○道路法等の一部を改正する法律等の施行に伴う交通警察の対応について(依命通達)

令和3年1月6日

達(交規)第3号

みだしの件については、別添警察庁通達写し(令和2年12月14日付け警察庁丙規発第24号)のとおりであるので、事務処理上適切に対応されたい。

令和2年12月14日

警察庁丙規発第24号

道路法等の一部を改正する法律等の施行に伴う交通警察の対応について(通達)

道路法等の一部を改正する法律(令和2年法律第31号。以下「改正法」という。)は令和2年5月27日に、道路法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令(令和2年政令第329号。以下「改正令」という。)、道路法等の一部を改正する法律の施行に伴う国土交通省関係省令の整備等に関する省令(令和2年国土交通省令第90号。以下「改正規則」という。)、特定車両停留施設の構造及び設備に関する基準を定める省令(令和2年国土交通省令第91号)、道路標識、区画線及び道路標示に関する命令の一部を改正する命令(令和2年内閣府・国土交通省令第5号。以下「改正標識標示令」という。)及び交通の方法に関する教則の一部を改正する件(令和2年国家公安委員会告示第50号)は令和2年11月20日に公布され、いずれも令和2年11月25日に施行された。

改正法による改正後の道路法(昭和27年法律第180号。以下「法」という。)、改正令による改正後の道路法施行令(昭和27年政令第479号。以下「令」という。)、改正規則による改正後の道路法施行規則(昭和27年建設省令第25号。以下「規則」という。)等のうち交通警察に関係する部分、対応上の留意事項等は下記のとおりであるので、事務処理上遺憾のないようにされたい。

なお、本通達については、国土交通省道路局と協議済である。

第1 改正法の趣旨・概要

高度な自動運転の実用化に向け、車両に搭載される自動運行装置等及び道路に設置されるインフラによって自動運転の安全性を担保することを目的として、自動運行補助施設(電磁誘導線、磁気マーカ等)が、また、旅客の乗降又は貨物の積卸しによる渋滞を緩和することにより安全かつ円滑な交通を確保することを目的として、道路運送法(昭和26年法律第183号)による一般乗合旅客自動車運送事業若しくは一般乗用旅客自動車運送事業又は貨物自動車運送事業法(平成元年法律第83号)による一般貨物自動車運送事業の用に供する自動車その他の国土交通省令で定める自動車(以下「特定車両」という。)を同時に2両以上停留させることを目的とした「特定車両停留施設」が、それぞれ道路の附属物として追加されるとともに、歩行者の安全かつ円滑な通行及び利便の増進を図り、快適な生活環境の確保及び地域の活力の創造に資することを目的として、歩行者の滞留の用に供する部分を確保し、及び歩行者利便増進施設等の適正かつ計画的な設置を誘導することが特に必要と認められる道路を「歩行者利便増進道路」として指定する制度が新設された。

第2 改正法の内容(交通警察関係)

1 自動運行補助施設関係

(1) 自動運行補助施設の位置付け

高度な自動運転技術の実用化に向け、車両に搭載される自動運行装置等及び道路に設置されるインフラによって自動運転の安全性を担保する必要があることから、当該インフラに係る必要な措置を講ずることとし、具体的には、法第2条第2項第5号において自動運行補助施設(電磁誘導線、磁気マーカ等)を道路の附属物として位置付けることとされた。

(2) その他自動運行補助施設に係る規定の整備

自動運行補助施設については、(1)のとおり道路管理者が道路の附属物として設置するほか、道路管理者以外の者が設置することも想定されるため、当該施設を占用物件として追加するとともに、自動運行補助施設の占用の場所に関する基準について、令第11条の6において規定が設けられた。

また、法第45条の2第1項の規定の委任を受けた規則第4条の8の2において、道路の附属物である当該施設の性能の基準等に係る規定が整備され、法第45条の2第2項の規定により、道路管理者が、自動運行補助施設を設置し、又はその設置場所を変更したときは当該施設に係る必要な事項を公示しなければならないこととされた。

2 特定車両停留施設関係

(1) 特定車両停留施設の位置付け等

旅客の乗降又は貨物の積卸しによる渋滞の緩和等を目的として、法第2条第2項第8号において、特定車両を同時に2両以上停留させることを目的とした特定車両停留施設が道路の附属物として追加された。

また、規則第1条において、以下のアからエのとおり、特定車両の種類が定められ、下記(2)のとおり、特定車両停留施設を利用できる車両の種類をあらかじめ道路管理者が指定した上で、当該車両の停留についてはその許可を受けなければならないこととされた。

ア 道路運送法による一般乗合旅客自動車運送事業の用に供する自動車

イ 道路運送法による一般貸切旅客自動車運送事業の用に供する自動車

ウ 道路運送法による一般乗用旅客自動車運送事業の用に供する自動車

エ 貨物自動車運送事業法による一般貨物自動車運送事業の用に供する自動車

加えて、法第48条の34の規定により、道路管理者は、当該施設の入口その他必要な場所に利用の禁止又は制限の対象を明らかにした道路標識を設けなければならないこととされたところ、下記第3のとおり、道路管理者が設置する規制標識が新設された。

なお、法第103条において、法第48条の32第1項又は第3項の規定に違反して特定車両停留施設に車両を停留させた者に対する罰則が設けられた。

(2) 特定車両停留施設の利用に係る道路管理者による車両の種類の指定及び停留の許可

道路管理者は、法第48条の30の規定により、特定車両停留施設を利用できる車両の種類を上記(1)ア~エに掲げるもののうちから当該施設の供用の開始前にあらかじめ指定・公示することとされた。

また、法第48条の32第1項本文の規定により、特定車両停留施設に車両を停留させようとする場合においては、道路管理者の許可を受けなければならないこととされたほか、法第48条の32第3項の規定により、当該許可の申請に係る法第48条の32第2項に規定する事項を変更しようとする場合においては、あらかじめ道路管理者の許可を受けなければならないこととされた。

なお、法第48条の32第1項ただし書の規定により、道路交通法(昭和35年法律第105号)第39条第1項に規定する緊急自動車及び令第35条の7に規定する車両(以下「緊急自動車等」という。)については、道路管理者の許可を受けることなく特定車両停留施設を利用できることとされ、また、法第48条の35第1項及び令第35条の9の規定により、当該緊急自動車等については停留料金を徴収しないこととされた。

(3) 特定車両停留施設の構造及び設備に関する基準

法第48条の31の規定の委任を受け、特定車両停留施設の構造及び設備に関する基準を定める省令が制定され、当該施設の特定車両の出入口、誘導車路、操車場所、停留場所等の構造及び設備の基準が定められた。

特に、同省令第3条において、特定車両の出口及び入口に係る規定が設けられたところ、同条第3項において、同条第1項及び第2項の規定は、道路管理者が特定車両停留施設の存する地域を管轄する都道府県公安委員会と協議して当該出口又は入口の設置が当該道路における道路交通の円滑と安全を阻害しないと認める場合については適用しないこととされた。

(4) 都道府県公安委員会との調整

法第95条の2第1項の規定により、道路管理者は、特定車両停留施設を設けようとするときは、当該施設を設けようとする地域を管轄する都道府県公安委員会の意見を聴かなければならないこととされた。

3 自動車駐車場等運営事業関係

法第48条の40の規定により、道路管理者が、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(平成11年法律第117号)に基づき、事業者に自動車駐車場等運営権を設定し、当該道路管理者に代わって当該事業者が自動車駐車場等の運営等を行い、当該駐車場等の利用に係る料金を自らの収入として収受することができることとされた。

この点、自動車駐車場等運営権者は、道路管理者に代わって当該自動車駐車場等の運営等を行っている者であることを踏まえ、法第48条の45の規定により、自動車駐車場等運営権者が運営等を行う自動車駐車場等において規則第4条の24に定める行為を行う際、自動車駐車場等運営権者と道路管理者との協議が成立することをもって、法第24条本文の規定による承認又は法第32条第1項若しくは第3項の規定による許可があったものとみなされることとされ、この場合において、当該行為のうち道路の占用について道路交通法第77条第1項の規定の適用を受けるものであるときは、道路管理者はあらかじめ当該地域を管轄する警察署長に協議するものとされた。

4 歩行者利便増進道路関係

(1) 歩行者利便増進道路の指定制度

法第48条の20第1項の規定により、道路管理者は、道路の構造、車両及び歩行者の通行並びに沿道の土地利用の状況並びにこれらの将来の見通しその他の事情を勘案して、歩行者の安全かつ円滑な通行及び利便の増進を図り、快適な生活環境の確保及び地域の活力の創造に資するため、その管理する道路(高速自動車国道及び自動車専用道路を除く。)のうち、歩行者の滞留の用に供する部分を確保し、及び法第33条第2項第3号に規定する歩行者利便増進施設等の適正かつ計画的な設置を誘導することが特に必要と認められるものについて、区間を定めて、歩行者利便増進道路として指定することができるものとされた。

また、法第95条の2第1項の規定により、道路管理者は、歩行者利便増進道路を指定しようとするとき、又は当該道路の改築を実施するときは、当該指定又は改築をしようとする道路の存する地域を管轄する都道府県公安委員会の意見を聴かなければならないこととされた。

(2) 歩行者利便増進道路のうち一部の区域における占用許可の基準の特例

法第33条第2項第3号の規定により、法第32条第1項第1号又は第4号から第7号までに掲げる工作物、物件又は施設のうち、歩行者の利便の増進に資するものとして政令で定めるもので、法第48条の20第1項に規定する歩行者利便増進道路(法第48条の21の技術的基準に適合するものに限る。)の区域のうち、道路管理者が歩行者利便増進施設等の適正かつ計画的な設置を誘導するために指定した区域(以下「利便増進誘導区域」という。)内に設けられるもの(道路の機能又は道路交通環境の維持及び向上を図るための清掃その他の措置であつて当該歩行者利便増進施設等の設置に伴い必要となるものが併せて講じられるものに限る。)については、法第33条第1項の規定にかかわらず、法第32条第1項又は第3項の許可を与えることができるものとされた(無余地性の基準の適用除外。)。

また、法第33条第3項の規定により、道路管理者は、利便増進誘導区域を指定しようとする際は、あらかじめ、当該利便増進誘導区域を管轄する警察署長に協議しなければならないこととされた。

(3) 歩行者利便増進道路における公募占用制度

法第48条の23から法第48条の29の規定により、利便増進誘導区域内における歩行者利便増進施設等について、当該施設等を設置する者を公募により決定することが、占用者の公平な選定を図るとともに、歩行者の利便の増進を図る上で特に有効であると認められる場合において、道路管理者が公募占用の指針を策定した上で、事業者等が当該指針を踏まえた計画を作成して道路管理者へ提出し、当該計画を道路管理者が評価・認定することで占用者を決定することとする公募占用制度が設けられた。

また、法第48条の25第3項の規定により、道路管理者は、当該計画の評価を行おうとする場合において、当該評価に係る歩行者利便増進計画に従って法第48条の23第1項に規定する公募対象歩行者利便増進施設等を設置する行為が道路交通法第77条第1項の規定の適用を受けるものであるときは、あらかじめ当該歩行者利便増進計画に記載された道路の占用の場所を管轄する警察署長に協議しなければならないこととされた。

なお、法第48条の27第1項の規定により、歩行者利便増進計画の変更の認定を行おうとする場合であって、当該変更後の歩行者利便増進計画による公募対象歩行者利便増進施設等の設置が道路交通法第77条第1項の規定の適用を受けるものであるときは、当該占用の場所を管轄する警察署長への協議を行うこととされた。

(4) 認定歩行者利便増進計画に基づく道路の占用の許可

歩行者利便増進計画が認定された後は、従前の占用許可の手続と同様に、歩行者利便増進計画に基づく占用許可申請を受けて道路の占用の許可を行うこととされた。

具体的には、法第48条の28第1項の規定により、法第48条の26第1項の認定を受けた者(以下「認定計画提出者」という。)は、同項の認定(法第48条の27条第1項の変更の認定を含む。)を受けた歩行者利便増進計画(変更があったときは、その変更後のもの。以下「認定歩行者利便増進計画」という。)に従って、法第48条の23第1項に規定する公募対象歩行者利便増進施設等を設置するほか、法第48条の28第2項の規定により、道路管理者は、認定計画提出者から認定歩行者利便増進計画に基づき法第32条第1項又は第3項の規定による許可の申請があった場合においては、これらの規定による許可を与えなければならないこととされた。

この場合、認定歩行者利便増進計画に基づく道路の占用が道路使用許可を必要とするときは、従前の占用許可の手続のとおり、法第32条第5項の規定により、道路管理者はあらかじめ当該占用の場所を管轄する警察署長への協議を行うことなる。

このとき、周辺の交通実態等について歩行者利便増進計画の評価を行った時点では予想されなかった変化があり、警察署長から認定歩行者利便増進計画の変更を求められた場合には、道路管理者は、認定計画提出者に当該計画の変更申請を求め、変更後の認定歩行者利便増進計画に基づいた道路占用許可申請書を提出させるものとされた。

第3 規制標識「許可車両専用(325の5―A~C)」及び「許可車両(組合せ)専用(325の6)」の新設

改正標識標示令により、特定車両停留施設の入口その他の特定車両停留施設内の必要な地点に設置する規制標識「許可車両専用(325の5―A~C)」及び「許可車両(組合せ)専用(325の6)」を新設し、交通の方法に関する教則(昭和53年国家公安委員会告示第3号)についても所要の改正を行った。

第4 留意事項

改正法附則第1条第2号の改正規定(限度超過車両の通行可能経路に係る登録確認制度及び指定登録確認機関関係)については、改正法の公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとされている。

(参考資料)

○ 道路法の一部を改正する法律(令和2年法律第31号)の官報の写し及び新旧対照条文

○ 道路法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令(令和2年政令第329号)の官報の写し及び新旧対照条文

○ 道路法等の一部を改正する法律の施行に伴う国土交通省関係省令の整備等に関する省令(令和2年国土交通省令第90号)の官報の写し

○ 特定車両停留施設の構造及び設備に関する基準を定める省令(令和2年国土交通省令第91号)の官報の写し

○ 道路標識、区画線及び道路標示に関する命令の一部を改正する命令(令和2年内閣府・国土交通省令第5号)の官報の写し

○ 交通の方法に関する教則の一部を改正する件(令和2年国家公安委員会告示第50号)の官報の写し

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道路法等の一部を改正する法律等の施行に伴う交通警察の対応について(依命通達)

令和3年1月6日 達(交規)第3号

(令和3年1月6日施行)

体系情報
交通部
沿革情報
令和3年1月6日 達(交規)第3号