○風水害に備えた各種交通対策の推進について(依命通達)

令和2年1月16日

達(交規)第7号

みだしのことについて、風水害対策を迅速かつ的確に実施することができるよう、万全を期されたい。

1 趣旨

近年、台風や大雨(以下「風水害」という。)の頻発化や被害の激甚化が顕著となる中、災害対策における交通警察の果たすべき役割は重要度を増しており、昨年の風水害においても、信号機の滅灯対策や迂回路対策を実施するなど、その対策も多様化している。

このような情勢を踏まえ、今般、警察庁において、風水害時に実施すべき交通対策を時系列で構成した「風水害における交通対策タイムライン(以下「タイムライン」という。)」が別添のとおり策定された。

よって今後は、策定されたタイムラインに基づき、気象情報等を踏まえた事前対策も含め、各時点で何をすべきかの共通認識による事案対処により、迅速かつ的確な災害対策の実施を図るものである。

2 風水害時に実施すべき交通対策

(1) 平素からの準備(基礎情報の整理)

ア 危険箇所の把握

先制的に交通対策を実施すべき危険箇所について、関係機関と情報共有を図るとともに、同所で冠水等が見込まれる場合の措置についても、道路管理者との役割分担等について事前調整しておくこと。

注:従来から把握しているアンダーパス等に加え、関係機関が河川のハザードマップや過去の冠水情報等により把握している箇所をいう。

イ 先制的な交通対策を実施すべき場所の選定

近年の河川の氾濫による被害の激甚化を踏まえ、アで把握したハザードマップと主要道路の位置関係、普段の交通流、浸水した場合に想定される被害の大きさ等から、河川が氾濫する前から先制的に通行止めを行うべき箇所をあらかじめ選定しておくこと。

また、選定した箇所が大雨時に通行止めを行う可能性のある道路であることを住民に周知されるよう、道路管理者等と連携し、情報提供に努めること。

ウ 信号機電源付加装置の設置状況等の確認

信号機電源付加装置及び可搬式発動発電機(以下「発電機」という。)の配備状況や故障の有無等を定期的に確認すること。

エ 発電機を優先的に設置すべき交差点の選定

広範囲で信号機が滅灯した場合において、優先的に発電機を設置し、又は警察官による交通整理を実施すべき交差点を抽出し、優先順位を設定しておくこと。

(2) 初動体制の確立と迅速な情報収集

ア 初動体制の確立

風水害による被害が見込まれる場合は、夜間及び閉庁日を問わず、初動対応に支障を来すことがないよう、必要な体制を確立すること。

初動体制を確立するに当たっては、信号機電源付加装置及び発電機には給油が必要となることを考慮した上で、体制を確立すること。

イ 関係機関からの情報収集

河川の氾濫や大規模な土砂崩れ等の災害発生情報を関係機関から積極的に収集するとともに、交通警察による対応が想定される特異事案を認知した場合には、交通規制課に速報すること。

(3) 大規模な信号機の滅灯事案への対策

ア 全容の早期把握

信号機の滅灯事案を認知した場合には、電力会社の停電情報を確認するなど、早期に全容を把握すること。

また、河川の氾濫等によって、大規模な冠水が発生した場合には、立入の可否別により、状況把握できた地域と未把握の地域を区分し、後々の数値変動の有無も含めた正確な情報把握に努めること。

イ 信号機の滅灯箇所における対策

信号機の滅灯箇所においては、上記2(1)エにおいて把握した情報等を基に、発電機の設置や警察官による交通整理等の対応を実施し、交通の安全と円滑を確保すること。

なお、発電機の設置に当たっては、雨天時の稼働や盗難防止措置にも配意すること。

ウ 信号機の滅灯が長期化した場合の対策

大規模停電や故障に伴う信号機の滅灯が長期化する場合には、警察署長等の行う交通規制による一時停止規制など、必要な措置を講ずること。

(4) 交通の円滑化対策

ア 迂回路対策の実施

主要道路等が不通となり、人、物の輸送に支障を来す状況においては、交通規制課、関係各署(隊)及び道路管理者と連携し、的確な迂回路対策を実施すること。

イ 災害復旧に関係する車両の円滑な通行の確保

ライフラインの復旧や燃料輸送等に従事する車両の円滑な通行を確保することは、迅速な災害復旧に寄与する対策となるため、関係事業者等から協力要請があった場合には、交通規制課に速報の上、適切に対応すること。

ウ 施設管理者対策の実施

風水害による被害が発生した地域では、営業可能なガソリンスタンドやホームセンター等に車両が集中し、駐車場から溢れた車両が路肩に滞留することによる混雑が発生するため、同種事案を認知した場合には、施設管理者に対し、周囲の交通状況を勘案した具体的な誘導方法を教示した上で、誘導員の配置などの所要の措置を講ずるよう協力を要請し、円滑な通行の確保に努めること。

(5) 先制的な交通対策の実施

警報又は特別警報が出される規模の大雨により、河川の氾濫による冠水等が想定される場合においては、人命を守る観点から時期を失することなく、道路交通法に基づく通行禁止規制を自らの判断において直ちに実施すること。特に、2(1)イで選定した箇所については、河川の氾濫や浸水を待つことなく、通行止めの規制を行い、冠水による被害を防止する対策に取り組むこと。また、これらの場合には、道路管理者はもとより、関係自治体等とも連携し、交通規制や迂回路等に関する情報発信に努めること。

なお、交通規制の実施に当たっては、河川情報を踏まえた的確な指示を行うなど、職員の殉職・受傷事故防止に万全を期すこと。

3 その他

(1) 教養、訓練の実施

平素から、発電機の取扱要領や信号機の手動介入等に関する教養及び訓練を実施し、職員の練度向上と殉職・受傷事故防止に努めること。

(2) 関係機関との連携体制の構築

夜間及び閉庁日であっても、初動対応が円滑に行われるよう、平素から関係機関との間で、連絡体制、役割分担、情報共有要領等の調整を行い、緊密な連携体制を構築すること。

(3) 事前対策に関する報告

上記2(1)ア「危険箇所の把握」、2(1)イ「先制的な交通対策を実施すべき場所の選定」、2(1)エ「発電機を優先的に設置すべき交差点の選定」の実施状況、さらには本通達に伴い実施した各種交通安全対策については、別記様式により資料(図面、写真)を添付のうえ、令和2年5月29日(金)までに交通規制課へ報告すること。

(4) 発災時における報告

発災時には、交通規制の実施状況、交通安全施設の障害状況、発電機の活用状況、交通対策の従事体制、信号機の滅灯中に発生した交通事故等について遅滞なく交通規制課へ速報すること。

画像

別記様式

 略

風水害に備えた各種交通対策の推進について(依命通達)

令和2年1月16日 達(交規)第7号

(令和2年1月16日施行)

体系情報
交通部
沿革情報
令和2年1月16日 達(交規)第7号