1を加えた枚数の写真が必要となる点に留意すること。
3 申請書の添付書類の省略
現に猟銃等の所持許可を受けている者が、当該許可に係る申請書を提出した都道府県公安委員会に対し新たに許可申請を行い又は許可の更新申請を行う場合については、申請書の添付書類の一部を省略できることとする。ただし、所持許可の有効期間が3年とされている法の趣旨からは、少なくとも3年に1回は許可所持者の最新の状況を確認する必要があることから、新たな許可証が交付される許可又は更新の場合については、添付書類を提出させることとする。
省略できる添付書類の内容としては、許可申請又は更新申請の都度求められる書類であって、短期間でその内容が変更することが想定されない書類、具体的には、同居親族書、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者に該当しない旨の市町村の長の証明書、住民票の写し及び経歴書とする。
また、技能検定の合格証明書又は射撃教習の教習修了証明書の交付を得てから1年を経過していない者が、技能検定又は射撃教習資格認定申請を行った都道府県公安委員会に対し射撃練習資格の認定や所持許可の申請を行う場合にあっても、添付書類を省略できることとする。
なお、添付書類を省略できる場合であっても、本人の言動や周辺からの情報等から不審事由がある場合には、法第12条の3の規定により必要な報告を求め、不適格者の排除に努められたい。
4 同居親族書の提出を求める場合の拡大
現行施行規則において、同居親族書は、銃砲の所持許可又は更新を受けようとする者に求められているところ、厳格な審査の必要性、申請者の負担軽減の観点から、改正府令の施行後は、技能検定申請時、教習資格認定申請時、練習資格認定申請時にも提出を求めることとする。
なお、上記3で述べたとおり、技能検定の合格証明書又は射撃教習の教習修了証明書の交付を受けてから1年を経過していない者が同一の都道府県公安委員会に対し、所持許可申請又は練習資格認定申請を行う場合は同居親族書の添付を省略できることとなる。
5 申込書等の本籍地欄の削除
(1) 猟銃等講習受講申込書等
猟銃等講習受講申込書、技能講習受講申込書、年少射撃資格講習受講申込書やこれらの講習に関する通知書については、講習等を受講しにきた者が、申請者と同一人物であることを確認するためのものであるところ、講習等の実施会場において、申込書に記載された氏名、住所、生年月日、性別の4情報及びこれに貼付された写真を基に本人確認を行うことが可能であるため、本籍地欄を削除する。
(2) 証明書等
講習修了証明書、技能検定合格証明書、教習修了証明書、技能講習修了証明書、年少射撃資格講習修了証明書については、その後の所持許可申請等において、一定の資格を有することを示す添付書類として使用されるのみであり、証明書単独で使用されることは考えにくく、銃砲の所持許可を受ける途上で必要となる書類に過ぎず、本籍の記載がなかったとしても特段の支障は生じないと考えられるため、本籍地欄を削除する。
(3) 射撃指導員指定申請書及び教習(練習)射撃指導員選任届出書
射撃指導員の指定の申請については、既に所持許可を受けている者について、許可証の番号等を記載させた上で行われるものであり、アの場合と同様、別途本籍を記載させる必要はないため、本籍地欄を削除する。
6 猟銃等の所持許可等に係る申請書に添付する医師の診断書の作成主体の追加等
(1) 診断書の作成主体の追加
精神保健指定医等の専門医ではない医師であっても、申請者のかかりつけ医として継続的に診療をしているなど、過去に申請者の心身の状況について診断したことがある医師については、その診断経験を踏まえ、一定の精神疾患やアルコール中毒に関する欠格事由の該当性について精神保健指定医等の専門医と同等程度の診断能力が期待できることから、申請書に添付する医師の診断書の作成日より前に1回以上、申請者の精神的又は身体的な状況について診断したことがある医師に限り、猟銃等の所持許可等に係る申請書に添付する医師の診断書の作成主体に追加する。
また、医師が申請者に対する診断を行う一時点ではたまたま症状が発現していない場合等も想定されることから、都道府県公安委員会が必要と認める場合には、別途、その指定する医師の診断書の提出を求めることとしたものである。
なお、このような医師に該当するか否かの判断に当たっては、申請者に過去の受診歴について聴取するとともに、過去の受診歴を証明する物(例えば、初診日の記載された診察券、過去の領収書等)の提示を求めて確認を行うこととし、これらにより確認を行うことが困難な場合には、診断書を作成した医師に照会をするなどして確認を行うこと。
(2) その他
診断書については、申請書に添付しようとする都度、医師の診断を受けて作成されるのが原則であるが、例えば、教習資格認定の申請に際しての診断書の提出と、所持許可の申請に際しての診断書の提出とが近接して行われる場合に、個別の診断書の提出を求める実益に乏しいことから、申請日において作成日から起算して3か月以内の診断書については、繰り返し申請書に添付できることとする。
そこで、申請者が医師の診断書の返却を希望する場合、提出を受けた診断書を確認し、当該診断書が作成から3か月以内のものである場合はその写しを作成の上、申請者に原本を返却すること。
申請書に添付された診断書の内容の点検のほか、申請者に対する面接調査、周辺調査、各種照会等の調査を実施した結果、一定の精神疾患等が疑われる場合には、別途、法第12条の3の受診命令制度において都道府県公安委員会が一定の精神疾患等に応じて指定している医師の診断書の提出を求めること。
なお、この診断書の提出の求めは受診命令ではないが、提出に応じない場合には、一定の精神疾患等の欠格事由に該当しない点について判断ができず、許可等を行うことができないことに留意すること。
7 75歳以上の者に係る更新制度の見直しについて
銃刀法施行規則第16条第2項において、道路交通法(昭和35年法律第105号。以下「道交法」という。)上の認知機能に関する検査を猟銃等の許可の有効期間の満了する日の2月前から同1月前までに受けた者については、法第7条の3第3項において準用する法第4条の3第1項で定める認知機能検査(以下「認知機能検査」という。)を受けたものとみなすこととしていたところ、猟銃等の許可の有効期間が満了する日の5月前から1月前までの間に道交法上の検査を受ければ認知機能検査を受けたものとみなすこととする。
これは、道交法第101条の4第2項の規定により、道交法上の検査は、免許証の更新期間が満了する日前6月以内に行うこととされていることを踏まえ、当該道交法上の検査が有効とされる期間については、認知機能検査としても有効なものとするものである。
なお、単に認知機能検査の結果等から欠格事由該当性を判断することなく、必要に応じて受診命令をかけるなど、適切な審査が行われるよう配意されたい。
8 講習修了証明書等の有効期間について
猟銃等講習会における講習修了証明書及び技能講習修了証明書は、その交付を受けた日から猟銃又は空気銃の所持の許可又は許可の更新までに3年を経過していないもの、技能検定合格証明書及び教習修了証明書については、その交付を受けた日から猟銃の所持の許可がなされるまでに1年を経過していないものが有効であるとされている。改正府令の施行後もこの取扱いに違いはないが、許可又は更新時において証明書が有効期間内である必要があることが明らかとなるよう、その注意事項を改めることとする。
したがって、所持の許可又は更新の申請を受理したときは、講習修了証明書等の有効期間内に許可するようにすること。
なお、申請者の責めに帰さない理由により許可又は許可の更新前に講習修了証明書等の有効期間が経過した場合には、当該講習修了証明書等は有効なものとして取り扱うこと。
9 銃刀法施行規則第32条の削除
現行施行規則第32条においては、許可証の亡失、盗難、滅失又は記載事項の変更があった場合の届出書の提出に係る規定が設けられているが、これを削除し、再交付申請書の様式を改正して再交付申請をもって届出を行ったこととし、亡失等の事実のみを届け出るための届出書の提出は不要とする。
なお、再交付申請書において亡失等の状況について詳細に記載させ、申請者が真に許可証を亡失等しているか調査を行うなど厳格な審査を行うよう留意すること。
10 記録票に係る電磁的記録による作成・保管
法第28条においては、法令に基づき職務のため所持する銃砲や国又は地方公共団体の職員が試験研究等のために所持する銃砲について、記録票の作成保存義務と国家公安委員会への通知義務を定めた上、その手続を銃刀法施行規則で定めているところ、記録及び通知の方法として、電磁的記録媒体によることを可能とする。
11 火薬類の消費計画書の様式の規定
猟銃用火薬類等譲受許可申請書、猟銃用火薬類等輸入許可申請書、猟銃用火薬類消費許可申請書の別紙として、火薬類の消費計画書の様式を定めることとする。
第3 施行及び経過措置について
1 施行期日について
改正府令は平成27年3月1日から施行され(改正府令附則1)、同日以降の申請等の手続について適用される。同日以降に各種申請を行う者について、銃刀法施行規則第11条第3項の要件に該当すれば、同居親族書、住民票及び経歴書の添付を省略することができる。
2 経過措置について
施行規則及び猟銃用火薬類府令が規定する様式による書面については、今回の改正に関わらず、当分の間、従前のものも使用することができるとされたので留意されたい(改正府令附則2)。
第4 参考資料
1 別添1「官報(号外第21号)」
2 別添2「銃刀法施行規則等の一部を改正する内閣府令案新旧対照条文」
別添1
別添2