○国外犯罪被害弔慰金等の支給に関する法律等の施行に伴う適正な業務の推進について(通達)

令和3年12月24日

達(県サ)第487号

[原議保存期間 30年(令和34年3月31日まで)]

[有効期間 定めなし]

みだしのことについては、所属職員に周知徹底し、適切な対応を図られたい。

1 趣旨

国外犯罪被害弔慰金等の支給に関する法律(平成28年法律第73号。以下「法」という。)、国外犯罪被害弔慰金等の支給に関する法律施行規則(平成28年国家公安委員会規則第23号。以下「規則」という。)、国外犯罪被害弔慰金等の支給に関する法律第9条第2項の地域及び者並びに同法第12条第1項の情報を定める命令(平成28年国家公安委員会規則・外務省令第1号。以下「共同命令」という。)及び国外犯罪被害弔慰金等の支給に関する法律第7条に基づく給付金を定める国家公安委員会告示(平成28年国家公安委員会告示第51号。以下「告示」という。)については、平成28年11月30日から施行される。

このため、これら法、規則、共同命令及び告示(以下「法等」という。)が、国外犯罪行為により不慮の死を遂げた日本国民の遺族又は障害が残った日本国民に対し、国が法第4条に規定する国外犯罪被害弔慰金及び国外犯罪被害障害見舞金(以下「国外犯罪被害弔慰金等」という。)を支給することを定め、その支給に係る裁定事務を都道府県公安委員会の所掌事務としたほか、弔慰金等の支給に関する必要な事項等について定められたものであることに鑑み、法等を周知の上、適切な対応を図ろうとするものである。

2 法等の主な要点

(1) 定義

ア 国外犯罪行為

日本国外において行われた人の生命又は身体を害する行為(日本国外にある日本船舶又は日本航空機内において行われたものを除く。)のうち、当該行為が日本国内において行われたとした場合において、その行為が日本国の法令によれば罪に当たるもの(刑法(明治40年法律第45号)第37条第1項本文(緊急避難)、第39条第1項(心神喪失)又は第41条(責任年齢)の規定により罰せられない行為を含むものとし、同法第35条(正当行為)又は第36条第1項(正当防衛)の規定により罰せられない行為及び過失による行為を除く。)をいう(法第2条第1項関係)

イ 国外犯罪被害

国外犯罪行為による死亡又は障害をいう(同条第2項関係)

ウ 国外犯罪被害者

国外犯罪被害を受けた者であって、当該国外犯罪被害の原因となった国外犯罪行為が行われた時において日本国籍を有する者(日本国外に生活の本拠を有し、かつ、その地に永住すると認められる者を除く。)をいう(同条第3項関係)

エ 障害

負傷又は疾病が治ったとき(その症状が固定したときを含む。)における精神又は身体の障害で法の別表に掲げる程度(障害等級第1級相当)のものをいう(同条第4項関係)

オ 国外犯罪被害弔慰金等

法第4条に規定する国外犯罪被害弔慰金又は国外犯罪被害障害見舞金をいう(法第2条第5項関係)

(2) 国外犯罪被害弔慰金等の支給

国外犯罪被害者があるときは、法の定めるところにより、国外犯罪被害者又はその遺族(当該国外犯罪被害の原因となった国外犯罪行為が行われた時において、日本国籍を有せず、かつ、日本国内に住所を有しない者を除く。)に対し、国外犯罪被害弔慰金等を支給することとされた(法第3条関係)

(3) 国外犯罪被害弔慰金等の種類等

国外犯罪被害弔慰金等は、次に掲げるとおりとし、それぞれ定める者に対して、一時金として支給することとされた(法第4条関係)

ア 国外犯罪被害弔慰金

国外犯罪行為により死亡した者の第一順位遺族

イ 国外犯罪被害障害見舞金

国外犯罪行為により障害が残った者

(4) 国外犯罪被害弔慰金の支給を受けることができる遺族の範囲

国外犯罪被害弔慰金の支給を受けることができる遺族は、国外犯罪被害者の死亡の時において、次に掲げるアからウまでに該当する者とされた(法第5条第1項関係)

ア 国外犯罪被害者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)

イ 国外犯罪被害者の収入によって生計を維持していた国外犯罪被害者の子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹

ウ イに該当しない国外犯罪被害者の子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹

なお、国外犯罪被害者の死亡の当時胎児であった子が出生した場合においては、その子は、その母が国外犯罪被害者の死亡の当時国外犯罪被害者の収入によって生計を維持していたときにあってはイに該当する子と、その他のときにあってはウに該当する子とみなされる(同条第2項関係)

(5) 国外犯罪被害弔慰金等を支給しないことができる場合

次に掲げる場合には、国外犯罪被害弔慰金等を支給しないことができることとされた(法第6条、規則第1条~第5条関係)

ア 国外犯罪被害者と加害者との間に親族関係(事実上の婚姻関係を含む。)があるとき。

イ 国外犯罪被害者が、当該国外犯罪被害の原因となった国外犯罪行為が行われた時において、正当な理由がなくて、治安の状況に照らして生命又は身体に対する高度の危険が予測される地域に所在していたとき。

ウ 国外犯罪被害者が国外犯罪行為を誘発したときその他当該国外犯罪被害につき国外犯罪被害者にもその責めに帰すべき行為があったとき。

エ 前記アからウまでに掲げる場合のほか、国外犯罪被害者又はその遺族と加害者との関係その他の事情から判断して、国外犯罪被害弔慰金等を支給することが社会通念上適切でないと認められるとき。

なお、前記アからエまでに掲げられた場合において、国外犯罪被害弔慰金等を支給しないことが社会通念上適切でないと認められる特段の事情があるときは、これらの規定にかかわらず、国外犯罪被害弔慰金等を支給するものとされた(規則第6条関係)

(6) 支給の制限

国外犯罪被害弔慰金等は、当該国外犯罪被害に関し当該国外犯罪被害者が業務に従事していたことにより支給される給付金その他これに準ずる給付金が支給される場合には、支給しないこととされた(法第7条及び告示関係)

(7) 国外犯罪被害弔慰金等の額

国外犯罪被害弔慰金等の額は、それぞれ次のとおりの額とされた(法第8条第1項、同条第2項及び同条第3項関係)

ア 国外犯罪被害弔慰金

国外犯罪被害者一人当たり200万円

なお、国外犯罪被害弔慰金の支給を受けるべき遺族が2人以上あるときは、前記額をその人数で除して得た額

イ 国外犯罪被害障害見舞金

国外犯罪被害者一人当たり100万円

(8) 裁定の申請、裁定、裁定のための調査等

ア 裁定の申請

国外犯罪被害弔慰金等の支給を受けようとする者は、次に掲げる場合の区分に応じて規定する都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)に申請し、その裁定を受けなければならないこととされた(法第9条第1項、規則第7条及び第8条関係)

(ア) 申請の時において日本国内に住所を有する場合

その者の住所地を管轄する公安委員会

(イ) 申請の時において日本国内に住所を有しない場合であって、いずれかの市町村の住民基本台帳に記録されたことがある場合

その者が日本国外へ住所を移す直前に住民票に記載されていた住所の所在地を管轄する公安委員会

(ウ) 申請の時において日本国内に住所を有しない場合であって、いずれの市町村の住民基本台帳にも記録されたことがない場合

その者の本籍地を管轄する公安委員会

なお、前記(イ)及び(ウ)の申請は、当該申請を行う者の住所を管轄する領事官その他最寄りの領事官を経由して行うことができることとされた(法第9条第2項、規則第9条及び共同命令第1条関係)

イ 申請期間

申請は、当該国外犯罪被害の発生を知った日から2年を経過したとき又は当該国外犯罪被害が発生した日から7年を経過したときは、することができないとされ(法第9条第3項関係)、やむを得ない理由によりこの期間を経過する前に申請をすることができなかったときは、その理由のやんだ日から6月以内に限り、申請をすることができることとされた(同条第4項関係)

ウ 公安委員会等による援助

国外犯罪被害弔慰金等の支給を受けようとする者は、日本国内においては関係する公安委員会に、日本国外においては領事官に対し、申請に関し必要な援助を求めることができることとされた(法第10条関係)

エ 裁定等

申請があった場合には、公安委員会は、速やかに、国外犯罪被害弔慰金等を支給し、又は支給しない旨の裁定を行わなければならないものとされた(法第11条第1項関係)

なお、国外犯罪被害弔慰金等を支給する旨の裁定があったときは、国外犯罪被害弔慰金等の支給を受ける権利を取得することとされ(同条第2項関係)、国外犯罪被害者について国外犯罪被害障害見舞金を支給する旨の裁定があった後に当該国外犯罪被害者が当該国外犯罪行為により死亡したときは、国は、当該国外犯罪被害障害見舞金の額の限度において、当該国外犯罪被害者の死亡に係る国外犯罪被害弔慰金を支給する責めを免れることとされた(同条第3項関係)

オ 国家公安員会への情報提供等

外務大臣は、国外犯罪被害(国外犯罪被害に該当すると思料される死亡及び障害を含む。)又は国外犯罪被害者(国外犯罪被害者に該当すると思料される者を含む。)に関する情報であって裁定に資するものとして国家公安委員会規則・外務省令で定めるものを取得したときは、これを国家公安委員会にできる限り速やかに提供するものとし(法第12条第1項、共同命令第2条関係)、国家公安委員会は、その提供された情報を、関係する公安委員会に速やかに提供するものとされた(法第12条第2項)

カ 裁定のための調査等

公安委員会は、裁定を行うため必要があると認めるときは、申請者その他の関係人に対して、報告をさせ、文書その他の物件を提出させ、出頭を命じ、又は医師の診断を受けさせることができ(法第13条第1項関係)、申請者が正当な理由がなくそれらを拒んだときは、公安委員会はその申請を却下することができるとされた(同条第3項関係)。また、公安委員会は、裁定を行うために必要があると認めるときは、外務省その他の公務所又は公私の団体に対し、必要な事項の報告その他の協力を求めることができることとされた(同条第2項関係)

3 運用上の留意事項

(1) 職員への周知徹底

法に基づく事務が平成28年11月30日から開始されることを踏まえ、本件事務が適切かつ円滑に開始できるよう、職員に法の趣旨等について周知徹底を図ること。

(2) 対象事案認知時の対応

国外犯罪被害弔慰金等の申請受理その他申請に関する事務の処理は、県民サービス課で行うため、各所属において国外犯罪被害弔慰金等の支給に関する制度の適用対象となる事案を認知した場合は、県民サービス課犯罪被害者支援室まで報告すること。

(3) 相談者等への適切な対応

申請の申出や支給を受けようとする者からの相談、問合せ等を受理した場合は、その置かれた状況等に十分配慮しながら適切に対応することとし、当該相談者等に対しては、県民サービス課の担当者から改めて連絡する旨を教示した上、県民サービス課犯罪被害者支援室まで速やかに報告すること。

(4) 広報活動の推進

本法は遡及適用されないものの、国外犯罪被害弔慰金等の支給裁定に係る申請期間が、当該国外犯罪被害の発生を知った日から2年、又は当該国外犯罪被害が発生した日から7年とされていることから、国外犯罪被害弔慰金等の支給を受けようとする者が申請期間内に漏れなく申請することができるよう、広報活動を推進し、周知を図ること。

4 施行期日

平成28年11月30日

5 法等の全文

別添官報の写しのとおり

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国外犯罪被害弔慰金等の支給に関する法律等の施行に伴う適正な業務の推進について(通達)

令和3年12月24日 達(県サ)第487号

(令和3年12月24日施行)

体系情報
警務部
沿革情報
令和3年12月24日 達(県サ)第487号