○災害対策基本法等の一部を改正する法律の施行に伴う警察の対応について(依命通達)

令和3年5月27日

達(災対)第195号

[原議保存期間 5年(令和9年3月31日まで)]

[有効期間 令和9年3月31日まで]

みだしのことについては、次のとおり施行されたことから、運用上誤りのないようにされたい。

1 趣旨

災害対策基本法等の一部を改正する法律(令和3年法律第30号。以下「改正法」という。)等が本年5月10日に公布され、改正法については一部の規定を除き、令和3年5月20日から施行されたことから、本改正のうち、県警察に関係する主な内容及び運用上の留意事項を示すものである。

2 主な改正内容

(1) 災害時における円滑かつ迅速な避難の確保

ア 避難勧告と避難指示の一本化等(改正法による改正後の災害対策基本法(昭和36年法律第223号。以下「法」という。)第60条第1項等関係)

避難勧告で避難すべきであることが理解されていないこと、避難勧告と避難指示の違いが理解されておらず、避難指示が発令されるまで避難しない、いわゆる「指示待ち」の人が依然として多いこと等を踏まえ、避難勧告と避難指示を避難指示へ一本化することとした。

イ 緊急安全確保措置の指示(法第60条第3項等関係)

避難勧告と避難指示の一本化に併せ、災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、避難のための立退きを行うことによりかえって人の生命又は身体に危険が及ぶおそれがあり、かつ、事態に照らし緊急を要すると認めるときは、市町村長が必要と認める地域の必要と認める居住者等に対し、状況が切迫していることを伝え、高所への移動、近傍の堅固な建物への退避、屋内の屋外に面する開口部から離れた場所での待避その他の緊急に安全を確保するための措置(以下「緊急安全確保措置」という。)を指示できるようにすることとした。

(2) 個別避難計画の作成等(法第49条の14から第49条の17まで関係)

災害時における避難行動要支援者(要配慮者のうち、災害が発生し、又は災害が発生するおそれがある場合に自ら避難することが困難なものであって、その円滑かつ迅速な避難の確保を図るため特に支援を要するものをいう。以下同じ。)の円滑な避難の実効性を確保するため、当該避難行動要支援者ごとに避難支援等を実施する者等をあらかじめ定める計画(以下「個別避難計画」という。)の作成について、地方公共団体の取組を一層促進する必要があることから、その作成を市町村の努力義務とした。

(3) 災害対策の実施体制の強化等

ア 特定災害対策本部の新設(法第23条の3から第23条の7まで関係)

政府の災害対策の実施体制を強化するべく、非常災害に至らない規模の災害であって、人の生命又は身体に急迫した危険を生じさせ、地域の状況等の事情を勘案して災害応急対策を推進するため特別の必要がある特定災害については、当該災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、防災担当大臣等を本部長とする特定災害対策本部を設置できることとした。

イ 災害発生のおそれ段階での国の災害対策本部の設置(法第23条の3、第24条及び第28条の2関係)

気象庁による特別警報の発表を行う可能性がある旨の発表等を災害対応に最大限活かし、災害発生前であっても、国、地方公共団体、指定公共機関等が一体となって迅速に住民等の早期避難等の災害応急対策を実施できるよう、災害が発生するおそれ段階からこれら関係者との総合調整、指示等を行う国の災害対策本部を設置できることとした。

ウ 非常災害対策本部長の内閣総理大臣への変更(法第25条及び第28条関係)

法律上、内閣総理大臣を非常災害対策本部の本部長、関係閣僚を非常災害対策本部の構成員とし、さらに本部長に関係指定行政機関の長への指示権限を付与することなどにより、迅速性や高度な判断・調整が求められる災害応急対策について、その実施体制を強化することとした。

(4) 広域避難の協議等及び居住者等の運送(法第61条の4から第61条の8まで関係)

平常時における地方公共団体間や地方公共団体と運送事業者間の協定締結の促進を図りつつも、広域避難(災害が発生するおそれがある場合において、居住者等の生命又は身体を災害から保護するため当該居住者等を一定期間他の市町村の区域に滞在させることをいう。以下同じ。)等の円滑な実施を確保するため、広域避難の協議や居住者等の運送の要請ができるよう規定を整備するなどした。

3 警察関係の留意事項

(1) 警察官による緊急安全確保措置の指示(法第60条及び第61条関係)

法第61条第1項では、市町村長が法第60条第3項の緊急安全確保措置を指示することができないと認めるとき、又は市町村長から要求があったときは、警察官が同措置を指示することができることとされた。この際、警察官は居住者等に対し、高所への移動、近傍の堅固な建物への退避、屋内の屋外に面する開口部から離れた場所での待避等のとるべき措置を指示することとなる。

なお、改正前の災害対策基本法第61条第1項では、警察官は屋内での退避等の安全確保措置を指示できることとされていたが、改正法により、屋内での行動だけでなく、近傍の堅固な建物への退避等の屋外への移動も指示できることとなった。

災害対応に当たる全ての警察官がこの指示を行い得ることから、職員への周知徹底を図ること。

(2) 個別避難計画の作成等(法第49条の14から第49条の17まで関係)

ア 従来より、市町村において、地域の特性や実情を踏まえつつ、個別に避難行動要支援者と具体的な打合せ等を行いながら個別避難計画が作成されてきたが、令和元年東日本台風や令和2年7月豪雨等近年の災害においても高齢者をはじめとする避難行動要支援者が被害にあっていること等から、今般、個別避難計画の作成を市町村の努力義務とするなどの改正が行われた。個別避難計画の作成に係る具体的な運用については、今後、内閣府から別途指針が示される見通しであることから、同指針に留意すること。

イ 法第49条の15第2項の規定に従い、市町村の条例で個別避難計画情報(個別避難計画に記載し、又は記録された情報をいう。以下同じ。)提供について特別の定めが置かれている場合は、その趣旨に基づいて個別避難計画情報の提供を求めること。

ウ 提供を受けた個別避難計画情報は、法第49条の16及び第49条の17の規定の趣旨を踏まえ、適切に管理すること。

(3) 広域避難の協議等及び居住者等の運送(法第61条の4から第61条の8まで関係)

災害対策基本法施行規則の一部を改正する内閣府令(令和3年内閣府令第30号)による改正後の災害対策基本法施行規則(昭和37年総理府令第52号)第2条の3の規定により、都道府県公安委員会は、法第61条の4、第61条の5及び第61条の6の各規定に基づく広域避難の協議に当たり、市町村長から広域避難に係る通知を受けることが想定されている。

福島県公安委員会が同通知を受けた場合には、当該広域避難に伴う混乱防止や社会秩序の維持に努めるとともに、円滑な広域避難に支障が生じることのないよう適切に対応すること。また、都道府県外広域避難にわたる場合は、関係都道府県警察と連携し、適切な対応に努めること。

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災害対策基本法等の一部を改正する法律の施行に伴う警察の対応について(依命通達)

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(令和3年5月27日施行)

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