○妨害運転等の悪質・危険な運転に対する厳正な対処について(依命通達)

令和2年6月18日

達(交企、交指、運免、交規)第254号

みだしのことについては、次のとおりであるので、諸対策を一層推進されたい。

なお、「いわゆる「あおり運転」等の悪質・危険な運転に対する厳正な対処について」(平成30年1月19日付け達(交指、運免、交企)第27号。)については廃止する。

1 趣旨

道路交通法の一部を改正する法律(令和2年法律第42号。以下「改正法」という。)により、妨害運転に対する罰則の創設等が行われ、本年6月30日から施行されることとなったほか、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律の一部を改正する法律(令和2年法律第47号)により危険運転致死傷罪の対象となる行為が追加され、本年7月2日から施行されることとなったことから、これら改正の趣旨を踏まえ、妨害運転等の悪質・危険な運転の抑止と指導取締りの徹底を図るものである。

2 広報啓発活動の推進

以下の内容について、ウェブサイト、SNS、広報紙等の各種媒体、交通情報板、各種交通安全イベントや交通安全教室等の場を効果的に活用し、広報啓発を推進すること。

また、その際には、地域交通安全活動推進委員、交通安全活動推進センター、交通ボランティア等との協力、地方運輸局、道路管理者、各自治体、その他交通関係機関・団体等との緊密な連携を図ること。

(1) 道路交通法の改正により妨害運転に対する罰則の創設等が行われ、他の車両等の通行を妨害する目的で、急ブレーキ禁止違反や車間距離不保持等の違反を行うことは、厳正な取締りの対象となり、最大で懲役3年の刑に処せられるほか、前記違反行為を行い著しい交通の危険を生じさせた場合は、最大で懲役5年の刑に処せられるとともに、妨害運転をした者は運転免許の取消処分の対象となること。

また、このような悪質・危険な運転により人を死傷させた場合には、危険運転致死傷罪(妨害目的運転)等にも当たる場合があり、さらに厳罰に処せられ得ること。

(2) 運転者は、自分本位ではなく、相手に対する「思いやり・ゆずり合い」の気持ちを持って判断し行動する必要があること(速度に応じた適切な車両通行帯の利用、追越しをしようとする車への配慮等を含む。)

(3) 妨害運転を受けるなどした場合、サービスエリアやパーキングエリア等、交通事故に遭わない場所に避難するとともに、車外に出ることなく110番通報すること。

(4) ドライブレコーダーは、妨害運転等の悪質・危険な運転行為の抑止に有効であり、自身や同乗者の身を守ることにつながること。

3 更新時講習及び安全運転管理者等に対する講習等における教育の推進

(1) 更新時講習等における教育

更新時講習等においては、改正法の内容、妨害運転等の悪質性・危険性と結果の重大性及びこのような行為に対しては厳正な取締りが行われること、妨害運転を受けた時の対処法等の上記2に記載する事項を説明するとともに、更新時講習等に使用する教本や資料等に、これら特に周知すべき事項を分かりやすく記載すること。

また、運転免許の新規取得に係る教習においても、これらの点について教習が行われるよう、自動車教習所に対する指導を行うこと。

(2) 更新時講習等における運転適性検査による安全指導

違反を行った者に対する違反運転者講習等の更新時講習等において実施することとされている運転適性についての診断と指導において、運転者本人に自己の運転特性等を自覚させるとともに、その検査結果に基づいた安全指導を適切に行うこと。

(3) 安全運転管理者等に対する講習における教育

安全運転管理者等に対する講習においては、上記(1)と同様に、妨害運転罪について説明し、各事業所等において、安全運転管理者等により、妨害運転等の抑止のための交通安全教育等が行われるよう努めること。

4 厳正な捜査の徹底と積極的な交通指導取締り

(1) 厳正な捜査の徹底

他の車両等の通行を妨害する目的で行われる悪質・危険な運転が関係する事案を認知した場合には、客観的な証拠資料の収集等を積極的に行い、創設された妨害運転罪や危険運転致死傷罪(妨害目的運転)等のあらゆる法令を駆使して、厳正な捜査の徹底を期すこと。

(2) 県本部に対する速報

上記4(1)の事案を認知した場合には、交通指導課に速報すること。

(3) 積極的な交通指導取締り

妨害運転等の悪質・危険な運転を未然に防止するため、車間距離不保持、進路変更禁止違反、急ブレーキ禁止違反等の道路交通法違反について、積極的な交通指導取締りを推進すること。

(4) 情報提供窓口、分析体制の整備等捜査体制の充実

妨害運転等の悪質・危険な運転に関する情報を受け付ける専用のウェブサイトを開設し、分析体制を整備するなど、捜査体制の充実に努めること。

5 妨害運転等を行う悪質・危険な運転者に対する行政処分の実施

(1) 迅速かつ積極的な行政処分の実施

改正法の施行に伴い、妨害運転をした者は、当該行為のみで運転免許の取消処分の対象となることから、このような運転を行う悪質・危険な運転者を早期に排除するため、迅速な行政処分を行うこと。

また、妨害運転罪や危険運転致死傷罪(妨害目的運転)等の適用が困難で、点数制度による処分に至らない場合であっても、悪質・危険な運転に起因し暴行、傷害、脅迫、器物損壊等が伴う場合等には、当該事件内容を精査し、自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあると認められるときは、危険性帯有(道路交通法第103条第1項第8号)に係る行政処分を積極的に行うこと。

(2) 県本部に対する速報

妨害運転(著しい交通の危険)によって交通事故を起こして人を死亡させ、又は傷つけた場合については、新たに運転免許の効力の仮停止の対象となるほか、仮運転免許の取消処分の対象となる違反に、妨害運転(著しい交通の危険)及び妨害運転(交通の危険のおそれ)が追加されたことから、各署・隊にあっては、妨害運転等に関係する事案を認知した場合には、運転免許課に速報すること。

妨害運転等の悪質・危険な運転に対する厳正な対処について(依命通達)

令和2年6月18日 達(交企、交指、運免、交規)第254号

(令和2年6月18日施行)

体系情報
交通部
沿革情報
令和2年6月18日 達(交企、交指、運免、交規)第254号