○古物営業法施行規則の一部を改正する規則の施行について(依命通達)

平成28年6月3日

達(生企)第222号

先般、古物営業法施行規則の一部を改正する規則(平成28年国家公安委員会規則第11号。別添参照。以下「改正規則」という。)が制定され、施行されたところであるが、その改正の趣旨、概要及び運用上の留意事項は下記のとおりであるので、事務処理上遺憾のないようにされたい。

なお、この通達において、「法」とは古物営業法(昭和24年法律第108号)を、「規則」とは改正規則による改正後の古物営業法施行規則(平成7年国家公安委員会規則第10号)をいう。

第1 改正の趣旨

法第15条第1項においては、古物商が、古物を買い受け、若しくは交換し、又は売却若しくは交換の委託を受けようとするときは、相手方の真偽を確認するため、同項各号に掲げる措置のいずれかをとらなければならない旨規定されており、同項第4号においては、「(同項第1号から第3号までに掲げる措置)に準ずる措置として国家公安委員会規則で定めるもの」が掲げられている。

今回の改正は、経済団体からの規制改革要望を踏まえ、「法第15条第1項第4号の国家公安委員会で定める措置」(規則第15条第3項)として、新たな方法を追加するものである。

第2 改正の概要

古物商が古物の買受け等を行う場合における相手方の真偽の確認方法として、次の方法を追加することとされた。

1 電子タブレット等に相手方の氏名を筆記させる方法(規則第15条第3項第7号関係)

(1) 内容

本方法は、相手方から、その住所、氏名、職業及び年齢について申出を受けるとともに、当該相手方に、古物商やその代理人等の面前において、器具を使用して当該相手方の氏名の筆記(当該氏名が電磁的方法により当該古物商の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。)の映像面に明瞭に表示されるようにして行うものに限る。)をさせるものである。

(2) 改正の趣旨

本方法については、法第15条第1項第2号に掲げる措置に準ずるものとして追加されたものであるところ、古物商等の面前で自らの氏名を筆記することは、窃盗犯人等にとって相当な抵抗があるものであり、これにより氏名の筆記を躊躇する者や記載の仕方に不審点がある者を見分けることができる点で、窃盗その他の犯罪の防止等に効果のある方法であることを踏まえたものである。

(3) 留意事項

「器具を使用して」と規定されていることから、例えば、指を用いて相手方の氏名を記載させる方法は認められないことはもとより、「筆記をさせる」と規定されていることから、いわゆる「スタイラスペン」や「タッチペン」等のペン型の器具を使用して「筆記」に当たる行為をさせることが必要であり、例えば電子マウスを操作してその軌跡を相手方の氏名として表示させる方法や、「キーボード」のキーを操作して氏名を打ち込ませる方法については、認められない。

2 公的個人認証法に基づく署名用電子証明書等を活用する方法(規則第15条第3項第8号関係)

(1) 内容

本方法は、相手方から、電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律(平成14年法律第153号。以下「公的個人認証法」という。)第3条第6項の規定に基づき地方公共団体情報システム機構が発行した署名用電子証明書並びに公的個人認証法第2条第1項に規定する電子署名が行われた当該相手方の住所、氏名、職業及び年齢の電磁的方法による記録の提供を受けるものである。

(2) 改正の趣旨

本方法は、法第15条第1項第3号に掲げる措置に準ずるものとして追加されたものであるが、公的個人認証法に基づく署名用電子証明書については、その発行を申請しようとする者に対して市町村長(当該申請者が記録されている住民基本台帳を備える市町村の長)が厳格な本人確認を行うものであるとともに、同法に基づく電子署名については高い安全性を有した暗号技術を用いるものであるなど、窃盗その他の犯罪の防止等に効果のある方法であることを踏まえたものである。

(3) 留意事項

古物商が本方法を採る場合には、公的個人認証法第17条第1項の規定に基づき、同項第6号の総務大臣の認定(顧客から通知された電子署名が行われた情報について当該顧客が当該電子署名を行ったことの確認を一定の基準に適合して行うことができるものである旨の認定)を受けた上で、あらかじめ地方公共団体情報システム機構に対して所要の届出を行うこととされている。

しかしながら、古物商が、当該確認の業務の全部を当該認定を受けた一の者に委託する場合であって、電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律施行規則(平成15年総務省令第120号)第28条第1号に掲げる基準に適合する場合には、同規則第29条の特例規定により、当該古物商は「当該認定を受けたものとみな」されるため、必ずしも古物商自身が当該認定を受けなくともよいことに留意する必要がある(公的個人認証法第17条第1項の規定に基づく地方公共団体情報システム機構に対する届出は必要)

3 公的個人認証法第17条第1項第5号に掲げる総務大臣の認定を受けた者が発行する電子署名法に基づく特定認証業務の用に供する電子証明書等を活用する方法(規則第15条第3項第9号関係)

(1) 内容

本方法は、相手方から、公的個人認証法第17条第1項第5号に掲げる総務大臣の認定を受けた者であって、同条第4項に規定する署名検証者である者が発行し、かつ、当該認定を受けた者が行う特定認証業務(電子署名及び認証業務に関する法律(平成12年法律第102号。以下「電子署名法」という。)第2条第3項に規定する特定認証業務をいう。)の用に供する電子証明書(当該相手方に係る利用者(電子署名法第2条第2項に規定する利用者をいう。)の真偽の確認が、電子署名及び認証業務に関する法律施行規則(平成13年総務省/法務省/経済産業省令第2号。以下「電子署名法施行規則」という。)第5条第1項各号に規定する方法により行われて発行されるものに限る。)並びに電子署名法第2条第1項に規定する電子署名が行われた当該相手方の住所、氏名、職業及び年齢の電磁的方法による記録の提供を受けるものである。

(2) 改正の趣旨

本方法については、法第15条第1項第3号に掲げる措置に準ずるものとして追加されたものであり、

○ 公的個人認証法第17条第1項第5号に掲げる総務大臣の認定を受けた者については、電子署名法第4条第1項等の規定により主務大臣の認定を受けた者(以下「認定認証事業者」という。)と同等の設備基準等を満たしていることが、当該総務大臣の認定の際に確認されていること

○ 本方法に用いられる電子証明書については、その発行を申請しようとする者に対して、認定認証事業者に求められるものと同等の厳格な本人確認を行った上で発行することとされていること

から、窃盗その他の犯罪の防止等に効果のある方法であることを踏まえたものである。

(3) 留意事項

公的個人認証法第17条第1項第5号の規定は、電子署名法に基づく特定認証業務を行う者(電子署名法第4条第1項等の主務大臣の認定を受けていない者)が、当該特定認証業務の用に供する電子証明書を発行するに際して相手方の真偽の確認を行うために公的個人認証法に基づく署名用電子証明書等を用いることが可能となるよう、設けられたものである。

当該電子署名法に基づく特定認証業務を行う者が、上記「公的個人認証法第17条第1項第5号に掲げる総務大臣の認定を受けた者」に当たるかどうかについては、総務省に対して照会を行うなどして確認することとなるため、照会の必要がある場合には、その照会方法等について生活安全企画課に確認すること。

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古物営業法施行規則の一部を改正する規則の施行について(依命通達)

平成28年6月3日 達(生企)第222号

(平成28年6月3日施行)

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