○「取調べの適正を確保するための逮捕・勾留中の被疑者と弁護人等との間の接見に関する一層の配慮について」の趣旨及び運用上の留意事項について(依命通達)
令和4年1月11日
達(刑総)第14号
[原議保存期間 5年(令和9年3月31日まで)]
[有効期間 令和9年3月31日まで]
対号 令和4年1月11日付け達(刑総)第12号「取調べの適正を確保するための逮捕・勾留中の被疑者と弁護人等との間の接見に関する一層の配慮について」
みだしのことについて、次のとおり定め、令和4年1月11日から施行することとしたので、誤りのないようにされたい。
記
1 被疑者に対する接見に関する告知について
(1) 趣旨
取調べの適正を確保するため、接見に関する告知について一層の配慮を求めるものである。
(2) 留意事項
弁解録取書の様式に従い、弁護人選任権の告知、弁護人選任の申出及び申出先の教示、被疑者国選弁護人制度の教示と併せて告知すること。
2 取調べ中に被疑者から弁護人等と接見したい旨の申出があった場合の措置について
(1) 趣旨
弁護人との接見交通権は、憲法に保障された被疑者の権利であるという観点から、現に被疑者を取調べ中に標記の申出があった場合の配慮を求めるものである。
(2) 留意事項
ア この連絡は、特段の事情がある場合を除き、直ちに行うこと。
弁護人や弁護人の事務所に連絡したものの、当該弁護人と連絡がつかない場合には、留守番電話に内容を録音するほか、応対した者に伝言を依頼するなどの対応をとること。
イ 連絡方法については、電話等適宜の方法によることとし、捜査主任官等に行わせても差し支えない。
ウ 実況見分、検証等に被疑者を立ち会わせて捜査を行っているような場合には、直ちに連絡をすることが困難であったり捜査に顕著な支障を来すことも考えられるが、その場の状況に応じて、できる限り早期に連絡すること。
エ 当該弁護人等から接見の申出があったときには、対号通達2(3)に従い、接見の機会を与えるよう配慮すること。
オ 連絡をした場合には、その旨、連絡した日時、連絡の内容等を留置部門に速やかに連絡すること。
3 取調べ中の被疑者について弁護人等から接見の申出があった場合の対応について
(1) 趣旨
接見指定に関する判例では、「接見等を認めると取調べの中断等により捜査に顕著な支障が生じる場合」として「現に被疑者を取調べ中である場合」「取調べ等が予定どおり開始できなくなる場合」などが原則これに当たると判示しているが、取調べの適正を確保するための配慮として、間近いときに取調べの予定があっても、当該取調べが予定どおり開始できる範囲で接見時間の調整が可能な場合にはその機会を与えるように配慮するほか、現に取調べ中であっても、遅くとも直近の食事又は休憩の際に接見の機会を与えるよう配慮することなど、柔軟な対応を求めるものである。
(2) 留意事項
この対応は、取調べ中における弁護人等との接見について配慮を求めるものである。したがって、実況見分や検証等に被疑者を立ち会わせて捜査を行っている場合や、間近いときに実況見分、検証等の予定があるといった場合は、当該捜査の中断や予定変更が困難な場合が多いと思われることから、このような場合までを対象とするものではない。
なお、接見に関する配慮に当たっては、検察官との調整を要する場合も考えられるので、必要に応じ、検察官に連絡し、協議を行うこと。
4 上記2又は3の申出があった場合の記録について
(1) 趣旨
逮捕・勾留中の被疑者又は弁護人等から接見に関する申出があった場合に、事後の検証を容易にするなどの観点から、その申出等を記録にとどめることを求めるものである。
(2) 留意事項
ここで作成する書面については、接見申出記録簿(別記様式)に従って記録すること。
上記3の接見の申出があったものの、様々な状況から、結果として速やかな措置を講ずることができなかった場合には、理由を付してその旨を記載すること。
別記様式
略