○制限外積載許可取扱要領の改正について(通達)

平成31年2月15日

達(交規)第29号

道路交通法(昭和35年法律第105号。以下「法」という。)第57条第3項に規定する許可(以下「制限外積載許可」という。)の取扱いについては、「制限外積載許可取扱要領の制定について」(平成17年3月3日付け達(交規)第38号)に基づき対応していたところであるが、今般、行政事務の合理化及び申請者の負担軽減の観点から制限外積載許可に係る申請手続の特例や審査方法について見直すなど、別紙のとおり改正し、平成31年2月15日より施行することとしたので、事務処理上遺憾のないようにされたい。

改正内容及び留意事項については、下記のとおりである。

なお、旧通達は、平成31年2月15日をもって廃止する。

1 改正内容

(1) 「第6 申請手続の特例」関係

制限外積載許可は、原則として1個の運転行為ごとに行うものであるが、同一運転者により定型的に反復、継続して行われる運転行為については、一定の要件を全て満たすものに限り、包括して1個の運転行為とみなして処理するものとし、この場合における許可期間は、原則として3か月以内としていたところである。

今般、各都道府県警察における制限外積載許可に係る事務の実態等を踏まえ、更なる行政事務の合理化及び申請者の負担軽減を図るため、制限外積載許可に係る当該許可期間について原則として1年以内に改めることとした。

(2) 「第9 審査方法」関係

これまで、制限外積載許可の申請があったときには、原則として車両の構造、貨物及びその積載状況並びに道路交通の状況(以下「車両の構造等」という。)について実査を行うものとしていた。

今般、旧通達における実査の方法をより明確化するとともに、行政事務の合理化及び申請者の負担軽減を徹底する観点から、車両の構造等について図面、写真その他の資料により確認する方法を明記することとした。

2 留意事項

(1) 今回の許可期間の見直しは、これまで3か月としていた許可期間を一律に1年とすべきとする趣旨ではなく、個別具体の状況によっては従前と同一の許可期間とすることも考えられるため、許可期間の設定に当たっては、引き続き、車両の構造等を踏まえ、適切な許可期間を設定されたい。

(2) 制限外積載許可の申請の審査において、図面、写真その他の資料により車両の構造等を確認する場合には、審査に必要な資料を収集するよう努めるなど、その審査が実効のあるものとなるよう留意されたい。ただし、申請者が提出する図面、写真その他の資料については、申請者の任意の協力に基づくものであるため、申請者に負担を強いることのないようにするなど、その対応には留意されたい。

(3) 改正内容については、各種会議における教養等を通じて、制限外積載許可に係る事務を取扱う窓口担当者にまでその内容が周知徹底されるようにされたい。

3 その他

法第56条第1項に基づく許可の申請がなされた際の審査においても、別紙の「第9 審査方法」に倣い、対応の斉一を図られたい。

別紙

制限外積載許可取扱要領

第1 趣旨

この要領は、道路交通法(昭和35年法律第105号。以下「法」という。)第57条第3項に規定する制限外積載許可(以下「許可」という。)について必要な事項を定めるものとする。

第2 許可申請者

1 許可申請者は、許可申請に係る車両の運転者とする。

2 当該車両の運転者が複数の場合には、その全員を申請者とし、申請書の申請者欄に連記するよう求めるものとする。ここでいう車両の運転者が複数の場合とは、長距離運転で同乗若しくは乗り継ぎの交替運転者がある場合又は同一車両について申請に係る運転期間が例えば1年間である場合に、その期間内で運転者が交替する場合等である。

3 申請者欄に連記できない場合は、別紙に申請者の住所及び氏名並びに申請者の免許の種類及び免許証番号を記載するよう求めるものとする。

第3 許可の申請

許可申請に当たっては、道路交通法施行規則(昭和35年総理府令第60号。以下「規則」という。)第8条に定めるところにより、申請書2通を出発地警察署長(以下「署長」という。)に提出しなければならない。この場合において、署長は、申請を審査するため必要があると認めるときは、運転経路図その他の審査に必要な書類の提出を求めるものとする。

第4 許可の単位

許可は、原則として1個の運転行為ごとに行うものとする。ここでいう1個の運転行為とは、例えば、A地点からB地点まで積載物を運搬する場合で車両、積載物、運転経路及び時間がそれぞれ一つのものをいう。

第5 許可の期間

許可の期間は、原則として1個の運転行為の開始から終了までに要する期間とする。

第6 申請手続の特例

1 2及び3に該当する場合は、申請者の負担を軽減するとともに、行政事務の合理化を図るため、第4及び第5にかかわらず、2及び3に記述するとおり取り扱うものとする。

2 同一運転者により定型的に反復、継続して行われる運転行為

同一運転者により定型的に反復、継続して行われる運転行為については、次の要件を全て満たすものに限り、包括して1個の運転行為とみなして処理するものとする。

この場合における許可の期間は、原則として1年以内とする。

(1) 車両が同一であること。

(2) 同一品目の貨物を同一の積載方法で運搬すること。

(3) 運転経路が同一であること。

3 法による他の許可と競合する場合

同一車両について、許可のほか、法第56条第1項に規定する設備外積載許可又は同条第2項に規定する荷台乗車許可が同時に必要となる場合は、同一申請書に当該許可に係る事項を併せて記載するよう求めるものとする。

第7 積載貨物の測定方法

道路交通法施行令(昭和35年政令第270号。以下「令」という。)第22条第3号及び第23条第3号に規定する積載物の長さ、幅又は高さの測定は、次の方法によるものとする。

1 長さ

長さは、貨物自体の長さでなく、貨物を当該車両に積載した状態において、当該貨物の投影部分を車両の前後方向に車両に平行に測る。(次図参照)

2 幅

幅は、貨物自体の幅でなく、貨物を当該車両に積載した状態において、当該貨物の投影部分を車両の横方向に車両に平行に測る。(次図参照)

3 高さ

高さは、貨物自体の高さではなく、貨物を当該車両に積載した状態において、地上から当該貨物の最上端までの高さを測り、それから当該車両の積載をする場所の高さを減じて測る。(次図参照)

画像

第8 審査上の留意事項

1 申請により許可を求められた署長は、次に掲げる事項について、2から5までに記述する要領等に従い、これを審査するものとする。ただし、申請書の提出先若しくは申請の許可単位に誤りがあるとき又は申請書の記載事項に不備があると認めるときは、補正を求めるものとし、補正がない場合は求められた許可を拒否するものとする。

(1) 許可の対象貨物

(2) 積載物の重量、長さ、幅及び高さ並びに積載の方法

(3) 運転の期間及び運転経路

(4) その他道路における危険を防止し、交通の安全と円滑を図るため必要と認める事項

2 許可の対象貨物

許可の対象となる貨物は、法第57条第1項本文の政令で定める積載重量等の制限又は福島県道路交通規則(昭和35年福島県公安委員会規則第14号)第9条で定める積載重量等の制限を超えることとなる貨物であって、電柱、変圧器等のように形態上単一の物件であり、分割し、又は切断することにより当該貨物自体の効用又は価値を著しく損すると認められるものとする。

なお、貨物が分割できないものであるかどうかについては、その貨物自体の属性により客観的に判断すべきであり、運転者、貨物の所有者等の主観的事情(経費節約、時間の短縮等)により左右されるべきではない。

3 積載物の重量、長さ、幅及び高さ並びに積載の方法

積載物の長さ、幅及び高さ並びに積載の方法が次に掲げる場合又は積載物の重量が令第22条第2号及び第23条第2号に定める値を超える場合には、第11及び第12の1に記述するとおり、関係機関等との調整を行うなど、慎重な審査によって、交通の安全と円滑の確保に万全を期すこと。

(1) 大型自動車、中型自動車、準中型自動車、普通自動車、大型特殊自動車並びに側車付きの大型自動二輪車及び普通自動二輪車(側車付きの大型自動二輪車及び普通自動二輪車については、ア及びイに係る部分に限る。)

ア 積載物の長さ

自動車の長さにその長さの10分の5の長さを加えた長さを超える場合又は積載物を積載した状態の自動車及び積載物全体の長さが16.0メートル(セミトレーラ連結車にあっては17.0メートル、フルトレーラ連結車にあっては19.0メートル、ダブルス連結車にあっては21.0メートル)を超える場合

イ 積載物の幅

自動車の幅に1.0メートルを加えた幅を超える場合又は積載物を積載した状態の自動車及び積載物全体の幅が3.5メートルを超える場合

ウ 積載物の高さ

4.3メートル(三輪の普通自動車及び府令第7条の14に規定する普通自動車にあっては3.0メートル)からその自動車の積載をする場所の高さを減じた高さを超える場合

エ 積載の方法

(ア) 自動車の車体の前後から自動車の長さの10分の3の長さを超えてはみ出す場合

(イ) 自動車の車体の左右から0.5メートルを超えてはみ出す場合

(2) 小型特殊自動車

ア 積載物の長さ

自動車の長さにその長さの10分の5の長さを加えた長さを超える場合

イ 積載物の幅

自動車の幅に1.0メートルを加えた幅を超える場合

ウ 積載物の高さ

2.5メートルからその自動車の積載をする場所の高さを減じた高さを超える場合

エ 積載の方法

(ア) 自動車の車体の前後から自動車の長さの10分の3の長さを超えてはみ出す場合

(イ) 自動車の車体の左右から0.5メートルを超えてはみ出す場合

(3) 大型自動二輪車及び普通自動二輪車(側車付きのものについては、ア及びイに係る部分を除く。)

ア 積載物の長さ

乗車装置又は積載装置(リヤカーをけん引する場合にあってはそのけん引されるリヤカーの積載装置。エにおいて同じ。)の長さの2倍の長さを超える場合

イ 積載物の幅

自動車の幅(府令第5条の4に規定する大きさ以下の原動機を有する普通自動二輪車がリヤカーをけん引する場合にあってはそのけん引されるリヤカーの積載装置の幅に1.0メートルを加えた幅)を超える場合

ウ 積載物の高さ

2.5メートルからその自動車の積載をする場所の高さを減じた高さを超える場合

エ 積載の方法

(ア) 乗車装置又は積載装置の前後からその乗車装置又は積載装置の長さを超えてはみ出す場合

(イ) 積載物を積載した状態の自動車及び積載物全体の幅が当該自動車の幅を超える場合(府令第5条の4に規定する大きさ以下の原動機を有する普通自動二輪車がリヤカーをけん引する場合にあっては、そのけん引されるリヤカーの積載装置の左右から0.5メートルを超えてはみ出す場合)

(4) 原動機付自転車

ア 積載物の長さ

積載装置(リヤカーをけん引する場合にあってはそのけん引されるリヤカーの積載装置。イ及びエにおいて同じ。)の長さの2倍の長さを超える場合

イ 積載物の幅

原動機付自転車の幅(リヤカーをけん引する場合にあっては積載装置の幅に1.0メートルを加えた幅)を超える場合

ウ 積載物の高さ

2.5メートルから原動機付自転車の積載をする場所の高さを減じた高さを超える場合

エ 積載の方法

(ア) 積載装置の前後からその積載装置の長さを超えてはみ出す場合

(イ) 積載物を積載した状態の原動機付自転車及び積載物全体の幅が当該原動機付自転車の幅を超える場合(リヤカーをけん引する場合にあっては積載装置の左右から0.5メートルを超えてはみ出す場合)

4 運転の期間及び運転経路

(1) 運転の期間

交通が特にふくそうする日時を含まないこと。

(2) 運転経路

運転経路にその貨物の運搬に障害となるもの(重量制限の行われている橋梁、高さ制限の行われているガード、トンネルその他の工作物等)が存在しないこと。

5 その他道路交通の危険を防止し、交通の安全と円滑を図るため必要と認める事項

(1) 当該積載の方法及び当該積載による運転が法第55条第2項及び第71条第4号に照らし適切であると認められること。

(2) 当該積載による運転が当該車両の構造又は道路若しくは交通の状況により、重大な危険があるとは認められないこと。

第9 審査方法

許可申請があったときの審査は、車両の構造、積載物及び積載状態並びに道路交通の状況について、車両を保管している場所や積載作業を行う場所等に赴いて確認する方法や図面、写真その他の資料により確認する方法等により行うものとする。

第10 許可の条件

署長が許可に付すことができる条件は、令第24条第1項に規定されているが、同項第3号にいう「道路における危険を防止するため必要と認める事項」の例示は、次のとおりである。

1 運転の時間帯の指定に関する事項

2 先導車又は整理員による誘導整理に関する事項

3 積載した貨物の固定(緊縛)の方法、積載位置等について必要と認める事項

第11 関係機関等との調整

1 道路管理者との連携

署長は、許可申請に係る積載による運転が道路法(昭和27年法律第180号)第47条の2第1項の車両の通行の許可又は道路法第47条の10第3項に規定する車両の通行可能経路に係る回答を必要とする場合は、当該許可等を行う道路管理者との連携を図るように努めること。

2 合同会議の開催等

超長大積載物又は超重量積載物の運搬で、通行止め等の交通規制を必要とするものの許可に当たっては、事前に警察、運輸、道路管理者等の行政機関、運輸事業者等による合同会議を開催し、運転経路の円滑と運搬中の交通事故防止等について必要な申合せを行うように努めること。

第12 交通規制課との調整

1 署長は、許可申請に係る積載物の重量、長さ、幅及び高さ並びに積載の方法が第8の3に掲げる場合であって、許可の必要性があると認めるときは、当該許可に関し、交通規制課長と協議すること。

2 署長は、2以上の都道府県に及ぶなど長距離にわたって通行する制限外積載車両の許可の取扱いに際しては、交通規制課長との連絡を密に行い、当該道路における道路及び交通の状況を把握して許可の可否を判断するように努めること。

第13 交番、駐在所員等における専決処分

交番及び駐在所の勤務員が許可を専決する場合には、次に掲げるものについては署長の指揮を受けなければならない。

1 全長が貨物を積載した状態で12メートルを超えるもの

2 高さが貨物を積載した状態で3.8メートルを超えるもの

3 幅が貨物を積載した状態で当該自動車の幅を超えるもの

4 運転経路が他署管内に及ぶもの

5 許可する場合において、令第24条第1項第3号の規定により、危険防止上必要な条件を付する必要があるもの

6 その他特異な申請又は疑義のあるもの

第14 簿冊の整理

1 制限外許可申請受理簿

署長は、許可申請を受理した際及び制限外許可証を交付した際は、制限外許可申請受理簿(様式第1号)を整理すること。

2 制限外許可証管理簿(警察署用)

署長は、交番・駐在所において制限外許可を取扱うため、あらかじめ公印を押印した制限外許可証を各交番・駐在所へ備え付けておくものとする。

交番・駐在所へ備え付ける制限外許可証は、暦年ごとに入れ替えを行い、未使用のものは確実に廃棄処分し、制限外許可証管理簿(警察署用)(様式第2号)にその処理てん末を明らかにしておくこと。

3 制限外許可証管理簿(交番・駐在所用)

署長は、各交番・駐在所へ制限外許可証管理簿(交番・駐在所用)(様式第3号)を備え付け、制限外許可の処理てん末を明らかにしておくこと。

第15 その他

いわゆる国際海上コンテナの取扱いについては別に定めるところによる。

様式第1号(第14関係)

 略

様式第2号(第14関係)

 略

様式第3号(第14関係)

 略

制限外積載許可取扱要領の改正について(通達)

平成31年2月15日 達(交規)第29号

(令和4年6月2日施行)

体系情報
交通部
沿革情報
平成31年2月15日 達(交規)第29号
令和4年6月2日 達(交規)第8号