○放課後児童クラブの来所・帰宅経路の安全点検について(依命通達)

令和3年11月22日

達(交規、交企、交指)第362号

[原議保存期間 5年(令和9年3月31日まで)]

[有効期間 令和9年3月31日まで]

みだしのことについては、次のとおり定め、令和3年11月22日から施行することとしたので、関係機関等と連携し、適切に対応されたい。

1 趣旨

通学路における交通安全対策については、通学路における合同点検の実施について(令和3年7月14日付け達(交規、交企、交指)第251号)に基づき、教育機関や道路管理者など、関係機関との連携による危険箇所の合同点検等を行い、その結果を受けて必要な安全対策を講じているところ、この度、「通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策(令和3年8月4日交通安全対策に関する関係閣僚会議決定)(別紙1)に基づく放課後児童クラブの来所・帰宅経路の安全点検(以下「安全点検」という。)の実施について、別紙2のとおり、厚生労働省から各都道府県児童福祉主管部長等に対して通知されている。

よって、県内各署においても、通学路の交通安全対策を実施する中で、安全点検を実施する関係機関等と連携しながら必要な安全対策を講ずることとするものである。

2 安全点検の概要

安全点検は、放課後児童クラブごとに設定された利用児童の主たる来所・帰宅経路のうち、通学路と重ならない部分について、各市町村の放課後児童クラブの担当部局の職員及び各放課後児童クラブの放課後児童支援員等(以下「放課後児童クラブ関係者」という。)が、合同点検と同様の観点から、令和3年12月末までに実施することとされている。

また、安全点検を通じて把握された危険箇所については、放課後児童クラブ関係者が、利用児童及びその保護者に周知するとともに、必要に応じて迂回するよう注意喚起を行うほか、帰宅時の付添いや見守り等の対策を検討することとされている。

なお、各市町村の放課後児童クラブの担当部局では、令和4年度以降、各市町村の「通学路交通安全プログラム」等に基づく推進体制に参画することを検討することとされており、安全点検を通じて把握された危険箇所について、放課後児童クラブ関係者による注意喚起等のほかに必要となる対策についても、今後、同推進体制において検討されることとなる。

3 留意事項

(1) 放課後児童クラブ関係者から、安全点検を通じて把握された危険箇所に係る注意喚起の実施方法等に関する相談等があれば、必要な助言を行うなど、積極的に協力すること。

(2) 各市町村の放課後児童クラブの担当部局が「通学路交通安全プログラム」等に基づく推進体制に参画しているか否かにかかわらず、放課後児童クラブ関係者から、交通規制、交通指導取締り、交通安全教育等に関する要望があれば、道路管理者をはじめとする関係機関等と連携しながら、地域の実情に応じた効果的な対策を検討し、可能なものから速やかに実施すること。

(3) 放課後児童クラブ関係者から、防犯面に関する相談等があれば、関係課に情報提供するなど、適切に対応すること。

(4) 管内の市町村放課後児童クラブ担当部局へ確認を行い、必要な安全点検が実施されるよう情報共有を図ること。

別紙1

通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策

(令和3年8月4日)

本年6月28日、千葉県八街市において、下校中の小学生の列にトラックが衝突し、5名が死傷する痛ましい交通事故が発生した。今回のような通学路における交通安全を脅かす交通事故は、いまだ後を絶たない。

この事故を受け、本年6月30日に開催された「交通安全対策に関する関係閣僚会議」における「子供の安全を守るための万全の対策を講じる」との総理指示を踏まえ、「通学路等における交通安全の確保」と「飲酒運転の根絶」を柱として取り組むこととする。

まず、「通学路等における交通安全の確保」を図るための緊急対策として、子供を交通事故の被害から守り、通学路における交通安全を一層確実に確保することが重要であることから、通学路における合同点検を実施することとする。

その際、これまでの通学路点検では危険箇所として取り上げられなかった、見通しのよい道路や幹線道路の抜け道になっている道路など車の速度が上がりやすい箇所や大型車の進入が多い箇所等新たな観点も踏まえて実施することとする。また、日常から通学路を利用している子供の視点にも配慮するものとする。

点検後は、速度規制や登下校時間帯に限った車両通行止め、通学路の変更、スクールガード等による登下校時の見守り活動の実施等によるソフト面での対策に加え、歩道やガードレール、信号機、横断歩道等の交通安全施設等の整備等によるハード面での対策を適切に組み合わせるなど、地域の実情に対応した、効果的な対策を検討し、可能なものから速やかに実施する。

次に、「飲酒運転の根絶」を図るため、自動車を一定数以上保有する使用者に義務付けられている安全運転管理者等の未選任事業所の一掃を図るとともに、乗車前後におけるアルコール検知器を活用した酒気帯びの有無の確認の促進等安全運転管理者業務の内容の充実を図る。また、飲酒運転根絶に向けた気運の醸成の更なる推進、アルコールインターロック装置の普及促進等を図る。

このような観点から、今般、緊急に対応すべき施策をはじめ重点的に取り組むべき施策を以下のとおり取りまとめた。子供を交通事故の被害から守るべく、関係省庁が一丸となって取り組み、「人優先」の交通事故のない社会を一刻も早く実現し、世界をリードする交通安全社会を目指す。

1.通学路等における交通安全の確保

これまでも、通学路や未就学児を中心に子供が日常的に集団で移動する経路における交通安全を確保するため、「通学路交通安全プログラム」等に基づく定期的な合同点検を行っていたが、次世代を担う子供のかけがえのない命を社会全体で守るため、これまでの通学路点検では危険箇所として取り上げられなかった、見通しのよい道路や幹線道路の抜け道になっている道路など車の速度が上がりやすい箇所や大型車の進入が多い箇所等の新たな観点も踏まえた合同点検を実施する。点検に当たっては、これまでに実施した合同点検等の蓄積を十分に活用し、地域の実情を踏まえた効率的・効果的な対応を行う。

(1) 通学路における合同点検の実施及び対策必要箇所の抽出

全国の市町村(特別区を含む。以下同じ。)立小学校の通学路を対象に合同点検を実施する。なお、国立及び私立の小学校、公立特別支援学校小学部の通学路についても、各学校及び学校設置者の判断により、市町村立小学校に準じて実施する。また、放課後児童クラブの来所・帰宅経路についても、市町村立小学校が行う合同点検を踏まえつつ、安全点検を実施する。

これまでの合同点検に際し、危険・要注意箇所として、道路が狭い、見通しが悪い等を例示していたところであるが、このような箇所に加え、

○ 見通しのよい道路や幹線道路の抜け道となっている道路など車の速度が上がりやすい箇所や大型車の進入が多い箇所

○ 過去に事故に至らなくてもヒヤリハット事例があった箇所

○ 保護者、見守り活動者、地域住民等から市町村への改善要請があった箇所

等の観点も踏まえ、危険箇所をリストアップし、令和3年9月末までを目途に、学校、PTA、道路管理者及び警察による合同点検及び対策必要箇所の抽出を実施する。

(2) 合同点検で抽出した対策必要箇所の対策案の検討・作成

(1)で抽出した対策必要箇所について、関係機関が連携して、地域住民の理解を得た上で、令和3年10月末までを目途に対策案を検討・作成する。

その際、速度規制や登下校時間帯に限った車両通行止め、通学路の変更、スクールガード等による登下校時の見守り活動の実施等によるソフト面での対策に加え、歩道やガードレール、信号機、横断歩道等の交通安全施設等の整備等によるハード面での対策を適切に組み合わせるなど、地域の実情に対応した、効果的な対策を検討し、可能なものから速やかに実施する。

(3) 子供の安全な通行を確保するための道路交通環境の整備の推進

合同点検の結果を踏まえ、交通安全上必要な場合には、地域の実情に応じ、着手可能な事業から早急に道路交通環境の整備を進める。

○ 安全・安心な歩行空間の整備

通学路において、歩道の設置・拡充、歩行者と自動車・自転車の利用空間の分離、ガードレール等の防護柵などの交通安全施設等の整備、無電柱化、踏切対策など、子供の視点に立った交通安全対策を推進する。

また、歩行者と自動車が通行する時間を分離して交通事故を防止する信号機の歩車分離化、逆光時における視認性を高める信号灯器のLED化、横断歩道の設置・更新、路側帯の設置・拡幅、薄暮時における視認性を高める道路標識の高輝度化等を行うなど、子供の安全な通行空間を確保するための交通安全施設等の整備を推進する。

○ ゾーン30をはじめとする低速度規制と物理的デバイスの適切な組合せによる通学路等における交通安全対策

通学路及びその周辺の道路構造、交通実態、沿道環境等を踏まえ、地域住民及び道路利用者等の合意形成を図りながら、ゾーン30をはじめとする低速度規制を的確に実施するとともに、当該規制区間・区域内において、ETC2.0のデータを活用するなどにより、効果的にハンプ等の物理的デバイスの設置を進め、通学路等における速度抑制・通過交通の進入抑制対策を推進する。

○ 幹線道路と生活道路の機能分化

交差点改良や改築等の幹線道路対策により、幹線道路と生活道路の機能分化を図り、通学路等をはじめとする生活道路における通過交通の排除を促進する。

○ 登下校時間帯におけるきめ細かな交通規制と交通事故抑止に資する交通指導取締りの推進

通学路及びその周辺の道路構造、交通実態、沿道環境等を踏まえ、地域住民及び道路利用者等の合意形成を図りながら、スクールゾーンを設定するほか、登下校時間帯に限った車両通行止めをはじめとする各種交通規制を的確に実施するとともに、当該規制の実効性を確保するため、登下校時間帯に重点を置いた、交通事故抑止に資する交通指導取締りを推進する。

(4) 「可搬式速度違反自動取締装置」の更なる整備の推進及び効果的な速度違反取締り

幅員が狭い道路でも活用できる「可搬式速度違反自動取締装置」の更なる整備を推進するなどして効果的な速度違反取締りを行い、速度規制の実効性を確保する。

(5) 子供を始めとする歩行者の安全確保のための交通安全教育・指導取締り

登下校時、歩行中小学生の死者・重傷者のうち約8割が横断中であることを踏まえ、横断歩行者の安全確保に向けて、歩行者に対しては横断する意思を明確に伝えるなど自ら安全を守るための交通行動を促す交通安全教育等を、運転者に対しては歩行者等の保護意識の向上を図る交通安全教育等を推進する。

また、横断歩行者等妨害等の違反について、歩行者が横断中の事故が多発している路線における歩行者被害事故の減少を目標とした指導取締りを推進する。

(6) 登下校時の子供の安全確保

登下校時の子供の安全を確保するため、スクールガード・リーダーの活動に係る支援等スクールガードの見守り活動の支援、通学環境の違いや道路事情など地域の実情や特性が異なることに十分に配慮した地域公共交通やスクールバスの活用の検討等の通学環境の整備等、地域の特性・必要性に応じた対策を講じる。

(7) 「未就学児等及び高齢運転者の交通安全緊急対策」に基づく安全安心な歩行空間の確保

東京都豊島区、滋賀県大津市の事故を受けて、令和元年6月に決定された「未就学児等及び高齢運転者の交通安全緊急対策」につき、引き続き取組を行うとともに、対策必要箇所のうち、対策未完了の箇所は、早期完了に向けて、対策の着実な実施を推進する。

2.飲酒運転の根絶

令和2年中の飲酒運転による交通死亡事故件数は159件であり、平成12年と比較して約8分の1にまで減少しているものの、交通事故発生件数に占める死亡事故の割合を過去5年間についてみると、飲酒運転の場合は、飲酒なしの場合と比較して8倍以上となっている。このように、飲酒運転は極めて危険性が高い悪質な犯罪行為であることから、その根絶に向けて更なる対策を講じていくこととする。

(1) 安全運転管理者の未選任事業所の一掃等、飲酒運転の根絶に向けた使用者対策の強化

自動車を一定数以上保有する使用者は、道路交通法上、安全運転管理者の選任が義務付けられ、点呼等により運転者が飲酒状態でないかを確認するなどの安全運転に必要な業務の実施が求められているところ、安全運転管理者が確実に選任されるよう、関係省庁が連携して、業界に対する選任義務等の周知を行うなど、未選任事業所の一掃を図る。

また、自動車保管場所証明業務との連携等により未選任事業所の効果的・効率的な把握にも努めつつ、安全運転管理者の選任状況について、都道府県警察のウェブサイト上での公開により選任の促進を図るほか、乗車前後におけるアルコール検知器を活用した酒気帯びの有無の確認の促進やドライブレコーダーを活用した交通安全教育の推進等、安全運転管理者が行う安全運転管理業務の内容の充実を図ることにより、業務に使用する自動車の使用者における義務の徹底や対策の拡充等を図り、飲酒運転の根絶に向けた取組を推進する。

(2) 飲酒運転根絶に向けた交通安全教育及び広報啓発活動等の推進

飲酒運転の危険性や飲酒運転による交通事故の実態等について積極的に広報するとともに、飲酒が運転等に与える影響について理解を深めるため、映像機器や飲酒体験ゴーグルを活用した参加・体験型の交通安全教育を推進する。

飲酒運転根絶の広報啓発をより積極的に展開するため、春・秋の全国交通安全運動の全国重点項目の一つとして盛り込むほか、交通ボランティアや交通安全関係団体、酒類製造・販売業、酒類提供飲食業等の関係業界と連携して、(一財)全日本交通安全協会等が推進している「ハンドルキーパー運動」への参加を広く国民に呼び掛けるなど、関係機関・団体等と連携して「飲酒運転を絶対にしない、させない」という国民の規範意識の更なる向上を図る。

(3) 飲酒運転等の根絶に向けた取締りの一層の強化

飲酒運転について、違反や交通事故の実態等を分析し、飲酒運転取締りの時間、場所等について方針を策定するとともに、不断の効果検証を行うといったPDCAサイクルに基づく管理を行い、飲酒運転に対する取締りを一層強化するほか、飲酒運転取締り機材について整備を図る。

また、飲酒運転や飲酒ひき逃げ事件を検挙した際は、運転者のみならず、車両等の提供者、飲酒場所、同乗者、飲酒の同席者等のほか、車両の使用者に対する徹底した捜査を行い、車両等の提供、酒類の提供及び要求・依頼しての同乗や教唆行為、飲酒運転の下命、容認行為について確実な立件に努める。

(4) 運送事業用自動車での飲酒運転根絶に向けた取組強化

運送事業用自動車については、運行管理者制度により、乗務前後におけるアルコール検知器による酒気帯び確認の義務付け、飲酒運転防止を含めた安全運転教育の義務付け、飲酒運転事故を起こした事業者に対する行政処分の強化など、飲酒運転ゼロを目標に徹底した対策を講じて来たところ、令和2年中の運送事業用自動車の飲酒運転による交通死亡事故件数は4件と、全体に占める割合は小さいものの、引き続き、国や適正化事業実施機関による監査等を通じ、運行管理者の適切な業務実施等を確保していく。

運送事業者による飲酒運転対策の優良事例について、他の運送事業者でも実施できるように詳細な調査を行い、その結果を情報共有することにより、運送事業者による更なる飲酒運転対策を促す。

また、運転者の指導・監督時の実施マニュアルにアルコール依存症関係の記載について拡充することや、アルコールインターロック装置に関して運送事業者への情報提供等による普及促進を図ることにより、飲酒傾向の強い運転者への対策を講じる。

3.その他

(1) フォローアップ

通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策を、着実に推進していくため、関係省庁の局長級をメンバーとするワーキングチームを設置し、フォローアップを行うこととする。

(2) 交通安全の普及啓発等

本対策について、国民全体の理解と協力を得て着実に推進していくため、春・秋の全国交通安全運動を始めとする交通安全の普及啓発等の機会を通じて関係者に周知する。

別紙2

子子発1018第1号

令和3年10月18日

各/都道府県/市区町村/児童福祉主管部(局)長 殿

厚生労働省子ども家庭局子育て支援課長

(公印省略)

放課後児童クラブの来所・帰宅経路の安全点検の実施について(依頼)

先般、千葉県八街市において、下校中の児童の列にトラックが突っ込み、5名が死傷する痛ましい事故が発生したことを受け、通学路における交通安全を一層確実に確保するため、文部科学省、国土交通省及び警察庁の3省庁が連携して作成された「通学路における合同点検等実施要領」(以下「通学路点検実施要領」という。)が、令和3年7月9日に発出されたところ(以下、通学路点検実施要領に基づく通学路における合同点検等を「通学路合同点検等」という。)である。

この事故を受け、「交通安全対策に関する関係閣僚会議」が開催され、同年8月4日に「通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策」(以下「緊急対策」という。)が取りまとめられたところであり、放課後児童クラブについては、「放課後児童クラブの来所・帰宅経路についても、市町村立小学校が行う合同点検を踏まえつつ、安全点検を実施する」とされたところである。

この「緊急対策」に基づき、通学路点検実施要領等の内容も踏まえつつ、放課後児童クラブの来所・帰宅経路のうち通学路と重ならない部分について、児童の来所・帰宅時における安全確保を図るため、今般、別紙のとおり「放課後児童クラブの来所・帰宅経路の安全点検実施要領」(以下「実施要領」という。)を作成したので、内容を御了知の上、安全点検の実施をお願いする。

なお、今回の安全点検は全国一斉の再点検を行うものではなく、既に各区市町村において八街市の事故を踏まえた観点で点検が行われている場合や、各放課後児童クラブの来所・帰宅経路について、既に実施要領の4.の「点検の観点」と同等の安全点検を実施している場合等には、新たな点検を求めないなど、地域の実情を踏まえた柔軟な対応を図るものである。

(別紙)

放課後児童クラブの来所・帰宅経路の安全点検実施要領

[1.目的]

○ 先般、千葉県八街市において、下校中の児童の列にトラックが突っ込み、5名が死傷する痛ましい事故が発生したことを受け、通学路における交通安全を一層確実に確保するため、文部科学省、国土交通省及び警察庁の3省庁が連携して作成された「通学路における合同点検等実施要領」(以下「通学路点検実施要領」という。)が、令和3年7月9日に発出された(以下、通学路点検実施要領に基づく通学路における合同点検等を「通学路合同点検等」という。)。

○ この事故を受け、「交通安全対策に関する関係閣僚会議」が開催され、同年8月4日に「通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策」(以下「緊急対策」という。)が取りまとめられたところであり、放課後児童クラブについては、「放課後児童クラブの来所・帰宅経路についても、市町村立小学校が行う合同点検を踏まえつつ、安全点検を実施する」とされたところ。

○ この「緊急対策」に基づき、通学路点検実施要領等の内容も踏まえつつ、放課後児童クラブの来所・帰宅経路のうち通学路と重ならない部分について、児童の来所・帰宅時における安全確保を図るため、下記安全点検を実施する。

○ なお、今回の安全点検は全国一斉の再点検を行うものではなく、既に各市町村(特別区を含む。以下同じ。)において八街市の事故を踏まえた観点で点検が行われている場合や、各放課後児童クラブの来所・帰宅経路について、既に4.の「点検の観点」と同等の安全点検を実施している場合等には、新たな点検を求めないなど、地域の実情を踏まえた柔軟な対応を図る。

[2.実施対象]

○ 管内市町村の児童福祉法第6条の3第2項及び放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準に基づく放課後児童健全育成事業(以下「放課後児童クラブ」という。)の来所・帰宅経路のうち通学路と重ならない部分について、安全点検(※1)を実施。

○ 通学路と重なる部分については、通学路合同点検等が実施されるため、放課後児童クラブとして独自の対応は不要である。

(※1)安全点検とは、「放課後児童クラブ等への来所・帰宅時における安全点検リスト(平成30年7月)」(以下「安全点検リスト」という。)の項目(例:放課後児童クラブ用の1の11や14の項目等)を参考にしつつ、4.の「点検の観点」を含めて来所・帰宅経路を点検し、その結果を踏まえて、利用児童やその保護者に対する注意喚起等を行うことを指す。

[3.実施期間]

○ 令和3年12月末までに安全点検を実施し、その状況について厚生労働省に報告(※2)する。

(※2)報告方法は「5.実施状況の報告」を参照。なお、地域の実情により、令和3年12月末までに報告が難しい場合にも、令和4年1月末を目途にできるだけ速やかに提出するよう努めること。

[4.実施内容]

① 安全点検等について

ア 放課後児童クラブにおける来所・帰宅経路の設定等

・ 以下の「今回の点検全体を不要と判断可能とする場合」に該当するものを除き、放課後児童クラブにおいて、利用児童共通の「主たる来所・帰宅経路」を設定し、そのうち、通学路と重ならない部分を特定(※3)する。なお、放課後児童クラブにおいて設定した「主たる来所・帰宅経路」については、保護者と共有すること。

・ 「主たる来所・帰宅経路」の設定に当たっては、通学路が、交通安全の観点も含めた通学路の条件を踏まえて設定されている(※4)ことから、できるだけ通学路と重なるようにして設定することを検討すること。

(※3)放課後児童クラブにおいて、通学路の指定状況が不明な場合は学校に確認をする。なお、複数の放課後児童クラブから学校に照会を行うことにより、学校に過度な事務負担が生じないよう、市町村の放課後児童クラブ担当部局が学校や教育委員会に確認し通学路の指定状況をとりまとめた上で、放課後児童クラブに情報提供する等の対応についても検討すること。

(※4)『「生きる力」をはぐくむ学校での安全教育』(平成31年3月文部科学省)別表に記載されている「通学路の条件」参照。

https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2019/05/15/1416681_02.pdf

(今回の点検全体を不要と判断可能とする場合)

画像 利用児童全員が「放課後児童クラブ送迎支援事業」を利用している場合(※5)

画像 全ての開所日において来所・帰宅時の保護者の送迎を義務としている場合(※6)

画像 放課後児童クラブが既に、平成25年12月6日「通学路の交通安全の確保に向けた着実かつ効果的な取組の推進について」(文部科学省、国土交通省、警察庁)に基づき各市町村で構築している推進体制に参画し、通学路と重ならない部分も含めて点検等を実施している場合(この場合であっても、「主たる来所・帰宅経路」の設定が行われていない場合には、その設定までは行うこと)

画像 その他、来所・帰宅時において大人の付き添い等による送迎を実施している場合等、来所・帰宅経路について安全が確保されているものと市町村の放課後児童クラブ担当部局が認める場合

(※5) 地域の方々の付き添いやバス等による送迎を実施していることから、安全が確保されているものと考えられるため、安全点検の対象外として差し支えないものとする。

(※6) 来所・帰宅時のいずれかのみ保護者の送迎を義務としている場合は、保護者の送迎を実施していない経路について安全点検を実施する。また、特定の日のみ保護者の送迎を実施している場合は、保護者が送迎を実施している経路も含めて安全点検を実施すること。

イ 安全点検リストの項目を参考にした点検の実施等

・ アにおいて設定した来所・帰宅経路のうち通学路と重ならない部分について、放課後児童クラブ関係者(※7)が、安全点検リストの項目を参考にしつつ、下記ウ「点検の観点」を含めた点検を行う。(ただし、以下の場合には、改めて安全点検リストの項目を参考にした点検を行わないこととしても差し支えない。)

(※7) 市町村の放課後児童クラブ担当部局の職員、各クラブの放課後児童支援員等において、地域の実情に応じて、役割分担の上、協力して実施すること。また、「放課後児童クラブ運営指針」及び同指針解説書において、来所及び帰宅時の安全確保に当たって保護者と協力する旨を示していることも踏まえ、可能な範囲で、保護者の協力を得つつ実施すること。以下、同じ。

(必ずしも安全点検リストの項目を参考にした点検を必要としない場合)

画像 各放課後児童クラブの来所・帰宅経路について、既に下記ウ「点検の観点」と同様の観点で確認がなされていると判断できる場合(※8)。

(※8) 放課後児童クラブ関係者による点検や、学校・保護者等からの情報提供等を通じて、下記ウ「点検の観点」も含めて、定期的に交通安全マップ等を作成・更新等をしている場合、その他これと同等の効果があると認められる場合などはこれに含まれる。

ウ 点検の観点

・ 放課後児童クラブについては、これまでも利用児童の交通安全の取組みを進めていることや今回の八街市の事故に鑑み、通学路合同点検等と同様に、特に、以下の観点を含めて、安全点検リストの項目を参考にした点検等を実施する。その際、市町村の放課後児童クラブ担当部局は、安全点検リストの項目を参考にした点検に先立って、市町村教育委員会から通学路合同点検等における確認方法や判断基準について共有を受けた上で、各放課後児童クラブに情報提供する。

なお、点検に当たっては、利用児童の来所・帰宅の時間帯の状況が把握できるよう、できるだけ同時間帯に実施されることが望ましい。

(点検の観点)

画像 見通しのよい道路や幹線道路の抜け道になっている道路など車の速度が上がりやすい箇所や大型車の進入が多い箇所

画像 過去に事故に至らなくても、ヒヤリハットの事例があった箇所

画像 保護者、見守り活動者、地域住民等から市町村への改善要請があった箇所

など

エ 利用児童・保護者への注意喚起等

・ 上記の点検を通じて、従来把握されていなかった危険と考えられる箇所が把握された場合、放課後児童クラブ関係者は、利用児童やその保護者に周知を行うとともに、例えば必要に応じて迂回すること等の通行に当たっての留意点について注意喚起を行う。(※9)。

(※9) 必ず実施することを求めるものではないが、可能な場合には、放課後児童クラブ関係者の判断により、帰宅時の付き添いや危険箇所における見守りなど、危険箇所に対する対策を実施することについても検討することが望ましい。

・ なお、今回の点検だけに限らず、利用児童の来所・帰宅時の安全確保のため、日頃から、放課後児童クラブにおける安全点検リストに沿った点検や交通安全対策の実施等が必要であることに留意。

② 今後の対応について

・ 今回の安全点検の結果も踏まえ、今後、必要な交通安全対策を検討・実施していくに当たっては、平成25年12月6日「通学路の交通安全の確保に向けた着実かつ効果的な取組の推進について」(文部科学省、国土交通省、警察庁)に基づき、各市町村で構築している推進体制(以下、「推進体制」という。)に、来年度以降、市町村の放課後児童クラブ担当部局も参画することを検討すること。

・ 各市町村で構築している推進体制への円滑な参画に当たっては、より円滑に参画ができるよう、放課後児童クラブ担当部局において、予め、

下記「5.実施状況の報告」の様式において報告事項としている、

・危険と考えられる箇所、対策が必要となると考えられる箇所の住所

・危険と考えた又は対策が必要となると考えた理由

等に加えて、

・各放課後児童クラブの場所、設定した「主たる来所・帰宅経路」(通学路と重なる部分も含む)や対策が必要となると考えられる箇所が落とし込まれた地図

等の情報について、準備しておくことが望ましい(※10)。その際、各市町村における推進体制の担当部局から、当該推進体制において例年使用されている様式・形式などの情報提供を受けた上で、その内容も参考にしながら情報を整理して把握しておくこと。合わせて、今回の安全点検を通じて設定した「主たる来所・帰宅経路」や、通学路との重なり合いの状況等についても、厚生労働省への報告事項に含まれているかどうかに関わらず、情報を整理して把握しておくこと。

(※10) 「対策が必要となると考えられる箇所」については、今回の安全点検により把握した「危険と考えられる箇所」のうち、上記「エ 利用児童・保護者への注意喚起等」による対策に加えて、今後、道路管理者や警察当局も交えた推進体制において更なる対策を検討すべきと考えられる箇所について挙げること。

・ 交通安全の一層の確保の観点から、放課後児童クラブ送迎支援事業の活用等について検討すること。

[5.実施状況の報告]

○ 各放課後児童クラブは安全点検の実施状況について、安全点検が終了次第速やかに様式1により市町村の放課後児童クラブ担当部局に提出する。

○ 市町村の放課後児童クラブ担当部局は安全点検の実施状況について、管内放課後児童クラブの結果をとりまとめたものを様式2により都道府県に提出する。

○ 都道府県は管内市町村(指定都市、中核市及び特別区を含む。)の様式2のデータを令和3年12月末までに厚生労働省に提出をすること。なお、令和3年12月末までに報告が難しい場合は、令和4年1月末を目途に速やかに提出するよう努めること。

様式1

 略

様式2

 略

放課後児童クラブの来所・帰宅経路の安全点検について(依命通達)

令和3年11月22日 達(交規、交企、交指)第362号

(令和3年11月22日施行)

体系情報
交通部
沿革情報
令和3年11月22日 達(交規、交企、交指)第362号