○「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」に基づく対策の推進について(依命通達)

令和3年5月14日

達(少対、生環)第183号

[原議保存期間 3年(令和7年3月31日まで)]

[有効期間 令和7年3月31日まで]

みだしのことについては、次のとおり定め、令和3年6月1日から施行することとしたので効果的な活動の推進に努められたい。

なお、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律の一部を改正する法律」に基づく対策の推進について(平成30年1月23日付け達(少、生環)第31号)は、廃止する。

1 趣旨

青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律(平成20年法律第79号。以下「法」という。)については、制定時に主に流通していた従来型の携帯電話を想定して制定された。その後、スマートフォン、携帯電話回線を利用するタブレット等の機器やアプリケーション、公衆無線LAN経由のインターネットの利用が急速に拡大し、青少年をめぐるインターネット環境が大きく変化するなど、制定当時の措置では対応が困難となったことから、平成29年には法の一部を改正し、現在に至っている。

しかしながら、SNS等インターネット利用に起因する犯罪被害に遭う児童が後を絶たない現況にあることから、各種取組を推進し、SNS等利用に係る児童の犯罪被害や非行防止を図るものである。

2 インターネット利用に起因する児童の犯罪被害等防止に関する取組

(1) 保護者に対する啓発活動の強化

ア フィルタリング利用の一層の促進

保護者に対して、その有効性などフィルタリングに対する理解を幅広く浸透させ、フィルタリング利用の更なる促進を図ること。

イ 学校等と連携した効果的な啓発

学校や教育委員会等と連携の上、進学・進級時における保護者説明会等、多くの保護者が参加する学校行事等の機会を有効に活用し、児童の犯罪被害や非行を防止するための対策等について啓発活動を実施するとともに、説明会等に参加できない保護者に対しても、啓発資料が確実に配布されるよう学校等の協力を得るなどして、より多くの保護者に啓発の効果が行き渡るように努めること。

ウ 最新の情勢を踏まえた分かりやすい啓発

スマートフォン等の利用に係る児童の犯罪被害や非行の実態、タブレット端末、携帯ゲーム機、携帯音楽プレーヤー等の児童が利用する機器に応じた適切な管理方法、各事業者が提供するフィルタリング、家庭でのルールづくり等について、可能な限り最新の情報に基づいた内容とし、保護者にとって分かりやすい説明に配意すること。

(2) 携帯電話インターネット接続役務提供事業者等(以下「携帯ISP等」という。)に対する要請の徹底

携帯ISP等は、法により、携帯電話回線契約の締結と併せて販売される携帯電話端末等について、青少年又は保護者に対し、携帯電話回線に係るフィルタリングのほか、無線LAN回線のフィルタリングや、青少年有害情報の閲覧を可能とする出会い系やアダルト系等のアプリケーションの利用を制限するアプリフィルタリングの設定等を法律上の義務として課されている。

また、平成31年に改正した福島県青少年健全育成条例(昭和53年福島県条例第30号)第29条の2においては、

ア 携帯ISP等は、青少年又は保護者に対し、フィルタリング有効化措置の内容を説明した上で、これらの事項を記載した書面若しくは記録した電磁的記録を交付しなければならない(同条第1項)

イ フィルタリング有効化措置を希望しない保護者は、携帯ISP等に対し当該措置を適用しない理由書を提出しなければならない(同条第2項)

ウ 携帯ISP等は、フィルタリング有効化措置を適用しない契約を締結した場合には、その書面等を保存しなければならない(同条第3項)

ことが具体的に規定されていることから、フィルタリングの利用推奨等のフィルタリング普及のための取組が一層徹底されるよう、管内の携帯ISP等に対する要請を徹底すること。

(3) 児童に対する情報モラル教育の推進

SNSに起因する被害児童数は、平成21年以降、全国で毎年1,000人を超える高い水準で推移しているが、被害事例を見ると、多くの児童がインターネット上で知り合った者と接触することに抵抗を感じていないほか、SNS上における個人情報の公開や、不正なアプリケーションのダウンロードによる端末、利用者情報等の外部送信の危険性に対する認識が希薄であることがうかがえる。

他方、インターネット上での不適切な書き込みや画像等の投稿により、児童が検挙・補導される事案も多発するなど、インターネットの特性や自己の行為の重大性を十分に認識できていない児童も多く認められるところである。

このような情勢を踏まえ、次に掲げる事項に留意の上、児童に対する情報モラル教育を推進すること。

ア 具体的な事例に基づく啓発

非行防止教室等において、具体的な被害事例や非行事例を基に、インターネットの特性や危険性について啓発するとともに、教職員が活用できるような最新の事例や対策に関する情報を学校に提供するなど、児童の情報モラルを向上させるための取組を推進すること。

イ 児童の発達段階に応じた分かりやすい啓発

携帯ゲーム機等の利用により、低年齢児童が被害に遭う事例もみられることから、児童がその発達段階に応じて適切にインターネットを利用できるよう、児童の年齢等を踏まえた分かりやすい啓発に努めること。

(4) 関係機関・団体、事業者等との連携の強化

ア 効果的な体制の構築

取組の推進に当たっては、学校等の関係機関や携帯ISP等の関係事業者と、相互に連携した取組が推進できるよう効果的な体制の構築に努めること。

イ ボランティア等の活用

(ア) サイバー防犯ボランティアの効果的活用

サイバー防犯ボランティア、その他の関係者に対し、実際のSNSの書き込み内容を示すなどして児童被害の実態を説明し、SNSにおける児童被害防止対策が急務であることを認識させ、サイバーパトロールによる不適切な書き込み等の発見、事業者への通報活動を行ってもらうなど、サイバー防犯ボランティアの力を最大限引き出すとともに、効率的かつ積極的に活動を行うことができるよう支援にも努めること。

(イ) 少年警察ボランティアの効果的活用

少年警察ボランティアに対し、委嘱時の研修や各種会議等において、インターネット利用に起因する児童の犯罪被害等の実態のほか、インターネットの特性や危険性について幅広く情報提供を行うとともに、街頭補導活動等の機会を利用した啓発活動の実施を促すなど、少年警察ボランティアの効果的な活用に努めること。

ウ 職員の知識の向上等

少年の健全育成を目的とした啓発活動を積極的に行っているインターネット関連事業者もあることから、必要に応じて、専門的知識のあるこれらの事業者に協力を求め、連携した啓発活動を実施するとともに、警察職員を対象とした研修会等に講師として招致するなどして、職員の知識の向上にも努めること。

3 報告

インターネット利用に起因する児童の犯罪被害等防止に関する取組については、別に定める「少年非行防止等対策推進結果」、「学校・警察児童生徒健全育成対策推進制度連絡票」等既存の報告様式により、その都度報告すること。

4 新型コロナウイルス感染防止対策の徹底

最近の新型コロナウイルス感染症をめぐる情勢を踏まえ、各種活動については、その必要性及び緊急性を検討して実施を判断することとし、職員の感染防止に最大限留意すること。

「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」に基づく対策…

令和3年5月14日 達(少対、生環)第183号

(令和3年6月1日施行)

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令和3年5月14日 達(少対、生環)第183号