○運転者特定任意講習実施要領の制定について(通達)

令和3年12月1日

達(運免)第376号

[原議保存期間 5年(令和9年3月31日まで)]

[有効期間 令和9年3月31日まで]

みだしの要領を別紙のとおり制定し、令和4年1月1日から施行することとしたので、事務処理上誤りのないようにされたい。

なお、運転者特定任意講習実施要領の制定について(平成28年3月23日付け達(運免)第95号)及び運転者特定任意講習実施要領の制定についての一部改正について(令和2年4月15日付け達(運免)第179号)は、廃止する。

別紙

運転者特定任意講習実施要領

第1 趣旨

この要領は、運転者特定任意講習の適正な事務処理に関し、必要な事項を定めるものとする。

第2 用語の意義

この要領において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 法 道路交通法(昭和35年法律第105号)をいう。

(2) 令 道路交通法施行令(昭和35年政令第270号)をいう。

(3) 施行規則 道路交通法施行規則(昭和35年総理府令第60号)をいう。

(4) 講習規則 運転免許に係る講習等に関する規則(平成6年国家公安委員会規則第4号)をいう。

(5) 運転者特定任意講習 令第37条の6第2号に規定する講習(更新期間が満了する日における年齢が70歳以上の者に対する講習を除く。)をいう。

第3 基本的事項

1 講習指導員

自動車等の運転経歴、交通安全に関する業務の経歴等を考慮した上で、人格、知識、経験及び教育能力において十分な適格性を有する者をもって充てるものとする。

2 講習の場所

福島運転免許センター、郡山運転免許センター、署(分庁舎を含む。以下同じ。)その他の警察施設又は講習に適した環境の施設を使用して行うものとする。

3 講習用教材等

(1) 教本

講習規則第1条第2号に規定する「教本、視聴覚教材等必要な教材」として、最近の道路交通法令の改正内容を明示し、別紙1の内容に準拠したものを使用するものとする。

(2) 県内版資料

次の内容を盛り込んだものを作成し、教本と併せた効果的な講習を実施するものとする。

ア 県内における道路交通の現状及び交通事故の実態

イ 車が故障した場合の措置、連絡先等

ウ 交通事故相談所一覧表

エ 各種運転免許関係手続案内

(3) 視聴覚器材

受講場所、学級編成、受講対象者等を考慮し、プロジェクター等の投影器材又はテレビ及びDVDプレーヤーなど、適切な視聴器材を備え付けるものとする。

4 講習業務の委託

(1) 講習業務については、法第108条の2第3項及び施行規則第38条の3の規定により、道路における交通の安全に寄与することを目的とする一般社団法人又は一般財団法人その他の者で、講習を行うのに必要かつ適切な組織、設備及び能力を有すると福島県公安委員会が認めるものに委託することができるものとする。

(2) 運転免許課長は、運転者特定任意講習の業務が適正かつ円滑に行われるよう、講習受託者に対し必要な指導及び助言を行うものとする。

第4 講習実施上の留意事項

1 学級の編成等

(1) 学級の編成

1学級の編成は、講習効果が上がるよう適正な人数で編成するものとする。

(2) 講習指導員の配置

原則として1学級につき講習指導員1人及び補助員1人を配置するものとする。

2 講習実施方法

視聴覚教材等を積極的に活用するなどして、講習効果が上がるよう努めるとともに、受講者の態様に応じ、参加型手法を取り入れたきめ細かな内容の講習となるよう留意するものとする。

3 実施基準

特定任意講習の講習科目及び時間割り等に関する細目(別紙2)により、県内の交通実態に即して重点を選定するなど実質的効果が上がるよう実施するものとする。

第5 講習の実施要領等

1 事前申請

(1) 運転者特定任意講習は、原則として講習主催者からの事前申請を受けて行うものとする。

(2) 事前申請は、講習場所を管轄する署に対して、運転者特定任意講習開催申請書(様式第1号)に運転者特定任意講習受講(予定)者名簿(様式第2号。以下「受講者名簿」という。)を添えて、講習日の30日前までに提出させるものとする。

(3) 事前申請を受けた署においては、講習受託者に運転者特定任意講習開催申請書を送付するとともに、講習主催者に対する講師派遣の通知及び運転者特定任意講習に必要な準備を行うものとする。ただし、講習開催について調整を必要とするときは、速やかに講習主催者と協議するものとする。

2 受講申込みの受理及び手数料の徴収

(1) 運転者特定任意講習受講申込書(福島県道路交通規則(昭和35年福島県公安委員会規則第14号)様式第40号の4)により受講申込みを受理し、福島県道路交通法関係手数料条例(平成12年福島県条例第163号)第19条及び第22条の規定により、福島県収入証紙を貼付させ手数料を徴収するものとする。

なお、他の都道府県公安委員会の管轄する区域内に住所地がある者から受講申込みがなされた場合でも、受講を認めるものとする。

(2) 前号の受講申込みの受理及び講習手数料の徴収に関する事務は、講習場所を管轄する署において行うものとする。

3 受講の証明

(1) 運転免許課長は、講習終了後、署から受講者名簿の提出を受け、受講者からの申出により、特定任意講習終了証明書(講習規則別記様式第2号。以下「終了証」という。)を交付するものとする。

(2) 終了証の証明番号は、暦年ごとの一連番号とする。

(3) 受講者のうち、運転免許更新前6月以内の期間にある者については、免許証裏面の備考欄最下部に運転者特定任意講習受講済印(様式第3号)を押印するものとする。

4 終了証の再交付

運転免許課長は、受講者から終了証の再交付の申請があった場合は、運転者特定任意講習終了証明書再交付申請書(様式第4号)を提出させ、受講者名簿と照合し、受講者名簿の備考欄に再交付年月日を記載した上で終了証を再交付するものとする。

第6 実施結果報告

1 署長に対する報告

講習場所を管轄する署長(分庁舎所長を含む。以下同じ。)は、講習受託者が運転者特定任意講習を実施した都度、運転者特定任意講習実施結果報告書(様式第5号)に受講者名簿の写しを添えて報告を受けるものとする。

2 公安委員会に対する報告

上記1の規定により運転者特定任意講習の実施の報告を受けた署長は、1か月分の実施結果を取りまとめ、運転者特定任意講習実施結果集計表(様式第6号)により、翌月5日までに運転免許課長を経て福島県公安委員会に報告するものとする。

第7 更新時講習の受講免除対象者

運転者特定任意講習の受講により、更新時講習(法第108条の2第1項第11号に掲げる講習をいう。)の受講免除の対象者となるのは、次の者に限られる。

(1) 更新期間が満了する日における年齢が70歳未満の者で、更新申請書(施行規則別記様式第18)を提出する日前6月以内に運転者特定任意講習を受講しているもの

(2) 免許申請書(施行規則別記様式第12)を提出する日における年齢が70歳未満の者で、同日前1年以内に運転者特定任意講習を受講している特定失効者(法第97条の2第1項第3号に規定する特定失効者をいう。)

(3) 免許申請書を提出する日における年齢が70歳未満の者で、同日前1年以内に運転者特定任意講習を受講している特定取消処分者(法第97条の2第1項第5号に規定する特定取消処分者をいう。)

別紙1(第3関係)

1 最近における道路交通法令の改正の概要

最近5年間程度の主要な道路交通法令の改正の趣旨、施行の時期、改正の内容等について、図表等を用いて解説すること。

2 最新の車両技術の活用方法・使用時の注意事項

先進安全自動車(ASV)、自動運転車、カーナビゲーション装置、有料道路自動料金収受システム(ETC)、電気自動車、ハイブリッド自動車、横滑り防止装置等の最新の車両技術について、イラスト等を用いて解説すること。その際、それらの車両技術の仕組みを踏まえた運転時の注意事項についても言及すること。

3 交通公害、地球温暖化の防止等

交通公害、地球温暖化の防止等について、「エコドライブ10のすすめ」(平成18年10月エコドライブ普及連絡会策定)の内容を中心に解説すること。

4 危険予測

(1) 危険予測の心構え

駐車車両や障害物の陰から人が突然出てきても、安全な措置が執れるよう「かもしれない」運転を心掛けること、慣れによる慎重さや緊張感の鈍化による「だろう」運転を回避すること、道路環境の変化に合わせて意識を切り替えること等の重要性について解説すること。

(2) 危険予測の方法

視覚及び聴覚を用いて、絶えず運転に必要な情報を捉えること、ちょっとした手掛かりを基に人や自動車等の存在を察知すること、他の自動車等の運転者や歩行者等が次にどのような行動をするかをその者の目の動きや身体の動きによって察知すること等の重要性について解説すること。

(3) 死角

自らの車両によって生じる死角、駐停車車両によって生じる死角、交差点における死角、カーブにおける死角等についてイラスト等を用いて解説すること。その際、死角によって生じる危険を回避するための方法についても言及すること。

5 年齢に応じた運転特性

(1) 高齢運転者の一般的特性

高齢運転者の事故傾向、事故原因及び運転特性について、周囲の運転者が配意すべき点も含めて解説すること。その際、高齢運転者が運転する上での留意点についても言及すること。

(2) 視力及び加齢

運転に必要な情報の大半を依存する視力(①静止視力及び動体視力、②視野、③明度の差、④順応及びげん惑)について、イラスト等を用いて解説すること。その際、加齢との関係についても言及すること。

(3) 反応及び加齢

加齢に伴って反応速度が遅くなったり、動作の正確さが低下したりすることについて、データ等を用いて解説すること。

(4) 若年運転者の一般的特性

若年運転者の事故傾向、事故原因及び運転特性について解説すること。その際、若年運転者が安全運転する上での留意点についても言及すること。

6 飲酒運転の根絶

飲酒運転による事故傾向、飲酒運転の危険性及び罰則、飲酒運転をさせない取組等について解説すること。その際、飲酒運転による事故の悲惨さについても言及すること。

7 事故時の対応と応急救護処置

一般財団法人日本救急医療財団が主催する心肺蘇生法委員会策定の「救急蘇生法の指針(市民用)」に基づいた応急救護処置及び一次救命処置の方法について、イラスト等を用いて解説すること。その際、事故時の対応についても言及すること。

8 各種制度

交通反則通告制度、放置違反金制度、点数制度及び講習制度(初心運転者講習、違反者講習、停止処分者講習、取消処分者講習、更新時講習及び高齢者講習)について、図表等を用いて解説すること。

9 被害者等の手記

交通事故がもたらす社会的影響、運転者の社会的責任について再確認させ、安全運転意識の向上に資するような内容の被害者又は被害者遺族の手記を掲載すること。

10 交通の方法に関する教則

交通の方法に関する教則(昭和53年国家公安委員会告示第3号)(第2章及び第3章を除く。)の内容を必要に応じてイラスト等を用いて記載すること。

11 その他

(1) 運転状況メモ欄

受講者が自らの運転状況について振り返る際に役に立つようなヒヤリ・ハット体験、違反、事故等を記録することができるメモ欄を設けること。

(2) 安全運転5則

以下の「安全運転5則」を記載すること。

ア 安全速度を必ず守る。

イ カーブの手前でスピードを落とす。

ウ 交差点では必ず安全を確かめる。

エ 一時停止で横断歩行者の安全を守る。

オ 飲酒運転は絶対にしない。

別紙2(第4関係)

特定任意講習の講習科目及び時間割り等に関する細目

講習科目

講習細目

講習方法

講習内容

講習時間


開講

講師の自己紹介

受講者の点呼

講習概要、日程の説明

受講者の心得の説明



10分以上

1 道路交通の現状と交通事故の実態

(1) 地域における車社会の実態

講義

教本、視聴覚教材等

○ 本県の実態に応じて、交通事故、渋滞、交通公害、違法駐車、暴走行為等について重点的に説明する。

(2) 交通事故の特徴

○ 地域における事故多発路線、時間帯、事故類型、原因等について、事故事例と併せて説明する。

2 運転者の心構えと義務

(1) 安全運転の心構え

○ 運転者には、交通ルールを守り、常に細心の注意を払って、他人に危害を与えないような速度と方法で自動車等を運転しなければならない義務があることを指導する。

10分以上

(2) シートベルト、ヘルメットの着用

○ シートベルト、ヘルメットの着用に関し、その必要性と効果について事例等を用いて説明し、着用が習慣付けられるよう指導する。

(3) 交通事故を起こした加害者の責任

○ 交通事故を起こし、又は違反行為をした場合には、当然それに相応する社会的な非難を受け、責任を問われることを説明する。

加害者の刑事上、民事上、行政上の責任について、裁判例、点数制度等により説明して、認識させる。

(4) 交通事故を起こした運転者の義務

○ 警察官に対する報告義務及び通報要領並びに事故の再発防止義務について説明する。

(5) 負傷者の救護措置

○ 救急車が到着するまでの間における負傷者への応急救護処置等について説明する。

3 安全運転の知識

(1) 安全運転の基礎知識

○ 受講対象に応じ、DVD等の視聴覚教材を活用して、安全運転、運転特性等についての理解を深めさせる。

40分以上

(2) 最近において改正が行われた道路交通法令の知識

○ 受講者の前回の更新後において改正された道路交通法令のうち、運転者に必要な事項の要点を説明する。

(3) 危険予測及びその回避方法等

○ DVD等の視聴覚教材を活用し、交差点通行、夜間走行、高速道路通行等に関する具体的危険場面を示して、事故原因となる危険行為、危険予測及びその回避方法等について理解させる。

○ 身近な事故事例の説明を行い、それに基づく問題点、なぜ事故が起きたのか、どうすれば回避できたかなどについて、自ら考えさせ意見を出させ討論させる。

4 運転適性及び技能についての診断及び指導

(1) 筆記による診断及び指導

実技等

教本、運転適性検査器材、運転シミュレーター、自転車、視聴覚教材等

○ 所要の運転適性検査用紙により実施し、結果に基づいて安全運転の心構えを指導する。

60分以上

(2) 運転適性器材の使用による診断及び指導

○ 運転適性検査器材により実施し、診断結果に基づいて安全運転の心構えを指導する。

(3) 運転シミュレーター操作による診断及び指導

○ 運転シミュレーターを操作させ、交通事故その他の危険場所等について疑似体験させ、運転の危険性を診断し、その結果に基づいて指導を行う。

(4) 実車による診断及び指導

○ 実車を運転させ、講習指導員が同乗して、運転行動、事故や違反に結び付く危険な運転個癖を診断し、その結果に基づいて指導を行う。

講習時間計

120分以上

備考 休憩時間は、講習時間以外に適当な時間を設けること。

様式第1号(第5関係)

 略

様式第2号(第5関係)

 略

様式第3号(第5関係)

 略

様式第4号(第5関係)

 略

様式第5号(第6関係)

 略

様式第6号(第6関係)

 略

運転者特定任意講習実施要領の制定について(通達)

令和3年12月1日 達(運免)第376号

(令和4年1月1日施行)