○銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律等の施行に伴う運用上の留意事項について(依命通達)

令和4年3月11日

達(生企)第127号

[原議保存期間 10年(令和14年3月31日まで)]

[有効期間 令和14年3月31日まで]

銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律(令和3年法律第69号。以下「改正法」という。)は、令和3年6月16日に公布され、銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(令和3年政令第284号)により令和4年3月15日から施行されることとなった。

また、銃砲刀剣類所持等取締法施行令等の一部を改正する政令(令和3年政令第285号)が令和3年10月15日に、銃砲刀剣類所持等取締法施行規則の一部を改正する内閣府令(令和4年内閣府令第4号。以下「改正府令」という。)、猟銃及び空気銃の取扱いに関する講習会及び年少射撃資格の認定のための講習会の開催に関する事務の一部を行わせることができる者の指定に関する規則等の一部を改正する規則(令和4年国家公安委員会規則第2号)及び銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律の施行に伴う関係国家公安委員会規則の整理に関する規則(令和4年国家公安委員会規則第3号)が本年1月27日に公布され、いずれも改正法の施行の日(以下「施行日」という。)から施行される。

改正法等の運用上の留意事項は次のとおりであるので、事務処理上誤りのないようにされたい。

なお、以下この通達において、改正法による改正後の銃砲刀剣類所持等取締法(昭和33年法律第6号)を「法」と、改正府令による改正後の銃砲刀剣類所持等取締法施行規則(昭和33年総理府令第16号)を「府令」という。

1 改正法施行に伴う運用上の留意事項

(1) 発射される矢の運動エネルギーの測定方法(法第3条第1項、府令第3条の2、第3条の3関係)

発射される矢の運動エネルギーの値は、矢の種類、重さ、クロスボウの構造との相性等によっても変化するが、法に定めるクロスボウに該当するかについては、発射可能な矢の運動エネルギーの最大値によって判断すること。

すなわち、あるクロスボウの発射する矢の運動エネルギーの値を判断するに当たっては、例えば、ある矢を発射して得られた測定値が6.0ジュールを下回った場合であっても、それのみで当該クロスボウの発射される矢の運動エネルギーを判断するのではなく、他の矢も発射して測定を行い、発射可能な矢の運動エネルギーのうち最大値をもって判断すること。

(2) 表示措置命令等(法第4条の4第3項、府令第18条の2関係)

ア 表示措置命令の実施

所持許可に係るクロスボウに製造番号等固有の番号が刻印されていない場合、製造番号等固有の番号が刻印されているものの容易に消失するおそれがある場合等には、法第4条の4第3項の規定による表示措置命令を行うこと。

また、表示措置命令を実施した場合は、当該命令が適切に履行されたことを確認するとともに、表示措置命令書(府令別記様式第18号の2)中「確認・表示の状況」欄にクロスボウ番号標の貼付の状況等を記録すること。

イ クロスボウ番号標を貼付させる際の留意点

(ア) クロスボウ番号標の貼付に当たっては、府令第18条の2の規定に基づき、クロスボウの側面に容易に剝がれないように、かつ、一見して見やすい位置に確実に貼付させることとし、手で頻繁に触れる部分や弧の部分への貼付は避けさせること。

(イ) 表示措置命令の対象者に対し、クロスボウ番号標を剝がさないように指導するとともに、府令第18条の2第3項の規定により、クロスボウ番号標が亡失、滅失、汚損又は破損した場合には、最寄りの署に届け出なければならないことを教示すること。

ウ 亡失、滅失、汚損又は破損した旨の届出を受理した場合

クロスボウ番号標が亡失、滅失、汚損又は破損した旨の届出を受理した場合には、当該クロスボウ番号標の悪用を防ぐため、新たな番号を表示したクロスボウ番号標を貼付させる表示措置命令を行うこと。また、この場合、クロスボウ所持許可証のクロスボウ番号欄の記載事項に変更が生じるため、法第7条第2項の規定に基づく許可証の書換えを行うこと。

(3) クロスボウ射撃指導員の指定等(法第9条の3の2、府令第42条の2関係)

ア 厳格な審査の実施

クロスボウ射撃指導員は、射撃指導を通じてクロスボウの事故防止を図るという重要な役割が期待されており、他方で、射撃指導を行うために指導を受ける者のクロスボウを所持することができるほか、クロスボウ講習会の受講が免除されるなど特別の扱いが認められているものであるため、その指定に当たっては、競技歴、指導歴、指導の具体的な計画等の説明を求め、その適格性について厳格な審査を行うこと。

イ クロスボウ射撃指導員に係る基準の認定方法

(ア) 「クロスボウに関する法令を遵守し、クロスボウ射撃指導員として相当な人格識見を有する者であること」(府令第42条の2第2号)については、法令を遵守し、相当な人格識見を有する者であるかどうかについて、面接するなどの方法により認定すること。

(イ) 「クロスボウの所持に関する法令及びクロスボウの使用、保管等の取扱いについて、相当な知識を有する者であること」(同条第4号)については、クロスボウの所持に関する法令及びクロスボウの使用、保管等の取扱いに関する筆記試験を実施してその成績を参考にするなどの方法により認定すること。

(ウ) 「クロスボウの操作及び射撃について、相当に習熟している者であること」(同条第5号)については、過去に国内外で開催された競技大会における成績を参考にするなどの方法により認定すること。

ウ 指定後の指導・監督

一定期間ごとに射撃指導の実施等クロスボウ射撃指導員としての実績を報告させるなどにより、当該クロスボウ射撃指導員が知識・技能を維持していること等を確認するとともに、府令第42条の2各号に掲げられた基準に照らし、クロスボウ射撃指導員としての適格性が明らかに欠けていると認められる者に対しては、射撃指導員指定書の自主的な返納を求めたり、指定の解除の手続を執ったりすることにより、適格性を失った者がクロスボウ射撃指導員の指定を受け続けることのないよう留意すること。

(4) クロスボウ射撃資格の認定等(法第9条の16、府令第11条関係)

ア クロスボウ射撃資格認定申請書の添付書類

クロスボウ射撃資格認定申請書の添付書類のうち、申請人を監督することについての法第4条第1項第5号の3の規定による許可を受けたクロスボウ射撃指導員の同意書(以下「同意書」という。)(府令第11条第1項第17号)については、別添1を参考として作成させ、添付させること。

イ 指導用クロスボウの許可に係る取扱い

(ア) クロスボウ射撃指導員が指導用クロスボウの所持許可を受けようとする場合の指導

クロスボウ射撃指導員が既に法第4条第1項第1号の規定による許可を受けているクロスボウについて、同項第5号の3の規定による指導用クロスボウとしての許可を受けようとする場合には、当該許可が行われる日に同項第1号の規定による許可が失効することを説明した上で、その内容を理解して申請することの申立書(別添2)を提出させること。

(イ) クロスボウ射撃指導員による適切な監督のための指導等

クロスボウ射撃資格者がクロスボウ射撃指導員の監督に従わずに指導用クロスボウを所持した場合、当該クロスボウ射撃指導員はクロスボウ射撃資格者の指導を継続する適格性を有しないと認められるため、法第11条第7項の規定により、当該クロスボウ射撃指導員が所持する全ての指導用クロスボウについて所持許可の取消しの対象となるところ、平素より、クロスボウ射撃指導員に対し、クロスボウ射撃資格者を適切に監督するよう指導すること。

なお、クロスボウ射撃指導員が監督していたクロスボウ射撃資格者の認定が取り消されるなどしたため、クロスボウ射撃指導員が所持する指導用クロスボウを指導の用途に供する見込みがなくなった場合には、危害予防の観点から、自主返納を促すなどの措置を執ること。

(5) クロスボウで射撃をすることができる危害予防上必要な措置が執られている場所(法第10条第2項第2号の2、府令第82条の4、別表第2関係)

府令別表第2の区分欄における「当該クロスボウ射撃指導員の承諾」は、原則として射撃の都度与えるものとする。例外として、大学での定期的な射撃練習等については、その実情に応じ、ある程度包括的な承諾で足りるものとするが、この場合であっても、クロスボウ射撃指導員が、指導を受ける者に射撃の記録を取らせるなど、クロスボウ射撃指導員の責任において射撃の状況を適正に管理させること。

(6) クロスボウの保管の設備及び方法の基準(法第10条の4、第10条の8の2、府令第83条の2、第91条の2関係)

クロスボウの保管設備の基準である「金属製ロッカーその他容易に破壊することができない構造を有するもの」(府令第83条の2第1号イ及び第91条の2第1号イ)は、銃砲の保管設備の基準である「堅固な金属製ロッカーその他これと同等程度に堅固な構造を有するものであること」(府令第83条第1号イ及び第91条第1号イ)には該当しない一般的な金属製ロッカーのほか、これと同等程度の強度や構造を有する金庫、キャビネット等が該当し得る。

(7) その他

許可を受けたクロスボウとは全長又は全幅が異なる弧の部分(いわゆる替え弓)を所持することについては、例えば、異なる種目の競技のため、一のクロスボウに複数の弧の部分を付け替えて使用するようなケースで想定されるところ、これらの弧の部分が当該許可の用途に適したものであるときは、一つの許可として処理するものとする。

2 改正法施行に伴う経過措置に係る運用上の留意事項について

(1) 特定クロスボウに係る所持許可手続(改正法附則第3条関係)

ア 特定クロスボウ該当性の確認方法

許可を受けようとしているクロスボウが特定クロスボウに該当することについて、原則として、以下のような資料により確認すること。

○ 施行日以前に購入したことを示すレシート、領収書等

○ 施行日以前に当該クロスボウを用いて競技大会に参加したことを示す資料

○ 施行日以前に当該クロスボウを用いて競技に参加するため射撃競技関係団体等に登録したことを示す資料

なお、上記のような資料により確認できない場合は、施行日に当該クロスボウを所持していたことを誓約する書面を提出させること。

イ 特定クロスボウの確認

特定クロスボウの所持許可の処分を受けた者に対しては、その許可の処分を受けた日から14日以内に当該特定クロスボウについて法第4条の4第1項の規定による確認を受けなければならないことについて指導すること。

ウ 申請者に対する必要な事項の教示等

(ア) 所持に係る遵守事項等の教示

経過期間内に所持許可の申請を行った特定クロスボウ所持者は、改正法附則第3条第1項の規定により、当該特定クロスボウについて当該申請に係る用途に応じた所持許可を受けたものとみなされるが、当該所持者はクロスボウ講習会を受講していないことに鑑み、その申請に先立ち、その用途が標的射撃である場合には射撃が認められる場所の要件(法第10条第2項)、携帯・運搬に係る義務(法第10条第1項及び第4項)、保管設備の要件(法第10条の4)といった法上の義務等について、書面を交付するなどして明確に説明すること。

(イ) クロスボウ講習会の受講についての教示等

改正法附則第3条第4項の規定により、同条第1項の申請に係る許可を受けた者が当該許可を受けた日から起算して6月を経過する日までにクロスボウ講習会の講習修了証明書の交付を受け、又はクロスボウ射撃指導員として指定されるに至らなかった場合は、都道府県公安委員会は当該許可を取り消すこととされているところ、特定クロスボウについて所持許可の申請を行った特定クロスボウ所持者に対し、許可の申請時や許可の処分時に、上記期限までにクロスボウ講習会を受講して講習修了証明書の交付を受ける必要がある旨、書面を交付するなどして明確に説明すること。

なお、改正法附則第3条第3項の規定に基づき都道府県公安委員会が開催するクロスボウ講習会については、可能な限り速やかに開催するとともに、その開催頻度や開催日時(土日及び祝日を含む受講者の参加しやすい日時)、場所についても、上記の者が十分な受講機会を得られるよう配慮すること。

(2) クロスボウ射撃指導員の指定手続(改正府令附則第4条関係)

改正府令附則第4条の「クロスボウを2年以上継続して所持しており」とは、所持許可の有無にかかわらず、クロスボウを2年以上継続して所持していることをいい、必ずしも同一のクロスボウを2年以上継続して所持している必要はない。その認定は、クロスボウの購入の時期、射撃競技関係団体での活動歴等を確認するなどの方法により行うこと。

また、改正法附則第3条第1項の規定に基づき、経過期間内に所持する特定クロスボウについて法第4条第1項第1号の所持許可の申請を行って同号の所持許可を受けたものとみなされた者(以下「1号みなし許可者」という。)は、法第9条の3の2第1項に規定するクロスボウ射撃指導員の指定の申請をすることができるものとするが、当該指定の申請に係る処分に関し、改正府令附則第4条の「新法第4条第1項第1号(…)の規定によるクロスボウの所持の許可を現に受けている者」に該当するかどうかの判断は、法第4条第1項第1号の所持許可の申請に係る処分の結果に応じて行うこと。

(3) クロスボウ射撃資格に係る認定等(改正法附則第5条、法第9条の16関係)

ア 指導用クロスボウの許可に係る取扱い

改正法附則第5条の規定に基づきクロスボウ射撃指導員の指定を受けたものとみなされた者(以下「みなし指導員」という。)は、法第4条第1項第5号の3の所持許可の申請を行うことができるものとする。ただし、当該所持許可の申請に係る処分については、法第9条の3の2第1項に規定するクロスボウ射撃指導員の指定の申請に係る処分の結果に応じて実施すること。

イ クロスボウ射撃資格に係る認定手続

みなし指導員が、法第4条第1項第5号の3の所持許可の申請を行い、改正法附則第3条第1項の規定に基づき同号の所持許可を受けたものとみなされた場合、当該みなし指導員を法第9条の16第1項に規定する「第4条第1項第5号の3の規定による許可を受けたクロスボウ射撃指導員」として、法第4条第1項第1号の規定によるクロスボウの所持許可を受けた者(1号みなし許可者を含む。)又は受けようとする者(法第5条の2第7項第1号に掲げる者に限る。)がクロスボウ射撃資格の認定を申請することができるものとする。この場合において、クロスボウ射撃資格認定申請書の添付書類等のうち、同意書については当該みなし指導員のもので足り、また、府令第11条第4項第2号の「申請人を監督することとなる法第4条第1項第5号の3の規定による許可を受けたクロスボウ射撃指導員の当該許可に係る許可証の写し」については、申請時には添付することを要しないが、当該みなし指導員が法第4条第1項第5号の3の規定による許可を受けた後速やかに提出させることとする。当該認定の申請に係る処分については、法第9条の3の2第1項に規定するクロスボウ射撃指導員の指定の申請に係る処分の結果及び法第4条第1項第5号の3の所持許可の申請に係る処分の結果に応じて実施すること。

(4) 保管の設備及び方法に関する基準(改正府令附則第5条、第6条関係)

経過期間等における保管の設備及び方法の基準について、改正府令附則第5条及び第6条において所要の経過措置を設けているところ、その留意点は次のとおりである。

ア 保管設備の基準

改正府令附則第5条及び第6条の「錠を備えている居室その他の設備」は、府令第83条の2第1号イに掲げる「金属製ロッカーその他容易に破壊することができない構造を有するもの」に限らず、鍵のかかるロッカーや家屋内の一居室等であれば足り、また、かけ忘れ防止措置付きの錠等を備え付けることまでは要しない。

イ 保管方法の基準

改正府令附則第5条及び第6条の「確実に施錠し、かつ、クロスボウに覆いをかぶせるなど管理上支障のないようにして保管すること」について、「確実に施錠し」は、鍵のかかるロッカーや家屋内の一居室、居室の所在する家屋等に確実に施錠して保管することをいい、「クロスボウに覆いをかぶせるなど管理上支障のないようにして保管すること」は、一見してクロスボウであると分からないように覆いをかぶせたり、子どもが同居している場合はケース等に入れて子どもの手の届かない場所に保管したりすること等をいう。

(5) その他

改正法附則第3条第1項の規定により許可を受けたものとみなされた者又はみなし指導員に対する許可又は指定の処分の審査について、その申請の内容に応じて可能な限り速やかに実施するよう努めること。

別添1

 略

別添2

 略

銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律等の施行に伴う運用上の留意事項について(依命通…

令和4年3月11日 達(生企)第127号

(令和4年3月11日施行)

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