○福島県警察セクシュアル・ハラスメント等防止対策要綱について(通達)

令和3年12月27日

達(監)第497号

[原議保存期間 10年(令和14年3月31日まで)]

[有効期間 令和14年3月31日まで]

みだし要綱を別紙のとおり制定し、令和4年1月1日から施行することとしたので、適正な運用に努められたい。

なお、福島県警察セクシュアル・ハラスメント等防止対策要綱の制定について(令和2年6月16日付け達(監)第247号)は、廃止する。

別紙

福島県警察セクシュアル・ハラスメント等防止対策要綱

第1 目的

この要綱は、職員が、その能率を十分に発揮できるような良好な勤務環境を確保するため、セクシュアル・ハラスメント、妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメント及びパワー・ハラスメントの防止並びにセクシュアル・ハラスメント等が生じた場合に適切に対応するための措置等に関し、必要な事項を定めることを目的とする。

第2 定義

この要綱において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ各号に定めるところによる。

(1) セクシュアル・ハラスメント

他の者を不快にさせる職場における性的な言動及び職員が他の職員を不快にさせる職場外における性的な言動をいう。

(2) 妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメント

職場における職員に対する次に掲げる言動により、当該職員の勤務環境が害されることをいう。

ア 妊娠又は出産に関する事由(不妊治療を含む。)

イ 妊娠又は出産に関する制度又は措置の利用(不妊治療を含む。)

ウ 育児に関する制度又は措置の利用

エ 介護に関する制度又は措置の利用

(3) パワー・ハラスメント

職務に関する優越的な関係を背景として行われる、業務上必要かつ相当な範囲を超える言動であって、職員に精神的若しくは身体的な苦痛を与え、職員の人格若しくは尊厳を害し、又は職員の勤務環境を害することとなるようなものをいう。

第3 不利益取扱いの禁止

職員は、第2の各号に掲げるハラスメント(以下「セクシュアル・ハラスメント等」という。)に対する拒否、苦情の申出、当該苦情等に係る調査への協力その他セクシュアル・ハラスメント等に関し正当な対応をしたことにより、いかなる不利益も受けない。

第4 職員の認識すべき事項

1 セクシュアル・ハラスメントをしないようにするために職員が認識すべき事項

(1) 性に関する言動に対する受け止め方には個人間で差があり、セクシュアル・ハラスメントであるか否かについては、相手の判断が重要であること。

(2) セクシュアル・ハラスメントであるか否かについて、相手からいつも意思表示があるとは限らないこと。

(3) 相手が拒否し、又は嫌がっていることが分かった場合は、同じ言動を繰り返さないようにすること。

(4) 勤務時間外における職員間のセクシュアル・ハラスメントについても注意する必要があること。

(5) 職員がその職務に従事する際に接することとなる職員以外の者との関係におけるセクシュアル・ハラスメントについても注意する必要があること。

2 妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントを生じさせないために職員が認識すべき事項

(1) 基本的な心構え

ア 妊娠、出産、育児又は介護(不妊治療に関することを含む。以下「妊娠等」という。)に関する否定的な言動は、妊娠等に関するハラスメントの原因や背景となること。

イ 仕事と妊娠等を両立させるための制度又は措置があること。

(2) 監督者として認識すべき事項

ア 妊娠した職員がつわり等の体調不良のため勤務ができないことや能率が低下すること、妊娠等に関する制度等の利用をした職員が正規の勤務時間の一部を勤務しないこと等により、周囲の職員の業務負担が増大することも妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントの原因や背景となること。

イ 業務体制の整備等、職場の実情や妊娠等をし、又は妊娠等に関する制度等の利用をした職員その他の職員の実情に応じ、必要な措置を講ずること。

(3) 妊娠等をし、又は妊娠等に関する制度等の利用をする職員として認識すべき事項

ア 仕事と妊娠等とを両立していくために必要な場合は、妊娠等に関する制度等の利用ができるという知識を持つこと。

イ 周囲と円滑なコミュニケーションを図りながら自身の体調や妊娠等に関する制度等の利用状況等に応じて適切に業務を遂行していくという意識を持つこと。

3 パワー・ハラスメントを防止し円滑な業務運営を行うために職員が認識すべき事項

(1) パワー・ハラスメントは、職員に精神的若しくは身体的な苦痛を与え、職員の人格若しくは尊厳を害し、又は職員の勤務環境を害するものであることを理解し、互いの人格を尊重し、パワー・ハラスメントを行ってはならないこと。

(2) 業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示、指導、調整等については、パワー・ハラスメントに該当しないこと。一方、業務指示、指導、調整等の内容が適切であっても、その手段や態様等が適切でないものは、パワー・ハラスメントになり得ること。

(3) 部下の指導及び育成は、上司の役割であること。また、指導に当たっては、相手の性格や能力を十分見極めた上で行うことが求められるとともに、言動の受け止め方は世代や個人によって異なる可能性があることに留意する必要があること。

(4) 自らの仕事への取組や日頃の振る舞いを顧みながら、他の職員と能動的にコミュニケーションをとることが求められること。

(5) 同一所属の職員間におけるパワー・ハラスメントにだけ留意するのでは不十分であること。例えば、職員がその職務に従事する際に接することとなる他所属の職員との関係にも十分留意しなければならないこと。

(6) 職員以外の者に対してもパワー・ハラスメントに類する言動を行ってはならないこと。

4 職場の構成員として良好な勤務環境を確保するために職員が認識すべき事項

(1) セクシュアル・ハラスメント等について問題提起をする職員をいわゆるトラブルメーカーと見たり、セクシュアル・ハラスメント等に関する問題を当事者間の個人的な問題として片付けないこと。

また、職場におけるミーティングを活用すること等により解決することができる問題については、問題提起を契機として、良好な勤務環境の確保のために皆で取り組むことを日頃から心掛けること。

(2) 職場においてセクシュアル・ハラスメント等に関する問題の行為者や被害者を出さないようにするために、セクシュアル・ハラスメント等が見受けられる場合は、職場の同僚として注意を促したり、相談に乗るなど、周囲に対する気配りをし、必要な行動をとること。

5 セクシュアル・ハラスメント又は妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントが生じた場合に、これによる被害を深刻にしないために職員が認識しておくことが望まれる事項

(1) 基本的心構え

ア 一人で我慢しているだけでは、問題は解決しないこと。

イ ハラスメントに対する行動をためらわないこと。

(2) 被害を受けたと思うときに望まれる対応

ア 自分の意に反すること又は嫌なことは相手に対して明確に意思表示をすること。

イ 一人で抱え込まずに、相談窓口や信頼できる人等に相談すること。

6 自分が受けている言動がパワー・ハラスメントではないかと考える場合に、これによる被害を深刻にしないために職員が認識しておくことが望まれる事項

(1) 一人で抱え込まずに、相談窓口や信頼できる人等に相談すること。

(2) パワー・ハラスメントは、相手に自覚がないことも多く、よかれと思っての言動であることもある。相手に自分の受け止めを伝えたり、相手の真意を確認したりするなど、話合い、認識の違いを埋めることで事態の深刻化を防ぎ、解決がもたらされることがあることに留意すること。

第5 監督者の責務

1 職員を監督する地位にある者(警部補及び係長の段階に属する職以上の職員をいう。以下「監督者」という。)は、次の事項に留意してセクシュアル・ハラスメント等の防止等に努めなければならない。

(1) 日常の執務を通じた指導等により、セクシュアル・ハラスメント等に関し、監督する職員の注意を喚起し、セクシュアル・ハラスメント等に関する認識を深めさせること。

(2) セクシュアル・ハラスメント等が職場に生じていないか、又は生ずるおそれがないか、監督する職員の言動に十分な注意を払い、勤務環境を害する言動を見逃さないようにすること。

(3) セクシュアル・ハラスメント等に対する拒否や苦情の申出、当該苦情等に係る調査への協力その他セクシュアル・ハラスメント等に関し職員が正当な対応をしたことにより、当該職員が職場において不利益を受けることがないようにしなければならないこと。

(4) 職員からセクシュアル・ハラスメント等に関する苦情の申出及び相談(以下「苦情相談」という。)があった場合には、真摯かつ迅速に対応すること。

2 監督者は、セクシュアル・ハラスメント等が生じた場合には、この要綱の定めるところにより、適切かつ迅速に対処しなければならない。

第6 セクシュアル・ハラスメント等防止対策推進体制

1 体制

(1) セクシュアル・ハラスメント等県本部防止対策総括責任者

ア 県本部に、セクシュアル・ハラスメント等県本部防止対策総括責任者(以下「県本部防止対策総括責任者」という。)を置き、警務部長をもって充てる。

イ 県本部防止対策総括責任者は、セクシュアル・ハラスメント等の防止等のため、総括的な指揮を行うものとする。

(2) セクシュアル・ハラスメント等県本部防止対策責任者

ア 県本部に、セクシュアル・ハラスメント等県本部防止対策責任者(以下「県本部防止対策責任者」という。)を置き、監察課長をもって充てる。

イ 県本部防止対策責任者は、県本部防止対策総括責任者を補佐するとともに、県本部防止対策総括責任者の指揮の下、セクシュアル・ハラスメント等の防止等に関する事務を行うものとする。

(3) セクシュアル・ハラスメント等所属防止対策責任者

ア 各所属に、セクシュアル・ハラスメント等所属防止対策責任者(以下「所属防止対策責任者」という。)を置き、所属長をもって充てる。

イ 所属防止対策責任者は、所属におけるセクシュアル・ハラスメント等の防止等に関する事務を行うものとする。

(4) セクシュアル・ハラスメント等所属相談責任者

ア 各所属に、セクシュアル・ハラスメント等所属相談責任者(以下「所属相談責任者」という。)を置き、次席、副署長等をもって充てる。

イ 所属相談責任者は、所属防止対策責任者を補佐し、所属におけるセクシュアル・ハラスメント等の防止等に関する対策を推進するほか、所属における苦情相談に応ずるとともに、所属防止対策責任者の指揮の下、苦情相談に係る問題の事実関係の確認等を行う。

(5) セクシュアル・ハラスメント等所属相談担当者

ア 各所属に、セクシュアル・ハラスメント等所属相談担当者(以下「所属相談担当者」という。)を置く。

イ 所属相談担当者は、所属相談責任者を補佐し、所属における苦情相談に適切に応じるものとする。

2 所属相談担当者の指定

所属防止対策責任者は、原則として所属の職員の中から苦情相談を受ける所属相談担当者を指定し、これを全職員に対し周知するものとする。

3 留意事項

(1) 所属防止対策責任者は、所属相談担当者の指定に当たっては、セクシュアル・ハラスメント等の防止等の趣旨を踏まえた適任者の選任に努めるものとする。

(2) 所属相談担当者には、男性及び女性のいずれもが含まれることとなるよう努めるものとする。

なお、女性が2名以上(会計年度任用職員、団体職員等を含む。)勤務している所属は、次の基準を目安に女性の所属相談担当者1名以上を指定するものとする。

勤務している女性の人数

女性の所属相談担当者の人数

2名以上9名以下の所属

1名以上

10名以上20名以下の所属

3名以上

21名以上の所属

5名以上

第7 苦情相談

職員は、所属相談責任者若しくは所属相談担当者又は監督者に対して、口頭、文書その他適当な方法により、適時、セクシュアル・ハラスメント等に関する苦情相談を行うことができる。

第8 苦情相談への対応等

1 対応

所属防止対策責任者は、所属相談責任者を指揮し、苦情相談に係る問題の事実関係の確認、当事者に対する指導、助言等を自ら行い、当該問題を適切かつ迅速に解決するよう努めるものとする。

2 報告

(1) 所属相談担当者及び監督者は、苦情相談を受理した場合は、速やかに所属相談責任者に報告するものとする。

(2) 所属相談責任者は、上記(1)の規定により報告を受けた場合又は自ら苦情相談を受理した場合は、速やかに所属防止対策責任者に報告するものとする。

(3) 所属防止対策責任者は、当該問題の概要及び上記1の対応状況を、速やかに県本部防止対策責任者を経由して県本部防止対策総括責任者に報告するものとする。

3 情報の保秘等

苦情相談への対応に当たる職員は、関係者のプライバシーや名誉その他の人格を尊重するとともに、苦情相談に当たり知り得た秘密を他に漏らしてはならない。

第9 再発防止

県本部防止対策総括責任者は、セクシュアル・ハラスメント等が生じた場合には、再発防止に向けて、職員の意識啓発その他の必要な措置を講ずるものとする。

福島県警察セクシュアル・ハラスメント等防止対策要綱について(通達)

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(令和4年1月1日施行)

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