○生活道路の交通安全に係る新たな連携施策「ゾーン30プラス」の推進について(依命通達)

令和3年9月29日

達(交規)第301号

[原議保存期間 5年(令和9年3月31日まで)]

[有効期間 令和9年3月31日まで]

対号 平成28年10月4日付け達(交規)第359号「ゾーン30の更なる推進について」

みだしのことについては、次のとおり定め、令和3年9月29日から施行することとしたので、実効性のある交通安全対策に取り組まれたい。

なお、ゾーン30の整備方針について(令和3年6月2日付け達(交規)第204号)は、廃止する。

1 趣旨

生活道路におけるゾーン対策については、対号通達に基づき推進中であるが、この度、警察庁では国土交通省道路局と共に、別紙1のとおり「生活道路の交通安全に係る新たな連携施策「ゾーン30プラス」について」を取りまとめ、今後、物理的デバイスの設置等を支援してきた「生活道路対策エリア」に代わり、最高速度30キロメートル毎時の区域規制と物理的デバイスとの適切な組合せにより交通安全の向上を図ろうとする区域を「ゾーン30プラス」として設定し、生活道路における人優先の安全・安心な通行空間の整備の更なる推進を図ることとしたところであり、同局から各地方整備局道路部長等に対して別紙2のとおり通知されている。

このため、県内各署においても、今後、別紙1のとおり「ゾーン30プラス」について道路管理者と緊密に連携し、地域住民、道路利用者等の合意形成を図りながら、実効性のある交通安全対策に取り組むこととしたものである。

2 「ゾーン30プラス」の概要

(1) 要件

「ゾーン30プラス」に対する地域住民の合意が得られ、次のいずれにも該当する区域の中から、警察と道路管理者が協議して設定する。

ア 最高速度30km/hの区域規制が実施され、又は実施が予定されていること。

イ 警察、道路管理者及び地域の関係者等との間で、ドライバーの法令遵守意識を十分に高めるための物理的デバイスの設置について、適切に検討され、実施され、又は実施が予定されていること。

(2) 整備計画の策定

管内の交通事故発生状況や地域の課題、地域の関係者等からの要望を踏まえて「ゾーン30プラス」の整備計画を策定し、交通規制課長に対して報告すること。

なお、報告要領については、別途連絡する。

(3) 「ゾーン30プラス」の入口の明確化

「ゾーン30プラス」の入口には、当該区域内が歩行者等の通行が最優先される道路環境であること及び物理的デバイスが設置されていることをドライバーに周知し、車両の速度及び通過交通を抑制するため、原則として、全国統一のシンボルマーク入りの法定外表示及び看板を設置する。

なお、法定外表示及び看板の設置については、道路管理者と必要な調整を行うこと。

3 広報

各署においては、「ゾーン30プラス」の効果、整備箇所等について、あらゆる機会を捉え、積極的に広報活動を推進すること。

別紙1

令和3年8月

警察庁交通局

交通規制課

国土交通省道路局

国道・技術課

環境安全・防災課

生活道路の交通安全に係る新たな連携施策「ゾーン30プラス」について

1 目的

「第11次交通安全基本計画」においては、生活道路における安全確保、地域が一体となった交通安全対策の推進等が重視すべき視点とされるとともに、講じようとする施策として、生活道路等における人優先の安全・安心な歩行空間の整備が掲げられ、その具体的手法として、物理的デバイスと組み合わせたゾーン規制の活用等が位置付けられたところである。

物理的デバイスについては、車両の速度を物理的に低下させることに加え、運転者に対し、その周辺においては、歩行者等の安全確保に一層の注意を払うべきである旨周知する効果も期待されるとともに、設置に際しての地域における検討等の過程が参加・協働型の交通安全対策の推進等にも資するものである。

これらのことを踏まえて、物理的デバイスの設置等を支援してきた「生活道路対策エリア」に代わり、最高速度30km/hの区域規制と物理的デバイスとの適切な組合せにより交通安全の向上を図ろうとする区域を「ゾーン30プラス」として設定し、生活道路における人優先の安全・安心な通行空間の整備の更なる推進を図ることを目的とする。

2 「ゾーン30プラス」の要件

歩行者等の通行が最優先され、通過交通が可能な限り抑制されるという基本的なコンセプトに対する地域住民の同意が得られ、次のいずれにも該当する区域の中から、警察と道路管理者が協議して設定する。

(1) 最高速度30km/hの区域規制が実施され、又は実施が予定されていること。

(2) 警察と道路管理者、地域の関係者等との間で、ドライバーの法令遵守意識を十分に高めるための物理的デバイスの設置について、適切に検討され、実施され、又は実施が予定されていること。

3 整備計画の策定等

警察及び道路管理者は、交通事故発生状況や地域の課題、地域の関係者等からの要望等を踏まえて、「ゾーン30プラス」の整備計画を共同で策定し、それぞれ都道府県警察本部及び北海道開発局、地方整備局又は沖縄総合事務局(以下「整備局等」という。)に対して報告する。

なお、整備計画の策定に当たっての考え方は、次のとおりであり、計画策定までに地域住民等の合意形成が図られるよう留意する。

(1) 既存の生活道路対策エリア

ア 既にゾーン30による低速度規制と物理的デバイスの設置が実施されている区域

低速度規制区域の拡大等の見直しや物理的デバイスの増設等対策の更なる充実について検討する。

イ 既にゾーン30による低速度規制が実施されているが、物理的デバイスが設置されていない区域

物理的デバイスを適切に、かつ、早期に設置する整備計画を立案する。

(2) 既存のゾーン30

ア 既に物理的デバイスが設置されている区域

低速度規制区域の拡大等の見直しや物理的デバイスの増設等対策の更なる充実について検討する。

イ 物理的デバイスが設置されていない区域

物理的デバイスを適切に、かつ、早期に設置する整備計画を立案する。

(3) (1)及び(2)以外の区域

地域の関係者等が歩行者等の通行を最優先して車両の速度及び通過交通を抑制する対策を望む区域について、積極的に「ゾーン30プラス」の整備を検討する。

4 「ゾーン30プラス」の入口の明確化

「ゾーン30プラス」の入口には、当該区域内が歩行者等の通行が最優先される道路環境であること及び物理的デバイスが設置されていることをドライバーに周知し、車両の速度及び通過交通を抑制するため、原則として、全国統一のシンボルマーク入りの法定外表示及び看板を入口に設置する。

5 整備計画の進捗管理及び効果検証

警察及び道路管理者は、相互に連携して整備計画の進捗管理を行い、整備計画において実施することとした短期対策(最高速度30km/hの区域規制及び物理的デバイスによる対策)及び中長期対策(道路改築等による対策)が完了した段階において、それぞれ都道府県警察本部及び整備局等に対して報告する。

また、「ゾーン30プラス」の整備後における当該区域内及びその周辺道路の交通事故発生状況、車両の速度及び通過交通の抑制等の効果について検証を行い、それぞれ都道府県警察本部及び整備局等に対して報告する。

6 広報

警察及び道路管理者は、あらゆる機会や各種広報媒体を活用し、「ゾーン30プラス」の整備箇所やその効果等について積極的に広報する。

7 留意事項

(1) 「ゾーン30プラス」においては、最高速度30km/hの区域規制と物理的デバイスの設置に加え、例えば、次による対策の充実を図ること。

ア 歩行空間の確保・明示

必要に応じて、歩道の確保や路側帯の拡幅、あるいは歩車共存空間の確保を図るとともに、その趣旨に応じたカラー舗装や車道外側線、防護柵及びボラードの整備等を行う。

イ 各種交通規制の実施

交通実態等に応じて、区域内における大型通行禁止、一方通行、一時停止、周辺道路における進行方向別通行区分といった各種交通規制を実施するとともに、既に実施されている交通規制の効果を高めるため、道路標識・道路標示の高輝度化等を行う。

ウ 信号機の改良

区域内への車両の流入を抑制するため、周辺道路における信号機の改良等による円滑化対策を行う。

(2) 「通学路交通安全プログラム」等の既存の推進体制を活用し、学校等の関係機関と連携しながら、地域住民等の合意形成を図るとともに、PDCAサイクルに基づいた対策の改善・充実を図り、効果的かつ効率的な「ゾーン30プラス」の整備を推進する。

(3) 都道府県道路交通環境安全推進連絡会議等では、ETC2.0で収集したビッグデータを活用し、車両の速度に関する情報や抜け道利用に関する情報、急挙動情報等を提供するとともに、交通安全の現地診断を行い得る有識者等のあっせんを行っていることから、警察及び道路管理者は、整備計画の策定及び効果検証等に当たって、必要に応じ、同連絡会議等の技術的支援を求める。

(4) 面的な交通安全対策を要しない場合であっても、通学路をはじめ、歩行者等の安全な通行を確保するため、車両の速度を抑制する必要がある場合には、「ゾーン30プラス」に準じて、路線ごとの低速度規制を実施するとともに、物理的デバイスを設置するなど、警察及び道路管理者が連携し、地域住民等の合意形成を図りながら、実効性のある交通安全対策を推進する。

別紙2

令和3年8月26日

国道国技第113号

国道交安第21号

/北海道開発局建設部長/各地方整備局道路部長/沖縄総合事務局開発建設部長/}殿

国土交通省道路局

国道・技術課長

環境安全・防災課長

生活道路の交通安全に係る新たな連携施策「ゾーン30プラス」の推進について

「生活道路の交通安全に係る新たな連携施策について」(令和3年3月29日付け国道国技第224号、国道交安第36号)において、ゾーン30等による低速度規制と物理的デバイス等の適切な組合せにより交通安全の向上を図ろうとするエリアに関する要件や整備の進め方を通知したところであるが、今般、警察庁交通局とともに、別添1のとおり「生活道路の交通安全に係る新たな連携施策「ゾーン30プラス」について」を取りまとめた。

これを参考に各道路管理者と各都道府県警察が緊密に連携した整備が推進されるよう、技術的助言を行うなど適切に対応するとともに、直轄国道においても関係機関等と連携して適切な整備に取り組まれたい。また、貴管内の都道府県道路交通環境安全推進連絡会議等に対して、本取組に協力するよう依頼されたい。

加えて、貴管内の都道府県、政令市に対して、本通知の内容を周知するとともに、都道府県から管内の市町村(政令市を除く)に対し、本通知の内容を周知するようお願いされたい。

なお、本件については、警察庁から都道府県警察に対して別添2のとおり通知がなされていること及び、「生活道路の交通安全に係る新たな連携施策について」(令和3年3月29日付け国道国技第224号、国道交安第36号)は廃止することを申し添える。

[別添1]

令和3年8月

警察庁交通局

交通規制課

国土交通省道路局

国道・技術課

環境安全・防災課

生活道路の交通安全に係る新たな連携施策「ゾーン30プラス」について

1 目的

「第11次交通安全基本計画」においては、生活道路における安全確保、地域が一体となった交通安全対策の推進等が重視すべき視点とされるとともに、講じようとする施策として、生活道路等における人優先の安全・安心な歩行空間の整備が掲げられ、その具体的手法として、物理的デバイスと組み合わせたゾーン規制の活用等が位置付けられたところである。

物理的デバイスについては、車両の速度を物理的に低下させることに加え、運転者に対し、その周辺においては、歩行者等の安全確保に一層の注意を払うべきである旨周知する効果も期待されるとともに、設置に際しての地域における検討等の過程が参加・協働型の交通安全対策の推進等にも資するものである。

これらのことを踏まえて、物理的デバイスの設置等を支援してきた「生活道路対策エリア」に代わり、最高速度30km/hの区域規制と物理的デバイスとの適切な組合せにより交通安全の向上を図ろうとする区域を「ゾーン30プラス」として設定し、生活道路における人優先の安全・安心な通行空間の整備の更なる推進を図ることを目的とする。

2 「ゾーン30プラス」の要件

歩行者等の通行が最優先され、通過交通が可能な限り抑制されるという基本的なコンセプトに対する地域住民の同意が得られ、次のいずれにも該当する区域の中から、警察と道路管理者が協議して設定する。

(1) 最高速度30km/hの区域規制が実施され、又は実施が予定されていること。

(2) 警察と道路管理者、地域の関係者等との間で、ドライバーの法令遵守意識を十分に高めるための物理的デバイスの設置について、適切に検討され、実施され、又は実施が予定されていること。

3 整備計画の策定等

警察及び道路管理者は、交通事故発生状況や地域の課題、地域の関係者等からの要望等を踏まえて、「ゾーン30プラス」の整備計画を共同で策定し、それぞれ都道府県警察本部及び北海道開発局、地方整備局又は沖縄総合事務局(以下「整備局等」という。)に対して報告する。

なお、整備計画の策定に当たっての考え方は、次のとおりであり、計画策定までに地域住民等の合意形成が図られるよう留意する。

(1) 既存の生活道路対策エリア

ア 既にゾーン30による低速度規制と物理的デバイスの設置が実施されている区域

低速度規制区域の拡大等の見直しや物理的デバイスの増設等対策の更なる充実について検討する。

イ 既にゾーン30による低速度規制が実施されているが、物理的デバイスが設置されていない区域

物理的デバイスを適切に、かつ、早期に設置する整備計画を立案する。

(2) 既存のゾーン30

ア 既に物理的デバイスが設置されている区域

低速度規制区域の拡大等の見直しや物理的デバイスの増設等対策の更なる充実について検討する。

イ 物理的デバイスが設置されていない区域

物理的デバイスを適切に、かつ、早期に設置する整備計画を立案する。

(3) (1)及び(2)以外の区域

地域の関係者等が歩行者等の通行を最優先して車両の速度及び通過交通を抑制する対策を望む区域について、積極的に「ゾーン30プラス」の整備を検討する。

4 「ゾーン30プラス」の入口の明確化

「ゾーン30プラス」の入口には、当該区域内が歩行者等の通行が最優先される道路環境であること及び物理的デバイスが設置されていることをドライバーに周知し、車両の速度及び通過交通を抑制するため、原則として、全国統一のシンボルマーク入りの法定外表示及び看板を入口に設置する。

5 整備計画の進捗管理及び効果検証

警察及び道路管理者は、相互に連携して整備計画の進捗管理を行い、整備計画において実施することとした短期対策(最高速度30km/hの区域規制及び物理的デバイスによる対策)及び中長期対策(道路改築等による対策)が完了した段階において、それぞれ都道府県警察本部及び整備局等に対して報告する。

また、「ゾーン30プラス」の整備後における当該区域内及びその周辺道路の交通事故発生状況、車両の速度及び通過交通の抑制等の効果について検証を行い、それぞれ都道府県警察本部及び整備局等に対して報告する。

6 広報

警察及び道路管理者は、あらゆる機会や各種広報媒体を活用し、「ゾーン30プラス」の整備箇所やその効果等について積極的に広報する。

7 留意事項

(1) 「ゾーン30プラス」においては、最高速度30km/hの区域規制と物理的デバイスの設置に加え、例えば、次による対策の充実を図ること。

ア 歩行空間の確保・明示

必要に応じて、歩道の確保や路側帯の拡幅、あるいは歩車共存空間の確保を図るとともに、その趣旨に応じたカラー舗装や車道外側線、防護柵及びボラードの整備等を行う。

イ 各種交通規制の実施

交通実態等に応じて、区域内における大型通行禁止、一方通行、一時停止、周辺道路における進行方向別通行区分といった各種交通規制を実施するとともに、既に実施されている交通規制の効果を高めるため、道路標識・道路標示の高輝度化等を行う。

ウ 信号機の改良

区域内への車両の流入を抑制するため、周辺道路における信号機の改良等による円滑化対策を行う。

(2) 「通学路交通安全プログラム」等の既存の推進体制を活用し、学校等の関係機関と連携しながら、地域住民等の合意形成を図るとともに、PDCAサイクルに基づいた対策の改善・充実を図り、効果的かつ効率的な「ゾーン30プラス」の整備を推進する。

(3) 都道府県道路交通環境安全推進連絡会議等では、ETC2.0で収集したビッグデータを活用し、車両の速度に関する情報や抜け道利用に関する情報、急挙動情報等を提供するとともに、交通安全の現地診断を行い得る有識者等のあっせんを行っていることから、警察及び道路管理者は、整備計画の策定及び効果検証等に当たって、必要に応じ、同連絡会議等の技術的支援を求める。

(4) 面的な交通安全対策を要しない場合であっても、通学路をはじめ、歩行者等の安全な通行を確保するため、車両の速度を抑制する必要がある場合には、「ゾーン30プラス」に準じて、路線ごとの低速度規制を実施するとともに、物理的デバイスを設置するなど、警察及び道路管理者が連携し、地域住民等の合意形成を図りながら、実効性のある交通安全対策を推進する。

[別添2]

令和3年8月26日

警察庁丁規発第128号

[原議保存期間 10年(令和14年3月31日まで)]

[有効期間 一種(令和9年3月31日まで)]

警察庁交通局交通規制課長

/警視庁交通部長/各道府県警察本部長/ 殿

(参考送付先)

各管区警察局広域調整担当部長

警察大学校交通教養部長

生活道路の交通安全に係る新たな連携施策「ゾーン30プラス」の推進について(通達)

生活道路におけるゾーン対策については、「ゾーン30の推進について」(平成31年3月28日付け警察庁丙規発第11号)に基づき、各都道府県警察において推進中であるが、この度、国土交通省道路局と共に、別添1のとおり「生活道路の交通安全に係る新たな連携施策「ゾーン30プラス」について」を取りまとめ、今後、物理的デバイスの設置等を支援してきた「生活道路対策エリア」に代わり、最高速度30キロメートル毎時の区域規制と物理的デバイスとの適切な組合せにより交通安全の向上を図ろうとする区域を「ゾーン30プラス」として設定し、生活道路における人優先の安全・安心な通行空間の整備の更なる推進を図ることとしたところであり、同局から各地方整備局道路部長等に対して別添2のとおり通知されていることから、道路管理者と緊密に連携し、地域住民及び道路利用者等の合意形成を図りながら、実効性のある交通安全対策に取り組まれたい。

なお、「ゾーン30の整備方針について」(令和3年3月29日付け警察庁丁規発第47号)は廃止する。

[別添1]

令和3年8月

警察庁交通局

交通規制課

国土交通省道路局

国道・技術課

環境安全・防災課

生活道路の交通安全に係る新たな連携施策「ゾーン30プラス」について

1 目的

「第11次交通安全基本計画」においては、生活道路における安全確保、地域が一体となった交通安全対策の推進等が重視すべき視点とされるとともに、講じようとする施策として、生活道路等における人優先の安全・安心な歩行空間の整備が掲げられ、その具体的手法として、物理的デバイスと組み合わせたゾーン規制の活用等が位置付けられたところである。

物理的デバイスについては、車両の速度を物理的に低下させることに加え、運転者に対し、その周辺においては、歩行者等の安全確保に一層の注意を払うべきである旨周知する効果も期待されるとともに、設置に際しての地域における検討等の過程が参加・協働型の交通安全対策の推進等にも資するものである。

これらのことを踏まえて、物理的デバイスの設置等を支援してきた「生活道路対策エリア」に代わり、最高速度30km/hの区域規制と物理的デバイスとの適切な組合せにより交通安全の向上を図ろうとする区域を「ゾーン30プラス」として設定し、生活道路における人優先の安全・安心な通行空間の整備の更なる推進を図ることを目的とする。

2 「ゾーン30プラス」の要件

歩行者等の通行が最優先され、通過交通が可能な限り抑制されるという基本的なコンセプトに対する地域住民の同意が得られ、次のいずれにも該当する区域の中から、警察と道路管理者が協議して設定する。

(1) 最高速度30km/hの区域規制が実施され、又は実施が予定されていること。

(2) 警察と道路管理者、地域の関係者等との間で、ドライバーの法令遵守意識を十分に高めるための物理的デバイスの設置について、適切に検討され、実施され、又は実施が予定されていること。

3 整備計画の策定等

警察及び道路管理者は、交通事故発生状況や地域の課題、地域の関係者等からの要望等を踏まえて、「ゾーン30プラス」の整備計画を共同で策定し、それぞれ都道府県警察本部及び北海道開発局、地方整備局又は沖縄総合事務局(以下「整備局等」という。)に対して報告する。

なお、整備計画の策定に当たっての考え方は、次のとおりであり、計画策定までに地域住民等の合意形成が図られるよう留意する。

(1) 既存の生活道路対策エリア

ア 既にゾーン30による低速度規制と物理的デバイスの設置が実施されている区域

低速度規制区域の拡大等の見直しや物理的デバイスの増設等対策の更なる充実について検討する。

イ 既にゾーン30による低速度規制が実施されているが、物理的デバイスが設置されていない区域

物理的デバイスを適切に、かつ、早期に設置する整備計画を立案する。

(2) 既存のゾーン30

ア 既に物理的デバイスが設置されている区域

低速度規制区域の拡大等の見直しや物理的デバイスの増設等対策の更なる充実について検討する。

イ 物理的デバイスが設置されていない区域

物理的デバイスを適切に、かつ、早期に設置する整備計画を立案する。

(3) (1)及び(2)以外の区域

地域の関係者等が歩行者等の通行を最優先して車両の速度及び通過交通を抑制する対策を望む区域について、積極的に「ゾーン30プラス」の整備を検討する。

4 「ゾーン30プラス」の入口の明確化

「ゾーン30プラス」の入口には、当該区域内が歩行者等の通行が最優先される道路環境であること及び物理的デバイスが設置されていることをドライバーに周知し、車両の速度及び通過交通を抑制するため、原則として、全国統一のシンボルマーク入りの法定外表示及び看板を入口に設置する。

5 整備計画の進捗管理及び効果検証

警察及び道路管理者は、相互に連携して整備計画の進捗管理を行い、整備計画において実施することとした短期対策(最高速度30km/hの区域規制及び物理的デバイスによる対策)及び中長期対策(道路改築等による対策)が完了した段階において、それぞれ都道府県警察本部及び整備局等に対して報告する。

また、「ゾーン30プラス」の整備後における当該区域内及びその周辺道路の交通事故発生状況、車両の速度及び通過交通の抑制等の効果について検証を行い、それぞれ都道府県警察本部及び整備局等に対して報告する。

6 広報

警察及び道路管理者は、あらゆる機会や各種広報媒体を活用し、「ゾーン30プラス」の整備箇所やその効果等について積極的に広報する。

7 留意事項

(1) 「ゾーン30プラス」においては、最高速度30km/hの区域規制と物理的デバイスの設置に加え、例えば、次による対策の充実を図ること。

ア 歩行空間の確保・明示

必要に応じて、歩道の確保や路側帯の拡幅、あるいは歩車共存空間の確保を図るとともに、その趣旨に応じたカラー舗装や車道外側線、防護柵及びボラードの整備等を行う。

イ 各種交通規制の実施

交通実態等に応じて、区域内における大型通行禁止、一方通行、一時停止、周辺道路における進行方向別通行区分といった各種交通規制を実施するとともに、既に実施されている交通規制の効果を高めるため、道路標識・道路標示の高輝度化等を行う。

ウ 信号機の改良

区域内への車両の流入を抑制するため、周辺道路における信号機の改良等による円滑化対策を行う。

(2) 「通学路交通安全プログラム」等の既存の推進体制を活用し、学校等の関係機関と連携しながら、地域住民等の合意形成を図るとともに、PDCAサイクルに基づいた対策の改善・充実を図り、効果的かつ効率的な「ゾーン30プラス」の整備を推進する。

(3) 都道府県道路交通環境安全推進連絡会議等では、ETC2.0で収集したビッグデータを活用し、車両の速度に関する情報や抜け道利用に関する情報、急挙動情報等を提供するとともに、交通安全の現地診断を行い得る有識者等のあっせんを行っていることから、警察及び道路管理者は、整備計画の策定及び効果検証等に当たって、必要に応じ、同連絡会議等の技術的支援を求める。

(4) 面的な交通安全対策を要しない場合であっても、通学路をはじめ、歩行者等の安全な通行を確保するため、車両の速度を抑制する必要がある場合には、「ゾーン30プラス」に準じて、路線ごとの低速度規制を実施するとともに、物理的デバイスを設置するなど、警察及び道路管理者が連携し、地域住民等の合意形成を図りながら、実効性のある交通安全対策を推進する。

平成28年10月4日

達(交規)第359号

各所属長 殿

交通部長

ゾーン30の更なる推進について(依命通達)

みだしのことについては、次のとおりであるので、計画的に推進されたい。

1 趣旨

県内のゾーン30の整備については、ゾーン30の推進について(平成23年11月22日付け達(交規)第405号。)以下「前通達」という。)に基づき、平成28年度末までに県内43箇所への整備を目標とし、計画的な整備を行ってきたところであるが、平成29年度以降も適切な箇所への整備を継続することとしたので、引き続き道路管理者等と連携の上、生活道路におけるゾーン対策を推進されたい。

なお、本通達の実施に伴い、前通達は廃止する。

2 整備目標数及び対象区域の選定

毎年度の整備目標数は、県内の交通実態を踏まえて、必要な調査を行った上で決定するものとし、対象区域については、各署の候補区域から選定を行うものとする。

3 ゾーン対策上の留意事項

(1) ゾーン設定の考え方

これまでのゾーン設定は、歩行者等の通行が最優先され、通過交通を可能な限り抑制すべき小・中学校等の通学路を含む区域等を選定の上、ゾーン対策を進めてきたところであるが、引き続きこの基本的な考え方に基づき、生活道路における有効な安全対策として、ゾーン30の更なる推進を図ることとする。

また、今後は、地域住民等の要望や現場の交通状況等を踏まえつつ、

○公共施設や病院・児童遊園など高齢者や子供が利用する施設等を含む区域

○観光施設等多数の歩行者等の通行が想定される区域

等で歩行者等の安全確保を図ることを念頭に入れ、より柔軟なゾーンの設定を検討すること。

(2) 綿密な分析の実施

より効果的な生活道路対策を実施するため、要対策箇所等の分析や対策実施後の効果検証に当たっては、交通事故発生状況や交通流・実勢速度の変化等を綿密に分析すること。

(3) 道路管理者と連携した物理的デバイスの設置

ゾーン内における自動車の速度抑制や通過交通の抑制を図るためには、ハンプ、狭さく、交差点のカラー化等の物理的なデバイスの設置が有効であることから、引き続き道路管理者に対し積極的に働き掛けを行い、物理的デバイスの設置を一層推進すること。

(4) ゾーン入口の明確化

ゾーン入口には、最高速度30km/hの背板付きの区域規制標識を設置し、必要に応じ「ゾーン30」の路面表示を併せて設置しているところであるが、ドライバーに対して、ゾーン内は歩行者等の通行が最優先される道路環境であることをより明確に認識させる観点から、シンボルマーク入り看板等法定外表示の活用は有効な対策と考えられるところ、引き続きゾーン入口を明確化するための施策を推進すること。

この際、同一の行政区域内や隣接する行政区域においては可能な限りその統一を図るなど、ドライバーにとって分かりやすい表示となるよう留意すること。

4 周知・広報等の推進

ゾーン30の周知・広報については、各署において、創意工夫により様々な取組を行っているところであるが、今後も、ゾーン30の趣旨及び設定箇所をドライバー等に周知し、通過交通と自動車の走行速度の抑制を図るため、あらゆる機会や各種広報媒体を活用して、積極的な情報発信に努めること。

5 その他

(1) 効果検証等

ゾーン30の整備によって、ゾーン内における交通事故抑止のほか、通過交通や自動車の走行速度が抑制され、歩行者や自転車の安全確保が優先される道路空間となっているか、定期的に効果を検証し、必要に応じ追加対策を講じるなどの見直しを行うこと。

(2) 報告

ゾーン30における物理的デバイスの整備状況や、住民等に対する周知方策については、交通情報等により交通規制課へ随時報告すること。

生活道路の交通安全に係る新たな連携施策「ゾーン30プラス」の推進について(依命通達)

令和3年9月29日 達(交規)第301号

(令和3年9月29日施行)

体系情報
交通部
沿革情報
令和3年9月29日 達(交規)第301号