○少年院法及び少年鑑別所法の施行に伴う警察における対応について(通達)

平成27年5月29日

達(少)第231号

みだしのことについては、次のとおりであることから適切に対応されたい。

1 法の改正趣旨及び目的旧来の少年院法(昭和23年法律第169号)が全面改正され、少年院法(平成26年法律第58号。以下「院法」という。)及び少年鑑別所法(平成26年法律第59号。以下「鑑法」という。)が平成26年6月11日に公布され、平成27年6月1日から施行されることとされている。

これらの法は、少年院及び少年鑑別所(以下「少年施設」という。)の適正な管理運営を図るとともに、少年施設に収容される在院者又は在所者の人権を尊重しつつ、その特性や状況に応じた適切な矯正教育又は観護処遇等を行うため、少年施設の管理運営に関する事項を定めるものである。また、それらの目的は、少年院における矯正教育の基本となる事項、少年鑑別所における鑑別の実施方法、在院者又は在所者の権利義務の範囲、その生活及び行動を制限する場合の要件及び手続等を定めるほか、在院者又は在所者による不服申立ての制度を整備するものである。

2 改正の要点及び留意事項

(1) 少年院の種類の見直し(院法第4条関係)

少年院に収容される在院者の特性に応じた適切な矯正教育を実現するため、従来の少年院の種類が、少年院の種類と収容者の類型(別表)のとおり第1種から第4種までの4種類に見直されるとともに、処遇については、教育内容に着目した矯正教育課程へと見直された。

少年審判規則(昭和23年最高裁判所規則第33号)第8条第3項に定める司法警察員又は警察官が少年事件を家庭裁判所に送致する際に添付する処遇に関する意見(以下「処遇意見」という)については、これまで送致する少年院の種類(初等少年院、中等少年院、特別少年院又は医療少年院)及び処遇課程(長期処遇、一般短期処遇又は特修短期処遇)について記載していたところであるが、新たな制度においては、送致する少年院の種類(第1種、第2種又は第3種。第4種は除く。)についてのみ記載することとし、処遇課程は記載しないこととした。

なお、検察官に少年事件を送致する際の送致書に付す情状等に関する意見についても、同様とする。

(2) 関係機関等への協力の求め(院法第18条,鑑法第14条関係)

少年施設の長が、在院者又は在所者の適切な処遇等のために必要がある場合に、警察を含む関係機関等に協力を求めることができることが規定され、本規定の具体的な例としては、少年施設職員に対する警察官の講演依頼等が挙げられる。

なお、警察に対し少年施設の長からの協力の求めに応じる義務を課すものではないことに留意すること。

(3) 公務所等への照会(院法第19条,鑑法第15条関係)

少年施設の長が、在院者又は在所者の適切な処遇等のために必要がある場合に、警察を含む公務所等に必要な事項の報告を求めることができる規定が新設された。

本規定の具体的な例としては、警察の留置施設内における自殺、自傷行為の有無等、保安面に関する照会等が挙げられる。

(4) 収容のための連戻し(院法第89条及び第90条,鑑法第78条及び第79条関係)

少年施設から在院者又は在所者が逃走した場合に、少年施設の長が警察官に連戻しの援助を求めることができる従来の規定に加え、少年施設の長が災害時に少年施設から少年を解放できることとし、その後避難を必要とする状況がなくなった後に少年が出頭しなかった場合に、少年施設の長が警察官に連戻しの援助を求めることができる規定が新設された。

別表

少年院の種類と収容者の類型

少年院の種類

収容者の類型

第1種

保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がないおおむね12歳以上23歳未満のもの(第2種に該当する者を除く。)

第2種

保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がない犯罪的傾向が進んだおおむね16歳以上23歳未満のもの

第3種

保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害があるおおむね12歳以上26歳未満のもの

第4種

少年院において刑の執行を受ける者

少年院法及び少年鑑別所法の施行に伴う警察における対応について(通達)

平成27年5月29日 達(少)第231号

(平成27年5月29日施行)

体系情報
生活安全部
沿革情報
平成27年5月29日 達(少)第231号