○身体障害者に対する適性試験(運動能力)実施要領の制定について(依命通達)

令和元年11月14日

達(運免)第372号

みだしのことについて、別紙のとおり制定し、令和元年12月1日から施行することとしたので、事務処理上誤りのないようにされたい。

なお、身体障がい者に対する適性試験(運動能力)実施要領の制定について(平成26年11月19日付け達(運免)第386号。以下「旧通達」という。)は、施行日をもって廃止する。

1 制定の趣旨

身体障害者に対する適性試験(運動能力)については、旧通達に基づき、運用しているところであるが、道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令(令和元年内閣府令第31号)により大型自動二輪車免許に係る試験車の基準が改正され、令和元年12月1日から施行されることから、所要の見直しを行い新たに制定するものである。

2 要点

(1) 用語の意義

用語の意義について新たに定めた。(第3関係)

(2) 技能試験に使用する自動車の種類と車種限定の内容

大型自動二輪AT車の総排気量上限を撤廃した。(別表2)

(3) その他

所要の整理を行った。

別紙

身体障害者に対する適性試験(運動能力)実施要領

第1 目的

この要領は、身体障害者に対する道路交通法施行規則(昭和35年総理府令第60号)第23条第1項の表の運動能力に係る適性試験(以下「適性試験」という。)の実施に関し、その実施方法及び実施結果に応じ、道路交通法(昭和35年法律第105号。以下「法」という。)第91条に基づいて付与する運転免許(以下「免許」という。)の条件について必要な事項を定めることを目的とする。

第2 用語の意義

この実施要領における用語の意義は、次に定めるとおりとする。

1 「大型」は大型自動車免許を、「中型」は中型自動車免許を、「準中型」は準中型自動車免許を、「普通」は普通自動車免許を、「大型特殊」は大型特殊自動車免許を、「大型二輪」は大型自動二輪車免許を、「普通二輪」は普通自動二輪車免許を、「小型特殊」は小型特殊自動車免許を、「牽引」は牽引免許を、「大型第二種」は大型自動車第二種免許を、「中型第二種」は中型自動車第二種免許を、「普通第二種」は普通自動車第二種免許を、「大特第二種」は大型特殊自動車第二種免許を、「牽引第二種」は牽引第二種免許をいう。

2 「大型車」は大型自動車を、「中型車」は中型自動車を、「準中型車」は準中型自動車を、「普通車」は普通自動車を、「大特車」は大型特殊自動車を、「大型二輪車」は大型自動二輪車を、「普通二輪車」は普通自動二輪車を、「原付車」は原動機付自転車をいう。

3 「AT車」は、オートマチック・トランスミッションその他のクラッチの操作を要しない機構がとられており、クラッチの操作装置を有しない自動車等をいう。

4 「小型二輪車」は、総排気量については0.125リットル以下、定格出力については1.00キロワット以下の原動機を有する普通自動二輪車をいう。

5 「二輪車」は、大型自動二輪車及び普通自動二輪車をいう。

6 「軽車(660)」は、長さが3.40メートル以下、幅が1.48メートル以下、高さが2.00メートル以下の普通自動車(内燃機関を原動機とする自動車にあっては、総排気量0.660リットル以下のものに限る。)をいう。

7 「MT車」は、AT車以外の自動車等をいう。

8 「牽引車」は、牽引するための構造及び装置を有する大型車、中型車、準中型車、普通車又は大特車をいう。

9 「重被牽引車」は、牽引されるための構造及び装置を有し、かつ、車両総重量が750キログラムを超える車両をいう。

第3 適性試験の対象

この要領による適性試験の対象となる者は、自動車等の運転に支障を及ぼすおそれのある四肢又は体幹の障害がある者とする。

第4 適性試験の方法

1 適性試験は、受験者に対し、質問をし、及び四肢の運動等を行わせるほか、身体障害の状態・程度や運転しようとする自動車等に応じた測定器具を使用して検査を行い、又は実際に自動車等を操作させる等の方法により行うものとする。

ただし、質問及び四肢の運動等で運動能力の判断ができる場合は、他の方法による試験は省略することができるものとする。

2 適性試験は、運転免許課及び他の方法により試験を省略できる場合は警察署(分庁舎を含む。以下「署等」という。)において実施するものとする。

第5 免許の条件等の判断基準

1 身体障害の状態と免許の範囲及び条件内容

受験者の身体障害の状態に応じ、運転免許試験に合格した者に与える免許の範囲及び免許に付する条件についての判断の基準は、別表1のとおりとする。

2 技能試験に使用する自動車の種類と車種限定の内容

技能試験に使用する自動車の種類に応じ、免許に付する自動車の種類に係る限定についての判断の基準は、別表2のとおりとする。

第6 免許の条件の解除又は変更

免許に条件を付されている者から当該条件の解除又は変更の申請があった場合は、運転免許課又は署等において所要の審査を行い、その可否を判断するものとする。

別表1

障害の状態と免許の範囲及び条件内容

身体障害の程度

免許の範囲

免許の条件内容

部位

程度

構造装置等に関するもの

身体に関するもの

両上肢

1 両上肢をひじ関節以上で欠くもの、又は両上肢の用を全く廃したもの。

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普通

普通第二種

○ 普通車に限るものとする。

○ 下肢で運転できるAT車に限るものとする。


2 両上肢をひじ関節を残して先の部分で欠くもの、又は両上肢の機能に著しい障害のあるもの。

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普通

小型特殊

原付

普通第二種

○ AT車に限るものとする(ただし、身体の状態又は運転の技能によっては、AT車の条件は付さないこともできる。)

○ 原付車は、三輪又は四輪に限るものとする。

○ 義手(運転操作上有効な義手。以下同じ。)を使用するものとする。

○ 上肢の機能を補う装具を使用するものとする。

3 両上肢のすべての指を欠くもの、又はこれと同等の機能障害のあるもの。

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全ての免許(大型二輪及び普通二輪を除く。)

身体の状態又は運転の技能によっては、AT車に限るものとする。


4 両上肢の親指以外の二指を欠くもの、又はこれと同等の機能障害のあるもの。

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全ての免許

二輪車については、身体の状態又は運転の技能によっては、AT車に限るものとする。


片上肢

1 片上肢を肩関節から先の部分で欠くもの、又は片上肢の機能を全廃したもの。

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全ての免許(大型二輪及び普通二輪を除く。)

○ AT車に限るものとする。

○ 原付車は、三輪又は四輪に限るものとする。


2 片上肢のひじ関節を残して先の部分で欠くもの、又はこれと同等の機能障害のあるもの。

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全ての免許(大型二輪を除く。)

○ 身体の状態又は運転の技能によってはAT車に限るものとする。

○ 普通二輪車は、小型二輪車に限るものとする。

○ 二輪車及び原付車については、AT車に限るものとする。

○ 義手を使用するものとする。

○ 片上肢の機能を補う装具を使用するものとする。

両下肢

1 両下肢を股関節から先の部分で欠くもの、又は両下肢の機能を全廃したもの。

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普通

小型特殊

原付

普通第二種

○ AT車でアクセル・ブレーキは手動式に限るものとする。

○ 原付車は、三輪又は四輪に限るものとする。

義足(運転操作上有効な義足。以下同じ。)を使用するものとする。

2 両下肢をひざ関節から先の部分で欠くもの、又は両下肢の機能に著しい障害のあるもの。

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全ての免許(大型二輪を除く。)

○ 身体の状態又は運転の技能によっては、AT車又はAT車でアクセル・ブレーキは手動式に限るものとする。

○ 普通二輪車は、小型二輪車に限るものとする。

○ 義足を使用するものとする。

○ 下肢の機能を補う装具を使用するものとする。

片下肢

1 片下肢を股関節から先の部分で欠くもの、又は片下肢の機能を全廃したもの。

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全ての免許(大型二輪及び普通二輪を除く。)

○ AT車に限るものとする。

○ 原付車は、三輪又は四輪に限るものとする。

義足を使用するものとする(身体の状態から、身体の安定を保つことができると認められるときは条件を付さないことができる。)

2 片下肢をひざ関節から先の部分で欠くもの、又は片下肢の機能に著しい障害のあるもの。

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全ての免許

身体の状態又は運転の技能によっては、AT車に限るものとする。

○ 義足を使用するものとする。

○ 片下肢の機能を補う装具を使用するものとする。

障害が重複する場合

○ 上肢及び下肢に著しい障害のあるもの。

○ 四肢のほか、頭部、体幹に機能障害のあるもの。

普通

小型特殊

原付

普通第二種

AT車に限るものとする。ただし、身体の状態又は運転の技能によっては、AT車に限る条件は付さないこともできる。


備考

1 免許の条件の記載は、運転することができる自動車の種類の限定、構造装置に関するもの、身体に関するものを組み合わせて行うこと。

2 特別に改造をした車両を使用して技能試験を行った場合は、当該使用車両と同じ条件のものに限ること。

別表2

技能試験に使用する自動車の種類と車種限定の内容

免許の種類

自動車の種類

運転することができる自動車の種類の限定

大型

標準試験車と同一規格以上の大型車

MT車

限定なし

AT車

AT車に限るものとする。

標準試験車の規格に該当しない大型車

MT車

技能試験に使用した大型車の最大積載量以下、長さ以下又は幅以下の車両に限るものとする。

AT車

技能試験に使用した大型車の最大積載量以下、長さ以下又は幅以下のAT車に限るものとする。

中型

標準試験車と同一規格以上の中型車

MT車

限定なし

AT車

AT車に限るものとする。

標準試験車の規格に該当しない中型車

MT車

技能試験に使用した中型車の最大積載量以下、長さ以下又は幅以下の車両に限るものとする。

AT車

技能試験に使用した中型車の最大積載量以下、長さ以下又は幅以下のAT車に限るものとする。

準中型

標準試験車と同一規格以上の準中型車

MT車

限定なし

AT車

AT車に限るものとする。

標準試験車の規格に該当しない準中型車

MT車

技能試験に使用した準中型車の長さ以下又は幅以下の車両に限るものとする。

AT車

技能試験に使用した準中型車の長さ以下又は幅以下のAT車に限るものとする。

普通

普通第二種

標準試験車と同一規格以上の専ら人を運搬する構造の普通車

MT車

限定なし

AT車

AT車に限るものとする。

標準試験車の規格に該当しない普通車(上欄及び下欄に掲げる普通車を除く。)

MT車

長さ4.7m以下、幅1.7m以下の車両に限るものとする。ただし、標準試験車の規格には該当しないものの、長さが4.7m又は幅が1.7mを超える普通車を使用した場合は、当該普通車の長さ又は幅に応じた車両に限るものとする。

AT車

長さ4.7m以下、幅1.7m以下のAT車に限るものとする。ただし、標準試験車の規格には該当しないものの、長さが4.7m又は幅が1.7mを超える普通車を使用した場合は、当該普通車の長さ又は幅に応じたAT車に限るものとする。

軽車(660)

MT車

軽車(660)に限るものとする。

AT車

軽車(660)のAT車に限るものとする。

大型二輪

標準試験車と同一規格以上の大型二輪車

MT車

限定なし

AT車

AT車に限るものとする。

標準試験車の規格に該当しない大型二輪車

MT車

技能試験に使用した大型二輪車の総排気量以下又は定格出力以下の車両に限るものとする。

AT車

技能試験に使用した大型二輪車の総排気量以下又は定格出力以下のAT車に限るものとする。

普通二輪

標準試験車と同一規格の普通二輪車

MT車

限定なし

AT車

AT車に限るものとする。

標準試験車と同一規格の小型二輪車

MT車

小型二輪車に限るものとする。

AT車

小型二輪車のAT車に限るものとする。

標準試験車の規格に該当しない普通二輪車

MT車

技能試験に使用した普通二輪車の総排気量以下又は定格出力以下の車両に限るものとする。

AT車

技能試験に使用した普通二輪車の総排気量以下又は定格出力以下のAT車に限るものとする。

大型特殊

大特第二種

標準試験車と同一規格以上の大特車

MT車

限定なし

AT車

限定なし

標準試験車の規格に該当しない大特車

MT車

技能試験に使用した大特車の車両総重量以下又は最高速度以下の車両に限るものとする。

AT車

技能試験に使用した大特車の車両総重量以下又は最高速度以下の車両に限るものとする。

牽引

牽引第二種

標準試験車と同一規格以上の被牽引車を牽引している牽引車

MT車

限定なし

AT車

限定なし

標準試験車の規格に該当しない被牽引車を牽引している牽引車

MT車

技能試験に使用した重被牽引車の最大積載量以下の車両に限るものとする。

AT車

技能試験に使用した重被牽引車の最大積載量以下の車両に限るものとする。

大型第二種

標準試験車と同一規格以上のバス型の大型車

MT車

限定なし

AT車

AT車に限るものとする。

標準試験車の規格に該当しないバス型の大型車

MT車

技能試験に使用したバス型の大型車の長さ以下又は幅以下の車両に限るものとする。

AT車

技能試験に使用したバス型の大型車の長さ以下又は幅以下のAT車に限るものとする。

中型第二種

標準試験車と同一規格以上のバス型の中型車

MT車

限定なし

AT車

AT車に限るものとする。

標準試験車の規格に該当しないバス型の中型車

MT車

技能試験に使用したバス型の中型車の長さ以下又は幅以下の車両に限るものとする。

AT車

技能試験に使用したバス型の中型車の長さ以下又は幅以下のAT車に限るものとする。

注 与える免許により運転することのできる自動車等で本表に記載する自動車以外のものについても、その運転に支障があると認めるときは、必要な車種限定を行うこと。

身体障害者に対する適性試験(運動能力)実施要領の制定について(依命通達)

令和元年11月14日 達(運免)第372号

(令和元年12月1日施行)

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