○性暴力等被害救援協力機関(SACRAさくらふくしま)に関する協定の締結及び運用について(通達)

平成29年9月19日

達(県サ、生企、少、捜一)第278号

みだしのことについては、平成25年4月より、県警察、県産婦人科医会及び公益社団法人ふくしま被害者支援センターの三機関で運用していたところであるが、平成29年9月8日から新たに福島県及び福島県教育委員会を含めた五機関で協定を締結し運用を開始したので、協定の締結の趣旨を踏まえ、適正な運用に努められたい。

なお、性暴力等被害救援協力機関(SACRAさくらふくしま)に関する協定の締結と運用について(平成25年3月21日付け達(県サ、少、捜一)第106号)は、廃止する。

1 趣旨

平成25年3月18日に県警察、福島県産婦人科医会(以下「医会」という。)及び公益社団法人ふくしま被害者支援センター(以下「支援センター」という。)において、性暴力等被害救援協力機関((性暴力等:SexualAssault、被害救援:CrisisResponse、協力機関:Association。SACRAさくらふくしま)以下「SACRAふくしま」という。)を設立し、運用してきたところであるが、昨今の性暴力等被害者への支援の必要性・重要性が増大したことを踏まえ、福島県に対して「SACRAふくしま」への参画協議を続けて来たところ、平成29年9月8日、県警察、医会(協力病院等を含む)、支援センター、福島県及び福島県教育委員会の五機関において協定を締結し、性暴力等被害者が安心して相談できる環境を整備するとともに、被害者支援に必要な情報提供を行うなどにより、適切な被害者支援を推進することとしたものである。

2 用語の定義

本協定における用語の定義は、次のとおりとする。

(1) 連携・協力機関

「SACRAふくしま」に関する協定を締結した者をいう。

(2) 性暴力等被害者

不同意性交等、不同意わいせつなど刑法(明治40年法律第45号)に規定する性的犯罪のほか、配偶者暴力、児童虐待等において性的暴力による被害を受けた者をいう。

なお、被害届の有無や刑事事件として立件されているか(事件として扱われたか)否かを問わない。

(3) 被害者支援

性暴力等被害者の視点や心情を踏まえ、性暴力等被害者の尊厳を守り、心身の被害の軽減を図るために行う活動をいう。

(4) 協力病院等

医会に所属する医療機関で、被害者支援への協力に賛意を示したものをいう。

なお、医会に所属する全ての病院及び診療所をいうものではない。

3 協定の内容

(1) 目的(第1条関係)

本協定の内容を要約するとともに、その目的について規定したものである。

当該五機関において、性暴力等被害者の尊厳を守り、その心情に配慮した対応をするとともに、心身の被害の軽減を図るための必要な支援活動を行うことで、当該被害からの早期回復を図ることを目的としたものである。

(2) 連携・協力内容(第2条関係)

連携・協力機関が行う連携・協力の内容を明確化した。

ア 連携・協力機関は、性暴力等被害者に対する二次的被害を防止しつつ、性暴力等被害者の視点に立った円滑かつ効果的な被害者支援を行うため、協力病院等での受診や警察へ被害申告する意思表示をしている性暴力等被害者の同意の下、性暴力等被害者の人定、被害概要、負傷程度等に関する情報及びこれまでに行った被害者支援、又は事後考えられる被害者支援に関する情報や意見、性暴力等被害者からの要望等を相互に提供することとした。

イ 連携・協力機関は、それぞれの被害者支援活動についての情報を相互に提供し、それらについて性暴力等被害者に情報提供を行うこととした。

情報提供の内容は、支援センターで行う支援内容、協力病院等に関する名称、所在等及び警察等で行う公費負担制度並びにカウンセリング制度等の被害者支援施策に関するものとした。

ウ 連携・協力機関は、より緊密で高度な連携・協力関係を築き、本協定の締結目的を達成するために、被害者支援に必要な研修及び調査を定期的に行うこととした。

エ 連携・協力機関は、適切な被害者支援の推進と性暴力等被害を生まない社会を実現することを目的に、行事等の共同開催、ホームページ等の広報媒体の活用等により、性暴力等被害者の実態、被害者支援の必要性及び重要性とともに、それぞれの被害者支援活動内容について広く県民に周知し、理解を得るための広報啓発を行うこととした。

また、性的犯罪及び性的暴力は被害が潜在化しやすいことから、若年層において、性的犯罪・性的暴力の加害者にも被害者にもならないようにするための被害防止のための教育を行うこととした。

オ 上記の事項以外に効果的な施策がある場合は、躊躇ちゅうちょなく連携・協力して取り組むこととした。

(3) 業務内容(第3条関係)

ア 支援センター

支援センターは、性暴力等被害者専用相談電話(SACRAホットライン、024―533―3940さくら支援)による相談業務を行うとともに、性暴力等被害者の要望により、協力病院等での診察、警察署での相談、被害申告等への付添支援を行う。

また、県警察や協力病院等への事前連絡など関係機関との連絡・調整等、性暴力等被害者を支援するための活動全般を行うこととした。

イ 医会、協力病院等

医会は、協力病院等の継続的確保、支援センター及び県警察との連絡調整、研修会開催の企画等を行うこととした。

協力病院等は、受診に訪れた性暴力等被害者に対する丁寧な診療、性暴力等被害者の要望に基づく支援センターへの支援要請、警察への事情聴取及び証拠採取のための臨場要請を行うとともに、性暴力等被害者の状態を勘案し、支援センター及び県警察における被害者支援施策の教示及び被害申告の促しを行うこととした。

ウ 県警察

県警察で行っている公費負担制度、カウンセリング制度等の被害者支援施策、証拠採取等が適切かつ円滑に行われるよう支援センター及び医会に対し、必要な情報提供を行うとともに、支援センター、協力病院等からの事前連絡への対応、被害申告及び相談の付添支援を行う支援センター支援活動員との連携、協力病院等からの臨場要請への対応を行うこととした。

エ 福島県

性暴力等被害者への支援に関して、性暴力等被害者の要望に応じた支援が適切に行われるよう関係部局・関係機関及び市町村との連携を促進し、相談窓口職員等の被害者支援実務能力の向上を目的とした研修等を実施するとともに、性暴力等被害に関する情報を発信することにより、社会の理解を増進するための広報啓発を行うこととした。

オ 福島県教育委員会

性暴力等の被害を受けた児童・生徒等の要請に応じて、支援センターへ情報提供を行うとともに、教職員及び児童・生徒に対し、性暴力等被害に関する理解を促進するための広報啓発及び児童・生徒に対する被害防止のための教育を行うこととした。

(4) 個人情報の保護(第4条関係)

本協定の運用に際して知り得た個人情報の取扱いを定め、個人情報の保護を図ることとした。

本協定の運用に際して知り得た性暴力等被害者の個人情報については、原則として他の関係機関・団体に提供してはならないが、性暴力等被害者の同意又は依頼があった場合は例外とした。具体的には、性暴力等被害者が法的支援を要望する場合には弁護士や法テラスに、一時保護を要望する場合には福島県女性のための相談支援センターや福島県保健福祉事務所に対し、あらかじめ性暴力等被害者の人定、被害状況、要望等について連絡することである。

また、個人情報の管理については、各機関が定める個人情報保護に関する規程に従い適正に管理することとした。

4 運用上の留意事項

(1) 性暴力等被害者への配慮

女性支援要員等の運用に配意し、協力病院等や現場に臨場する際は、被害者支援専用車両の活用や私服での臨場など、性暴力等被害者の心情に配意した対応に心掛けるとともに、性暴力等被害者から事情聴取する際は、取調室や他の来署者の目に付く場所における聴取は避けるなど、性暴力等被害者のプライバシーを守り、安心して話ができる相談室等において行うこと。

また、公費負担制度及び中長期的な支援を必要とする場合には、支援センターへの情報提供及びカウンセリング制度の検討など、性暴力等被害者の精神的・経済的負担の軽減を図ること。

(2) 職員に対する指導教養

支援センター及び協力病院等から署に対する支援要請、証拠採取等の臨場要請があった場合、円滑かつ適切な対応ができるよう本協定の趣旨、内容及び具体的対応要領について指導・教養を行うこと。

(3) 広報啓発活動

性暴力等被害の現状や性暴力等被害者の実情及び被害者支援の重要性を県民一人一人がよく理解し、相談窓口、支援施策等に関する情報不足が被害申告を躊躇ちゅうちょする原因とならないよう、あらゆる広報媒体を活用して「SACRAふくしま」の広報啓発に努めること。

性暴力等被害救援協力機関(SACRAふくしま)に関する協定の締結及び運用について(通達)

平成29年9月19日 達(県サ、生企、少、捜一)第278号

(令和5年7月13日施行)

体系情報
警務部
沿革情報
平成29年9月19日 達(県サ、生企、少、捜一)第278号
令和5年7月13日 達(刑総)第291号