○キッズゾーン創設に伴う交通安全の確保について(依命通達)
令和元年11月15日
達(交規、交企、交指)第373号
みだしのことについては、キッズゾーンにおける各種交通安全対策を適切に推進し、効果的な交通事故防止活動に取り組まれたい。
記
1 キッズゾーン創設の経緯等
本年6月18日、「昨今の事故情勢を踏まえた交通安全対策に関する関係閣僚会議」において、「未就学児等及び高齢運転者の交通安全緊急対策」が決定されたところであるが、同対策において、地域ぐるみで子供を見守るための対策等の一つとして、キッズゾーンの創設が掲げられた。これを受け、11月12日、厚生労働省子ども家庭局総務課少子化総合対策室長、子ども家庭局保育課長、社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課長から、各都道府県担当部(局)長等宛に別添のとおり「キッズ・ゾーンの設定の推進について(依頼)」が通知されたもの。
2 キッズゾーンの設定
キッズゾーンは保育所、地域型保育事業所、保育所型認定こども園、地方裁量型認定こども園、認可外保育施設(企業主導型保育事業を含む。)、児童発達支援(医療型を含む。)事業所(以下「保育所等」という。)が行う散歩等の園外活動の安全を確保するため、保育所等を中心に周囲500メートルを目安として市町村保育担当部局が設定することとなっている。
市町村保育担当部局が、管轄内の保育所等の周囲にキッズゾーンを設定するにあたっては、対象の保育所等、道路管理者、都道府県警察等と協議をすることとなっていることから、設定に協力するとともに、園児の交通安全を確保する上で必要な意見を申し入れること。
3 キッズゾーン内における対策等
(1) 必要な交通規制の検討
ア キッズゾーン内における生活道路では、一方通行、大型通行禁止、一時停止等の交通規制を検討するとともに、路側帯の設置等を強化すること。
なお、園外活動の日時が通学路の登下校のように明確に決まっている場合は、必要により歩行者用道路の実施について検討すること。
イ 未就学児を中心に子どもが日常的に集団で移動する経路の対策として、ゾーン30の整備等の面的な対策を含めて必要な交通安全施設等の整備等を推進していくことから、緊急安全点検の結果も踏まえ、キッズゾーンにおけるゾーン30の整備を検討すること。
(2) 交通安全施設等の整備
市町村等が整備するキッズゾーンの路面表示等に合わせ、道路標識・標示の高輝度化等、交通安全施設等の整備を行うとともに、園外活動で横断する信号機の歩車分離化や横断秒数等の見直しを検討すること。
(3) 重点的な交通指導取締り
運転手に対し、園児の保護に資する指導を重点的に行い、悪質・危険な違反行為については、適切に検挙措置をとること。
また、交通実態に即して可搬式速度違反自動取締装置を活用し、速度取締りを実施すること。
なお、キッズゾーン内の違反駐車は、園児の安全に支障を来たす原因の一つとなるため、違反駐車対策も実施すること。
(4) 交通安全教育の実施
園児が交通ルールや交通マナー等、安全に道路を通行するために必要な知識・技能を習得できるよう、保育所等、保護者、交通ボランティア等と連携し、交通安全教育を推進すること。
4 推進上の留意事項
(1) 関係機関・団体との連携
保育所等における園児の交通安全を確保する取組については、関係機関・団体と連携の上、必要な助言、協力を行うこと。
(2) 広報活動の強化
ホームページや各種広報紙等を活用し、キッズゾーンの趣旨及び設定箇所等の周知に協力すること。
(3) 効果的な街頭活動の実施
交通指導取締り等の街頭活動は、園児の安全確保のため園外活動時間帯に合わせて実施するよう配意すること。
(4) 報告
市町村等からキッズゾーン設定に関する協議・相談がなされた場合やキッズゾーン設定に関する事前情報を入手した場合、さらにはキッズゾーンが設定された場合や実施した各種交通安全対策については、随時交通情報により報告すること。
別添
府子本第636号
府子本第638号
子少発1112第1号
子保発1112第1号
障障発1112第1号
令和元年11月12日
各/都道府県/指定都市/中核市/保育担当部(局)・障害児担当部(局) 御中
内閣府子ども・子育て本部
参事官(子ども・子育て支援担当)
(公印省略)
内閣府子ども・子育て本部
参事官(認定こども園担当)
(公印省略)
厚生労働省子ども家庭局総務課少子化総合対策室長
(公印省略)
厚生労働省子ども家庭局保育課長
(公印省略)
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課長
(公印省略)
キッズ・ゾーンの設定の推進について(依頼)
平素より、内閣府及び厚生労働省の行政に対する御理解・御協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
去る5月に、滋賀県大津市において、保育所外の移動中に園児が交通事故により亡くなるという大変痛ましい事故が発生し、その後も度々子どもが被害者となる交通事故が発生しております。
政府においては、相次ぐ交通事故の発生を受け、「昨今の事故情勢を踏まえた交通安全対策に関する関係閣僚会議」を開催し、6月18日に「未就学児等及び高齢者運転の交通安全緊急対策」を決定したところです。
当該対策に基づく施策として、保育所等が行う散歩等の園外活動の安全を確保するため、今般、小学校等の通学路に設けられているスクールゾーンに準ずるキッズ・ゾーンを創設するとともに、「平成31年度厚生労働省交通安全業務計画」の改訂を予定しています。キッズ・ゾーンを設定する目的や手順等は下記のとおりですので、各市町村(認可外保育施設にあっては、都道府県、指定都市又は中核市。以下「各市町村等」という。)におかれましては、キッズ・ゾーン創設の趣旨についてご理解いただくとともに、地域の実情に合わせ、キッズ・ゾーンの設定についてご検討いただくようお願いいたします。また、今回のキッズ・ゾーンの創設に当たっては、(警察庁、国土交通省が出す通知等)により、各道路管理者及び都道府県警察に対しても周知されているところですので、各機関と連携いただくようお願いいたします。
なお、都道府県におかれましては、管内市町村(特別区を含む。)に対する周知をお願いいたします。
記
(1) キッズ・ゾーン設定の目的
キッズ・ゾーンの設定は保育所、地域型保育事業所、保育所型認定こども園、地方裁量型認定こども園、認可外保育施設(企業主導型保育事業を含む。)、児童発達支援(医療型を含む。)事業所等(以下「保育所等」という。)が行う散歩等の園外活動等の安全を確保するため、
・保育所等の周辺で園児等に対する注意をすべきという意識の啓発
・関係機関の協力により、特に配慮する必要がある箇所に対しての安全対策の一層の推進
・それによる、保育所等の周辺の道路における自動車の運転手等に対する注意喚起を行うことを目的とするものである。
(2) キッズ・ゾーン設定の手順
キッズ・ゾーンの設定に当たっては、①キッズ・ゾーンの範囲を設定した上で、②キッズ・ゾーン内における具体的な交通安全対策を実施することとする。
① キッズ・ゾーンの範囲の設定
市町村等においては、管轄内の保育所等の周囲半径500メートルを原則として、対象の保育所等、道路管理者及び都道府県警察と協議の上、キッズ・ゾーンを設定する。なお、「未就学児が日常的に集団で移動する経路の交通安全の確保の徹底について」(令和元年6月18日府政共生160号・府子本第172号・府子本第174号・元教参学第9号・子少発0618第1号・子保発0618第1号・障障発0618第1号内閣府政策統括官(共生社会政策担当)付参事官(交通安全対策担当)、内閣府子ども・子育て本部参事官(子ども・子育て支援担当)、内閣府子ども・子育て本部参事官(認定こども園担当)、文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課長、厚生労働省子ども家庭局総務課少子化総合対策室長、厚生労働省子ども家庭局保育課長、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課長連名通知)による緊急安全点検(以下「緊急安全点検」という。)時に構築した体制等既存の枠組みがある場合は、これを活用することが望ましい。
キッズ・ゾーンの範囲は、地域の実情に応じて柔軟に設定すべきものであり、散歩コースの経路等に鑑み、範囲を変更することが可能である。
なお、保育所等が近接することによりキッズ・ゾーンの範囲が重なる場合についても、それぞれの保育所等につき、キッズ・ゾーンの範囲を設定することとするが、キッズ・ゾーンが重なった範囲において、同一の交通安全対策(後述)をとることがありうる。
② キッズ・ゾーンにおける交通安全対策の実施
キッズ・ゾーンを設定したのち、保育所等を管轄する市町村等の保育担当部局等が中心となり、道路管理者、都道府県警察等と協力しつつ、キッズ・ゾーンの範囲内で実施するエリア対策等といった具体的な交通安全対策を検討する。
交通安全対策の具体策については、緊急安全点検や「保育所等における園外活動時の留意事項について」(令和元年6月21日厚生労働省子ども家庭局総務課少子化総合対策室、厚生労働省子ども家庭局保育課連名事務連絡)等で確認した箇所を中心に、保育所等を管轄する市町村等が必要と判断した箇所について講じることとする。
この際、緊急安全点検で危険箇所とされた箇所を中心に、優先度が高い箇所から取組みを進めることが重要である。また、その具体策について、後述するキッズ・ガードの配置の積極的な推進など、ソフト面での対応を検討するほか、ガードレールの設置等のハード面や交通規制面での対応の可否については、道路管理者、都道府県警察と協議の上で検討する。
具体策の実施に当たっては、近隣住民の意向なども踏まえ、地域の実情に即して対応することが必要である。近隣住民との調整に際しては、保育所等を管轄する市町村等の保育担当部局等が中心となり、道路管理者及び都道府県警察と協力しつつ、調整を行う。
(具体的な交通安全対策の例)
・キッズ・ガードの配置
保育体制強化事業(※)により、保育支援者が保育所外等での活動において見守り活動を行い、子どもが集団で移動する際の安全確保を図る。
(※)園外活動時の見守り等といった保育に係る周辺業務を行う者(保育支援者)の配置の支援を行い、保育士の業務負担の軽減を図る制度。
・路面の塗装等による注意喚起
散歩コースの安全点検の結果等を踏まえ、散歩コース箇所等に「キッズ・ゾーン」の文字を路面に塗装し、未就学児童が通行する可能性があることを自動車の運転手等に周知する。また、大津市においても同様の取組みを行っているところ。
(3) キッズ・ゾーンを設定する際の留意事項
キッズ・ゾーンの設定を検討している箇所が既にスクールゾーンとして設定されている場合は、混乱を招かないよう、原則、既存の交通安全対策を優先させる。なお、スクールゾーンは朝夕の登下校時間に限って対策を行っている場合もあることから、日中に行われる保育所等の園外活動等について更なる交通安全対策が必要な場合は、別途対策の必要性を検討する。
なお、キッズ・ゾーンの設定に先駆けて、教育委員会、幼稚園等及び小学校等が、道路管理者及び都道府県警等の協力を得て実施しているスクールゾーンの設定の枠組みや取組みが既にある場合には、それを参考にすることが考えられる。
また、こうした協議体制を構築するに当たっては、各自治体で行われている「通学路の交通安全の確保に向けた着実かつ効果的な取組の推進について」(平成25年12月6日文部科学省、国土交通省、警察庁連名通知)に基づく各教育委員会や道路管理者、都道府県警察による推進体制の枠組みを参考にすることも考えられる。