○少年を取り巻く有害環境の浄化対策の推進について(依命通達)

令和元年6月14日

達(少)第235号

対号1 平成25年4月26日付け達(少)第176号「少年を守る社会の仕組みの構築について」

対号2 平成23年1月27日付け達(少)第35号「少年の非行防止・保護に関する対策の推進について」

対号3 平成30年8月17日付け達(少、生環)第230号「青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画(第4次)」に基づく対策の推進について」

みだしのことについては、対号によるほか、次により実施することとしたので、実効の上がるよう努められたい。

なお、少年を取り巻く有害環境の浄化対策の推進について(平成25年5月7日付け依命通達(少、生環)第185号)は、廃止する。

1 趣旨

少年は心身ともに未熟であるため、環境からの影響を受けやすく、少年の非行や犯罪被害等の背景にある有害環境の浄化は、少年の保護及び健全育成を図る上で、重要な課題である。

そこで、時代とともに変遷する有害環境を踏まえて、その浄化対策を的確に推進していくため、警察の総合力を発揮することはもとより、関係機関・団体、地域住民等との連携協働を含めた総合対策を講ずることにより、有害環境の浄化対策を図るものである。

2 基本方針

(1) 実態把握の徹底

あらゆる警察活動を通じて、インターネット上の違法・有害情報、少年に有害な商品やサービスを提供する営業、児童の性を売り物とする営業等有害環境の動向に鋭敏な感覚を持って、実態の把握に努めること。

(2) 実情に即した重点的な指導取締り

それぞれの地域の実情に応じて、重点的かつ集中的な指導取締りを実施すること。

(3) 警察各部門の連携強化

警察のあらゆる機能が総合的に発揮できるよう、関係部門の連携を強化すること。

(4) 関係機関・団体等との連携強化

少年の保護及び健全育成に関し、これまで連携を図っている関係機関・団体はもとより、有害環境の浄化に関連する機関及び団体との緊密な連携により対策を推進するとともに、関係業界における少年の健全育成のための自主的措置を促進すること。

(5) 広報啓発の推進

各種広報媒体の活用により、有害環境の実態とその浄化の必要性を効果的に広報し、県民の理解と協力が得られるように努めること。

3 推進事項

(1) スマートフォン等インターネット接続機器からの有害情報の閲覧防止

SNS等に起因する福祉犯被害等の実態把握に努めるとともに、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」(平成20年法律第79号)のほか、「福島県青少年健全育成条例」(昭和53年福島県条例第30号)の規定により、携帯電話インターネット接続役務提供事業者等及びその契約代理店(以下「携帯IPS等」という。)に対して課せられている保護者等へのフィルタリング説明義務、フィルタリング有効化措置義務等が徹底されるよう携帯IPS等に要請する。

また、保護者に対する広報啓発を推進するほか、児童の被害防止に関する情報等を学校へ提供するなどして、フィルタリング利用等の一層の推進を図り、少年による有害情報の閲覧、SNS等に起因する福祉犯被害等を防止する。

(2) 児童の性に着目した形態の営業等からの影響の排除

児童を性的な業務に従事させる悪質な性風俗関連特殊営業のほか、「リフレ」、「散歩」等と称して合法的な営業を装いながら女子高校生等に卑わいな言動等で客に接する業務をさせるいわゆる「JKビジネス」営業等の実態把握に努め、これらの営業やスカウト、客引き行為等の取締りを徹底するなど、児童の性に着目した形態の営業等からの少年への有害な影響を排除する。

(3) インターネットカフェ、カラオケボックス等における善良な風俗環境の保持

営業実態の把握に努め、営業者に対し、少年の健全育成のための自主的措置の促進等について働き掛けるなど、店舗における善良な風俗環境を保持する。

(4) 各種営業者からの有害な商品等の供給の遮断

少年に有害な商品等を供給する各種営業者の実態把握に努め、年齢確認、区分陳列の徹底等について指導及び要請を行い、有害な商品等の少年への供給を遮断する。

(5) 少年への脱法ドラッグの供給遮断及び脱法ドラッグを乱用し、又は所持する少年に対する積極的な補導活動

脱法ドラッグを乱用・所持する少年が非行少年に当たらない場合でも、不良行為少年として積極的に補導活動を推進するとともに、少年から脱法ドラッグの入手経路等を聴取の上、販売業者に対する指導・警告等により少年への供給遮断を図る。

また、脱法ドラッグを乱用・所持する少年を補導した場合は、保護者に対する連絡等必要な措置を講じるとともに、当該少年が所持する脱法ドラッグが規制薬物又は指定薬物に該当するときは、福祉犯事件として、販売業者に対する積極的な取締りを図る。

4 推進上の留意事項

(1) スマートフォン等インターネット接続機器からの有害情報の閲覧防止関係

ア SNS等に起因する福祉犯被害等が後を絶たず、被害児童の約9割がフィルタリングを利用していないという実態等があることから、啓発の効果が行き渡るよう、関係部門や関係機関・団体、携帯IPS等、SNS事業者等と連携の上、非行防止教室等において、具体的な被害事例を基に、インターネットの特性や危険性等について、効果的な広報啓発を推進すること。

イ インターネット利用の低年齢化傾向等も踏まえ、学校等と連携の上、進学・進級時における保護者説明会等の機会を活用し、保護者に対して、フィルタリングに対する理解を広く浸透させ、フィルタリング利用の更なる促進を図ること。

(2) 児童の性に着目した形態の営業からの影響の排除関係

性風俗関連特殊営業や、本県では未だ営業実態はないものの、全国的には、いわゆる「JKビジネス」営業も次々とその形態を変えて現れている。

特に、これらの営業のうち、営業所等を設けない無店舗営業において、少年が性犯罪等の被害に遭う割合が高いことから、関係部門や関係機関・団体等と連携した児童の性に着目した形態の営業の実態把握、街頭活動、少年相談等を通じた幅広い情報収集に努め、取締りを徹底するとともに、実態解明の結果を踏まえ、課税通報等による犯罪収益の剥奪や行政処分の働き掛け等に努めること。

また、地域社会における有害環境浄化の気運を醸成するため、引き続き、関係団体、地域住民等と連携した活動を推進すること。

(3) インターネットカフェ、カラオケボックス等における善良な風俗環境の保持関係

多くのインターネットカフェは24時間営業であり、少年の深夜利用が懸念されるほか、本人確認、少年の有害情報の閲覧防止措置等が徹底されていない店舗も多い。

また、カラオケボックスについても深夜営業の店舗が多く、外部から見えにくい個室もあるため、少年の飲酒・喫煙や福祉犯被害等も発生しているところである。

これらの現状を改善し、店舗における善良な風俗環境を保持するため、関係部門、関係機関・団体等と連携の上、営業者に対し少年の健全育成のための自主的措置の促進等について指導及び要請を行うほか、立入調査や夜間の補導活動を強化すること。また、指導に応じない悪質な営業者に対しては、各種法令を適用した積極的な取締りを実施すること。

(4) 各種営業者からの有害な商品等の供給の遮断関係

有害な商品等の少年への供給を遮断するため、店舗の営業実態、自動販売機の稼動状況等の実態把握に努めるとともに、各種法令を適用した取締りはもとより、関係機関・団体と連携した営業者への指導及び警告、広報啓発活動等多角的な対策を徹底すること。

少年を取り巻く有害環境の浄化対策の推進について(依命通達)

令和元年6月14日 達(少)第235号

(令和元年6月14日施行)

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