○身元が明らかであるが引取人のいない死体を市町村長に引き渡す際に交付する書類について(依命通達)

平成27年2月18日

達(捜一)第49号

身元が明らかになっているが、引取人となる遺族等が存在せず若しくは所在が明らかでないため又は遺族等が引取りを拒否したため引取人のいない死体(以下「本件死体」という。)については、警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律(平成24年法律第34号)第10条第1項ただし書又は死体取扱規則(平成25年国家公安委員会規則第4号)第5条第1項ただし書により、死亡地の市町村長に引き渡すこととなる。しかしながら、その際に警察から市町村長に交付する書類について法令上の明確な規定が設けられていないことから、一部の市町村との間において、実務に混乱が生じているところである。

この度、市町村長への死体引渡しの事務の斉一化及び円滑化を図るため、下記の措置を講じることとしたので、各警察署においては、各市町村長と調整の上、順次運用を開始することとされたい。

なお、本通達の内容については警察庁において、戸籍法を所管する法務省民事局民事第一課及び墓地、埋葬等に関する法律を所管する厚生労働省健康局生活衛生課と協議済みである。

1 経緯

戸籍法(昭和22年法律第224号)(以下「法」という。)第92条第1項及び死体取扱規則第7条第1項に基づき、警察官は、本籍が明らかでない死体を取り扱った場合には、死亡報告書に本籍等不明死体調査書を添付して市町村長に報告することとされている。

また、その後の捜査等により、死亡者の本籍が明らかになった場合は、法第92条第2項及び死体取扱規則第7条第2項に基づき、死亡者の本籍等判明報告書により、市町村長に報告を行うこととされている。

他方、身元が明らかになった死亡者について警察が市町村長に通知した場合においては、死亡報告書、本籍等不明死体調査書及び死亡者の本籍等判明報告書の全ての交付を求める市町村がある一方で、死体調査等記録書の写しを求める例、特段の書面の交付を必要としない例、別途の書式による通知を求める例等が混在している。

2 今後の対応

本件死体の市町村長への引渡しに際しては死亡報告書の交付等を行うのではなく、別添1の通知書に「死体及び所持品引取書」の写しを添付して、市町村長への死亡通知を行うこととする。

ただし、本件死体につき、既に市町村長との取決めにより、別添1の通知書に類する別の様式の書面を交付する運用が行われており、かつ、当該運用について特段の支障が生じていない場合には、今後も当該運用を継続して差し支えない。

3 留意事項

(1) 上記2に基づく死亡通知がなされた場合は、市町村において死亡報告に基づく戸籍記載をして差し支えない旨の解釈が、法務省民事局民事第一課より各法務局に対して示されている。(別添2「警察官からの死亡通知の取扱いについて(通知)」参照)

(2) 上記2に基づく死亡通知を受けた市町村長は、墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年法律第48号)第5条第2項の死亡の報告を受けた市町村長と同様に埋葬又は火葬の許可を行って差し支えない旨の解釈が、厚生労働省健康局生活衛生課より示されている。(別添3「警察官からの死亡通知の取扱いについて(通知)」参照)

(3) 警察が死体を取り扱った当初は身元が判明しておらず、その後の捜査等により身元が判明することが少なくないところ、本通達は、市町村長に死体を引き渡そうとする時点で、身元が明らかになっている場合に適用する。

別添1

 略

別添2

法務省民一第1462号

平成26年12月24日

法務局民事行政部長 殿

地方法務局長 殿

法務省民事局民事第一課長

(公印省略)

警察官からの死亡通知の取扱いについて(通知)

標記については,死亡者の本籍が明らかでない場合又は死亡者を認識することができない場合には,警察官は死亡地の市区町村長に死亡の報告(以下「不分明報告」という。)をしなければならないとされており(戸籍法(昭和22年法律第224号)第92条第1項),死亡者の本籍が明らかになり,又は死亡者を認識することができるに至ったときは,警察官はその旨を市区町村長に報告(以下「分明報告」という。)しなければならないとされているところ(同条第2項),死体取扱規則(平成25年4月1日改正前のもの。昭和33年国家公安委員会規則第4号)施行時の一部市区町村の取扱いにおいては,本籍・氏名等が明らかな死亡者について,不分明報告に添付された死体見分調書(同規則別記様式第1号)によって死亡者の本籍・氏名等が明らかにされている場合は,不分明報告と分明報告を併合しているものとして処理されていたところです。

平成25年4月1日に死体取扱規則が改正され,不分明報告に本籍等不明死体調査書(改正後死体取扱規則(平成25年国家公安委員会規則第4号)別記様式第4号)を添付することとされたところ,同調査書には上記死体見分調書と異なり,戸籍事務処理上必要な死亡者に係る本籍事項が記載されていないため,上記のような取扱い(分明報告を併合しているものとして処理をすること)はできませんが,警察官から今般新たに定められる別添様式により,死体及び所持品引取書(同規則別記様式第2号)の写しを添付した死亡通知が提出された場合には,上記の取扱いと同様に死亡報告に基づく戸籍記載(参考記載例(平成2年3月1日付け法務省民二第600号民事局長通達別紙)168)をして差し支えありませんので,これを了知の上,貴管下支局長及び市区町村長に周知方取り計らい願います。

なお,本件通知については,警察庁刑事局捜査第一課及び厚生労働省健康局生活衛生課と協議済みであることを申し添えます。

別添様式

 略

別添3

健衛発1224第1号

平成26年12月24日

各都道府県衛生主管部(局)長 殿

厚生労働省健康局生活衛生課長

(公印省略)

警察官からの死亡通知の取扱いについて(通知)

今般、標記について、別添のとおり、各法務局及び地方法務局に対し、法務省より通知されているところであるので、御了知の上、貴管内市区町村に周知方取り計らい願います。

なお、別添の死体及び所持品引取書の写しを添付した死亡通知を受けた市町村長は、墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年法律第48号)第5条第2項の死亡の報告を受けた市町村長と同様に埋葬又は火葬の許可を行って差し支えありませんので、念のために申し添えます。

別添

法務省民一第1462号

平成26年12月24日

法務局民事行政部長 殿

地方法務局長 殿

法務省民事局民事第一課長

(公印省略)

警察官からの死亡通知の取扱いについて(通知)

標記については,死亡者の本籍が明らかでない場合又は死亡者を認識することができない場合には,警察官は死亡地の市区町村長に死亡の報告(以下「不分明報告」という。)をしなければならないとされており(戸籍法(昭和22年法律第224号)第92条第1項),死亡者の本籍が明らかになり,又は死亡者を認識することができるに至ったときは,警察官はその旨を市区町村長に報告(以下「分明報告」という。)しなければならないとされているところ(同条第2項),死体取扱規則(平成25年4月1日改正前のもの。昭和33年国家公安委員会規則第4号)施行時の一部市区町村の取扱いにおいては,本籍・氏名等が明らかな死亡者について,不分明報告に添付された死体見分調書(同規則別記様式第1号)によって死亡者の本籍・氏名等が明らかにされている場合は,不分明報告と分明報告を併合しているものとして処理されていたところです。

平成25年4月1日に死体取扱規則が改正され,不分明報告に本籍等不明死体調査書(改正後死体取扱規則(平成25年国家公安委員会規則第4号)別記様式第4号)を添付することとされたところ,同調査書には上記死体見分調書と異なり,戸籍事務処理上必要な死亡者に係る本籍事項が記載されていないため,上記のような取扱い(分明報告を併合しているものとして処理をすること)はできませんが,警察官から今般新たに定められる別添様式により,死体及び所持品引取書(同規則別記様式第2号)の写しを添付した死亡通知が提出された場合には,上記の取扱いと同様に死亡報告に基づく戸籍記載(参考記載例(平成2年3月1日付け法務省民二第600号民事局長通達別紙)168)をして差し支えありませんので,これを了知の上,貴管下支局長及び市区町村長に周知方取り計らい願います。

なお,本件通知については,警察庁刑事局捜査第一課及び厚生労働省健康局生活衛生課と協議済みであることを申し添えます。

別添様式

 略

身元が明らかであるが引取人のいない死体を市町村長に引き渡す際に交付する書類について(依命…

平成27年2月18日 達(捜一)第49号

(平成27年2月18日施行)

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