○踏切道改良促進法等の一部を改正する法律等の施行に伴う交通警察の対応について(依命通達)

令和3年10月21日

達(交規)第330号

[原議保存期間 10年(令和14年3月31日まで)]

[有効期間 令和9年3月31日まで]

みだしのことについては、次のとおり定め、令和3年10月21日から施行することとしたので、誤りのないよう対応されたい。

1 趣旨

令和3年3月31日に公布された踏切道改良促進法等の一部を改正する法律(令和3年法律第9号。以下「改正法」という。)のうち、改正法附則第1条第2号に掲げられた規定が同年9日25日から施行された。

また、踏切道改良促進法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(令和3年政令第261号。以下「改正令」という。)、道路法施行規則等の一部を改正する省令(令和3年国土交通省令第58号。以下「改正規則」という。)、道路標識、区画線及び道路標示に関する命令の一部を改正する命令(令和3年内閣府・国土交通省令第4号。以下「改正標識標示令」という。)及び交通の方法に関する教則の一部を改正する件(令和3年国家公安委員会告示第52号)が同月24日に公布され、いずれも同月25日に施行された。

そこで、改正法による改正後の道路法(昭和27年法律第180号。以下「法」という。)、改正令による改正後の道路法施行令(昭和27年政令第479号。以下「令」という。)、改正規則による改正後の道路法施行規則(昭和27年建設省令第25号。以下「規則」という。)等のうち交通警察に関係する部分、対応上の留意事項等を示すものである。

なお、本通達の内容については、警察庁と国土交通省との間で協議済みである。

2 改正の概要

(1) 届出対象区域関係(法第44条の2)

道路管理者は、沿道区域の全部又は一部を届出対象区域として指定することができることとされ、当該指定をしようとする場合においては、あらかじめ、その旨及びその区域を公示しなければならないこととされた。

また、届出対象区域の区域内において、工作物の設置に関する行為をしようとする者は、当該行為に着手する日の30日前までに、条例(指定区間内の国道にあっては、国土交通省令)で定める事項を道路管理者に届け出なければならないこととされた。

さらに、道路管理者は、届出があった場合において、当該届出に係る行為が、災害が発生した場合において道路の構造に損害を及ぼすおそれ又は交通に危険を及ぼすおそれがあると認めるときは、当該届出をした者に対し、当該届出に係る行為に関し場所又は設計の変更その他の必要な措置を講ずべきことを勧告することができることとされた。

(2) 防災拠点自動車駐車場関係

ア 防災拠点自動車駐車場の指定制度の創設(法第48条の29の2)

国土交通大臣は、道路の附属物である自動車駐車場のうち、その規模、その接する道路の構造及び交通の状況並びにその近傍における災害応急対策に係る施設の立地その他の事情を勘案して、災害が発生した場合における円滑な避難又は緊急輸送の確保を図るため、広域災害応急対策の拠点としての機能の確保を図ることが特に必要と認められるものについて、あらかじめ、当該自動車駐車場の道路管理者に協議し、その同意を得た上で、防災拠点自動車駐車場として指定することができることとされた。

この点、広域災害応急対策については、規則第4条の16の2において、

(ア) 緊急輸送の確保

(イ) 消防、水防その他の応急措置

(ウ) 被災者の救難、救助その他保護

(エ) 施設及び設備の応急の復旧

(オ) 前各号に掲げるもののほか、災害の拡大の防止を図るため実施すべき応急の対策

と定められているところ、上記(オ)には、犯罪の予防、交通の規制その他災害地における社会秩序の維持に関する事項が含まれる。

なお、防災拠点自動車駐車場に指定される自動車駐車場は、いわゆる道の駅、サービスエリア、パーキングエリア等が想定されている。

イ 防災拠点自動車駐車場の利用の禁止又は制限(法第48条の29の3及び第48条の29の4)

道路管理者は、災害が発生した場合における被害の拡大を防ぎ、又は災害の速やかな復旧を図るため、防災拠点自動車駐車場の広域災害応急対策の拠点としての機能を緊急に確保することが特に必要であると認めるときは、当該防災拠点自動車駐車場について、広域災害応急対策の拠点としての利用以外の利用を禁止し、又はその利用を制限すること(以下「利用制限」という。)ができることとされ、利用制限を実施しようとする場合は、当該防災拠点自動車駐車場の入口その他必要な場所に、利用制限の対象を明らかにした道路標識を設けなければならないこととされた。

また、法第103条第7号において、利用制限に違反して防災拠点自動車駐車場を利用したときは、その違反行為をした者は、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処することとされている。

なお、利用制限には、防災拠点自動車駐車場の一部範囲をその対象とするものも含まれる。

ウ 災害応急対策施設管理協定の締結等(法第48条の29の5)

道路管理者は、災害時における広域災害応急対策の拠点としての機能の確保を図るため必要があると認めるときは、あらかじめ、防災拠点自動車駐車場に隣接する土地の区域に存する駐車場、備蓄倉庫、発電施設、通信設備その他災害応急対策に必要なものとして政令で定める工作物又は施設(以下「道路外災害応急対策施設」という。)の所有者等との間において、災害応急対策施設管理協定を締結して、当該道路外災害応急対策施設の管理を行うことができることとされた。

この点、道路外災害応急対策施設については、令第35条の7において、広告塔、看板、街灯その他これらに類する工作物であって、災害時において住民等に対する災害情報の伝達の用に供することができるもの等が定められているところ、当該災害情報には交通情報が含まれ得る。

エ 防災拠点自動車駐車場内における道路占用許可の基準の特例(法第33条第2項)

法第32条第1項第1号、第5号又は第7号に掲げる工作物、物件又は施設のうち、防災拠点自動車駐車場内に設けられる工作物又は施設で、災害応急対策に資するものとして政令で定めるものについては、法第33条第1項の規定に基づく政令で定める基準に適合すれば、同項の規定にかかわらず、法第32条第1項又は第3項の許可を与えることができることとされた(無余地性の基準の適用除外)

また、法第32条第1項第7号に掲げる工作物、物件又は施設については、令第7条において、防災拠点自動車駐車場に設ける備蓄倉庫、非常用電気等供給施設その他これらに類する施設で、災害応急対策の的確かつ円滑な実施のため必要であると認められるものが新たに追加された。

オ 都道府県公安委員会との調整(法第95条の2第1項)

道路管理者は、利用制限を実施しようとするときは、当該地域を管轄する都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)の意見を聴かなければならないこととされた。ただし、緊急を要するためやむを得ないと認められるときは、この限りでないものとされ、この場合には、事後において、速やかに利用制限の内容及び理由を通知しなければならないこととされた。

カ 規制標識「広域災害応急対策車両専用(325の7)」の新設

改正標識標示令により、道路管理者が防災拠点自動車駐車場の入口及び防災拠点自動車駐車場内の必要な地点に設置する規制標識「広域災害応急対策車両専用(325の7)」を新設するとともに、交通の方法に関する教則(昭和53年国家公安委員会告示第3号)についても所要の改正を行った。

なお、当該規制標識については、運用上、可搬型の標識を用いるなどして、利用制限を実施するときに限り表示することとされている。

(3) 避難施設関係

法第32条第1項第7号に掲げる工作物、物件又は施設として、令第7条第3号において、洪水又は高潮からの一時的な避難場所としての機能を有する堅固な施設(以下「洪水等避難施設」という。)が新たに規定された。

この点、洪水等避難施設の道路占用の場所に関する基準については、従前どおり、令第11条の7の規定が適用されることとなる。

3 交通警察の対応上の留意事項

(1) 届出対象区域関係

必要に応じて、法第44条の2第2項の規定により公示された内容の把握に努め、災害時における交通対策の検討の参考とすること。

なお、同条第4項第3号の規定により、国又は地方公共団体が行う行為については同条第3項に規定する届出は不要とされているところ、公安委員会は同号に規定する地方公共団体に含まれることから、福島県公安委員会が行う交通安全施設の設置行為等についても、当該届出は不要である。

(2) 防災拠点自動車駐車場関係

ア 防災拠点自動車駐車場の指定に係る調整

法第48条の29の2第1項の規定による国土交通大臣の防災拠点自動車駐車場の指定に先立ち、同条第2項の規定による国土交通大臣から道路管理者への協議が行われた際、運用上、当該道路管理者は、公安委員会との間で必要な調整を行うこととされている。よって、当該道路管理者から調整に係る連絡を受けた署及び高速道路交通警察隊(以下「署等」という。)は、交通規制課と必要な調整を行った上、過去の災害時における状況、緊急交通路指定予定路線との整合性、周辺道路の交通規制、交通状況等を勘案して、交通管理上必要な意見を申し述べること。

イ 利用制限の実施に係る意見聴取への対応

(ア) 利用制限の実施に係る意見聴取

法第95条の2第1項の規定により、道路管理者は、防災拠点自動車駐車場の利用制限を実施する際、福島県公安委員会に対して意見聴取を行うことから、署等にあっては、必要な意見を付して交通規制課経由で福島県公安委員会へ進達すること。

この場合において、交通規制課は、道路管理者に対して、過去の災害時における状況、当該利用制限の実施による交通流・量の変動、周辺道路の交通規制、交通状況等を勘案して、交通管理上必要な意見を申し述べること。

なお、緊急やむを得ない場合、道路管理者は、利用制限の内容を事後において、速やかに公安委員会へ通知するとされていることから、福島県公安委員会宛ての通知を受理した署等にあっては、通知内容を交通規制課経由で福島県公安委員会へ進達すること。

(イ) 利用制限を実施する区域の範囲に関する調整

運用上、道路管理者は、地域住民や道路利用者の避難場所としての利用に支障を生じさせないよう、あらかじめ、災害時に利用制限を実施する区域のおおむねの範囲について、広域災害応急対策の実施予定者等の関係機関と調整することとされている。よって、道路管理者から調整に係る連絡を受けた署等は、交通規制課経由で福島県公安委員会へ報告し、必要な調整を行った上で、利用制限の実施時に警察関係者・車両が支障なく当該防災拠点自動車駐車場を利用できるよう必要な調整を行うとともに、過去の災害時における状況、当該利用制限の実施による交通流・量の変動、周辺道路の交通規制、交通状況等を勘案して、交通管理上必要な意見を申し述べること。

(ウ) 防災拠点自動車駐車場を利用する車両に関する調整

運用上、道路管理者は、平時から、広域災害応急対策の実施予定者から利用予定の車両情報を収集し、利用制限の実施時には、広域災害応急対策の実施者から利用する車両情報の報告を受け、疑義があれば個別に調整を行うなど、広域災害応急対策の拠点としての利用者を地域住民や道路利用者等の一般利用者と区別して適切に確認するよう努めることとされている。よって、道路管理者から利用予定の車両情報収集に係る連絡を受けた署等は、交通規制課と必要な調整を行った上、利用制限の実施時に警察関係者・車両が支障なく当該防災拠点自動車駐車場を利用できるよう、平時から、必要とされる情報を道路管理者と適切に共有すること。

ウ 道路外災害応急対策施設から提供される災害情報に関する調整

運用上、道路管理者は、その管理する道路外災害応急対策施設から提供される災害情報の内容等について、公安委員会との間で事前に調整することとされている。よって、道路管理者から調整に係る連絡を受けた署等は、交通規制課経由で福島県公安委員会へ報告し、必要な調整を行った上で、過去の災害時における状況、当該災害情報の提供による交通流・量の変動、周辺道路の交通規制、交通状況等を勘案して、交通管理上必要な意見を申し述べること。

(3) 避難施設関係

運用上、洪水等避難施設については、改正令による改正前の道路法施行令第7条第3号に掲げられていた、津波からの一時的な避難場所としての機能を有する堅固な施設と同様の道路占用許可基準を適用することとされている。よって、道路における洪水等避難施設の設置について、道路管理者との間で、道路交通法(昭和35年法律第105号)第79条又は法第32条第5項に規定する協議を実施する署等にあっては、従前どおり、当該基準の内容を十分把握した上で、適切に対応するとともに、当該協議を踏まえ、道路使用許可の可否を判断すること。

踏切道改良促進法等の一部を改正する法律等の施行に伴う交通警察の対応について(依命通達)

令和3年10月21日 達(交規)第330号

(令和3年10月21日施行)

体系情報
交通部
沿革情報
令和3年10月21日 達(交規)第330号