○風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について(依命通達)

令和4年5月9日

達(生企)第252号

[原議保存期間 30年(令和35年3月31日まで)]

[有効期間 令和35年3月31日まで]

この度、警察庁生活安全局から、別添のとおり、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)等の解釈及び運用の基準が示されたことから、部内はもとより営業者等にも周知を図り、誤りのないようにされたい。

別添

令和4年4月1日

警察庁生活安全局

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号。以下「法」という。)、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令(昭和59年政令第319号。以下「令」という。)、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令(昭和60年総理府令第1号。以下「府令」という。)、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則(昭和60年国家公安委員会規則第1号。以下「施行規則」という。)、少年指導委員規則(昭和60年国家公安委員会規則第2号)、遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則(昭和60年国家公安委員会規則第4号。以下「遊技機規則」という。)等について必要な解釈及び運用の基準は、次のとおりとする。

目次

第1 法の目的について(法第1条関係)

第2 低照度飲食店営業の照度の測定方法等について(法第2条第1項第2号関係)

第3 ゲームセンター等の定義について(法第2条第1項第5号関係)

第4 接待について(法第2条第3項関係)

第5 店舗型性風俗特殊営業の定義について(法第2条第6項関係)

第6 無店舗型性風俗特殊営業の定義について(法第2条第7項関係)

第7 映像送信型性風俗特殊営業の定義について(法第2条第8項関係)

第8 店舗型電話異性紹介営業の定義について(法第2条第9項関係)

第9 無店舗型電話異性紹介営業の定義について(法第2条第10項関係)

第10 特定遊興飲食店営業の定義について(法第2条第11項関係)

第11 接客業務受託営業の定義について(法第2条第13項関係)

第12 風俗営業の許可について(法第3条、第4条及び第5条関係)

第13 風俗営業に係る相続について(法第7条関係)

第14 風俗営業に係る法人の合併について(法第7条の2関係)

第15 風俗営業に係る法人の分割について(法第7条の3関係)

第16 特例風俗営業者の認定について(法第10条の2関係)

第17 風俗営業の規制について(法第9条、第13条、第14条、第15条、第16条、第18条の2、第19条、第20条、第22条、第23条及び第24条関係)

第18 性風俗関連特殊営業の届出について(法第27条、第31条の2、第31条の7、第31条の12及び第31条の17関係)

第19 店舗型性風俗特殊営業の規制について(法第27条の2及び第28条関係)

第20 無店舗型性風俗特殊営業の規制について(法第31条の2の2、第31条の3及び第31条の4第2項関係)

第21 映像送信型性風俗特殊営業の規制について(法第31条の8第1項から第4項まで関係)

第22 店舗型電話異性紹介営業の規制について(法第31条の13関係)

第23 無店舗型電話異性紹介営業の規制について(法第31条の18及び第31条の19第2項関係)

第24 特定遊興飲食店営業の許可について(法第31条の22及び第31条の23関係)

第25 特定遊興飲食店営業に係る相続並びに法人の合併及び分割について(法第31条の23関係)

第26 特例特定遊興飲食店営業者の認定について(法第31条の23関係)

第27 特定遊興飲食店営業の規制について(法第31条の22、第31条の23、第31条の24及び第31条の25関係)

第28 深夜における飲食店営業の規制等について(法第32条関係)

第29 深夜における酒類提供飲食店営業の規制について(法第33条関係)

第30 接客業務受託営業に対する規制について(法第35条の3関係)

第31 指示について(法第25条、第29条、第31条の4第1項、第31条の6第2項第1号、第31条の9第1項、第31条の11第2項第1号、第31条の14、第31条の19第1項、第31条の21第2項第1号、第31条の24、第34条第1項並びに第35条の4第1項及び第4項第1号関係)

第32 営業の停止等について(法第8条、第26条、第30条、第31条の5、第31条の6第2項第2号及び第3号、第31条の15、第31条の20、第31条の21第2項第2号、第31条の25、第34条第2項、第35条、第35条の2、第35条の4第2項及び第4項第2号並びに第41条の2関係)

第33 年少者の利用防止のための命令について(法第31条の10及び第31条の11第2項第2号関係)

第34 自動公衆送信装置設置者の努力義務について(法第31条の8第5項並びに第31条の9第2項及び第3項関係)

第35 従業者名簿について(法第36条及び第36条の2関係)

第36 報告及び立入りについて(法第37条関係)

第37 少年指導委員について(法第38条、第38条の2及び第38条の3関係)

第38 都道府県風俗環境浄化協会について(法第39条関係)

第39 風俗営業者及び特定遊興飲食店営業者の団体について(法第44条関係)

第1 法の目的について(法第1条関係)

1 趣旨

法第1条は、善良の風俗と清浄な風俗環境の保持及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為の防止が法の目的であることを明らかにするとともに、風俗営業は業務の適正化を通じてその健全化を図るべき営業であることを明確にし、風俗営業が適正に営まれている場合でも取締りの対象であるかのような誤解を与えることのないようにしたものである。

2 善良の風俗の保持

「善良の風俗」の「保持」とは、国民の健全な道義観念により人の欲望を基盤とする風俗生活関係を善良の状態に保持することである。

3 清浄な風俗環境の保持

「清浄な風俗環境」の「保持」とは、様々な風俗生活関係から形成される地域の風俗環境その他社会の風俗環境を清浄な状態に保持することである。

4 少年の健全な育成に障害を及ぼす行為の防止

「少年の健全な育成に障害を及ぼす行為」の「防止」とは、発展途上にある少年の心身に有害な影響を与え、その健全な成長を阻害する効果をもたらす行為を防止することである。

第2 低照度飲食店営業の照度の測定方法等について(法第2条第1項第2号関係)

1 「客室」の意義

施行規則第2条の「客室」とは、客に飲食をさせ、又は客に遊興をさせるために客に利用させる場所を指す。例えば、調理場、バーカウンターの内側の客が位置しない部分、洗面所、和風の営業所における床の間・押入れ・廊下、ショーや歌舞音曲を実演するためのステージで客が位置しないもの等は、ここにいう客室には含まれない。

2 施行規則第2条第1号に掲げる客室

施行規則第2条第1号に掲げる客室については、客席及び客に遊興をさせるための部分の双方において、照度を測定することとなる。いずれかの測定場所の照度を10ルクス以下とする場合には、低照度飲食店営業に該当することとなる。

なお、例えば営業所内に甲の間、乙の間及び丙の間があり、甲の間では客席を設けずに客室の全体で客に遊興をさせ、乙の間では客席のみで客に遊興をさせ、丙の間では客に飲食のみをさせ遊興をさせないような場合、甲の間は施行規則第2条第1号に掲げる客室に該当し、乙の間及び丙の間は同条第2号に掲げる客室に該当することとなる。

3 施行規則第2条第2号に掲げる客室

施行規則第2条第2号に掲げる客室については、客席のみにおいて照度を測定することとなる。

(1) 客席のみにおいて客に遊興をさせるための客室については、個々の営業時間のいずれかにおいて、半分以上の時間にわたって、いずれかの測定場所の照度を10ルクス以下とする場合には、低照度飲食店営業に該当することとなる。

(2) 上記(1)の客室以外の客室については、いずれかの測定場所の照度を10ルクス以下とする場合には、低照度飲食店営業に該当することとなる。

第3 ゲームセンター等の定義について(法第2条第1項第5号関係)

1 趣旨

本号は、ゲーム機賭博事犯や少年非行の温床となるおそれのあるゲームセンター等を風俗営業とすることにより、その健全化と業務の適正化を図ることとするものである。

2 遊技設備

本号は、「スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの(国家公安委員会規則で定めるものに限る。)」を設置して客に遊技させる営業を対象とする。具体的な遊技設備は、施行規則第3条に定められている。スロットマシン、テレビゲーム機等で遊技の結果が定量的に表れるもの又は遊技の結果が勝負として表れるものや、ルーレット台やトランプ台等賭博に用いられる可能性がある遊技設備は対象となるが、占い機で盤面にインプットすべき内容を指示する程度にとどまるもの等これら以外の遊技設備は、対象から除外される。また、遊技の結果が定量的に表れ、又は遊技の結果が勝負として表れる遊技設備であっても、単に人の物理的力を表示するもの等については、「射幸心をそそる遊技の用に供されないことが明らかなもの」として対象から除外することとしているが、この規定は通常のインベーダーゲーム機等を対象から除外するという趣旨ではない。

なお、

① 実物に類似する運転席や操縦席が設けられていて「ドライブゲーム」、「飛行機操縦ゲーム」その他これに類する疑似体験を行わせるゲーム機(戦闘により倒した敵の数を競うもの等、運転や操縦以外の結果が数字等により表示されるものを除く。)

② 機械式等のモグラ叩き機

については、当面、賭博、少年のたまり場等の問題が生じないかどうかを見守ることとし、規制の対象としない扱いとする。

(1) スロットマシンその他遊技の結果がメダルその他これに類する物の数量により表示される構造を有する遊技設備(施行規則第3条第1号)

スロットマシンのほか、ぱちんこ遊技機又は回胴式遊技機に類するもの等メダル、遊技球等の数量により遊技の結果が表示される遊技設備をいう。

なお、法第2条第1項第4号の営業に用いられる遊技機を設置して営業する場合には、同号の営業の許可を要することとなるので、同号の営業に用いられる遊技機を設置している場合には、当該遊技機を撤去するか同号の営業に用いられる遊技機以外の遊技機に改めることによって営業させること。

(2) テレビゲーム機(勝敗を争うことを目的とする遊技をさせる機能を有するもの又は遊技の結果が数字、文字その他の記号によりブラウン管、液晶等の表示装置上に表示される機能を有するものに限るものとし、射幸心をそそるおそれがある遊技の用に供されないことが明らかであるものを除く。)(施行規則第3条第2号)

ブラウン管、液晶等の表示装置に遊技内容が表示される遊技設備で、人間と人間若しくは機械との間で勝敗を争うもの又は数字、文字その他の記号が表示されることにより、遊技の結果が表され、優劣を争うことができるものをいう。

前者の例としては対戦型麻雀ゲームが、後者の例としてはインベーダーゲームが挙げられる。

(3) フリッパーゲーム機(施行規則第3条第3号)

いわゆるピンボールゲームをいう。

(4) 前三号に掲げるもののほか、遊技の結果が数字、文字その他の記号又は物品により表示される遊技の用に供する遊技設備(人の身体の力を表示する遊技の用に供するものその他射幸心をそそるおそれがある遊技の用に供されないことが明らかであるものを除く。)(施行規則第3条第4号)

遊技の結果が数字等で表示される遊技設備のうち、遊技の結果を数字等で表示し、その結果により優劣を争うもので、(1)から(3)までに掲げるものを除いたものをいう。

このうち、人の身体の力を表示する遊技の用に供するものとは、投げた球のスピードを計測するもの、パンチの強さを計測するもの等、人の身体の能力を計測するものをいう。

また、射幸心をそそるおそれのある遊技の用に供されないことが明らかであるものとは、同一の条件の下に繰り返し遊技したとしても結果に変わりがない遊技設備をいい、生年月日、血液型、自己の性格等を入力して遊技する占い機がこれに該当する。

このほか、運動競技又は運動競技の練習の用に供されている実態が認められる遊技設備については、営業者により、当該遊技設備が本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技の用に供されないために必要な措置が適切に講じられていると認められる場合には、当面、賭博、少年のたまり場等の問題が生じないかどうかを見守ることとし、規制の対象としない扱いとする。

(5) ルーレット台、トランプ及びトランプ台その他ルーレット遊技又はトランプ遊技に類する遊技の用に供する遊技設備(施行規則第3条第5号)

ルーレット遊技又はトランプ遊技の用に供する遊技設備のほか、賭博に用いられる可能性がある花札、サイコロ等を使用して遊技をさせ、優劣を争わせるための遊技設備であって、(1)から(4)までに掲げるもの以外のものをいう。

3 店舗その他これに類する区画された施設

本号は、「遊技設備を備える店舗その他これに類する区画された施設」において当該遊技設備を用いて客に遊技をさせる営業を対象とする。したがって、屋外にあるもの等「店舗その他これに類する区画された施設」に当たらない場所において客に遊技をさせる営業は、本号の対象とはならない。

また、本号の対象は、「店舗」及び「店舗に類する区画された施設」であるが、「店舗」に当たらない後者についてのみ令第1条の要件に当たるものを対象外とするものである。

(1) 店舗

ア 店舗の意義

「店舗」とは、社会通念上一つの営業の単位と言い得る程度に外形的に独立した施設をいい、ゲームセンター、ゲーム喫茶のように法第2条第1項第5号の営業用に設けられた店舗である場合はもとより、飲食店営業、小売業等の営業用に設けられた店舗も、同号の「店舗」に含まれる。すなわち、社会通念上の「店舗」に遊技設備を備える場合は、風俗営業の許可を要することとなる。施設が「一つの営業の単位と言い得る程度に外形的に独立」しているとは、看板等の表示、従業者の服装、又は営業時間の独立性等その実態から判断して、一つの営業単位としての独立的性格を有することをいう。したがって、区画された施設が一個の営業用の家屋である場合には当然に店舗となるが、区画された施設がビルディング等の大規模な建物の内部にある場合でも、この独立的性格を有するときには、店舗に当たる。

イ 風俗営業の許可を要しない扱いとする場合

アによれば、例えば、大きなレストラン等の店舗の片隅に1台の遊技設備を設置する場合にも風俗営業の許可を要することとなるが、この事例のように当該店舗内において占める法第2条第1項第5号の営業としての外形的独立性が著しく小さいものについては、法的規制の必要性が小さいこととなる場合もあると考えられる。

そこで、遊技設備設置部分を含む店舗の1フロアの客の用に供される部分の床面積に対して客の遊技の用に供される部分(店舗でない区画された部分も含む。)の床面積(当該床面積は、客の占めるスペース、遊技設備の種類等を勘案し、遊技設備の直接占める面積のおおむね3倍として計算するものとする。ただし、1台の遊技設備の直接占める面積の3倍が1.5平方メートルに満たないときは、当該遊技設備に係る床面積は1.5平方メートルとして計算するものとする。)が占める割合が10パーセントを超えない場合は、当面問題を生じないかどうかの推移を見守ることとし、風俗営業の許可を要しない扱いとする。

なお、「店舗の1フロア」とは、雑居ビル内の一つのフロアに複数の店舗があり、その中の一つの店舗に遊技設備を設置する場合には、そのフロア全体の床面積ではなく、当該店舗内のみをいう。また、「客の用に供される部分」には、カウンターやレジの内側等専ら従業者の用に供されている部分や洗面所等当該フロアとは完全に区画されている部分は含まない。

(2) 店舗に類する区画された施設

店舗に類する区画された施設において客に遊技をさせる営業は、政令で定める施設において営まれる営業を除き、本号の対象となる。

「店舗に類する区画された施設」とは、いわゆるゲームコーナーのように「店舗」に当たらない区画された施設で、営業行為の行われるものをいい、例えば、旅館、ホテル、ショッピングセンター等の大規模な施設の内部にある区画された施設をいう。

店舗に類する区画された施設については、令第1条で定めるものは、対象から除外される。

令第1条中「当該施設の内部を・・・当該施設の外部から容易に見通すことができるもの」とは、例えば、通常の区画されたゲームコーナーにあっては、通路等に接した面について、

① テーブルの高さ程度以上の部分が開放されているもの

② ガラス張り等で閉鎖されている場合には、当該ガラス等が無色透明でおおい等がなされていないもの

等であって、内部の照明又は構造、設備若しくは物品等が見通しを妨げず、外部から内部のほぼ全体を見通すことができるもの(区画の一部について外部から直接目視によっては見通すことができない場合であっても、例えば、当該部分についてビデオカメラ等で撮影し、その映像を当該区画の接する通路等に設置したモニターにリアルタイムに映し出すことなどにより、外部の一般の者が当該モニター上の映像を通じて当該部分の状況を容易に確認することができるような措置が採られているものを含む。)がこれに該当する。

また、大規模小売店舗内の区画された施設については、大規模小売店舗内の店舗に当たらない区画された施設のうち、小売業の用に供し、又はこれに随伴する施設で、主として小売業部分に来集する顧客が利用するものがこれに当たる。

なお、(1)イの扱いは、区画された施設についても同様である。

第4 接待について(法第2条第3項関係)

1 接待の定義

接待とは、「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」をいう。

この意味は、営業者、従業者等との会話やサービス等慰安や歓楽を期待して来店する客に対して、その気持ちに応えるため営業者側の積極的な行為として相手を特定して3の各号に掲げるような興趣を添える会話やサービス等を行うことをいう。言い換えれば、特定の客又は客のグループに対して単なる飲食行為に通常伴う役務の提供を超える程度の会話やサービス行為等を行うことである。

2 接待の主体

通常の場合、接待を行うのは、営業者やその雇用している者が多いが、それに限らず、料理店で芸者が接待する場合、旅館・ホテル等でバンケットクラブのホステスが接待する場合、営業者との明示又は黙示の契約・了解の下に客を装った者が接待する場合等を含み、女給、仲居、接待婦等その名称のいかんを問うものではない。

また、接待は、通常は異性によることが多いが、それに限られるものではない。

3 接待の判断基準

(1) 談笑・お酌等

特定少数の客の近くにはべり、継続して、談笑の相手となったり、酒等の飲食物を提供したりする行為は接待に当たる。

これに対して、お酌をしたり水割りを作るが速やかにその場を立ち去る行為、客の後方で待機し、又はカウンター内で単に客の注文に応じて酒類等を提供するだけの行為及びこれらに付随して社交儀礼上の挨拶を交わしたり、若干の世間話をしたりする程度の行為は、接待に当たらない。

(2) ショー等

特定少数の客に対して、専らその客の用に供している客室又は客室内の区画された場所において、ショー、歌舞音曲等を見せ、又は聴かせる行為は接待に当たる。

これに対して、ホテルのディナーショーのように不特定多数の客に対し、同時に、ショー、歌舞音曲等を見せ、又は聴かせる行為は、接待には当たらない。

(3) 歌唱等

特定少数の客の近くにはべり、その客に対し歌うことを勧奨し、若しくはその客の歌に手拍子をとり、拍手をし、若しくは褒めはやす行為又は客と一緒に歌う行為は、接待に当たる。

これに対して、客の近くに位置せず、不特定の客に対し歌うことを勧奨し、又は不特定の客の歌に対し拍手をし、若しくは褒めはやす行為、不特定の客からカラオケの準備の依頼を受ける行為又は歌の伴奏のため楽器を演奏する行為等は、接待には当たらない。

(4) ダンス

特定の客の相手となって、その身体に接触しながら、当該客にダンスをさせる行為は接待に当たる。また、客の身体に接触しない場合であっても、特定少数の客の近くに位置し、継続して、その客と一緒に踊る行為は、接待に当たる。ただし、ダンスを教授する十分な能力を有する者が、ダンスの技能及び知識を修得させることを目的として客にダンスを教授する行為は、接待には当たらない。

(5) 遊戯等

特定少数の客と共に、遊戯、ゲーム、競技等を行う行為は、接待に当たる。これに対して、客一人で又は客同士で、遊戯、ゲーム、競技等を行わせる行為は、直ちに接待に当たるとはいえない。

(6) その他

客と身体を密着させたり、手を握る等客の身体に接触する行為は、接待に当たる。ただし、社交儀礼上の握手、酔客の介抱のために必要な限度での接触等は、接待に当たらない。

また、客の口許まで飲食物を差出し、客に飲食させる行為も接待に当たる。

これに対して、単に飲食物を運搬し、又は食器を片付ける行為、客の荷物、コート等を預かる行為等は、接待に当たらない。

第5 店舗型性風俗特殊営業の定義について(法第2条第6項関係)

1 個室付浴場業(法第2条第6項第1号)

法第2条第6項第1号に規定する個室付浴場業(公衆浴場法(昭和23年法律第139号)第1条第1項に規定するもの)は、公衆浴場法の許可を受けたものであることを要件としない。

2 店舗型ファッションヘルス営業(法第2条第6項第2号)

(1) 法第2条第6項第2号の営業には、店舗型のファッションヘルス等が該当し、同号中「性的好奇心に応じて」とは、当該客の性的な感情に応えてという趣旨である。したがって、通常のマッサージ等は、同号の営業には当たらない。

(2) 「ホテルヘルス」等と称して派遣型ファッションヘルス営業を装いつつ、レンタルルーム、ラブホテル等を営む者と提携して個室を確保しているような場合も「個室を設け」に該当する。

3 ストリップ劇場等(法第2条第6項第3号)

(1) 法第2条第6項第3号に規定する興行場(興行場法(昭和23年法律第137号)第1条第1項に規定するもの)は、興行場法の許可を受けたものであることを要件としない。

(2) 令第2条中「専らこれらの各号に規定する興行の用に供するもの」とは、当該興行場において上演される興行が「専ら」同条各号に規定する興行であるものをいう。「専ら」とは、他の営業でも同様であるが、おおむね7割ないし8割程度以上をいう。

(3) 令第2条各号中「その性的好奇心をそそるため」とは、当該客の性的な感情を著しく刺激する目的であると社会通念上認められるものをいう。

(4) 令第2条各号中「衣服を脱いだ人の姿態」とは、全裸又は半裸等社会通念上公衆の面前で人が着用しているべき衣服を脱いだ人の姿態をいう。したがって、例えば、通常の水着を着用した人の姿態は「衣服を脱いだ人の姿態」には当たらない。この場合に、全裸又は半裸の人の身体の上に、社会通念上人が着用する衣服とは認められないような透明又は半透明の材質により作られた衣装等を着用したとしても、その人の姿態は、「衣服を脱いだ人の姿態」に当たる。

なお、いわゆるブルセラ営業を営む店舗において、来店した女性の少年等が現に着用している下着その他の衣類を客の見ている前で脱いで当該衣類を販売する営業形態(いわゆる生セラ)は、「衣類を脱いだ人の姿態」といえる状況であれば、本号に該当する。

(5) 令第2条第2号中「これに類する施設」とは、例えば、客の在室する個室とダンサーがいる部屋との間にガラス張りの廊下があることにより、そのダンサーのいる部屋が「隣室」といえないような場合、客の在室する個室の隣が「室」といえないような施設(カーテンで仕切った廊下等)である場合等をいう。

(6) 令第2条第3号中「衣服を脱いだ人の姿態又はその姿態及びその映像を見せる」と規定したのは、映像のみを見せるもの(成人映画館)を規制の対象から除く趣旨である。

なお、成人映画館について今後規制の必要が生ずるかどうかは、映画界の自主規制の推移等によることとする。

4 モーテル、ラブホテル等(法第2条第6項第4号)

(1) 法第2条第6項第4号に規定する施設の要件は、次のとおりである。

① 専ら異性を同伴する客の宿泊(休憩を含む。)の用に供する施設であること。

② 令第3条第1項に定める施設であること。

③ 令第3条第2項又は第3項に定める構造又は設備を有する個室を設ける施設であること。

なお、③については、全ての個室について当該構造又は設備を有する必要はないと解される。

したがって、一般の旅館・ホテルが対象となることはない(なお、②及び③は、一般の旅館・ホテルが対象とならないことを明確にするために定めたものである。)。

(2) 令第3条第1項第2号イの床面積の要件は、専ら異性同伴の客の用に供するものであり、かつ、特殊な構造又は設備を有する旅館・ホテルであっても、一般の旅館・ホテルとしても十分な程度の広さの食堂とロビーがあれば、当面は規制の対象とする必要がないとの考え方に立ち規定したものであり、この床面積の算出方法も、この趣旨に鑑み、一般の旅館・ホテルを基礎として算出することとしている。

(3) 令第3条第1項第2号イ中「食堂(調理室を含む。)」は、現に宿泊客に食事を提供する用に供されている施設でなければならず、その用に供されていないものまで含める趣旨ではない。したがって、営業時間が合理的な範囲を超えて限定されているような食堂はこれに含まれない。また、食堂(調理室を含む。)の面積は、一つの食堂(調理室を含む。)について計算するものであり(客が食事をする場所(いわゆる食堂)と調理室が一体となり、又は隣接している場合には、これらの面積を合算して計算するものとする。)、幾つかの食堂の面積の総和をいうものではない。

なお、当該施設において相互に関係のない多数の宿泊客に食事を提供する場所として常時利用されている宴会場等は、「食堂」と解するものとする。

(4) 令第3条第1項第2号イ中「ロビー」は、客との面接に適するフロント、玄関帳場等に付属して設けられる施設であって、ロビーとフロント等とが相互に容易に全体の見通しのきく構造を有するものであり、全ての客がその中において、又はその隣接した廊下等を通り、客待ちに利用できるような位置に設けているものをいう。

また、ロビーの面積は、一つのロビーの面積をいう。

(5) 令第3条第1項第2号イ中「収容人員」の数は、次に掲げる数を合算して算定するものとする。

① 洋式の室にあっては、当該室にあるベッド数(2人用のベッドにあっては、当該ベッドの数に2を乗じた数)に対応する数

② 和式の室にあっては、室の数に2を乗じた数

(6) 収容人員30人以下のものにあっては、食堂(調理室を含む。)が30平方メートル以上であり、かつ、ロビーが30平方メートル以上のもの、収容人員31人以上50人以下のものにあっては、食堂(調理室を含む。)が40平方メートル以上であり、かつ、ロビーが40平方メートル以上のもの、収容人員51人以上のものにあっては、食堂(調理室を含む。)が50平方メートル以上であり、かつ、ロビーが50平方メートル以上のものでなければ、それぞれ令第3条第1項第2号イの施設に該当することとなる。

(7) 令第3条第1項第2号ロ中「施設の外周に、又は外部から見通すことができる当該施設の内部に」とは、建物の外壁や施設の出入口に設置されているなど、施設の外部から見えるような状態のものをいう。

(8) 令第3条第1項第2号ロ中「休憩の料金の表示その他の当該施設を休憩のために利用することができる旨の表示」とは、当該施設を時間単位で利用させるなど、短時間利用ができることが分かるような表示をいう。典型的には、「休憩」、「レスト」、「サービスタイム」等の文字やその料金を表示するものがこれに該当する。また、例えば、時間と料金の表示のみがある場合でも当該施設が短時間利用ができることが分かる場合には、この表示に該当する。料金が表示されていない場合でも、「休憩」等の文字が書かれており、表示内容から当該施設の短時間利用ができることが分かるときには、この表示に該当する。

また、表示は、典型的には施設の出入口に掲げられた看板、垂れ幕、ネオンサイン、電光掲示板等をいい、ビラ等にあっても、これが建物の外壁に貼られることにより、施設の外部の通行人の目に留まる状態にある場合には、表示に該当することになる。

(9) 令第3条第1項第2号ハ中「出入口・・・に近接する」とは、出入口との対応関係が明らかな程度にあることをいう。

(10) 令第3条第1項第2号ハ中「目隠しその他当該施設に出入りする者を外部から見えにくくするための設備」とは、駐車場の出入口に設けられた目隠しのほか、施設の出入口に設けられたついたてや看板のように、客の施設への出入りの状況を通常の姿勢の通行人から見えにくくするために設けられた設備をいう。

(11) 令第3条第1項第2号ニ中「面接」とは、営業者若しくは従業者又は宿泊をしようとする全ての客(乳幼児を除く。)が、相互に相手の上半身までをはっきりと見、対面して言葉を交わすなどして、その客の人となりを確認する程度のことをいう。

また、施行規則第4条の趣旨は、カーテン、ブラインド等を閉めることなどにより、客が従業者と面接しないで個室の鍵の授受等の手続ができることとなる位置に取り付けられているものを規制の対象とする趣旨である。したがって、そのような位置にカーテン等が設けられている施設は、実際に従業者が客と面接をしていたとしても、これに該当する。一方、そのような状態にない施設、例えばカーテンがフロントとその奥にある従業者控室との間に取り付けられていて客との面接に支障が生じる状態にある施設はこれには該当しない。

なお、「フロント、玄関帳場その他これらに類する設備」は、全ての客が必ず通過する場所に設けられ、かつ、客との面接に適するものでなければならない。

(12) 令第3条第1項第2号ホの趣旨は、客が従業者と面接することなく個室を利用することが可能な施設を規制の対象とする趣旨である。

そのような施設としては、例えば、いわゆる客室案内板(個室内の写真等と共に当該個室が利用可能かどうかを表示する設備であって、当該設備を操作することによって客が利用する個室を選択する機能を有するもの)から客の選択した個室の鍵(カードキーを含む。)が出る施設又は客室案内板の操作と連動して当該個室の錠が自動的に解錠されるものが設けられた施設、客が利用する車庫のシャッターを下ろすことにより対応する個室の錠が自動的に解錠される設備が設けられた施設、個室の鍵を客が自由に取ることができるようにフロントにキーボックスを備えている施設、車庫に駐車された自動車をセンサーで感知して個室の錠が解錠される設備を有する施設、従業者が操作することにより錠の施錠・解錠ができる設備を設け、利用可能な個室の錠をあらかじめ解錠している施設等が該当する。

(13) 令第3条第2項各号列記以外の部分の括弧書きの趣旨は、異性同伴の客の用に供するものであり、かつ、特殊な構造を有する旅館・ホテルであっても、旅館業法(昭和23年法律第138号)上の義務以上に特段の「フロント業務」を行うものについては、規制の対象から除外する趣旨であり、その内容は厳格に解しなければならない。要するに、一流のホテルの「フロント業務」と同程度の行為を常態として行っているものを規制から除外する趣旨である。

なお、同条第1項第2号ホに該当する施設の場合には、フロント等での鍵の授受を行っているとは想定されないことから、規制から除外されることはない。

(14) 令第3条第2項中「面接」とは、営業者若しくは従業者又は宿泊をしようとする全ての客(乳幼児を除く。)が、相互に相手の上半身までをはっきりと見、対面して言葉を交わすなどして、その客の人となりを確認する程度のことをいい、客が車から降りて行わなければならないものである((11)を参照すること。)。

(15) 令第3条第2項中「フロント等」とは、モーテルの特殊性に鑑み、全ての客が必ず通過する場所に設けられ、かつ、客との面接に適するものでなければならない((11)を参照すること。)。

(16) 令第3条第2項各号列記以外の部分の括弧書きの施設には、施設内に入った後や施設を出る際に客と十分な時間をかけてこれらの行為を行う施設を含む。

(17) 令第3条第2項第1号中「区画された車庫の部分」とは、ブロック等により仕切られているもの、白線等により駐車場所が個々に区分されているもの等をいう。

(18) 令第3条第2項第1号中「個室に接続する」とは、直接接続している場合又はこれと同視できる程度に密接している場合をいう。

(19) 令第3条第2項第2号中「近接して」とは、当該個室と当該車庫の対応関係が明らかな程度であるものをいう。

(20) 令第3条第2項第3号中「通路に主として用いられる」施設には、専用の通路のほか、客の共用に供せられる部分が含まれていても、その共用部分が少ないものも含まれる。

(21) 令第3条第3項中の施設と設備の組合せは、次の表の左欄に掲げる施設の区分に応じ、それぞれ同表の右欄に定める設備である。

施設の区分

設備の種類

令第3条第1項第1号に掲げる施設

令第3条第3項第1号イ、ロ又はハに掲げる設備

令第3条第1項第2号に掲げる施設のうちイからハまでのいずれかに該当するもの

令第3条第3項第1号イ又はロに掲げる設備

令第3条第1項第2号に掲げる施設のうちニ又はホに該当するもの

令第3条第3項第2号ロに掲げる設備

(22) 令第3条第3項第1号イ中「横臥している人の姿態を映すために設けられた鏡」とは、ホテル等の寝室等に備え付けてある鏡で、ベッドの脇やベッドの真上の天井に取り付けてあるもの等、客が自分たちの横臥している姿を見るためのものであり、一般の旅館、ホテルにある鏡台、洗面所の鏡等のように、通常客が身繕い等をするための用に供するだけの鏡を含まない。

(23) 令第3条第3項第1号イ中「専ら異性を同伴する客の性的好奇心に応ずるため設けられた設備」とは、例えば、ガラス張り等になっていて客室の中から内部を見ることのできる浴室、加虐・被虐嗜好(以下「SM」という。)用の設備、横臥している人の姿態を撮影することのできるビデオカメラ等がこれに当たる。

(24) 令第3条第3項第1号ハ中「長椅子その他の設備」とは、長椅子のほか、人が横臥することができるスペースを有する台等をいう。

(25) 令第3条第3項第2号ロに掲げる設備とは、例えば、自動精算機、料金支払用エアシューター(圧縮空気によってパイプを通して容器を送ることができる装置であって、宿泊の料金の受渡しを行うことができるものをいう。)や料金支払用の小窓(個室の出入口の周辺等に設けられた開閉可能な小規模の設備であって、客が従業者と面接しないで宿泊の料金の受渡しを行うことができるものをいう。)がこれに当たる。

5 アダルトショップ等(法第2条第6項第5号)

(1) 令第4条中「性的好奇心をそそる物品」とは、社会通念上一般人が見るなどしただけで性的な感情を著しく刺激されるようなものであることをいう。したがって、通常の書籍は「性的好奇心をそそる」ものには当たらないといえる。また、当該物品を専ら販売し、又は貸し付ける営業に該当しない一般向けのビデオの販売店、レンタル店等は、法第2条第6項第5号の営業には該当しないが、法第35条の2の特定性風俗物品販売等営業に該当し得る。

(2) 令第4条第1号及び第3号中「衣服を脱いだ人の姿態」については、3(4)を参照すること。

(3) 令第4条第2号及び第3号中「主たる内容」であるかどうかは、その構成等を総合的に勘案して判断すること。

なお、令第4条第3号中「主たる内容」とは、通常、当該映像の再生時間のうち、衣服を脱いだ人の姿態に関する映像の再生時間が半分以上のものをいう。

(4) 令第4条第4号中「性具その他の性的な行為の用に供する物品」とは、バイブレーター、肥後ずいき、SM用具、いわゆるび薬、特殊な形状のコンドーム等をいい、通常のコンドーム等の衛生用品までは含まない。

(5) 令第4条第4号中「性的な行為を表す写真その他の物品」とは、自慰行為、性交、性交類似行為等を行っている人の写真、ビデオテープ等をいう。

(6) 令第4条第4号中「これらに類する物品」とは、性器の拓本等をいう。

なお、いわゆるブルセラ営業で販売されている着用したブルマー、下着その他の衣類等は、「これらに類する物品」に該当する。

6 出会い系喫茶営業(法第2条第6項第6号)

(1) 令第5条に規定する営業には、いわゆる出会い系喫茶営業が該当するが、これは、店舗を設けて、専ら、面識のない異性との一時の性的好奇心を満たすための交際(会話を含む。)を希望する者に対し、

① 当該店舗内においてその者が異性の姿態若しくはその画像を見てした面会の申込みを当該異性に取り次ぐこと又は

② 当該店舗内に設けた個室若しくはこれに類する施設において異性と面会する機会を提供すること

により異性を紹介する営業をいう。

①及び②の営業形態のいずれについても、「面会の申込み」を行う者は男女のいずれであるかを問わず、また、「当該異性が当該営業に従事する者である場合」、すなわち客の面会の相手方として異性の客を装った者を使用している場合(営業者と雇用関係にはないが実態として営業者の事実上の指揮下にあるような者等を紹介する場合を含む。)も、当該営業に含まれる。ただし、個室付浴場業又は店舗型ファッションヘルス営業に該当する営業は除かれる。

(2) 令第5条中「店舗」の意義については、第3中3を参照すること。

(3) 令第5条中「専ら」の意義については、法第2条第6項第3号等の「専ら」と同義(3(2)を参照すること。)であるが、「専ら」に該当するかどうかは、当該営業を営む者の意図及び当該営業の実態を踏まえて判断することとなる。具体的には、その営業形態や広告・宣伝の方法等の客観的な要素を勘案することにより判断する。

(4) 令第5条中「一時の性的好奇心」とは、典型的には「あるときふと催した性的感情」という意味で、結婚あるいはこれに準ずる安定した関係を異性と築きたいとの真摯な動機に基づく性的感情を除く趣旨である。すなわち、ここにいう「一時の」とは、期間の長短という量的なものではなく、当該営業を通じた交際の相手方が偶然居合わせた面識のない異性であるという質的な視点で捉えるものであるため、例えば、この種の交際が結果として長期化する場合があったとしても、「一時の性的好奇心を満たすための交際」と判断されることとなる。

なお、この場合の「交際」には、会話を含むものと規定されているが、これは「交際」に会話が含まれることを確認的に規定したものである。

(5) 令第5条中「面会」とは、人と直接に会うことをいう。

(6) 令第5条中「姿態若しくはその画像を見て」と規定したのは、人の姿態を直接見せるもの(マジックミラー等を通して見せるものを含む。)のほか、写真、静止映像やビデオの映像のような「動く映像(動画)」を見せることも含む趣旨である。また、一般的に全身を見せる場合だけでなく、顔だけを見せるものもこれに含まれる。

(7) 令第5条中「当該異性に取り次ぐこと」とは、面識のない異性との一時の性的好奇心を満たすための交際(会話を含む。)を希望する者からの面会の申込みについて、当該面会の申込みを当該異性に伝達することをいうが、面会自体が店舗内で行われることを要しない。

(8) 令第5条中「これに類する施設」とは、個室に準じた区画された施設をいい、例えば、他から見通すことが困難となるように部屋がカーテン等で個々に区分されているもの等をいう。

第6 無店舗型性風俗特殊営業の定義について(法第2条第7項関係)

1 派遣型ファッションヘルス営業(法第2条第7項第1号)

(1) 「人の住居」とは、人が居住して日常生活に用いている家屋等の場所をいい、その居住は永続的であることを要せず、一時的でもよい。

(2) 「人の宿泊の用に供する施設」とは、人の宿泊又は休憩の用に供することができる家屋その他の建築物をいう。ラブホテル、モーテル、レンタルルーム等店舗型性風俗特殊営業として法の規制の対象となる営業がこれに当たることはもちろんであるが、一般のホテル、旅館等であってもこれに当たる。

(3) 「性的好奇心に応じて」の意義については、第5中2を参照すること。

(4) 「客の依頼」を受ける方法については、2のアダルトビデオ等通信販売営業の場合と異なり、制限がない。ただし、客が来訪する施設において「客の依頼」を受ける場合、当該施設は法第31条の2第1項第7号の「受付所」に該当することから、受付所で「客の依頼」を受ける業務については、法第31条の3第2項の規制(第20中3を参照すること。)を受ける。

(5) 「派遣」とは、客に接する役務を提供する者を差し遣わすことをいう。人の住居又は人の宿泊の用に供する施設以外の場所で客と会った後、人の住居又は人の宿泊の用に供する施設において役務を提供するような形態のものも含まれる。

2 アダルトビデオ等通信販売営業(法第2条第7項第2号)

(1) 「専ら」の意義については、第5中3(2)を参照すること。「専ら」に該当するかどうかは、当該営業を営む者の意図及び当該営業の実態を踏まえて判断することとなる。

(2) 「配達し」とは、当該営業を営む者又はその代理人、使用人その他の従業者(以下「代理人等」という。)が客のもとに直接対象物品を送り届ける場合をいい、「配達させる」とは郵便、宅配等を利用して届ける場合をいう。

(3) 施行規則第5条第1号の「電気通信設備を用いる方法」とは、例えば、ファクシミリ、インターネット等を利用する方法をいう。また、同条第5号の「事務所」は、営業の本拠となるものに限らず、当該営業を営む者が設置する事務所全てがこれに当たる。

なお、「電気通信設備」の意義については、第7中5を参照すること。

第7 映像送信型性風俗特殊営業の定義について(法第2条第8項関係)

1 総説

映像送信型性風俗特殊営業には、客に「性的な行為を表す場面又は衣服を脱いだ人の姿態の映像」を見せる営業のうち、これらの映像を「専ら」見せるものであって、かつ、客の「性的好奇心をそそるため」見せるものがこれに当たることとなる。

2 「性的な行為を表す場面又は衣服を脱いだ人の姿態の映像」の該当性の判断

(1) 「性的な行為を表す場面」とは、自慰行為、性交、性交類似行為等を行っている人の様子や光景のことをいう。「衣服を脱いだ人の姿態」の意義については、第5中3(4)を参照すること。

(2) 「映像」とは、静止映像のほか、ビデオの映像のような「動く映像(動画)」もこれに含まれる。

3 「専ら」の該当性の判断

(1) 「専ら」の意義については、第5中3(2)を参照すること。「専ら」に該当するかどうかは、営業を営む者の意図及び営業の実態を踏まえて判断することとなる。

(2) ホームページの中を幾つかのセクションに分割し、そのうちの一部で性的な行為を表す場面又は衣服を脱いだ人の姿態の映像を見せている場合については、当該セクションについて別料金を設定しているなどの事情が認められる場合を除き、ホームページ全体を通じて「専ら」当該映像を見せているかどうかを判断することとなる。

4 「性的好奇心をそそるため」の該当性の判断

(1) 「性的好奇心をそそるため」の意義については、第5中3(3)を参照すること。

(2) 青少年保護育成条例等を制定している都道府県においては、著しく性的感情を刺激し、少年の健全な育成を阻害するおそれのある図書を有害図書として個別に知事が指定し、その販売等を規制しているが、多くの条例においては、更に一定の図書を包括的に有害図書とする制度を設けており、その基準として、図書については、全体の2割が次の内容であることを規定している例が多くみられる。

そこで、一般的には、客に見せる映像の中に次の映像がおおむね2割以上含まれている場合には、「性的好奇心をそそるため」のものであると評価することができると解される。

① 衣服を脱いだ人の姿態で、次に掲げるもの

(i) 大腿部を開いた姿態

(ii) 陰部、臀部又は胸部を誇示した姿態

(iii) 自慰の姿態

(iv) 排泄の姿態

(v) 愛撫の姿態又はこれを連想させる姿態

(vi) 緊縛の姿態

② 性的な行為を表す場面で、次に掲げるもの

(i) 男女間の性交又は性交を連想させる行為

(ii) 強姦、輪姦その他のりょう辱行為

(iii) 性交類似行為

(iv) 変態性欲に基づく性行為

5 電気通信設備の意義

「電気通信設備」とは、電気通信(有線、無線その他の電磁的方法により、符号、音響又は影像を送り、伝え、又は受けることをいう。)を行うための機械、器具、線路その他の電気的設備をいう。

6 放送の意義

「放送」とは、公衆によって同一の内容の送信が直接、かつ、同時に受信されることを目的として行う無線通信の送信をいい、「有線放送」とは、公衆によって同一の内容の送信が直接、かつ、同時に受信されることを目的として行う有線電気通信の送信をいう。したがって、一般のテレビジョン放送、ケーブルテレビ等は、法第2条第8項の対象とはならない。

7 バナー広告の依頼者の客に映像を伝達する形態のもの

バナー広告(インターネットのホームページ等に設けられた横断幕状の映像であって、広告の内容を表示するとともに、当該広告の部分をクリックすることにより、当該広告の広告主が希望するホームページに自動的にアクセスすることができるようにしているものをいう。)を表示すること等により広告収入を得て、当該バナー広告を依頼した者の客となるべき者に映像を伝達する形態のものは、映像送信型性風俗特殊営業に当たらない。

第8 店舗型電話異性紹介営業の定義について(法第2条第9項関係)

1 総説

店舗型電話異性紹介営業とは、店舗を設けて、専ら、面識のない異性との一時の性的好奇心を満たすための交際(会話を含む。)を希望する者に対し、会話(伝言のやり取りを含むものとし、音声によるものに限る。以下同じ。)の機会を提供することにより異性を紹介する営業で、その一方の者からの電話による会話の申込みを電気通信設備を用いて当該店舗に立ち入らせた他の一方の者に取り次ぐことによって営むものをいう。したがって、「会話の申込み」を行う者が、男女のいずれであるかを問わず、また、「その一方の者が当該営業に従事する者である場合」、すなわち客との会話の相手方として異性の客を装った者を使用している場合も、当該営業に含まれる。

2 「専ら」の意義

「専ら」の意義については、法第2条第6項第3号等の「専ら」と同義(第5中3(2)を参照すること。)であるが、「専ら」に該当するかどうかは、当該営業を営む者の意図及び当該営業の実態を踏まえて判断することとなる。具体的には、その営業形態や広告・宣伝の方法等の客観的な要素を勘案することにより判断する。

3 「一時の性的好奇心を満たすための交際」の該当性の判断

「一時の性的好奇心」とは、令第5条の「一時の性的好奇心」と同様(第5中6(4)を参照すること。)であり、ここにいう「一時の」とは、期間の長短という量的なものではなく、当該営業を通じた交際の相手方がその都度偶然に選ばれる面識のない異性であるという質的な視点で捉えるものである。

なお、「交際」には、会話を含むものと規定されているが、これは「交際」に会話が含まれることを確認的に規定したものであり、例えば従業者による性的な会話の機会のみを提供する場合についても「交際」に該当する。

4 「会話」の該当性の判断

「会話」とは、音声による会話のみがこれに該当するという趣旨であることから、リアルタイムに交わされるものではない伝言のやり取り、例えば録音機能を有する機械を使用する形態のもの等が含まれる一方、インターネット上で行われるチャットのような文字メッセージのやり取りによるものは含まれない。

5 「電気通信設備」の意義

「電気通信設備」については、法第2条第8項の「電気通信設備」と同様(第7中5を参照すること。)であり、具体的には、営業において必要となる電話交換機等がこれに該当する。

6 「他の一方の者に取り次ぐ」の意義

「他の一方の者に取り次ぐ」とは、一方の者からの電話による会話の申込みについて、当該会話の申込みを他の一方の者に伝達することをいうが、これを従業者等が手動で行うか電話交換機等の機械によるかは問わない。

したがって、店舗型電話異性紹介営業の場合には、店舗内の客に個別に電話を回すいわゆる取次ぎ式のほか、電話の呼出し音が鳴り次第客自らが素早く受話器を取るいわゆる早取り式であっても、店舗内に立ち入らせた客に会話の申込みを取り次ぐことに当たる。

第9 無店舗型電話異性紹介営業の定義について(法第2条第10項関係)

無店舗型電話異性紹介営業とは、専ら、面識のない異性との一時の性的好奇心を満たすための交際を希望する者に対し、会話の機会を提供することにより異性を紹介する営業で、その一方の者からの電話による会話の申込みを電気通信設備を用いて他の一方の者に取り次ぐことによって営むもののうち、法第2条第9項に規定する店舗型電話異性紹介営業(第8中1を参照すること。)に該当する営業を除いたものであるが、店舗型電話異性紹介営業と同様に「会話の申込み」が男女のいずれかによってなされるかを問わず、また、録音機能を有する機械を使用する形態のもの(いわゆる伝言ダイヤル)や男あるいは女の「会話の申込み」を同じく会話の申込みを行った異性に取り次ぐ形態のもの等(いわゆるツーショットダイヤル)も含まれる。

「その一方の者が当該営業に従事する者である場合」、すなわち客の会話の相手方として異性の客を装った者を使用している場合が当該営業に含まれることも店舗型電話異性紹介営業と同様である。

なお、「専ら」、「一時の性的好奇心を満たすための交際」及び「電気通信設備」については、第8中2、3及び5を参照すること。

第10 特定遊興飲食店営業の定義について(法第2条第11項関係)

1 総説

深夜は、その他の時間帯と比較すると、一般に、多くの人々が睡眠を取っていることから人目も少なくなり、規範の逸脱に対する社会の制御機能が低下する時間帯と考えられる。また、深夜は、日中の勤務時の緊張から解放され、長時間にわたって慰安を求め続ける者が多くなる時間帯であり、こうした者が風俗上の規範を逸脱するおそれもある。このような時間帯である深夜に、飲酒をする客に対し、営業者側が積極的に働き掛けて遊興をさせた場合には、遊興に伴う騒音、営業所の周辺での酔客の粗暴・卑わいな行為、痴漢や売春といった性的な事案等を始めとする風俗上の問題が生じるおそれが高いと考えられる。このため、飲食店営業における深夜の遊興に対する規制を緩和するに際し、深夜・遊興・飲酒という3要素の全てを満たす営業を特定遊興飲食店営業とし、所要の規制を行うこととしている。

特定遊興飲食店営業とは、ナイトクラブその他設備を設けて客に遊興をさせ、かつ、客に飲食をさせる営業(客に酒類を提供して営むものに限る。)で、午前6時後翌日の午前0時前の時間においてのみ営むもの以外のもの(風俗営業に該当するものを除く。)をいう。

したがって、例えば、法第2条第1項第2号の営業に該当するもの、深夜は営業しないもの、深夜は酒類を提供しないもの、深夜は客に遊興をさせないもの等は、特定遊興飲食店営業には該当しない。

2 「遊興をさせる」の意義

(1) 「遊興をさせる」とは、文字どおり遊び興じさせることであるが、特定遊興飲食店営業として規制対象となるのは、営業者側の積極的な行為によって客に遊び興じさせる場合である。

客に遊興をさせるためのサービスとしては、主として、ショーや演奏の類を客に見聴きさせる鑑賞型のサービスと、客に遊戯、ゲーム等を行わせる参加型のサービスが考えられる。

ア 鑑賞型のサービスについては、ショー等を鑑賞するよう客に勧める行為、実演者が客の反応に対応し得る状態で演奏・演技を行う行為等は、積極的な行為に当たる。

これに対して、単にテレビの映像や録音された音楽を流すような場合は、積極的な行為には当たらない。

イ 参加型のサービスについては、遊戯等を行うよう客に勧める行為、遊戯等を盛り上げるための言動や演出を行う行為等は、積極的な行為に当たる。

これに対して、客が自ら遊戯を希望した場合に限ってこれを行わせるとともに、客の遊戯に対して営業者側が何らの反応も行わないような場合は、積極的な行為には当たらない。

(2) 具体的には、例えば、次に掲げる行為が「客に遊興をさせる」ことに当たる。

① 不特定の客にショー、ダンス、演芸その他の興行等を見せる行為

② 不特定の客に歌手がその場で歌う歌、バンドの生演奏等を聴かせる行為

③ 客にダンスをさせる場所を設けるとともに、音楽や照明の演出等を行い、不特定の客にダンスをさせる行為

④ のど自慢大会等の遊戯、ゲーム、競技等に不特定の客を参加させる行為

⑤ カラオケ装置を設けるとともに、不特定の客に歌うことを勧奨し、不特定の客の歌に合わせて照明の演出、合いの手等を行い、又は不特定の客の歌を褒めはやす行為

⑥ バー等でスポーツ等の映像を不特定の客に見せるとともに、客に呼び掛けて応援等に参加させる行為

(3) これに対して、例えば、次に掲げる行為で上記(2)の行為に該当しないものは、「客に遊興をさせる」ことには当たらない。

① いわゆるカラオケボックスで不特定の客にカラオケ装置を使用させる行為

② カラオケ装置を設けるとともに、不特定の客が自分から歌うことを要望した場合に、マイクや歌詞カードを手渡し、又はカラオケ装置を作動させる行為

③ いわゆるガールズバー、メイドカフェ等で、客にショーを見せたりゲーム大会に客を参加させたりせずに、単に飲食物の提供のみを行う行為

④ ボーリングやビリヤードの設備を設けてこれを不特定の客に自由に使用させる行為

⑤ バー等でスポーツ等の映像を単に不特定の客に見せる行為(客自身が応援等を行う場合を含む。)

3 営業の意義

(1) 営業とは、財産上の利益を得る目的をもって、同種の行為を反復継続して行うことを指す。営業としての継続性及び営利性がない場合は、深夜において人に遊興と飲食をさせたとしても、特定遊興飲食店営業には該当しない。

(2) 例えば、次のようなものは一般には営利性がなく、営業には当たらない。

○ 日本に所在する外国の大使館が主催する社交パーティー

○ 結婚式の二次会として、新郎・新婦の友人が飲食店営業の営業所を借りて主催する祝賀パーティー(飲食店営業の営業者が当該パーティーの主催者に対して営業所を有償で貸す行為には営利性が認められる。営業者が、深夜に及ぶパーティーのために営業所を有償で貸し、深夜において、酒類を提供するとともに、パーティーの余興に合わせて照明や音響の調整を行うという行為を反復継続しようとする場合は、主催者は特定遊興飲食店営業の許可を受ける必要はないが、当該営業者は当該許可を受ける必要がある。)

(3) 例えば、スポーツ等の映像を不特定の客に見せる深夜酒類提供飲食店営業のバー等において、平素は客に遊興をさせていないものの、特に人々の関心の高い試合等が行われるときに、反復継続の意思を持たずにたまさか短時間に限って深夜に客に遊興をさせたような場合は、特定遊興飲食店営業としての継続性は認められない。

(4) 短期間の催しについては、2晩以上にわたって行われるものは、継続性が認められる。これに対し、繰り返し開催される催し(1回につき1晩のみ開催されるものに限る。)については、法第8条第3号の規定の趣旨に鑑み、引き続き6月以上開催されない場合は、継続性が認められず、営業には当たらない。

4 「設備を設けて」の意義

(1) 「設備を設けて」とは、客に遊興と飲食をさせる営業を営むに足りると客観的に認められる物的施設及び備品を設けていることを指す。

(2) 客に遊興をさせる設備がなく飲食をさせる設備のみがある客室甲室を設けている飲食店営業と、客に飲食をさせる設備がなく遊興をさせる設備のみがある客室乙室を設けている興行場営業が同一の施設内で営まれている場合、例えば次のいずれかに該当するようなときは、これらの営業は一体のものと解され、一般には設備を設けて客に遊興と飲食をさせていることになる。

① 甲室と乙室の料金を一括して営業者に支払うこととされている場合(食券付きの入場券を販売する場合や、入場料を支払えば飲食物の一部又は全部が無料になる場合等を含む。)

② 客が甲室で飲食料金の精算をせずに乙室に移動できる場合

③ 客が乙室で遊興料金の精算をせずに甲室に移動できる場合

④ 乙室にテーブルがあり、客が甲室で提供を受けた飲食物を乙室に持ち込める場合

⑤ 乙室にテーブルがあり、乙室にいる客に対して、甲室から飲食物を運搬して提供する場合

⑥ 甲室にいる客が乙室でのショー、音楽等を鑑賞できる場合

(3) 上記(2)④に該当する場合であっても、例えば映画館、寄席、歌舞伎やクラシック音楽のための劇場等のように、専ら、興行を鑑賞させる目的で客から入場料を徴収することにより営まれる興行場営業であって、興行の鑑賞のための席において客の大半に常態として飲食をさせることを想定していないものについては、当該席が設けられている客室は飲食店営業の営業所とはされていないことが一般的である。その場合、客が席に飲食物を持ち込んで飲食をしたとしても、その席は、一般には飲食をさせる設備には当たらない(なお、単に映画を見せる行為は、「遊興をさせること」に当たらない。)。

(4) 例えば短期間の催しで、客にショー、音楽等を鑑賞させる場所と客に飲食をさせる場所を明確に区分しているような場合は、一般には、設備を設けて客に遊興と飲食をさせていることには当たらない。

5 「酒類を提供する」の意義

「酒類を提供する」とは、酒類を飲用に適する状態に置くことをいい、営業者がこれを客に販売したり、贈与したりする場合に限らず、客が持参し、又はボトルキープの対象となっている酒類につき、燗をしたり、グラス等の器具、氷、水割り用の水等を提供したりする行為は、「酒類を提供する」に当たる。

第11 接客業務受託営業の定義について(法第2条第13項関係)

1 総説

接客業務受託営業とは、専ら、接待飲食等営業、店舗型性風俗特殊営業、特定遊興飲食店営業又は酒類提供飲食店営業(午前6時から午後10時までの時間においてのみ営むものを除く。)を営む者から委託を受けてこれらの営業の営業所において客に接する業務の一部を行うことを内容とする営業をいい、具体的には、コンパニオン派遣業、外国人芸能人招へい業、芸者置屋等がこれに当たると考えられる。したがって、営業所において客に接する業務に従事する者をこれらの営業を営む者にあっせんするに過ぎず、あっせんされた者が営業所において行う業務についてこれらの営業を営む者の指示のみを受けて行う形態は、客に接する業務の一部を行っているとはいえないことから、「接客業務受託営業」には当たらない。

2 「専ら」の意義

「専ら」の意義については、第5中3(2)を参照すること。「専ら」に該当するかどうかは、営業を営む者の意図及び営業の実態を踏まえて判断することとなる。

3 「委託を受けて」の意義

「委託を受けて」とは、接待飲食等営業、店舗型性風俗特殊営業、特定遊興飲食店営業又は酒類提供飲食店営業(午前6時から午後10時までの時間においてのみ営むものを除く。)を営む者の依頼に基づきという趣旨であり、請負契約、準委任契約、労働者派遣契約その他契約の形態を問わない。

4 「客に接する業務」の意義

「客に接する業務」とは、客に接し、客にサービスを提供するなどの業務をいい、「接待」(法第2条第3項)に該当する行為を含む。

具体的な例として、次のような行為が挙げられる。

① 歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと(接待)。

② 談笑、お酌、水割りの調整等(①に該当するものを除く。)。

③ ショー、歌舞音曲等を見せたり、聴かせたりすること(①に該当するものを除く。)。

④ 客の相手となってダンスをすること(①に該当するものを除く。)。

⑤ 客を客席等に案内すること。

⑥ 飲食物を客席に運搬すること。

⑦ 客から飲食代金等を徴収すること。

⑧ 客の手荷物等を客から預かること。

⑨ 客の身体を洗うこと、流すこと、もむこと、拭くことその他客の身体に接触する役務を提供すること。

⑩ 湯加減を見ること、客の脱いだ衣類の整理、ズボンのプレス、靴磨き、湯茶等の提供等単純で機械的な役務を提供すること。

⑪ 衣服を脱いだ姿態を見せる役務を提供すること。

⑫ モーテル、ラブホテル等(法第2条第6項第4号)の受付において客を案内し、又は客から料金を徴収すること。

⑬ アダルトショップ等(法第2条第6項第5号)において物品の販売又は貸付けを行い、又はこれらに付随して商品である物品の提示、説明等を行うこと。なお、客が入らない時間帯での営業所の掃除その他の開店準備等は含まれない。

5 「指揮命令を受ける場合」の意義

「当該業務の一部に従事する者が委託を受けた者及び当該営業を営む者の指揮命令を受ける場合」とは、接待飲食等営業、店舗型性風俗特殊営業、特定遊興飲食店営業又は酒類提供飲食店営業(午前6時から午後10時までの時間においてのみ営むものを除く。)を営む者の委託を受けてこれらの営業の営業所における客に接する業務の一部を行う場合において、当該客に接する業務の一部に従事する者が、当該委託を受けた者及びこれらの営業を営む者の双方から指揮命令を受ける場合をいう。

6 飲食店営業の意義

「飲食店営業」とは、「設備を設けて客に飲食をさせる営業で食品衛生法(昭和22年法律第233号)第52条第1項の許可を受けて営むもの」をいう。ただし、接待飲食等営業、店舗型性風俗特殊営業又は特定遊興飲食店営業に該当するものを除く。

(1) 「設備を設けて」とは、客に飲食をさせるための設備を設けることをいう。したがって、屋台等で単に立食をさせる営業は含まれないが、屋台等でも、卓又は椅子等を設けて客に飲食をさせる営業は含まれる。

(2) 「客に飲食をさせる」とは、当該設備において客に飲食をさせることをいい、単に調理をして飲食物を販売する仕出し屋、弁当屋等は含まれない。

(3) 他の営業と兼業しているかどうかは問わない。

7 酒類提供飲食店営業の意義

「酒類提供飲食店営業」とは、「飲食店営業のうち、バー、酒場その他客に酒類を提供して営む営業(営業の常態として、通常主食と認められる食事を提供して営むものを除く。)」をいう。

(1) 「酒類を提供して営む」とは、酒類(アルコール分1度以上の飲料をいう。)を客に提供して営むことをいい、提供する酒類の量の多寡を問わない。

(2) 「営業の常態として」の解釈については、次の点に注意すること。

ア 営業時間中客に常に主食を提供している店であることを要し、例えば、1週間のうち平日のみ主食を提供する店、1日のうち昼間のみ主食を提供している店等は、これに当たらない。

イ 客が飲食している時間のうち大部分の時間は主食を提供していることを要し、例えば、大半の時間は酒を飲ませているが、最後に茶漬を提供するような場合は、これに当たらない。

ウ 「通常主食と認められる食事」とは、社会通念上主食と認められる食事をいい、米飯類、パン類(菓子パン類を除く。)、めん類、ピザパイ、お好み焼き等がこれに当たる。

第12 風俗営業の許可について(法第3条、第4条及び第5条関係)

1 一般的留意事項

(1) 許可申請書類の記載は、簡潔で必要十分なもので足りることとするとともに、審査事務の合理化、審査期間の短縮化を図り、申請者に無用の負担をかけることのないように努める必要がある。

(2) 風俗営業の許可は、風俗営業の種別ごとに受けるものであり、異なる種別の風俗営業を営もうとする場合には、新たに他の種別の風俗営業の許可を受けなければならない。また、法は、営業所の構造又は設備の基準、年少者の客としての営業所への立入り、遊技場営業者の禁止行為等について、風俗営業の種別に応じて必要な規制をしていることから、同じ者が同一の営業所において異なる種別に係る許可を重ねて受けることは原則としてできない(法第3条第1項、第5条第1項第3号及び第9条第3項第1号参照)。

(3) 風俗営業と性風俗関連特殊営業は、法上、全く異なる規制を受けるものであり、風俗営業の許可を受けた者は、当該許可に係る営業所において性風俗関連特殊営業を営むことはできない。例えば、店舗型性風俗特殊営業を行う意思をもって、その営業が禁止されている地域において、法第2条第1項第1号に規定する風俗営業の許可を受け、後に営業所の構造又は設備を変更するなどして、店舗型性風俗特殊営業を営んだ場合には、法第52条第4号(無届営業)だけでなく、法第49条第2号(偽りその他不正の手段により法第3条第1項の許可を受けたこと)、法第49条第5号又は第6号(禁止区域等営業)や法第50条第1項第1号(構造又は設備の無承認変更)の罪に該当することとなる。

(4) 風俗営業と特定遊興飲食店営業は異なる規制を受けるものであるが、例えば、深夜以外の時間帯に風俗営業を営み、その後営業の継続性を完全に絶った上で深夜に特定遊興飲食店営業を営むことは否定されないことから、同一の営業所について風俗営業の許可と特定遊興飲食店営業の許可を重ねて受けることは可能である。

2 営業所の意義

「営業所」(法第3条第1項)とは、客室のほか、専ら当該営業の用に供する調理室、クローク、廊下、洗面所、従業者の更衣室等を構成する建物その他の施設のことをいい、駐車場、庭等であっても、社会通念上当該建物と一体とみられ、専ら当該営業の用に供される施設であれば、「営業所」に含まれるものと解する。

3 風俗営業の営業所の同一性の基準

風俗営業については、次のような行為が行われたときに営業所の同一性が失われるものとし、この場合には新規の許可を要する。

(1) 営業所の建物(当該営業の用に供される部分に限る。以下同じ。)の新築又は移築

(2) 営業所の建物の床面積が従前の2倍を超えることとなる増築

(3) 営業所の建物内の客の用に供する部分の改築

(注) 「新築」とは、建築物の存しない土地(既存の建築物の全てを除去し、又はその全てが災害等によって滅失した後の土地を含む。)に建築物を造ることをいう。

「移築」とは、建築物の存在する場所を移転することをいう。

「増築」とは、一の敷地内の既存の建築物の延べ面積を増加させること(当該建築物内の営業所の延べ面積を増加させる場合及び別棟で造る場合を含む。)をいう。

「改築」とは、建築物の一部(当該部分の主要構造部の全て)を除却し、又はこれらの部分が災害等によって消滅した後、これと用途、規模、構造の著しく異ならないものを造ることをいう。

「主要構造部」とは、壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいう。ただし、間仕切り、最下階の床、屋外階段等は含まない(建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第5号参照)。

4 営業所の所在地を管轄する公安委員会

複数の都道府県において営まれる移動風俗営業(フェリー、バス、列車等常態として移動する施設において営まれる風俗営業をいう。以下同じ。)を営もうとする者が風俗営業の許可を受けようとする場合には、当該営業を主として営むことを予定している地域を管轄する一の都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)の許可を受ければ足りるものとして取り扱うものとする。

なお、移動風俗営業に係る営業所は、当該移動風俗営業に係るフェリー内の一室、バス又は列車の一車両等であると解されるので、フェリー内の各室、バス又は列車の各車両等のそれぞれにつき一の許可を要する。

5 許可の条件

許可時の客観的事情に照らし、許可をするに当たって条件を付する必要がある場合には、必要な条件を付して許可をすることができるほか、許可後に客観的な事情に変化があった場合において、周囲の風俗環境との調和を図ること等のために、許可後においても、随時、条件の付加又は変更ができる。

許可に条件を付し、又はこれを変更することができるのは、法令又は条例を遵守していても、具体的な事情により、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為が行われるおそれがある場合に限られ、付される条件も、これらの行為を防止するため、必要最小限度のものでなければならない。

条件が必要最小限度であるためには、次の要件を満たす必要がある。

① 条件が、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為に関するものであること。

② その条件を付したことにより、そのような行為を防止することができること。(合理的な関連性があること。)

③ 比例原則の範囲内であること。

④ 営業者が受忍すべき範囲のものであり、営業者に無用の負担をかけるものでないこと。

なお、許可時に条件を付する場合は、許可証の表面に営業の種類を記載するほか、許可証の裏面に記載するものとする。したがって、許可後に新たに条件を付し、又はこれを変更する場合は、風俗営業者から許可証の提出を求めその表面又は裏面の記載の加除訂正を行うものとする。

(1) 旅館業を営む者に対する許可の条件

旅館業を営む者に対する風俗営業の許可をする場合における条件の付与については、6を参照すること。

(2) 未成年者が相続して許可を承継した場合における条件

18歳未満の者が風俗営業を相続して当該許可を承継した場合における条件の付与については、第13を参照すること。

(3) 営業所が営業制限地域に近接して存在する場合における条件

営業制限地域への風俗営業の営業所の拡張が行われることにより、法が営業制限地域については特に良好な風俗環境の保全を図っていることの趣旨が損なわれることのないようにするため、風俗営業の営業所が営業制限地域に近接して存在する場合(許可後において営業制限地域に近接して存在することとなった場合を含む。)においては、当該営業制限地域を特定した上で、当該営業制限地域内に営業所の拡張を行ってはならない旨の条件を付すこととする。

(4) 許可後において営業所が営業制限地域内に存在することとなった場合における条件

許可をした後において風俗営業の営業所が営業制限地域内に存在することとなった場合においては、都道府県の判断により、当該営業所の拡張について必要な条件を付することとするほか、地域の実情及び個別具体的な状況に応じ、必要な条件を付するものとする(例えば、ゲームセンター等(法第2条第1項第5号の営業)の許可をした後に当該ゲームセンター等の至近距離に学校ができた場合において、窓ガラスをすりガラスにするなどにより当該学校から営業所の内部を見通すことを遮ることができる設備を設けることという内容の条件を付することが考えられる。)。

6 旅館業を営む者に対する風俗営業の許可

旅館業を営む者が旅館業の施設の一部において常態として接待飲食等営業を営もうとする場合における風俗営業の許可は、接待飲食等営業の用に供する旅館業の施設の一部を特定し、必要に応じ条件を付するなどして行うことができる。例えば、旅館の施設である宴会場について法第2条第1項第1号の営業の許可をする場合においては、客室で客の接待をしないこと及び許可の対象となる宴会場と客室とは明確に区分された構造とすることという内容の条件を付することが考えられる。

7 許可の基準

(1) 法第4条第1項第2号に規定する「刑に処せられ」とは、刑の言渡しに係る裁判が確定することをいう。

(2) 法第4条第1項第2号に該当する者は、次のとおりである。

① 刑の言渡しに係る裁判が確定したが刑の執行がなされていない者(執行猶予中の者を含む。)

② 刑の執行中である者

③ 刑の執行を終わったが終了の日から起算して5年を経過しない者

④ 刑の言渡しに係る裁判が確定した後に刑の執行を受けることがなくなったが、その日から起算して5年を経過しない者

(3) 法第4条第1項第2号に規定する罪を犯して刑に処せられた者でその刑の執行を猶予され、猶予の期間を経過した者については、刑法(明治40年法律第45号)第27条の規定により刑の言渡し自体が効力を失うことから、同号に掲げる者に当たらない。

(4) 法第4条第1項第2号に規定する罪を犯して刑に処せられた者で大赦又は特赦により刑の言渡しの効力が失われたものについては、同号に掲げる者に当たらない。

8 構造及び設備の技術上の基準

(1) 施行規則第7条の表中「見通しを妨げる設備」とは、仕切り、ついたて、カーテン、背の高い椅子(高さがおおむね1メートル以上のもの)等をいう。

なお、見通しを確保する必要があるのは客室の内部である。このため、例えば、客室の中央に調理場が設置されているような場合に客室と調理場の間に見通しを妨げる設備を置くことは認められないが、壁際に調理場があるような場合に、客室内の見通しを妨げない方法で、客室と調理場の間に見通しを妨げる設備を置くことは可能である。

(2) 施行規則第7条の表中「善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備」とは、例えば、法に違反する行為を行っていることをうかがわせる広告、著しく射幸心をそそるおそれのある広告、男女の性交場面を写した写真、売春を行っている場所についての広告、性器を模した装飾、回転ベッド、振動ベッド等の設備をいう。

なお、次に掲げる設備は、施行規則第7条の表中の上記の設備に含まれる。

① 令第3条第3項第1号イ、ロ又はハに掲げる設備

② 令第4条各号に掲げる物品及びこれに係る広告物、装飾その他の設備

③ 性風俗関連特殊営業の広告物及びビラ等(法第28条第5項第1号(法第31条の3第1項、第31条の8第1項、第31条の13第1項及び第31条の18第1項において準用する場合を含む。)の広告制限区域等において表示されたものに限る。)

(3) 施行規則第7条の表中「営業所内の照度が10(5)ルクス以下とならないように維持されるため必要な構造又は設備を有する」とは、一般的には、照度の基準に達する照明設備を設けていることで足りる。ただし、施行規則第2条第2号に掲げる客室(客席のみにおいて客に遊興をさせるための客室に限る。)を除き、照度の測定場所について、照度の基準に満たない照度に自由に変えられるスライダックス等の照明設備を設けることは認められない。

また、照明設備のほかに、営業時間中に常態として光を発することが想定される設備が設けられている場合は、当該設備と照明設備の双方の光によって、常態として照度の基準に達するのであれば、「必要な構造又は設備を有する」ことになる。

(4) 施行規則第7条の表中「騒音又は振動の数値が法第15条の規定に基づく条例で定める数値に満たないように維持されるため必要な構造又は設備を有する」とは、営業活動に伴う騒音が条例で定める数値に達する場合は、防音設備を設けなければならないとするものである。しかし、例えば、音響設備を設けないため特に騒音が発生しない場合や、建物の壁が厚いこと、営業所の境界地まで相当な距離があること等により外部に音が漏れない場合にまで防音設備の設置を義務付けるものではない。

(5) 施行規則第7条の表中「善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害し、又は少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備」とは、(2)に掲げる設備のほか、例えば、酒、たばこ又は令第4条で定める物品により遊技の結果を表示するクレーン式遊技機等の遊技設備をいう。

(6) 施行規則第7条の表「法第2条第1項第4号に掲げる営業」の項第6号中の「当該営業の用に供する遊技機以外の遊技設備」とは、ぱちんこ遊技機及び令第8条に規定する遊技機以外の遊技設備をいう。

なお、ここで「遊技設備」とは、法第2条第1項第5号の「遊技設備」より広く、施行規則第30条の表「法第2条第1項第4号又は第5号に掲げる営業」の項第1号及び第2号イの「遊技設備」及び施行規則第33条第2号の「遊技設備」と同意義である。

9 風俗営業の許可に係る営業制限地域の指定

(1) 法第4条第2項第2号中「営業所」については、2を参照すること。

(2) 令第6条第2号中「おおむね100メートル」とは、水平面で測る距離についていうものであり、例えば、営業所がビルの二階以上又は地下にある場合でも、営業所の存在する位置から垂直に地面に下ろした位置について測るものとする。

10 営業所の滅失による許可の特例

(1) 法第4条第3項中「火災」には、営業者に故意又は重大な過失があり、その者の責めに帰すべき事由によって生じた火災は含まれない。

(2) 令第7条第3号中「関係法令」とは、建築基準法等の建築物に関する法令をいう。

(3) 令第7条第5号中「土地収用法(昭和26年法律第219号)その他の法律の規定により土地を収用し、又は使用することができる公共の利益となる事業」とは、土地収用法又は公共用地の取得に関する特別措置法(昭和36年法律第150号)による認定事業のほか、都市計画法(昭和43年法律第100号)に基づく都市計画事業、住宅地区改良法(昭和35年法律第84号)に基づく住宅地区改良事業等土地又は建物の収用又は使用の手法が用いられる事業の全てをいう。

なお、このような事業の施行に伴うものであれば、現実に当該営業所の敷地等について収用裁決又は使用裁決までに至らない段階で営業所の建物を除却した場合でも、本号の除却に当たる。

(4) 令第7条第6号中「その他公共施設の整備又は土地利用の増進を図るため関係法令の規定に従つて行われる事業」とは、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法(昭和50年法律第67号)に基づく住宅街区整備事業、都市再開発法(昭和44年法律第38号)に基づく第一種市街地再開発事業等換地又は権利変換の手法が用いられる事業の全てをいう。

なお、このような事業の施行に伴うものであれば、現実に当該営業所の敷地等について換地又は権利変換の処分にまで至らない段階で営業所の建物を除却した場合でも、本号の除却に当たる。

(5) 法第4条第3項第1号中「当該風俗営業を廃止した日」とは、火災、震災又は令第7条各号に掲げる事由により営業所が滅失した日をいう。

(6) 法第4条第3項第2号中「営業所の所在地が、・・・前項第2号の地域に含まれ」るとは、当該滅失した営業所の敷地の全部又は一部が営業制限地域内にあることをいう。

(7) 法第4条第3項第3号中「おおむね同一の場所」とは、滅失した営業所の敷地と当該申請に係る営業所の敷地とが一致していることをいい、令第7条第5号又は第6号に掲げる事由により営業所が滅失した場合にあっては、社会通念上営業の継続性が認められる程度に隣接又は近接していることを含む。

(8) 法第4条第3項第4号中「おおむね等しい面積」とは、申請に係る営業所の面積と滅失した営業所の面積とが、社会通念上営業の継続性が認められる程度に等しいことをいう。

11 ぱちんこ屋その他政令で定める営業に係る営業所に設置される遊技機の基準

(1) 令第8条に規定する営業

法第4条第4項の規定に基づく令第8条に規定する「その他法第23条第1項第3号に規定する遊技球等の数量又は数字により遊技の結果を表示する遊技機」としてはスマートボール遊技機(施行規則第36条第1項第2号ホの規定に基づく「遊技料金の基準」(昭和60年国家公安委員会告示第1号)第1条第1号参照)が挙げられる。

なお、法第2条第1項第4号の営業のうち、射的、輪投げ等の遊技をさせる営業(施行規則第36条第2項第1号ロ参照)は、「遊技球等の数量又は数字により遊技の結果を表示する遊技機」を設置して客に遊技をさせる営業ではないことから、法第4条第4項の「その他政令で定めるもの」に該当しない。

(2) 著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機の基準

施行規則第8条の表中「その他の遊技機」とは、令第8条の「その他法第23条第1項第3号に規定する遊技球等の数量又は数字により遊技の結果を表示する遊技機」と同意義である。

12 許可申請書の記載要領

許可申請書中の「営業所の床面積」欄は、建築基準法上の床面積を記載することで足りるが、「各客室の床面積」欄は、壁、柱等の区画の中心線から計るものではなく、うちのりの面積を記載するものとする。

13 許可申請書の添付書類

(1) 移動風俗営業を営もうとする者にあっては、「営業の方法を記載した書類」には、営業を営もうとする地域の概要も記載させるものとする。

(2) 「営業所の使用について権原を有することを疎明する書類」とは、所有権、賃借権等、当該営業所の使用方法を最終的に決定することができる権原に関するものをいう。

具体的には、以下に掲げるものをいう。

ア 当該営業所に係る所有権を有していることを疎明する書類 営業所に係る登記簿謄本又は登記事項証明書等

イ 当該営業所に係る賃借権を有していることを疎明する書類 アに掲げる書類及び営業所に係る賃貸借契約書の写し又は賃貸人の使用承諾書等。ただし、当該営業所の所有者から直接賃借していない場合には、アに掲げる書類並びに①所有者及び賃貸人(所有者と賃貸人の間に当該営業所に係る賃貸借契約を締結した者がいる場合には、これらの契約当事者全てを含む。)の使用承諾書又は②賃貸人との間で締結された賃貸借契約書の写し(所有者と賃貸人の間に当該営業所に係る賃貸借契約を締結した者がいる場合には、全ての当該賃貸借契約の写しを含む。)等。

(3) 「営業所の平面図」は、建築確認申請時に提出する青写真に、出入口の位置、椅子、テーブルの配置等必要な事項を記載したもので足りる。

(4) 「営業所の周囲の略図」は、条例で定める保全対象施設との関係が明らかとなるような略図をいう。

(5) 誓約書は、連名で提出することを妨げない。

(6) 「営業所が滅失したことを疎明する書類」とは、例えば、

ア 火災、震災並びに令第7条第1号及び第2号に掲げる事由については、消防機関(市町村等)が発行する罹災証明書その他関係行政機関が交付する書類

イ 令第7条第3号に掲げる事由については、アに掲げる書類に加えて、特定行政庁若しくは建築主事が行政指導の際に交付する文書又は建築士が作成した報告書

ウ 令第7条第4号に掲げる事由については、当該命令又は勧告に当たって関係行政機関が交付する文書

エ 令第7条第5号及び第6号に掲げる事由については、当該営業所をそれらの事由により除却したことを証する起業者、施行者又は関係行政機関が発行する書類

オ 令第7条第7号に掲げる事由については、建替え決議を行った集会の議事録の写し

等をいう。

(7) 府令第1条第11号イ中「その遊技機が当該認定を受けたものであることを証する書類」とは、遊技機規則第3条第2項の認定通知書の写しとする(ただし、申請に係る遊技機が認定通知書に記載された遊技機の一部である場合においては、申請に係る遊技機の製造番号その他当該遊技機を特定することができる記号等が記載された書面を上記認定通知書の写しに添付するものとする。また、当該書面の記載事項及び様式例は、別記様式第1号とする。)。

(8) 府令第1条第11号ロ(1)中「その遊技機の型式が検定を受けたものであることを疎明する書類」とは、遊技機規則第9条第1項の検定通知書(甲)の写しとする。

(9) 府令第1条第11号ロ(2)中「当該遊技機が(1)の書類に係る型式に属するものであることを疎明するもの」とは、申請に係る遊技機が検定を受けた型式に属するものであることを保証する書面であって、当該遊技機の製造番号その他当該遊技機を特定することができる記号等が記載されたものとする。また、当該書面の記載事項及び様式例は、別記様式第2号とする。

(10) 府令第1条第11号ハ(1)中「その遊技機の型式が検定を受けたものであることを疎明する書類」については、(8)を参照すること。

(11) 府令第1条第11号ハ(2)中「公安委員会が遊技機の点検及び取扱いを適正に行うに足りる能力を有すると認める者」とは、遊技機規則第1条第3項第2号ロ(2)又は(3)に規定する者であって、同条第4項に規定する要件に該当する者をいう。

また、府令第1条第11号ハ(2)中「当該遊技機が(1)の書類に係る型式に属するものであることを疎明するもの」については、(9)を参照すること。当該書面の記載事項及び様式例は、製造業者又は輸入業者の作成に係るものについては、別記様式第3号とし、公安委員会が認める者の作成に係るものについては、別記様式第4号とする。

(12) 府令第1条第11号ニ(1)から(4)までに掲げる書類は、遊技機規則第1条第3項第3号に掲げる書類と同一である。

14 許可証

許可証の「営業許可証」(施行規則別記様式第3号)の前の空欄に記載する営業の種類は、許可申請者があらかじめ申請に際して記載した許可申請書及び同申請書の添付書類の内容に基づき、次の表の左欄に掲げる営業の区分に応じ、それぞれ同表の右欄に定める営業の種類を記載するものとする。

なお、許可証の様式の変更や法第2条第1項における号の繰上げ等については経過措置が設けられており、改正前に交付された許可証については改正後においても有効である(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則等の一部を改正する規則(平成10年国家公安委員会規則第14号)附則第6項、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則の一部を改正する規則(平成18年国家公安委員会規則第14号)附則第2条及び風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律(平成27年法律第45号)附則第3条)。

営業の区分

許可証に記載すべき営業の種類

法第2条第1項第1号の営業

待合、料理店、料亭等の和風の営業

料理店

キャバレー、カフェー、クラブ等の和風以外の営業

社交飲食店

法第2条第1項第2号の営業

低照度飲食店

法第2条第1項第3号の営業

区画席飲食店

法第2条第1項第4号の営業

まあじやん屋

マージャン店

ぱちんこ屋及び令第8条に規定する営業

パチンコ店等

まあじやん屋、ぱちんこ屋及び令第8条に規定する営業以外の営業

その他遊技場

法第2条第1項第5号の営業

ゲームセンター等

第13 風俗営業に係る相続について(法第7条関係)

1 相続人

法第7条の「相続人」は、民法(明治29年法律第38号)第5編第2章に規定する相続人を意味し、内縁の配偶者や被相続人と特別の縁故関係があった者(民法第958条の3参照)を含まない。

また、遺贈による受遺者(民法第964条参照)は、包括受遺者(民法第990条参照)の場合であっても、民法第5編第2章に規定する相続人に当たらない限りは、「相続人」に含まれない。

相続人が、複数ある場合には、被相続人の遺言の有無等にかかわらず、申請人以外の相続人全ての同意書を相続承認書に添付することを要する(施行規則第13条第2項第5号)。

2 未成年者の相続

18歳未満の者が相続の承認を受けて風俗営業者の地位を承継した場合においては、当該18歳未満の者が客の接待をしてはならないという条件を付することとする。

3 許可証の書換え

相続の承認を受けて風俗営業者の地位を承継した相続人は、承認後遅滞なく、被相続人が交付を受けた許可証を許可証書換え申請書と共に公安委員会に提出し、許可証の書換えを受けなければならない(法第7条第5項及び施行規則第17条)。

なお、この場合における書換え申請手数料は、既に相続承認申請手数料の中に算入されているので、改めて徴収することはできない。

第14 風俗営業に係る法人の合併について(法第7条の2関係)

1 申請の対象及びその手続

(1) 法第7条の2の適用対象

法人の合併の承認(以下第14において単に「承認」という。)の申請は、風俗営業者たる法人が合併することにより消滅する場合において、合併後存続し、又は合併により設立された法人が消滅する法人が営んでいた営業を引き続き営もうとするときになされるものであり、合併後も風俗営業者たる法人が存続する場合において当該法人が合併以前から営んでいた営業に関しては承認を要さない。

なお、合併に際し、承認を申請することなく改めて許可を受けることにより、合併した法人が当該営業所において営業を営むことも可能であるが、その場合は新規の許可申請となるので、法第4条第1項の人的欠格事由だけでなく同条第2項及び第4項に該当していないことが必要になる。

(2) 申請者

申請は合併する法人の連名により行わなければならない(施行規則第14条第2項)。合併する法人が3以上ある場合でも、全ての法人が申請者となる。

(3) 申請の時期

承認の前に合併の効力が生じた場合は、従前の許可はその時点で失効することになるため、承認をすることはできなくなる。したがって、法第7条の2第1項の「あらかじめ」とは、合併の効力が生じる前であることをいう。

2 承認及び不承認

(1) 地位の承継の効力発生時期

承認は、合併により風俗営業を承継することとなる法人が当該風俗営業についての風俗営業者の地位を承継することをあらかじめ認めるものである。実際に風俗営業者の地位が承継されるのは、吸収合併の場合は合併が効力を生ずる日として合併契約で定められた日(会社法(平成17年法律第86号)第750条第1項等)、新設合併の場合は新設会社の設立の登記の日(会社法第754条第1項、第49条等)である。

(2) 承認の効果

地位が承継されることの効果として、例えば、合併により消滅することとなる法人が営業制限地域内で既得権により営業していた場合は、合併後存続し、又は合併により設立された法人は、当該営業制限地域内にある営業所において風俗営業を営むことができる。また、承認の対象となった営業所において承認の前に又は承認後風俗営業者の地位の承継前に処分に該当する事由が生じた場合は、処分のための手続は、合併後存続し、又は合併により設立された法人を対象として続行される。さらに、地位の承継前に処分が行われた場合は、当該処分の効力も承継される。

承認をしたにもかかわらず、合併の効力が発生せず、又は無効とされた場合は、合併契約書のとおりに合併が行われなかったことが判明した時点又は無効が確定した時点をもって承認は効力を失う。

(3) 許可証の書換え

承認を受けて合併した場合には、合併後存続し、又は合併により設立された法人は、合併後遅滞なく、合併により消滅した法人が交付を受けた許可証を許可証書換え申請書と共に公安委員会に提出し、許可証の書換えを受けなければならない(法第7条の2第3項及び施行規則第17条)。

書換えに当たっては、合併が真に行われているかどうかを確認するため、法務局に照会することとする。

なお、この場合における書換え申請手数料は、既に合併承認申請手数料の中に算入されているので、改めて徴収することはできない。

3 合併に係る欠格事由

法第4条第1項第8号の趣旨は、法第26条第1項の規定による風俗営業の許可の取消しにより風俗営業の許可の欠格事由(法第4条第1項第6号)に該当することとなることを回避する手段として合併を利用しようとする法人の役員を、合併により法人が消滅した日から起算して5年を経過しない間、欠格者に該当させることにある。

「前号の公示の日前60日以内に役員であつた者」を対象とするのは、こうした時期に役員であった者は、合併を実施するという意思決定に関与していた可能性が高いためである。

なお、相当な理由がある合併の場合には、本号の欠格事由には該当しないものとされている。「相当な理由がある」とは、例えば、合併を行うという内部的決定がなされた後に法第26条第1項の規定による風俗営業の許可の取消処分に係る聴聞の対象となる事由が発生した場合をいう。

第15 風俗営業に係る法人の分割について(法第7条の3関係)

1 申請の対象及びその手続

(1) 法第7条の3の適用対象

法人の分割の承認(以下第15において単に「承認」という。)の申請は、風俗営業者たる法人が会社法第757条以下等の規定に基づき分割をする場合において、①当該法人から分離される営業所に係る営業を既存の他の法人が承継して引き続き営もうとするとき(吸収分割)又は②当該法人から分離される営業所に係る営業を当該分割により新たに設立される法人が承継して引き続き営もうとするとき(新設分割)に営業所ごとになされるものである。したがって、分割後も当該営業所に係る営業を営む法人が従前の法人であって①又は②のいずれにも当たらない場合、すなわち、営業主体に変更がない営業所の場合は、承認を要しない。また、吸収分割の場合において承継する法人もまた従来から風俗営業者であるときは、その従来から営んでいる営業所に関しては承認を要しない。

なお、分割に際し、承認を申請することなく改めて許可を受けることにより、承継した法人が当該営業所において営業を営むことも可能であるが、その場合は新規の許可申請となるので、法第4条第1項の人的欠格事由だけでなく同条第2項及び第4項に該当していないことが必要になる。

(2) 申請の単位

①吸収分割の場合において同一の機会に分割によって複数の法人に風俗営業を承継させるとき(注1)及び②新設分割の場合において同一の機会に分割によって複数の法人を設立し、それぞれに風俗営業を承継させるとき(注2)は、施行規則第1条第2項の「一の公安委員会に対して同時に二以上の営業所」について分割承認申請書を提出するときには該当しない。

(注1・注2)ここにいう「同一の機会」とは、吸収分割契約又は新設分割計画が一まとまりであり、株主総会の決議、債権者保護手続等の手続が一度に行われる場合をいう。

なお、分割は承継する法人ごとに存在するので、承継する法人が二つあれば、分割は2回なされたことになる。

(3) 申請者

申請は、新設分割の場合であれば、分割をする法人が行い、吸収分割の場合であれば、分割をする法人と承継する法人が連名で行う(施行規則第15条第2項参照)。吸収分割の場合において、同一の機会の分割で複数の法人に承継させるときは、承継する法人を異にする以上、各別の申請手続を要するので、当該分割に関係する法人全ての連名による申請は認められない。

(4) 申請の時期

承認の前に分割の効力が生じた場合は、従前の許可はその時点で失効することになるため、承認をすることはできなくなる。したがって、法第7条の3第1項の「あらかじめ」とは、分割の効力が生じる前であることをいう。

2 承認に係る審査事項

「分割後の役員就任予定者」(施行規則第15条第3項第2号)とは、分割によって風俗営業を承継した法人の役員全てをいうのであって、これには、吸収分割の場合において分割の登記以前から承継する法人の役員を務めている者も含まれるし、また、新設分割の場合において分割をする法人の役員を務めていた者も含まれる。

3 承認及び不承認

(1) 地位の承継の効力発生時期

承認は、分割により風俗営業を承継することとなる法人が当該風俗営業についての風俗営業者の地位を承継することをあらかじめ認めるものである。実際に風俗営業者の地位が承継されるのは、吸収分割の場合は吸収分割が効力を生ずる日として吸収分割契約で定められた日(会社法第759条第1項等)、新設分割の場合は新設会社の設立の登記の日(会社法第764条第1項、第49条等)である。

(2) 承認の効果

地位が承継されることの効果として、例えば、分割をする法人が営業制限地域内で既得権により営業していた場合は、承継した法人は、当該営業制限地域内にある営業所において風俗営業を営むことができる。また、承認の対象となった営業所において処分に該当する事由が生じた場合は、処分のための手続は承継した法人を対象として続行される。さらに、地位の承継前に処分が行われた場合は、当該処分の効力も承継される。

承認をしたにもかかわらず、分割の効力が発生せず、又は無効とされた場合は、分割計画書又は分割契約書のとおりに分割が行われなかったことが判明した時点又は無効が確定した時点をもって承認は効力を失う。

(3) 許可証の書換え

承認を受けて分割をした場合には、分割により風俗営業を承継した法人は、分割後遅滞なく、分割をした法人が交付を受けた許可証を許可証書換え申請書と共に公安委員会に提出し、許可証の書換えを受けなければならない(法第7条の3第3項及び施行規則第17条)。

書換えに当たっては、分割が真に行われているかどうかを確認するため、法務局に照会することとする。

なお、この場合における書換え申請手数料は、既に分割承認申請手数料の中に算入されているので、改めて徴収することはできない。

(4) 許可証の返納

風俗営業者たる法人が分割をするまでに承認がなされなかった場合、分割をした法人は、当該分割により分離した営業所に係る風俗営業を廃止したものと認められるので、分割の登記の日から10日以内に、当該風俗営業に係る許可証を返納理由書を添付して公安委員会に返納しなければならない(法第10条第1項第1号及び施行規則第23条)。

4 分割に係る欠格事由

法第4条第1項第9号の趣旨は、法第26条第1項の規定による風俗営業の許可の取消しにより風俗営業の許可の欠格事由(法第4条第1項第6号)に該当することとなることを回避する手段として分割を利用しようとする法人及びその役員を、分割の日から起算して5年を経過しない間、欠格者に該当させることにある。

本号により分割の日から起算して5年を経過しない間欠格者となる法人は、①「分割により法第4条第1項第7号の聴聞に係る風俗営業を承継させた法人」と、②「分割により法第4条第1項第7号の聴聞に係る風俗営業以外の風俗営業を承継した法人」である。

例えば、A店とB店を営む風俗営業者たる法人甲があるとして、A店において聴聞に係る事由が生じた場合、甲がA店を他の法人である法人乙に承継させるべく分割をすると甲は①に当たることとなり、他方、甲にA店を残し、B店を法人乙に承継させると、乙が②に当たることになる。要するに、行政処分を免れようとして分割に関与した法人のうち、聴聞を受けないこととなるものが本号の欠格事由に該当することになる。

この場合、当該分割の承認の申請がなされた時点においては、いまだ分割の効果が生じていないので、本号の欠格事由には該当せず、したがって他の欠格事由にも該当しない限りは承認がなされる。しかしながら、その後分割の効力が発生する日に至り、承認の効果として風俗営業者の地位の承継が生じた時点において、自動的に本号の欠格事由に該当することになり、法第8条第2号により許可の取消しがなされるべき対象となることになる。

一方、本号により分割の日から起算して5年を経過しない間欠格者となる役員は、法第26条第1項の規定による風俗営業の許可の取消処分に係る聴聞の期日及び場所の公示の日前60日以内に①又は②の法人の役員であった者である。これは、こうした時期に役員であった者は、分割を実施するという意思決定に関与していた可能性が高いためである。

なお、相当な理由がある分割の場合には、本号の欠格事由には該当しないものとされている。「相当な理由がある」とは、例えば、分割を行うという内部的決定がなされた後に法第26条第1項の規定による風俗営業の許可の取消処分に係る聴聞の対象となる事由が発生した場合をいう。

第16 特例風俗営業者の認定について(法第10条の2関係)

1 「この法律に基づく処分」の意義

法第10条の2第1項第2号中「この法律に基づく処分(指示を含む。)」とは、当該営業に関するもののみならず、およそこの法律に基づくものを全て含む。したがって、その者が複数の営業を営む場合又は営んでいた場合にあっては、その全てについて過去10年以内に処分を受けていないことを要する。

なお、法第10条の2第6項第3号中「この法律に基づく処分」の意義についても同様である。

2 施行規則で定める基準

施行規則第24条第2号中「法第24条第7項の規定に違反したこと」とは、風俗営業者が講習を当該営業所の管理者に受けさせる義務を履行しなかったことをいい、「病気その他のやむを得ない理由」(施行規則第40条第2項)により当該管理者が当該講習を受けなかった場合において、次の講習の機会に受講させたときは、これに当たらない。

3 認定証の記載

認定証の「営業」の前の空欄に記載する営業の種類については、風俗営業の許可証に記載することとされている営業の種類を用いることとする。

4 地位の承継と認定

風俗営業者が死亡(風俗営業者が法人である場合にあっては消滅)した場合は、当該営業に係る認定は失効することとなる。したがって、法第7条第1項又は第7条の2第1項の承認を受けて風俗営業者の地位を承継した者であっても、法第10条の2第1項の認定を受けるためには、承認を受けてから10年以上経過していること等の同項各号の要件を満たす必要がある。

第17 風俗営業の規制について(法第9条、第13条、第14条、第15条、第16条、第18条の2、第19条、第20条、第22条、第23条及び第24条関係)

1 営業所の構造及び設備の変更

(1) 軽微な変更に当たらない変更

法第9条第1項の軽微な変更に当たらない変更のうち「営業の方法の変更に係る構造又は設備の変更」(府令第2条第4号)とは、まあじやん屋をぱちんこ屋に変更する場合、和風料理店を洋風カフェーに変更する場合等、営業の種類を変えることにより営業の方法に基本的な変更がある場合は、これに該当することとなる。したがって、許可証に記載の「営業の種類」を異にする営業方法の変更については、府令第2条第4号に該当し、公安委員会の承認を要することとなる。

(2) 軽微な変更

法第9条第3項第2号の規定による届出を要する構造又は設備の変更は、営業所の小規模の修繕又は模様替、食器棚その他の家具(作り付けのものを除く。)、飲食物の自動販売機その他これに類する設備の設置又は入替え、照明設備、音響設備又は防音設備の変更、遊技設備(ぱちんこ屋及び令第8条に規定する営業に係る遊技機を除く。以下1において同じ。)の増設又は交替(遊技設備の区分(施行規則別記様式第1号の許可申請書その2(B)又はその2(C)の遊技設備の区分)ごとの数の変更がある場合に限る。)等である。

(3) 届出を要しない変更

次に掲げる構造又は設備の変更((2)に該当するものを除く。)については、法第9条第3項の届出を要しない。

① 軽微な破損箇所の原状回復

② 照明設備、音響設備等の同一の規格及び性能の範囲内で行われる設備の更新

③ 法第2条第1項第5号の営業における遊技設備のソフトウェアのみの入替え及びそれに伴う操作部分の変更

④ 遊技設備の位置の変更

⑤ 営業所内の見通しを妨げない程度の軽微な椅子、テーブル等の配置の変更

(4) 管理者に係る変更の届出を受けた場合における措置

法第5条第1項第5号に掲げる事項の変更に係る法第9条第3項第1号の規定により届出書の提出があった場合には、当該届出に係る管理者について、法第24条第2項各号のいずれかに当たるかどうかを確認し、該当するときは、同条第5項の規定に基づき、当該管理者の解任の勧告をするものとする。

2 営業時間の制限

風俗営業終業後に引き続き同一の営業所を利用して特定遊興飲食店営業又は飲食店営業を営むことは、時間外営業等の脱法行為を誘発するおそれがあるので、次のような措置が講じられ、営業の継続性が完全に断たれる場合に限り、特定遊興飲食店営業又は飲食店営業としての継続を認めるものとする。

① 接待飲食等営業については、全ての客を帰らせるとともに、接客従業者も帰らせ(客としても残らせないものに限る。)、別会計にして営業すること。

② ゲームセンター等については、遊技設備設置部分を区画して当該部分を閉鎖して立ち入れないこととすること又は遊技設備を撤去する(遊技設備の元の電源を切り、かつ、遊技設備に覆いを掛けるなど撤去に準じる措置を講じることでも差し支えない。)ことによって営業すること。

3 照度の規制

法第14条は、風俗営業に係る営業所内の照度について、規制の内容を明確にするため、数値により規制することとしている。

この規制により、風俗営業者は、施行規則第30条に規定する方法で計った照度が常態として施行規則第31条に規定する数値を超えるようにしてその営業を営むこととなる。ただし、法第2条第1項第2号に掲げる営業における施行規則第2条第2号に掲げる客室(客席のみにおいて客に遊興をさせるための客室に限る。)については、個々の営業時間につき半分未満の時間に限って、いずれかの測定場所の照度を5ルクス以下とする場合は、本条の違反には当たらないこととする。

4 騒音及び振動の規制

法第15条は、風俗営業に係る騒音及び振動について、現下のカラオケ騒音の問題等に鑑み、規制の内容を明確にするため、数値により規制することとしている。

施行規則第32条各項の「計量法(平成4年法律第51号)第71条の条件に合格した」騒音計及び振動レベル計とは、同法第70条の検定に合格したもののほか、指定製造事業者が同法第71条の基準に適合するように製造したもの(同法第95条参照)をいう。

5 広告及び宣伝の規制

(1) 外形等

ア 法第16条は、主として清浄な風俗環境の保持を図るために設けられたものであるが、憲法上、表現の自由及び営業の自由が保障されていることに鑑み、視覚に訴える広告又は宣伝を規制する場合は、公衆の目に触れやすいものの規制に限る。

(ア) 公道、駅前広場等多数の人間が通行する場所で行われる場合にあっては、当該広告物等が、付近(数メートル程度離れた場所)にいる人間に判別できる程度のものとする。ただし、プラカードを持って移動する場合のように、広告物自体を移動させる場合にあっては、すぐ近くで判別できるものであれば足りる。また、ビラ配り等公衆の各人に手渡す場合は、ビラ等の大きさを問わない。

(イ) 公衆電話等公衆が特定の目的のために利用する場所における広告又は宣伝は、当該場所を利用する人間が利用の際に広告物等の内容を判別することができるものであれば足りる。

イ 聴覚に訴える広告又は宣伝を規制する場合は、通常周囲の騒音との関係で、付近にいる公衆が聞くことのできる程度のものを規制の対象とする。

(2) 内容

ア 清浄な風俗環境を害する等この法律の目的に反するものに限る。

イ 視覚に訴える広告・宣伝にあっては、典型的には衣服を脱いだ人の姿態や性交、性交類似行為、性器等を描写するもの、営業所内で卑わい行為が行われていることを表すもの、遊技盤上の遊技くぎの操作による遊技球のサービス等著しく射幸心をそそるおそれのある行為が行われていることを表すもの等が規制の対象となる。

なお、単に店名及び料金のみを表示する広告・宣伝、単に色彩が派手である広告・宣伝等は、清浄な風俗環境を害するおそれがあると認められる場合を除き、規制の対象とならない。また、建物の外観は、それが広告又は宣伝に当たるものと解されない限り、本条による規制の対象となるものではない。

ウ 聴覚に訴える広告・宣伝にあっては、その内容が卑わいな場合、著しく射幸心をそそるおそれのある場合等が規制の対象となる。また、著しく大きな騒音を発生させている場合は、騒音に関する遵守事項の違反となり得るほか、本条の違反ともなる。

6 接客従業者に対する拘束的行為の規制

(1) 趣旨

法第18条の2第1項及び第2項の規定は、接待飲食等営業を営む風俗営業者の営業所において行われる売春事犯を防止するため、接待飲食等営業を営む風俗営業者が行う行為のうち、接客従業者が売春をすることを助長するおそれがあると認められる拘束的行為を規制するとともに、そのような拘束的行為等の相手方となっている者が営業所において客に接する業務に従事することを防止しようとするものである。

(2) 不相当に高額な債務を負担させることの禁止

ア 法第18条の2第1項第1号中「客に接する業務」の意義については、第11中4を参照すること。

イ 法第18条の2第1項第1号中「接客従業者でなくなつた場合」とは、退職した場合等をいう。

ウ 法第18条の2第1項第1号中「その支払能力に照らし不相当に高額の債務」とは、その者が接客従業者として通常得る収入等に照らした返済能力に比べ、社会通念上著しく均衡を失すると認められる程度に高額な債務をいう。

なお、同号の「債務(利息制限法(昭和29年法律第100号)その他の法令の規定によりその全部又は一部が無効とされるものを含む。)」には、公序良俗に反する契約に基づくもの、接待飲食等営業を営む風俗営業者による詐欺若しくは強迫に基づくもの又は接客従業者の錯誤に基づくものも含まれる。

(3) 旅券等を保管すること等の禁止

ア 法第18条の2第1項第2号中「その支払能力に照らし不相当に高額の債務」については、(2)ウを参照すること。

イ 法第18条の2第1項第2号中「保管し」とは、接待飲食等営業を営む風俗営業者又はその代理人等が保管する場合をいい、「第三者に保管させる」とは、接待飲食等営業を営む風俗営業者又はその代理人等が他の者に保管させることをいう。

なお、当該第三者が当該旅券等がその支払能力に照らし不相当に高額な債務を負担させられた接客従業者のものであることを認識していることを要しない。

(4) 拘束的行為等の相手方となっている者が客に接する業務に従事することを防止するための措置

ア 法第18条の2第2項中「疑いがあると認められるとき」とは、例えば、接客業務受託営業を営む者がその使用人その他の従業者に対して行っている拘束的行為等の具体的な話を聞いた場合等をいう。

イ 法第18条の2第2項中「防止するため必要な措置」とは、例えば、当該拘束的行為等の相手方となっている者を接客従業者として派遣することを拒否する旨を申し入れ、又は拒否すること、当該接客業務受託営業を営む者との契約を解除すること等をいう。

7 賞品の提供方法に関する基準

(1) 施行規則第36条第2項第1号イ中「当該遊技の結果として表示された遊技球等の数量に対応する金額」とは、当該遊技の結果として表示された遊技球等の数量を玉1個又はメダル1枚に係る遊技料金(消費税額及び地方消費税額を含む。)に乗じて得た額をいう。

また、同号イ中「等価の物品」とは、同等の市場価格を有する物品をいう。市場価格とは、一般の小売店(いわゆるディスカウントストア等も含む。)における日常的な販売価格をいい、特別な割引価格はこれに該当しない。

(2) 施行規則第36条第2項第1号ハに定める「遊技の種類及び遊技の方法並びにイ及びロに定める物品その他の事情を考慮して国家公安委員会が定める物品」は、現在のところ定められていない。

8 遊技機の規制及び認定等

(1) 認定

ア 認定申請の手続

(ア) 遊技機規則第1条第3項第2号の規定による検定を受けた型式に属する遊技機についての認定は、ぱちんこ屋及び令第8条に規定する営業を営む者が、法第20条第4項の検定を受けた型式に属する遊技機(府令第1条第11号ロ又はハ)であって、その営業の用に供しているものを、あらかじめ、検定の有効期間が経過する前に、法第20条第1項の著しく客の射幸心をそそるおそれのある遊技機に該当しないものであることを確認するために行うことを想定している。

この認定を受けた遊技機について、その後、故障による修理等のため、法第20条第10項において準用する法第9条第1項の規定により変更の承認を受けようとする場合に提出する変更承認申請書に添付する書類(施行規則第19条第2項)は、当該変更事項に係る府令第1条第11号イに掲げる書類となる(ただし、修理等の後においても、認定を受けた遊技機と同一のものと認められる場合に限る((3)オ(イ)を参照すること)。)。

なお、認定を受けていない遊技機について当該承認を受けようとする場合には、当該変更事項に係る府令第1条第11号ニに掲げる書類を添付しなければならないこととなる。

(イ) 遊技機規則第1条第3項第2号ロ中「当該遊技機がイの検定通知書(甲)に係る型式に属するものであることを疎明するもの」とは、申請に係る遊技機が検定を受けた型式に属するものであることを保証する書面であって、当該遊技機の製造番号その他当該遊技機を特定することができる記号等が記載されたものとする。また、当該書面の記載事項及び様式例は、同号ロ(1)に掲げる者の作成に係るものについては、別記様式第3号とし、同号ロ(2)又は(3)に掲げる者の作成に係るものについては、別記様式第4号とする。

イ 認定申請に係る補正の要求

遊技機規則第1条の2中「軽微な不備(誤記又は記載漏れであつて、認定申請者が記載しようとした事項が容易に推測される程度のものをいう。)」とは、例えば、次のような場合をいう。

① 一の遊技機の部品について各添付書類間に数値、単位等の単純な矛盾がある場合で、認定申請者が記載しようとした事項が明らかである場合

② 誤字、脱字又は判読が困難な文字と認められる不備がある場合で、認定申請者が記載しようとした事項が明らかである場合

③ 記載欄の一部に空欄がある場合で、他の記載事項等から当該空欄に記載しようとした事項が明らかである場合

ウ 認定申請書等に不備又は虚偽の記載がある場合の取扱い

遊技機規則第3条第4項中「認定申請書若しくは認定申請書に添付しなければならない書類に不備がある場合」とは、例えば、次のような場合をいう。

① 遊技機規則第1条第3項に基づいて添付しなければならないこととされている書類(諸元表、構造図、回路図、動作原理図等)が添付されていない場合(その一部が欠落している場合を含む。)

② 諸元表に記載すべき事項が欠落している場合(諸元表に記載すべき事項が諸元表以外の書類に記載されている場合を含む。)

③ 諸元表に記載された遊技機並びに遊技機の部品及び装置の構造、材質又は性能の内容について、遊技機規則第1条第3項第3号ハの書面において説明が欠落している場合

また、遊技機規則第3条第4項中「これらの書類に虚偽の記載がある場合」とは、例えば、次のような場合をいう。

○ 諸元表の特定の記載事項について、試験に係る遊技機(実際の遊技機)の性能とは異なる性能を記載している場合(遊技の公正を害する調整を行うことができる遊技機であることを知っているにもかかわらず、当該機能を有しない旨を諸元表に記載した場合等)

エ 認定の取消し

(ア) 「認定を受けた遊技機にその構造、材質又は性能に影響を及ぼす改造その他の変更が加えられたこと」(遊技機規則第5条第1項第2号)に該当するかどうかは、当該遊技機の諸元表に記載された遊技機並びに遊技機の部品及び装置の構造、材質及び性能の諸要素が全て同一であるか否かによって判断されることとなる。ただし、当該遊技機に係る認定申請のときに提出された認定申請書及び添付書類(当該遊技機が検定を受けた型式に属するものであった場合にあっては、当該型式に係る検定申請のときに提出された検定申請書及び添付書類を含む。)により判断することができる場合には、諸元表によることを要しないものとする。

(イ) 遊技機規則第5条第2項に規定する弁明の機会の付与に関しては、行政手続法(平成5年法律第88号)第3章第2節の聴聞の例に準じて行うものとする。

(2) 型式の検定

ア 検定申請の手続

(ア) 同日に2以上の遊技機規則第7条第1項に規定する検定申請書を一の公安委員会に対し提出する場合において、これらの検定申請書に同条第2項に基づき添付しなければならないこととされる書類のうち同一の内容となるものがあるときは、当該同一の内容となる書類については、1部をこれらの検定申請書のいずれか1通に添付すれば、検定申請書と同じ部数の書類の添付を要しない扱いとする。

(イ) 遊技機規則第7条第2項第1号ロ中「第11条第2項の規定により検定を取り消され、当該取消しの日から起算して5年を経過しない者に該当しないことを誓約する書面」とは、最近5年間においていずれの公安委員会からも遊技機規則第11条第2項の規定による検定の取消しを受けた者でないことを誓約する書面とする。また、当該書面の様式例は、別記様式第5号とする。

(ウ) 遊技機規則第7条第2項第3号ホ及び第4号ホの写真は、一連の製造工程等が明確になるように撮影されたものとする。

(エ) 遊技機規則第7条の2第4項の規定により届出があったときは、確認証明書の提出を受け、次に掲げる区分に従い当該証明書にそれぞれに定められた措置を執り、返却するものとする。

① 確認証明書の記載内容の変更を必要とする場合

確認証明書の内容の変更を行った上でその旨及び変更を行った年月日を余白に記載すること。

② 遊技機規則第7条第2項第3号に掲げる書類の記載内容の変更であって、確認証明書の記載内容の変更を必要としない場合

当該書類の記載内容の変更があった旨及び変更を行った年月日を余白に記載すること。

イ 検定申請に係る補正の要求

遊技機規則第7条の3の規定よる検定申請に係る補正の要求については、(1)イを参照すること。

ウ 検定の通知等

(ア) 遊技機規則第9条第1項の規定に基づき公示すべき事項は次に掲げるものとする。

① 申請者の氏名又は名称及び住所

② 申請者が法人である場合には、代表者の氏名

③ 型式の概要(遊技機の種類、型式名及び製造業者名)

④ 検定番号

⑤ 検定の有効期間

(イ) 遊技機規則第9条第2項中「技術上の規格に適合していると認められないとき」とは、技術上の規格に明確に適合していない場合に加えて、技術上の規格への適合について合理的な疑いがある場合もこれに該当する(技術上の規格に適合していないことまでの立証は不要である。)。

(ウ) 検定申請書等に不備又は虚偽の記載がある場合の取扱い

遊技機規則第9条第3項中「検定申請書若しくは検定申請書に添付しなければならない書類に不備がある場合」とは、例えば、次のような場合をいう。

① 遊技機規則第7条第2項に基づいて添付しなければならないことされている書類(諸元表、構造図、回路図、動作原理図等)が添付されていない場合(その一部が欠落してる場合を含む。)

② 諸元表に記載すべき事項が欠落している場合(諸元表に記載すべき事項が諸元表以外の書類に記載されている場合を含む。)

③ 諸元表に記載された遊技機並びに遊技機の部品及び装置の構造、材質又は性能の内容について、遊技機規則第7条第2項第6号ハの書面において説明が欠落している場合

④ 取扱説明書に遊技機規則第7条第5項各号に掲げる記載事項が欠落している場合

なお、遊技機規則第9条第3項中「これらの書類に虚偽の記載がある場合」とは、例えば、次のような場合をいう。

① 検定申請書の「製造又は検査を行う事業所の所在地」欄に虚偽の所在地を記載していた場合

② 検定申請に係る型式に属する遊技機が、遊技の公正を害する調整を行うことができる遊技機であることを知っているにもかかわらず、当該機能を有しない旨を諸元表に記載していた場合

エ 検定の取消し

(ア) 遊技機規則第11条第1項中「型式」とは、製造業者が検定を受けたいと意図している型式に属する遊技機の構造、材質及び性能のあるべき姿を表象した諸元表記載のものをいい、「均一性を有しない」とは、遊技機が同一の設計に基づき製造されたにもかかわらず、製造後の個々の遊技機の構造、材質及び性能についての差異が、あらかじめ想定された製造誤差(諸元表に記載された誤差)の範囲外にあることをいう。したがって、「検定を受けた型式に属する遊技機の構造、材質若しくは性能が技術上の規格に適合せず、又は均一性を有していないこと」とは、例えば、次のような場合をいう。

① 申請書に添付した諸元表記載の使用部品と同一の規格の部品を使用しているにもかかわらず、部品特性の微細な差異に起因して検定時に確認された性能と異なる性能を発現する(例:大当たりが極めて高い確率で発生する)遊技機であることが判明した場合

② 製造業者のプログラムミス等により、一定の事情を契機として大当たりが極めて高い確率で発生するなど、検定時には確認されなかった性能が発現する遊技機であることが判明した場合

③ 検定を受けた型式と同一型式に属する装置ではあるが、製造誤差により、検定時に確認された性能と異なる性能が発現する遊技機であることが判明した場合

(イ) 遊技機規則第11条第2項第1号中「偽りその他不正の手段により当該検定を受けたことが判明するに至ったとき」には、遊技機規則第7条第1項及び第2項に掲げる書類が偽りであった場合のほか、遊技機規則第7条の2第1項の確認を同条第6項第1号の規定により取り消された場合も含むものである。

(ウ) 遊技機規則第11条第2項第4号及び第5号の規定による報告の請求及び検査等は、検定制度に係る諸規定の遵守状況の確認等の検定制度に関する規定の施行に必要な限度において認められたものであり、犯罪捜査のために認められたものではない。したがって、例えば、検定制度に係る諸規定の遵守状況等とは全く無関係なぱちんこ営業者による遊技機の不正改造事犯に係る資料収集のためといった検定の章の規定の施行に関係のない事項について報告を請求し、又は立入検査をしたりすることはできないことに注意する必要がある。また、報告を行うか否かは、報告請求の相手方の判断に委ねられており、立入検査についても、立入検査を受ける者による承諾がある場合に行うものである。

① 報告の拒否等(遊技機規則第11条第2項第4号)

報告請求書中の「報告を求める理由」については、その理由が具体的に分かる程度の内容を記載し、「報告を求める内容」については、報告を求める理由に照らして合理的な範囲内において、報告の範囲を明確に記載すること。また、報告の請求は、事前に報告理由、報告内容等を精査した上で最小限の回数で済むようにすること。

② 立入検査の拒否等(遊技機規則第11条第2項第5号)

立入検査については、報告によっては、検定を受けた者の規制の遵守状況の確認等の行政目的を達成することができないなど立入検査を行う必要性のあるときに限って行うこと。

なお、本号中「その検査が拒まれ、妨げられ、若しくは忌避され」とあるのは、立入検査の職務の円滑な執行に妨げとなる行為を網羅する趣旨であり、「拒まれ、妨げられ」とは、行為者が警察職員の職務執行に対して何らかの積極的な行動に出た場合であり、「忌避され」とは、そうした積極的な行動がない場合である。

(エ) 遊技機規則第11条第3項に規定する弁明の機会の付与に関しては、行政手続法第3章第2節の聴聞の例に準じて行うものとする。

(オ) 遊技機規則第11条第4項の規定に基づき公示すべき事項は、次に掲げるものとする。

① 検定の取消しを受けた者の氏名又は名称及び住所

② 検定の取消しを受けた者が法人である場合には、代表者の氏名

③ 型式の概要(遊技機の種類、型式名及び製造業者名)

④ 検定年月日

⑤ 検定番号

⑥ 検定の取消しの根拠となる適用法条

(3) 遊技機の変更

ア 遊技機の「その他の変更」

遊技機の「その他の変更」(法第20条第10項)には、遊技機の部品を交換し、又は付加する行為も含まれる。

なお、府令第6条中の「遊技機の部品」には、法第23条第1項第3号に規定する遊技球等の受け皿、遊技機の前面のガラス板等の遊技機の設計製造段階から当該遊技機を構成する部品として予定されて取り付けられている部品のほか、遊技機に付加される部品も含まれる。ただし、遊技機に付加される部品であっても、次に掲げるものは法第4条第2項第1号の「営業所の設備」と解し、「遊技機の部品」には含まれない扱いとする。

① 遊技機の遊技球等貸出装置接続端子板に接続する遊技球等貸出装置(遊技機外の遊技球等を貸し出すための信号を送信する機械又は装置をいう。)及び外部の配線

② 遊技機の外部端子板に接続する外部の装置及び配線

③ 諸元表の「定格電圧」及び「定格周波数」の欄に記載された値に相当する電圧及び周波数のみにより電源を供給する電源装置(トランス)

④ いわゆる島設備に設置される遊技機への遊技球の供給に係る装置で、遊技機の遊技盤の枠(以下単に「遊技盤の枠」という。)の開閉に応じて遊技機と接触し又は分離するレバーの位置により遊技球の供給を制御する機能を有するもの(レバーの遊技機との接触が、遊技盤の枠が閉じたときのみに遊技機の遊技球を貯留するためのタンクに対して非電気的に行われ、かつ、遊技盤の枠が開いたときに遊技機からレバーが離れるため、遊技機に対する独立性が高く、外形的にも性能的にも遊技機と一体とみられないものに限る。)(いわゆるレバー付き玉補給機)

イ 軽微な変更に当たらない変更

次に掲げる部品は、「遊技機の部品でその変更が遊技機の性能に影響を及ぼすおそれがあるもの」(府令第6条)に含まれる。

① 遊技くぎ、役物その他の遊技球と接触する可能性のある遊技盤上の構造物

② 主基板、発射装置又は遊技機枠

ウ 軽微な変更

府令第6条の「遊技機の部品でその変更が遊技機の性能に影響を及ぼすおそれがあるもの以外のもの」には、次に掲げるものがこれに含まれる。

① 遊技球等の受け皿

② 遊技機の前面のガラス板等(遊技機の遊技盤又は回胴の前面に設けられた全てのガラス板等をいう。)

③ 遊技機の鍵

④ 遊技機の配線、主基板等の部品が不正なものと交換されること等を防止するために、当該物品を束ね、又は固定する透明色の絶縁材料又は透明色の硬化剤

エ 届出を要しない変更

遊技機の部品の変更のうち次に掲げるものは極めて軽微なものと考えられることから、届出を要しない扱いとする。

① 同一規格の範囲内で行われる遊技機の同色のランプ、蛍光灯又はヒューズの更新

② 遊技機の部品が不正なものと交換されていないか確認するために行われる部品の取外し及び当該部品の取り付け(遊技機の部品の付加を伴わないものに限る。)

なお、法以外の法律の規定に基づき、遊技機の性能に影響を及ぼすおそれがない変更をする場合には、法の趣旨に照らして届出を要しない扱いとする。

オ 変更承認申請の手続

(ア) 遊技機の増設又は交替の場合

施行規則第19条第2項中「府令第1条第11号に掲げる書類のうち、当該変更事項に係る書類」とは、増設又は交替により新たに設置しようとする遊技機の区分(府令第1条第11号イからニまでの遊技機の区分をいう。)に応じ、府令第1条第11号イからニまでのいずれかの書類であり、当該書類については、第12中13(7)から(12)までを参照すること。また、施行規則別記様式第10号中「変更事項」の欄には、増設の場合には増設により新たに設置ようとする遊技機、交替の場合には交替により新たに設置しようとする遊技機及び撤去しようとする遊技機を特定するに足る事項を記載することとする。

(イ) 遊技機のその他の変更(府令第6条に定める軽微な変更を除く。)の場合

施行規則第19条第2項中「府令第1条第11号に掲げる書類のうち、当該変更事項に係る書類」とは、その遊技機の変更部分につき次に掲げる書類とする。

① 遊技機の変更部分に係る諸元表

② 遊技機の変更部分に係る構造図、回路図及び動作原理図

③ 遊技機の変更部分並びに遊技機の変更部分の部品及び装置の構造、材質及び性能の説明を記載した書類

なお、次に掲げる場合には、それぞれにおいて定められた書類を上記①から③までの書類に代えることができる。

① 検定を受けた型式に属する遊技機であって、当該検定の有効期間内において認定を受けたもの(府令第1条第11号イに該当する遊技機)の変更であって、製造業者又は輸入業者が作成した書面(変更後の遊技機が当該型式に属するものであることを疎明するものに限る。当該書面の記載事項及び様式例は、別記様式第3号とする。)が提出された場合

遊技機規則第3条第2項に規定する認定通知書の写し

② 検定を受けた型式に属する遊技機(府令第1条第11号ロ又はハに該当する遊技機)の変更であって、製造業者又は輸入業者が作成した書面(変更後の遊技機が当該型式に属するものであることを疎明するものに限る。当該書面の記載事項及び様式例は、別記様式第3号とする。)が提出された場合

遊技機規則第9条第1項に規定する検定通知書(甲)の写し

また、施行規則別記様式第10号中「変更事項」の欄には、変更を加えようとする遊技機を特定するに足る事項を記載することとする。

カ 軽微な変更の届出の手続

遊技機のその他の変更(府令第6条に定める軽微な変更に限る。)の届出書(施行規則第20条第1項)を提出する場合における府令第7条の「府令第1条第11号に掲げる書類のうち、当該変更事項に係る書類」とは、その変更が遊技機の性能に影響を及ぼすおそれがないものであることから、変更をした遊技機の区分(府令第1条第11号イからニまでの遊技機の区分をいう。)にかかわらず、当該部品に係る書類(当該部品を特定するに足りるもの)とする。

9 風俗営業を営む者の禁止行為

(1) 法第22条第1項第1号中「客引き」とは、相手方を特定して営業所の客となるように勧誘することをいう。例えば、通行人に対し、営業所の名称を告げず、単に「お時間ありませんか」、「お触りできます」などと声を掛けながら相手の反応を待っている段階では、いまだ「客引き」には当たらないが、この際に、相手方の前に立ちふさがったり、相手方につきまとうことは、同項第2号の「客引きをするため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと」に当たる。また、いわゆるホストクラブの従業者が、通行人の女性に、個人的な交際の申込みや接客従業者の募集を装って声を掛け、その身辺に立ちふさがったり、つきまとったりしている場合についても、例えば、黒服を着てビラ等を所持しているなど、客観的な状況から「客引きをするため」の行為と認められるときは、同号の行為に当たる。

(2) 法第22条第1項第4号中「客に接する業務」(第11中4を参照すること。)には、同項第3号の「接待」や同項第6号の「酒類又はたばこを提供すること」が含まれる。また、遊技場営業についても、営業所内で客の応接をし、その要望に応じてサービスをする業務や遊技料金を徴収し、又は遊技球等を貸し出し、若しくは客が獲得した遊技球等を賞品と交換する業務も「客に接する業務」に含まれる。

なお、法第22条第1項第1号の「客引き」は、「客」となる前段階の行為であるため「客に接する業務」には含まれない。

(3) 法第22条第1項第3号と第4号の相違は、同項第3号の重点が接待等をさせた点にあり、同項第4号の重点が夜間(午後10時から翌日の午前6時までの時間をいう。)にあることである。

(4) 法第22条第1項第5号中「客として立ち入らせる」とは、飲食、遊興又は遊技をする客として立ち入らせることをいい、18歳未満の者を営業所に単に立ち入らせることをもって直ちに同号の違反になるわけではない。したがって、例えば、ぱちんこ屋及び令第8条に規定する営業に係る営業所において、親を探しに来た子供を営業所に立ち入らせたことをもって直ちに同号違反に問疑されるものではない。

また、例えば、旅館業を営む者が旅館内の宴会場の甲の間と乙の間を客室として法第2条第1項第1号の営業の許可を受けているような場合や、当該営業の許可を受けている料理店に客室として甲の間と乙の間があるような場合において、それぞれ甲の間で現に接待を行っていたとしても、乙の間では接待を行っていなければ、乙の間に18歳未満の者を立ち入らせて飲食をさせることは法第22条第1項第5号違反になるわけではない。さらに、甲の間で接待を受けて飲食をしていた客と接待従業者が全員退室した後、甲の間において別の客に接待をせずに飲食のみをさせる場合も、そこに18歳未満の者を立ち入らせて飲食をさせることは同号違反になるわけではない。

なお、風俗営業者は、法第18条の規定により、18歳未満の者がその営業所に立ち入ってはならない旨を営業所の入口に表示しなければならないこととされていることから、営業者は18歳未満の者が自らの営業所に立ち入ることのないようにするとともに、万一、立ち入っているのを認知したときは速やかにその者が営業所外に退出するよう必要な措置を講じる必要がある(施行規則第38条第7号参照)。

また、上記の旅館や料理店の例においては、実際に風俗営業を営んでいる甲の間の入口に立入禁止の表示を行うことになる。

(5) 法第22条第1項第6号中「提供」とは、酒類を飲用に、たばこを喫煙の用に適する状態に置くことをいい、営業者がこれを20歳未満の者に販売したり、贈与したりする場合に限らず、20歳未満の者が持参した酒類又はたばこにつき、燗をしたり、グラス、灰皿等の器具を使用させてその用に供する状態に置けば、「提供」に当たる。

(6) 法第22条第1項各号に掲げる行為が禁止されるのは、「風俗営業を営む者」であり、「風俗営業者」に限られないことから、無許可で風俗営業を営む者も対象となる。また、「風俗営業を営む者」以外の者が、「風俗営業を営む者」と意を通じてこれらの行為をした場合は、いわゆる身分なき共犯として処罰することができる。

10 遊技場営業者の禁止行為

(1) 法第23条第1項第1号の有価証券には、金地金は含まない。

(2) 営業所ごとの会員カード等を利用して当該営業所内のコンピュータ等において当該会員が獲得した遊技球等の数量を管理する場合において、当該数量を当該会員カード等に電磁的方法その他の方法により記録することをしないものは、法第23条第1項第4号にいう書面には当たらない扱いとする。

(3) 遊技の結果が物品により表示される遊技の用に供するクレーン式遊技機等の遊技設備により客に遊技をさせる営業を営む者は、その営業に関し、クレーンで釣り上げるなどした物品で小売価格がおおむね1,000円以下のものを提供する場合については法第23条第2項に規定する「遊技の結果に応じて賞品を提供」することには当たらないものとして取り扱うこととする。

(4) 法第2条第1項第5号の営業を営む者が、遊技の結果獲得した得点、数量等を直接又は度その他の単位に換算して電磁的方法(電子的方法、電磁的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。)により記録した媒体を発行し、又は交付することは、法第23条第3項で準用される法第23条第1項第4号に違反する。

11 営業所の管理者

(1) 総説

法第24条の規定は、風俗営業の健全化を自主的に促進するため設けたものであり、営業者の自主性を不当に侵害しないように配慮する必要がある。

(2) 管理者の選任

ア 法第24条第1項中「統括管理する者」とは、全体をまとめて管理する者という意味であり、したがって、本法の管理者には、店長、支配人等が該当する。

なお、営業者自らが当該営業所内における業務の実施を直接統括管理する場合には、営業者が自らを管理者として選任すればよく、他に管理者を選任する必要はない。

イ 施行規則第37条中「営業所ごとに専任」とは、その営業所に常勤して管理者の業務に従事し得る状態にあることをいう。

なお、2つの営業所が接着しており、双方の店を同時に統括管理することができ、管理者の業務を適正に行い得る場合にあっては、当該管理者を同一人とすることも可能である扱いとする。

(3) 管理者の業務

ア 法第24条第3項中「代理人、使用人その他の従業者」には、風俗営業者から風俗営業の業務の一部の委託を受けた者及びその者の代理人、使用人その他の従業者を含む。

イ 施行規則第38条第1号中「従業者に対する指導に関する計画」の「作成」とは、例えば、法令遵守のため何月は特に何について指導するかなどの計画を作成することをいう。

ウ 施行規則第38条第11号中「客がする遊技が過度にわたることがないようにするため」講ずる「客に対する情報の提供その他必要な措置」とは、ぱちんこ等への依存防止対策に資する取組をいい、例えば、ポスター等の営業所内での掲示、営業所の広告への掲載等による依存防止に関する相談窓口等の情報提供や、客自身又はその家族からの遊技使用上限金額等の申告に基づき過度な遊技を予防する仕組みの活用、過度な遊技を行わないよう客に対する注意喚起の実施、依存防止対策についての従業者への教育等が考えられる。

エ 施行規則第38条第12号に規定する契約の内容には、風俗営業者の遵守すべき法令を受託者が遵守することを担保するための定めを盛り込む必要がある。

(4) 管理者の解任の勧告

ア 法第24条第5項の解任の勧告は、行政処分ではなく、その効果は、営業者の自主的判断に待つものである。

イ 解任の勧告については、その勧告を受けていないことが特例風俗営業者の認定の要件の一とされている(施行規則第24条第1号)ので、その勧告の実施に関する記録を適切に保管し、過去10年間の勧告の実施に関する記録が整備されているようにする必要がある。

(5) 管理者講習

ア 施行規則第39条第2項中「管理者(法第10条の2第1項の認定を受けた風俗営業者の当該認定に係る営業所の管理者であつて当該営業所の管理者として選任された後定期講習を受けたことがあるものを除く。)」とあるのは、認定の前後を問わず認定に係る営業所の管理者に選任されてから少なくとも1回以上は定期講習を受けたことがある者については定期講習を行わないことを意味するものであり、認定の後管理者に変更があった場合には、新たに選任された管理者につき選任後最初に行われる定期講習を受講させる必要がある。

イ 施行規則第39条第2項中「特別の事情がある場合」とは、特定の種類又は特定の地域の風俗営業について、同種の違反行為が多数行われている状況、少年のたまり場になっている状況等にあり、管理者を集めて講習を行うことによりこれらの事情を解消し、風俗営業の健全化を図ることが期待できる場合、法令の重要な改正があり、管理者に周知させる必要がある場合等をいう。

ウ 管理者講習については、その受講の有無等の状況が特例風俗営業者の認定の要件の一とされている(施行規則第24条第2号)ので、その受講状況等の記録を適切に保管し、過去10年間の受講記録が整備されているようにする必要がある。

エ 施行規則第40条第2項中「病気その他やむを得ない理由」とは、急病、交通事故、災害による交通の途絶、法令の規定により身体の自由を拘束されていること、社会の慣習上やむを得ない緊急の用務が生じていること等、管理者が管理者講習を受講できないことについてやむを得ない合理的な理由がある場合をいう。

第18 性風俗関連特殊営業の届出について(法第27条、第31条の2、第31条の7、第31条の12及び第31条の17関係)

1 一般的留意事項

(1) 店舗型性風俗特殊営業、無店舗型性風俗特殊営業、映像送信型性風俗特殊営業、店舗型電話異性紹介営業及び無店舗型電話異性紹介営業は、それぞれ別個の営業であるから、これらの営業を兼業して営もうとする場合には、そのいずれについても公安委員会に営業開始の届出書を提出する必要がある。

(2) 性風俗関連特殊営業については、風俗営業及び特定遊興飲食店営業と異なり、相続又は法人の合併若しくは分割のいずれの方法によっても、営業の他者への承継は認められていない(法第7条、第7条の2、第7条の3及び第31条の23参照)。

2 店舗型性風俗特殊営業の届出

(1) 複数の都道府県において営まれる移動店舗型性風俗特殊営業(車両等常態として移動する施設において営まれる店舗型性風俗特殊営業をいう。以下同じ。)を営もうとする者が営業開始の届出書を提出する場合には、当該営業を主として営むことを予定している地域を管轄する一の公安委員会に届け出れば足りるものとして取り扱うものとする。ただし、複数の車両等を利用して移動店舗型性風俗特殊営業を営もうとする場合には、車両等のそれぞれにつき一の届出を要する。

(2) 法第27条第1項第5号の「営業所における業務の実施を統括管理する者」とは、全体をまとめて管理する者という意味であり、店長、支配人等が該当する。また、店舗型性風俗特殊営業を営む者自らが当該営業所内における業務の実施を統括管理する場合には、自らの氏名及び住所を届出書に記載することとなる。

3 無店舗型性風俗特殊営業の届出

(1) 無店舗型性風俗特殊営業の届出は、当該営業を「営む者」ごとに行うこととなる。したがって、例えば、派遣型ファッションヘルス営業を営む者が、客の依頼を受けて派遣される従業者の集団や従業者を派遣する地域の区分に応じて複数の呼称や電話番号を使い分けるなど、複数の派遣型ファッションヘルス営業を営んでいると認識している場合であっても、当該営業を営む者が同一の主体である限り、これらの営業を全体として一の営業として、当該一の営業について届出をすることになる。この場合、当該営業について複数の呼称を使用する場合には、その全部の呼称について届出が必要である(法第31条の2第1項第2号)。

(2) 法第31条の2第1項各号列記以外の部分中「事務所」とは、当該無店舗型性風俗特殊営業の営業活動の中心である一定の場所のことをいい、事務所が複数ある場合には、それらのうちの中枢となる事務所が「営業の本拠となる事務所」に当たる。この場合、「事務所」といえる場所がないときは、当該営業を営む者の「住所」がこれに代わることとなる。

(3) 法第31条の2第1項第2号中「呼称」とは、広告及び宣伝をする際に使用する呼び名のことをいう。

(4) 法第31条の2第1項第6号中「客の依頼を受けるための電話番号その他の連絡先」とは、例えば、郵便により依頼を受ける場合には郵便の宛先が、電話、ファクシミリ等により依頼を受ける場合には電話番号が、インターネットを利用して依頼を受ける場合には電子メールアドレス等がこれに当たる。電話番号、電子メールアドレス等の連絡先が複数ある場合は、全ての連絡先を記載させる必要がある(施行規則別記様式第25号の備考7参照)。

(5) 法第31条の2第1項第7号中「同号に規定する役務の提供以外の客に接する業務」とは、派遣型ファッションヘルス営業に係る「客に接する業務」(第11中4を参照すること。)のうち「異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務」(法第2条第7項第1号)を提供する業務以外のものであり、具体的には、来訪した客と対面して行う次のような業務が広く含まれる。

① 客から役務の提供の依頼を受ける業務(受付業務)

② 接客従業者の写真を客に見せるなどして、客に紹介する業務

したがって、これらの業務を行うための施設を設ける場合には、受付所を設ける旨及びその所在地を届出書に記載しなければならない。事務所と同一の施設を受付所として用いる場合には、届出書にその旨を記載しなければならない。

一方、客が来訪せず、電話やファクシミリのみにより客の依頼を受け付ける事務所は、受付所に当たらない。

なお、いわゆる風俗案内所等の第三者が、派遣型ファッションヘルス営業を営む者の委託を受け、広告又は宣伝の範囲を超えて、当該第三者の施設に来訪する者と対面して上記①又は②の業務を行っている場合、当該施設は、当該派遣型ファッションヘルス営業を営む者が設ける受付所に当たる。

(6) 法第31条の2第1項第7号中「待機所」とは、客の依頼を受けたときに「異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務」(法第2条第7項第1号)を行うために派遣することができる状態で従業者を待機させるための施設又は施設の区画された部分をいい、単に従業者が居住している施設は、これに当たらない。

4 映像送信型性風俗特殊営業の届出

(1) 映像送信型性風俗特殊営業の届出は、営業ごとに行うこととなり、通常は、例えば、インターネット利用型であればホームページ単位で行うことになる(ホームページを幾つかのセクションに分けている場合の扱いについては、第7中3(2)を参照すること。)。

(2) 届出書の提出義務を負うのは、実質的に映像送信型性風俗特殊営業を営むと認められる者である。したがって、単にホームページ開設サービスのみを行う自動公衆送信装置設置者(第34中1(1)を参照すること。)や単に料金の回収の代行を行う電気通信事業者は、一般的には、ここでいう営業を営もうとする者には当たらないと解される。

(3) 法第31条の7第1項各号列記以外の部分中「事務所」とは、法第31条の2第1項各号列記以外の部分の「事務所」と同趣旨である(3(2)を参照すること。)。

(4) 法第31条の7第1項第2号中「呼称」とは、法第31条の2第1項第2号の「呼称」と同趣旨である(3(3)を参照すること。)。

(5) 法第31条の7第1項第4号中「電気通信設備(自動公衆送信装置を用いる場合にあつては自動公衆送信装置のうち当該映像の伝達の用に供する部分をいい、電気通信回線の部分を除く。)を識別するための電話番号その他これに類する記号であつて、当該映像を伝達する際に用いるもの」とは、客が当該映像送信型性風俗特殊営業に接続する際に用いる記号等をいい、インターネットを利用する営業の形態の場合はホームページのURL等がこれに当たる。

(6) 法第31条の7第1項第5号の趣旨は、いわゆるサーバ貸しによるホームページ開設サービスを行っている自動公衆送信装置設置者を利用して営業を営む場合には、当該自動公衆送信装置設置者の氏名又は名称及び住所を届出書に記載しなければならないということである。

(7) 届出の対象となるのは、我が国において営業を営んでいる者であり、客に見せる映像が蔵置されている自動公衆送信装置(第34中1(1)を参照すること。)の所在地を問わない。したがって、外国の自動公衆送信装置設置者を利用して営業を営む場合には、当該外国の自動公衆送信装置設置者の氏名又は名称及び住所を届出書に記載することとなる。

5 店舗型電話異性紹介営業の届出

(1) 店舗型電話異性紹介営業の届出は、店舗型性風俗特殊営業と同様に営業所ごとに当該営業所の所在地を管轄する公安委員会に対して行う。したがって、一の店舗型電話異性紹介営業を営もうとする者が同一の都道府県内で複数の営業所を設ける場合は、営業所ごとに届出を行う必要がある。

(2) 法第31条の12第1項第3号中「電気通信設備を識別するための電話番号」とは、会話申込者が当該店舗型電話異性紹介営業に用いられる電気通信設備に接続するための電話番号をいい、女性利用者専用のフリーダイヤルや全国共通ダイヤル等もこれに含まれる。したがって、客が当該店舗型電話異性紹介営業に用いられる設備に接続するための電話番号が複数ある場合は、全ての電話番号を記載させる必要がある。

(3) 法第31条の12第1項第5号の「営業所における業務の実施を統括管理する者」とは、法第27条第1項第5号の「営業所における業務の実施を統括管理する者」と同意義(2(2)を参照すること。)である。

6 無店舗型電話異性紹介営業の届出

(1) 無店舗型電話異性紹介営業の届出は、無店舗型性風俗特殊営業と同様に当該営業を「営む者」ごとに行うこととなる。したがって、例えば、無店舗型電話異性紹介営業を営む者が複数の呼称や電話番号を用いる場合であっても、当該営業を営む者が同一の主体である限り、これらの営業を全体として一の営業として、当該一の営業について届出をすることになる。この場合、当該営業について複数の呼称を使用する場合には、その全ての呼称について届出が必要である(法第31条の17第1項第2号)。

(2) 法第31条の17第1項中「事務所」とは、法第31条の2第1項に規定する「事務所」と同意義(3(2)を参照すること。)であり、具体的には電話交換機等や顧客(会話申込者)の管理、広告又は宣伝の企画・実施等当該営業に関する業務を継続的に行っている場所がこれに該当する。

(3) 法第31条の17第1項第2号中「呼称」とは、法第31条の2第1項第2号に規定する「呼称」と同意義(3(3)を参照すること。)である。

(4) 法第31条の17第1項第4号中「電気通信設備を識別するための電話番号」については、5(2)を参照すること。

なお、この場合において、その電気通信設備の設置場所が国外であっても、当該電気通信設備に日本国内から接続する電話番号があれば届出の対象となる。

7 届出書の添付書類

(1) 法第27条第3項(法第31条の12第2項において準用する場合を含む。)又は第31条の2第3項(法第31条の7第2項及び法第31条の17第2項において準用する場合を含む。)に規定する添付書類を添付せずに届出書を提出した場合は、法第27条第1項若しくは第2項(法第31条の12第2項において準用する場合を含む。)、第31条の2第1項若しくは第2項(法第31条の7第2項及び法第31条の17第2項において準用する場合を含む。)、第31条の7第1項、第31条の12第1項又は第31条の17第1項の届出義務が履行されたとは認められない(行政手続法第37条)。

(2) 営業所、事務所、受付所及び待機所の「使用について権原を有することを疎明する書類」、「平面図」及び「周囲の略図」(府令第9条第1号、第12条第1号等)の意義については、第12中13(2)、(3)及び(4)を参照すること。

なお、派遣型ファッションヘルス営業について、住所を事務所とする場合には当該営業の用に供される部分を特定した平面図を提出させることとしている(府令第12条第1号ハ)が、これは、警察職員の立入りの対象となる範囲を明確にする趣旨である。また、待機所が人の住居の一部である場合については、待機所の用に供する部分のみが届出義務の対象であるから、特に「待機所の用に供される部分を特定したもの」との限定は設けていない(府令第12条第1号ホ)。

8 届出確認書

(1) 法第27条第4項(法第31条の12第2項において準用する場合を含む。)又は第31条の2第4項(法第31条の7第2項及び法第31条の17第2項において準用する場合を含む。)の規定により交付する書面(以下「届出確認書」という。)は、適法な届出書の提出があった場合に交付されるものである。

したがって、営業所又は受付所が営業禁止区域等にある場合(法第27条第4項ただし書(法第31条の12第2項において準用する場合を含む。)及び第31条の2第4項ただし書)のほか、虚偽の届出がなされた場合等にも、届出確認書は交付しない。

なお、施行規則第44条第2項(施行規則第55条第2項及び第66条第2項において準用する場合を含む。)の規定による届出確認書不交付通知書の交付は、これにより「特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する」ものではないから、「不利益処分」には当たらない(行政手続法第2条第4号)。

(2) 届出確認書は、営業所又は事務所に備え付けなければならない。したがって、営業所又は事務所を訪れた者以外の「関係者」から届出確認書の提示を求められた場合は、届出確認書の写しを持参し、又は送付することにより提示すれば足りる。また、派遣型ファッションヘルスを営む者が、事務所と別に受付所を設ける場合は、受付所を訪れた者から届出確認書の提示を求められた場合に備え、届出確認書の写しを受付所に備え付けておくことが必要である。

(3) 法第27条第5項(法第31条の12第2項において準用する場合を含む。)又は第31条の2第5項(法第31条の7第2項及び第31条の17第2項において準用する場合を含む。)中「関係者」とは、警察職員、少年指導委員のほか、当該営業が適法に営まれているか否かを確認する利益があると認められる者を広く含む。具体的には、

○ 当該営業の営業所、事務所等の施設を提供している者

○ 当該営業に関する広告又は宣伝を作成し、又は掲載する者

○ 当該営業の客又は従業者となろうとする者

等がこれに該当する。

第19 店舗型性風俗特殊営業の規制について(法第27条の2及び第28条関係)

1 店舗型性風俗特殊営業の営業禁止区域等

(1) 法第28条第3項中「これらの規定」の「適用」とは、例えば、法の施行後特定の土地に学校が建設されることとなった場合等において、その場所における店舗型性風俗特殊営業について同条第1項の規定が適用されることになった場合等をいう。

(2) 法第28条第3項の規定の適用対象となる「当該店舗型性風俗特殊営業」とは、当該規定の施行又は適用の際現に営んでいる店舗型性風俗特殊営業の範囲内の営業を意味するものであり、営業所の新築、移築、増築等をした場合には、その店舗型性風俗特殊営業については同項の適用はなくなる。

なお、「営業所の新築、移築、増築等」には、次のような行為が該当する。

① 営業所の建物の新築、移築又は増築

② 営業所の種別に応じ営業所内の次の部分の改築

(i) 法第2条第6項第1号、第2号又は第4号の営業にあっては、当該個室

(ii) 法第2条第6項第3号の営業にあっては、営業の種類に応じそれぞれ次の部分

a 令第2条第1号に規定する営業 当該個室

b 令第2条第2号に規定する営業 当該個室又は当該個室の隣室若しくはこれに類する施設

c 令第2条第3号に規定する営業 当該客席又は舞台

(iii) 法第2条第6項第5号の営業にあっては、当該物品を販売し、又は貸し付ける場所

(iv) 法第2条第6項第6号の営業にあっては、異性の姿態若しくはその画像を見せる場所、面会の申込みを取り次ぐ場所又は客が異性と面会する個室若しくはこれに類する施設

③ 営業所の建物につき行う大規模の修繕若しくは大規模の模様替又はこれらに準ずる程度の間仕切り等の変更

④ 営業所の建物内の客の用に供する部分の床面積の増加

⑤ 営業の種別又は種類の変更(ストリップ劇場をのぞき劇場にする場合等)

(注) 「新築」とは、建築物の存しない土地(既存の建築物の全てを除去し、又はその全てが災害等によって滅失した後の土地を含む。)に建築物を造ることをいう。

「移築」とは、建築物の存在する場所を移転することをいう。

「増築」とは、一の敷地内の既存の建築物の延べ面積を増加させること(当該建築物内の営業所の延べ面積を増加させる場合及び別棟で造る場合を含む。)をいう。

「改築」とは、建築物の一部(当該部分の主要構造部の全て)を除却し、又はこれらの部分が災害等によって消滅した後、これと用途、規模、構造の著しく異ならないものを造ることをいう。

「大規模の修繕」とは、建築物の一種以上の主要構造部の過半に対しおおむね同様の形状、寸法、材料により行われる工事をいう。

「大規模の模様替」とは、建築物の一種以上の主要構造部の過半に対し行われるおおむね同様の形状、寸法によるが材料、構造等は異なるような工事をいう。

「主要構造部」とは、壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいう。ただし、間仕切り、最下階の床、屋外階段等は含まない(建築基準法第2条第5号参照)。

「これらに準ずる程度の間仕切り等の変更」とは、営業所の過半について間仕切りを変更し、個室の数、面積等を変える場合等をいう。

2 広告及び宣伝の規制

(1) 無届業者の広告又は宣伝の禁止

法第27条第1項の届出書を提出していない者は、店舗型性風俗特殊営業を営む目的をもって、広告又は宣伝をしてはならない(法第27条の2第2項)。また、法第27条第1項の届出書を提出した者は、当該届出書に記載された営業以外の店舗型性風俗特殊営業を営む目的をもって、広告又は宣伝をしてはならない(法第27条の2第1項)。

なお、法第27条第1項の届出書を提出した者であっても、営業所が営業禁止区域等にあることを理由に届出確認書が交付されなかった者は、店舗型性風俗特殊営業を営む目的をもって、広告又は宣伝をしてはならない(法第27条の2第1項及び第2項)。

法第27条の2の規定により禁止される「広告又は宣伝」には、法第28条第5項に規定する広告物又はビラ等により行うものだけでなく、新聞、雑誌、インターネット等を利用して行うものも全て含まれる。

(2) 広告又は宣伝の方法の規制

ア 法第28条第5項において「前条に規定するもののほか、」と規定しているのは、法第27条第1項の届出書を提出していない者については、広告又は宣伝を行うことが全面的に禁止されている(法第27条の2)ことを受けて、法第28条第5項の規定による広告又は宣伝の「方法」の制限の対象となるのは、法第27条第1項の届出書を提出して店舗型性風俗特殊営業を営む者に限られることを明らかにしたものである。

イ 法第28条第5項第1号の「広告物」の定義のうち、「常時又は一定の期間継続して」とは、営業所の入口に掲げられた店名を表示する看板のように常時表示されるものや、路上で人が持っているプラカード、走行する自動車の車体に表示される広告物のように一定の期間表示されるものであることを要するという趣旨である。したがって、通常はビラやパンフレットの類はここにいう広告物に当たらないと考えられるが、これらが電話ボックスに貼られたり、電話ボックス内に置かれることにより一定の期間継続して当該電話ボックスを利用する者の目に留まる状態にある場合には、広告物に該当することになる。「公衆」とは、不特定又は多数の者を意味する。

また、「広告塔、広告板、建物その他の工作物等に掲出され、又は表示されたもの並びにこれらに類するもの」には、広告塔、広告板、建物の壁面、自動車等に掲出され、又は表示されたもののほか、ネオンサイン、アドバルーン、電光掲示板、プラカード等がこれに当たり、一定の場所に固定されているか、移動するかは問わない。

ウ 法第28条第5項第2号の「ビラ等」には、ビラ、パンフレットのほか、これらに類する広告又は宣伝の用に供される文書図画がこれに当たり、これには、当該営業の呼称等が記載されたポケットティッシュ、カード等が含まれる。

なお、通常の形態で販売されている新聞、雑誌、書籍等は、通常は広告又は宣伝の用に供されるビラ、パンフレットに類するものとはいい難いことから、一般的には「ビラ等」に当たらない。

エ 法第28条第5項による規制対象となる広告物及びビラ等の内容は卑わいなもの等に限られない。したがって、店舗型性風俗特殊営業につき広告又は宣伝をするためのものであると認められる場合には、単に営業所の名称のみが記載されている広告物又はビラ等であっても同項の規制の対象となり得る。

また、営業所の名称が記載されていない広告物であっても、それが特定の店舗型性風俗特殊営業の広告又は宣伝のためのものであると認められる場合には、同項の規制の対象となり得る。ただし、郵便受箱に表示された会社の名称等広告又は宣伝の目的で公衆に表示されているとはいえないものについては、同項の規制の対象とはならない。

オ 法第28条第5項第2号で禁止される行為は、具体的には、人の住居にビラ等を置いたり、郵便受箱に差し入れること等であり、人の住居にビラ等を置いたり、郵便受箱に差し入れた時点で違反が成立する。

なお、ビラ等を郵便物として配達させた場合等であっても同号違反となる。

カ 法第28条第5項第3号で禁止される行為は、同項第2号に掲げるもののほか、ビラ等を不特定又は多数の者に配布する目的で現に一人以上の者に配布することをいい、特定少数の者を通じて当然又は成り行き上不特定又は多数の者に配布されるような状況下で当該特定少数の者に配布した場合も含まれる。頒布の方法としては、直接手渡す方法によるもののほか、一定の場所にビラ等を置き、自由に持ち帰ることを期待するような方法による場合も含まれる。

キ 「店舗型性風俗特殊営業を営む者」以外の者が、「店舗型性風俗特殊営業を営む者」と意を通じて法第28条第5項各号に掲げる方法で広告又は宣伝をした場合は、いわゆる身分なき共犯として処罰することができる。

(3) 店舗型性風俗特殊営業の禁止区域等で店舗型性風俗特殊営業を営むことができる者に関する特例

ア 法第28条第6項中「営業所の外周」とは、当該店舗型性風俗特殊営業の営業所の外側に沿った周り及びこれを取り巻く部分をいい、当該営業所が一棟の建物の区分された部分である場合には、当該一棟の建物の共用部分及び当該建物の外側に沿った周りを含む。

イ 法第28条第6項中「営業所の内部」とは、18歳未満の者を客として立ち入らせることが禁止されている営業所内をいう。

ウ 法第28条第6項の規定により適用が除外されるのは、同条第5項の規定のみであるから、当該営業所の外周に表示される広告物であっても、「清浄な風俗環境を害するおそれのある方法」(同条第8項)で広告又は宣伝をすることはできない。

(4) 新たに広告制限区域等となった場合の特例

法第28条第7項の規定は、新たに広告制限区域等となる地域において既に表示されている広告物について、撤去までの猶予期間を設けたものである。この規定により適用が除外されるのは、同条第5項第1号のみであるから、猶予期間中であっても「清浄な風俗環境を害するおそれのある方法」(同条第8項)で広告物を表示することはできない。

(5) 清浄な風俗環境を害する方法による広告又は宣伝

法第28条第8項で禁止される行為は、「営業所周辺における」(法第16条)か否かを問わず、およそ「清浄な風俗環境を害するおそれのある方法」で広告又は宣伝をすることである。これには、法第16条に抵触する行為が含まれるほか、第17中5に掲げる広告又は宣伝を営業所周辺ではない場所で行うことが含まれる。また、営業所周辺にいない不特定又は多数の者をいわば捕らわれの視聴者にするような行為をも含む。例えば、無差別に携帯電話に広告又は宣伝の電子メールを送信することや、インターネットのホームページ(その名称等からして卑わいな内容が掲出されていることを容易に推測することができるものを除く。)においてバナー広告として卑わいな内容のものを掲出することがこれに該当する。

(6) 18歳未満の者が営業所に立ち入ってはならない旨を明らかにする方法

ア 法第28条第9項の規定は、店舗型性風俗特殊営業を営む者がその営業につき広告又は宣伝を行う場合の全てを対象とするものである。したがって、広告物又はビラ等により広告又は宣伝を行う場合だけでなく、新聞、雑誌、インターネット等を利用して広告又は宣伝を行う場合等も対象となる。

イ 法第28条第9項の規定により18歳未満の者が営業所に立ち入ってはならない旨を明らかにする方法は、施行規則第47条第1項に規定するとおりであり、原則として個別の広告又は宣伝ごとに行う必要があるが、例えば、複数の店舗型性風俗特殊営業が雑誌等に広告又は宣伝を掲載する場合には、これらの広告又は宣伝に共通する事項として18歳未満の者が当該営業の営業所に立ち入ってはならない旨の文言を公衆の見やすいように表示することも可能である。

ウ 施行規則第47条第2項の「当該店舗型性風俗特殊営業の営業所の名称又は店舗型性風俗特殊営業の種別のみを表示するもの」とは、営業所の名称又は営業所の種類のいずれかを表示するもののほか、営業所の名称及び営業の種類をいずれも表示するものも含む。

また、「当該店舗型性風俗特殊営業の営業所の所在地を簡易な方法により表示するもの」とは、営業所周辺の略図、営業所の方向を示す矢印等をいう。

エ 施行規則第47条第3項を設けた趣旨は、営業所の入口に18歳未満の者が営業所に立ち入ってはならない旨が表示されている場合に、当該表示をもってその周辺に表示される広告物に18歳未満の者が営業所に立ち入ってはならない旨を表示しないことができることとするものであるから、同項中「営業所の入口周辺」とは、当該表示の直近の範囲内をいう。

3 店舗型性風俗特殊営業を営む者の禁止行為

法第28条第12項第1号中「客引き」及び第2号中「客引きをするため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと」については第17中9(1)を、同項第3号中「客に接する業務」については第11中4及び第17中9(2)を、同項第5号中「提供」については第17中9(5)を参照すること。また、「店舗型性風俗特殊営業を営む者」以外の者が、「店舗型性風俗特殊営業を営む者」と意を通じて法第28条第12項各号に掲げる行為をした場合は、いわゆる身分なき共犯として処罰することができる。

4 接客従業者に対する拘束的行為の規制

店舗型性風俗特殊営業を営む者に係る拘束的行為の規制については、第17中6を参照すること。

第20 無店舗型性風俗特殊営業の規制について(法第31条の2の2、第31条の3及び第31条の4第2項関係)

1 接客従業者に対する拘束的行為の規制

無店舗型性風俗特殊営業を営む者に係る拘束的行為の規制については、第17中6(1)から(3)までを参照すること。

2 広告及び宣伝の規制

(1) 無届業者の広告又は宣伝の禁止

法第31条の2第1項の届出書を提出していない者は、無店舗型性風俗特殊営業を営む目的をもって、広告又は宣伝をしてはならない(法第31条の2の2第2項)。また、法第31条の2第1項の届出書を提出した者は、当該届出書に記載された営業以外の無店舗型性風俗特殊営業を営む目的をもって、広告又は宣伝をしてはならない(法第31条の2の2第1項)。

なお、法第31条の2第1項の届出書を提出した者であっても、受付所が営業禁止区域等にあることを理由に届出確認書が交付されなかった者は、無店舗型性風俗特殊営業を営む目的をもって、広告又は宣伝をしてはならない(法第31条の2の2第1項及び第2項)。

法第31条の2の2の規定により禁止される「広告又は宣伝」には、第31条の3第1項において準用する法第28条第5項に規定する広告物又はビラ等により行うものだけでなく、新聞、雑誌、インターネット等を利用して行うものも全て含まれる。

(2) 広告又は宣伝の方法の規制

広告又は宣伝の方法の規制については、第19中2(2)、(4)及び(5)を参照すること。

(3) 18歳未満の者が客となってはならない旨を明らかにする方法

ア 法第31条の3第1項において準用する法第28条第9項の規定は、無店舗型性風俗特殊営業を営む者がその営業につき広告又は宣伝を行う場合の全てを対象とするものである。したがって、広告物又はビラ等により広告又は宣伝を行う場合だけでなく、新聞、雑誌、インターネット等を利用して広告又は宣伝を行う場合等も対象となる。

イ 法第31条の3第1項において準用する法第28条第9項の規定により18歳未満の者が客となってはならない旨を明らかにする方法は、施行規則第57条第1項において準用する施行規則第47条第1項に規定するとおりであり、原則として個別の広告又は宣伝ごとに行う必要があるが、例えば、複数の無店舗型性風俗特殊営業が雑誌等に広告又は宣伝を掲載する場合には、これらの広告又は宣伝に共通する事項として18歳未満の者が客となってはならない旨の文言を公衆の見やすいように表示することも可能である。

ウ 施行規則第57条第1項において準用する施行規則第47条第2項の「当該営業に係る法第31条の2第1項第2号に規定する呼称又は法第2条第7項第1号の営業である旨のみを表示するもの」とは、当該派遣型ファッションヘルス営業の呼称又は派遣型ファッションヘルス営業である旨のいずれかを表示するもののほか、これらの事項のいずれも表示するものも含む。

また、「当該受付所の所在地を簡易な方法により表示するもの」とは、受付所周辺の略図、受付所の方向を示す矢印等をいう。

エ 施行規則第57条第1項において準用する施行規則第47条第3項を設けた趣旨は、受付所の入口に18歳未満の者が受付所に立ち入ってはならない旨が表示されている場合に、当該表示をもってその周辺に表示される広告物に18歳未満の者が客となってはならない旨を表示しないことができることとするものであるから、同項中「受付所の入口周辺」とは、当該表示の直近の範囲内をいう。

3 受付所営業の規制

受付所営業については、店舗型ファッションヘルス営業とみなして、法第28条第1項から第4項まで、第6項、第10項及び第12項(第3号を除く。)の規定が適用される(法第31条の3第2項)。このうち、営業禁止区域等(法第28条第1項から第3項まで)については第19中1を、店舗型性風俗特殊営業の禁止区域等で店舗型性風俗特殊営業を営むことができる者に関する広告又は宣伝の方法の規制の特例(法第28条第6項)については第19中2(3)を参照すること。

法第31条の3第2項の規定により適用される法第28条第12項第1号中「客引き」及び第2号中「客引きをするため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと」については第17中9(1)を、同条第5号中「提供」については第17中9(5)を参照すること。また、「受付所営業を営む者」以外の者が、「受付所営業を営む者」と意を通じて法第28条第12項第1号、第2号、第4号又は第5号に掲げる行為をした場合は、いわゆる身分なき共犯として処罰することができる。

なお、法第28条第5項及び第7項から第9項までの規定による広告及び宣伝に関する規制(2(2)及び(3)を参照すること。)は、派遣型ファッションヘルス営業全体に適用されるので(法第31条の3第1項)、これらの規定の適用については、受付所営業を店舗型ファッションヘルス営業とはみなすことはしていない。

4 年少者を客に接する業務に従事させること等の禁止

(1) 法第31条の3第3項第1号中「客に接する業務」(第11中4を参照すること。)とは、客に接し、客にサービスを提供する等の業務をいい、具体的には、客から代金を徴収することのほか、派遣型ファッションヘルス営業については客の身体に接触する役務を提供すること、アダルトビデオ等通信販売営業については客に物品を配達すること等がこれに当たる。

(2) 法第31条の3第3項第2号中「客とすること」とは、対価を得て、18歳未満の者を、派遣型ファッションヘルス営業についてはその者の性的好奇心に応じてその者に接触する役務を提供すること、アダルトビデオ等通信販売営業についてはその者の依頼を受けてアダルトビデオ等の物品を販売し、又は貸し付けることの相手方とすることである。したがって、無店舗型性風俗特殊営業を営む者は、一般的には、それぞれ次のような措置を執ることにより、同号違反とならないことが求められる。

○ 派遣型ファッションヘルス営業又はアダルトビデオ等通信販売営業のうち当該営業を営む者又はその代理人等が客にアダルトビデオ等を配達するもの

これらの営業については、当該営業を営む者又はその代理人等が客に接することとなることから、当該客が18歳未満であると疑われる場合に、その者の年齢を確認すること。

○ アダルトビデオ等通信販売営業のうち客にアダルトビデオ等を郵便等を利用して配達させるもの

この営業については、営業を営む者又はその代理人等が客に接することがないため、依頼があった段階で、その者から18歳以上である旨の証明を受けること(例えば、申込みを受けるに際し、運転免許証のコピーの送付を受けること等により年齢を確認すること等をいい、単に客に年齢を申告させるだけでは足りない。)、18歳未満の者が通常利用できない方法により料金を支払う旨の同意を得ること(例えば、クレジットカードにより決済するなどの方法)等の方法により、その者が18歳未満でないことを確認すること。

5 違反広告物の除却

(1) 法第31条の4第2項中「事務所を知ることができず」とは、無店舗型性風俗特殊営業を営む者が公安委員会に届出書を提出していない場合や届出書は提出したが事務所の変更届を出さずに事務所を変更した場合において、電話等による確認等通常想定される手段を講じたにもかかわらず事務所の所在地が判明しない場合をいう。

(2) 法第31条の4第2項の規定に基づく除却の対象となるのは、法第28条第5項第1号イの区域における貼紙、貼札又は立看板に該当する違反広告物のみであり、当該区域に該当しない同号ロの地域における違反広告物及び貼紙、貼札又は立看板に該当しない違反広告物を除却することはできない。

(3) 法第31条の4第2項の規定に基づく除却は、行政手続法第2条第4号イの「事実上の行為」に該当すると考えられることから、同法の「不利益処分」には当たらず、したがって、除却をするに当たって同法に規定する事前手続を執る必要はない。

(4) 法第31条の4第2項の規定に基づく除却は、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第2条第1項の「継続的性質を有するもの」には該当しないと考えられることから、同法の「処分」には当たらず、したがって、除却に対して同法の規定に基づき不服申立てをすることはできない(行政不服審査法(平成26年法律第68号。一部の規定を除き、公布の日(平成26年6月13日)から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日から施行)の施行後は、公権力の行使に当たる非継続的な事実上の行為も同法の「処分」に含まれることとなるため、除却に対する不服申立てが可能となる。)。

第21 映像送信型性風俗特殊営業の規制について(法第31条の8第1項から第4項まで関係)

1 広告及び宣伝の規制

映像送信型性風俗特殊営業を営む者に係る広告及び宣伝の規制については、第19中2(2)イからキまで、(4)及び(5)並びに第20中2(3)ア及びイを参照すること。

なお、法第31条の8第1項において準用する法第28条第9項の規定により18歳未満の者が客となってはならない旨を明らかにする方法は、施行規則第62条第1項において準用する施行規則第47条第1項で規定されている。

2 年少者を客とすることの禁止

法第31条の8第2項中「客とすること」とは、対価を得て、18歳未満の者に映像を見せることをいう。

3 年少者利用防止のための措置

(1) 法第31条の8第3項及び第4項は、同条第2項で「18歳未満の者を客としてはならない」こととされていることから、当該規定を遵守するための具体的な措置を定めたものである。

(2) 法第31条の8第3項中「電気通信設備を用いた客の依頼を受けて、客の本人確認をしないで第2条第8項に規定する映像を伝達するもの」とは、依頼をしてきた者が当該映像にアクセスすることができる者であるかどうかを判断するため当該営業を営む者があらかじめ交付するID、パスワード等(当該営業を営む者が交付するID、パスワード等のほか、クレジットカードの番号等、当該番号自体が通常18歳以上の者でなければ利用することができないこととされているものを含む。)を入力させるという形態を採らずに、当該依頼をしてきた者に映像を伝達する形態を想定している。

また、「18歳未満の者が通常利用できない方法による客の依頼を受けることとしている場合」とは、客の本人確認をしないで映像を伝達しても、18歳未満の者が通常利用できないような措置を講じていることをいう。

(3) 法第31条の8第4項は、同条第3項と異なり、客に映像を伝達する際に、営業者が当該客からID、パスワード等の入力を受ける形態のものを想定している。

ア 法第31条の8第4項中「客が18歳以上である旨の証明」とは、客からその者が18歳以上である旨の証明を受けることをいい、単に客が18歳以上であることを自己申告するだけでは足りない。具体的には、運転免許証等本人の年齢を確認することができる文書の写しの送付を受けることがこれに当たる。

なお、年齢確認をすることができる文書には、運転免許証等公的機関が発行する証明書だけでなく、会社等が発行する身分証明書で、その者の年齢を確認することができるものも含まれる。

また、客が18歳以上である旨の証明は、客の年齢を確認するために行うものであることから、映像送信型性風俗特殊営業を営む者があらかじめ客が18歳以上であることを知っている場合には、その者であることを営業者が確認することにより「客が18歳以上である旨の証明」を受けたことになると解される。

イ 法第31条の8第4項中「18歳未満の者が通常利用できない方法により料金を支払う旨の同意」とは、法令の規定、業界の自主規制等により18歳未満の者が通常利用できないこととされている方法を用いて料金を支払う旨の客の同意をいう。例えば、料金をクレジットカードによる決済とする旨の同意がこれに該当すると考えられる。

ウ 現在構築が進められている電子ネットワーク上の認証局による本人確認の仕組み等についても、その信頼性等が確認できた場合には、上記と同様の扱いをすることもあると考えられる。

エ この規定は、例えば、映像送信型性風俗特殊営業を営む者が客からクレジットカードで料金を支払う旨の同意を得た場合に、当該クレジットカードを使用している者が当該クレジットカードの真正な名義人であるかどうかの確認を行うことを一律に求めるものではない。

第22 店舗型電話異性紹介営業の規制について(法第31条の13関係)

1 営業禁止区域等並びに広告及び宣伝の規制

(1) 営業禁止区域等

ア 店舗型電話異性紹介営業を営む者に係る営業禁止区域等については、第19中1を参照すること。

なお、第19中1(2)②に関しては、会話の申込みを受ける場所若しくは部分又は電気通信設備の設置場所若しくは部分の改築がこれに相当し、例えば、営業所内の事務所に電話交換機を設置し、又は会話の申込みを受けるための個室を設けている場合における当該事務所又は当該個室の改築がこれに含まれる。

イ 店舗型電話異性紹介営業の営業の用に供される電気通信設備の変更については、次のような変更が行われたときには、法第31条の13第1項において準用する法第28条第3項の適用はなくなる。

① 新たな電気通信設備の設置に係る変更

② 既存の電気通信設備の機能の向上、処理能力の拡大に係る変更

具体的には、従業者による手動取次ぎ方式の営業において新たに電気通信設備を設置し、当該電気通信設備を用いた自動取次ぎ方式に変更する場合、営業に使用する電話回線を増設し、又は事務用に使用していた電話回線を営業用に転用する場合等の営業の規模が実質的に拡大する変更がこれに該当する。

一方、次のような変更は、特段の事情のない限り、法第31条の13第1項において準用する法第28条第3項が適用される「当該店舗型電話異性紹介営業」の範囲を超えるものに当たらない。

① 電気通信設備の軽微な破損箇所の原状回復に伴う変更

② 電気通信設備の同一の規格及び性能の範囲内で行われる設備の更新

具体的には、電気通信設備の機能や処理能力に影響を及ぼさない部分の部品を取り替える場合、電気通信設備の一部である電話交換機について同一の規格及び性能を有するものと交換する場合、営業に使用する電話番号の改番を行う場合等の営業の規模に特段の変更を及ぼさない変更がこれに該当する。

(2) 店舗型電話異性紹介営業を営む者に係る広告及び宣伝の規制については、第19中2(2)イからキまで及び(3)から(6)までを参照すること。

なお、法第31条の13第1項において準用する法第28条第9項の規定により18歳未満の者がその営業所に立ち入ってはならない旨及び18歳未満の者が法第31条の12第1項第3号に掲げる電話番号に電話をかけてはならない旨を明らかにする方法は、施行規則第68条第1項において準用する施行規則第47条で規定されている。

2 店舗型電話異性紹介営業を営む者の禁止行為

(1) 法第31条の13第2項第1号中「客引き」及び第2号中「客引きをするため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと」については、第17中9(1)を参照すること。

(2) 法第31条の13第2項第3号中「客に接する業務」(第11中4を参照すること。)とは、来店した客の個室等への案内、会話の申込みの取次ぎ、客からの料金の徴収等がこれに当たる。

(3) 法第31条の13第2項第4号中「18歳未満の従業者を第2条第9項の規定によりその機会を提供する会話の当事者にすること」とは、年少者である従業者を異性の客と通話させることをいう。

(4) 「店舗型電話異性紹介営業を営む者」以外の者が、「店舗型電話異性紹介営業を営む者」と意を通じて法第31条の13第2項各号(第7号を除く。)に掲げる行為をした場合は、いわゆる身分なき共犯として処罰することができる。

3 会話の申込みをした者が18歳以上であることを確認するための措置

(1) 法第31条の13第3項中「18歳以上であることを確認するための措置」を講じさせることとした趣旨は、電話異性紹介営業が児童買春の温床となっていること、その営業の性質上、非対面型のサービスであること等から、少年を児童買春から守るために不可欠なものと考えられるからである。

(2) 施行規則第67条第1項第1号中「身分証明書」とは、官公庁や企業の職員、学校の学生・生徒等の身分を証する文書をいう。ただし、ここでは年齢を確認する手段として利用することとされていることから、当該身分証明書は、当該所持人の年齢又は生年月日が記載されているものである必要がある。

また、「当該申込者の年齢又は生年月日を確認するために必要な部分の写し」とは、当該申込者等の年齢又は生年月日を記載した部分だけでなく、当該文書の名称等当該文書が身分証明書等であること自体を明らかにする部分のほか、写しが使い回し等により流用される可能性があることから、これを防止するため、例えば運転免許証番号等当該身分証明書等を同種の他の身分証明書等と区別することのできる事項が記載された部分を含むものである。

(3) 施行規則第67条第1項第3号中「告知」とは、ある一定の事実の内容を通知することをいい、直接口頭により告げることのほか、音声ガイダンスに従って、電話のプッシュボタンを押すことによって当該事実の内容を電子的信号により通知することも含まれると解される。

(4) 施行規則第67条第2項第2号中「対面」による確認とは、当該電話異性紹介営業を営む者又はその代理人等が当該識別番号等付与希望者の面前において、その容貌等から18歳以上であることを確認することである。したがって、識別番号等を記載し、又は電磁的方法により記録したカード等を販売する自動販売機がカウンターの隣に設置されている場合等、たとえ当該識別番号等付与希望者の年齢を確認しようと思えばこれを確認することが可能な場合であっても、実際にその都度対面して当該識別番号等付与希望者の年齢を確認しなければ、対面性を充足したことにはならない。

また、「身分証明書等の提示」とは、識別番号等付与希望者が身分証明書等の現物を示すことである。

第23 無店舗型電話異性紹介営業の規制について(法第31条の18及び第31条の19第2項関係)

1 広告及び宣伝の規制

無店舗型電話異性紹介営業を営む者に係る広告及び宣伝の規制については、第19中2(2)イからキまで、(4)及び(5)並びに第20中2(3)ア及びイを参照すること。

なお、法第31条の18第1項において準用する法第28条第9項の規定により18歳未満の者が法第31条の17第1項第4号に掲げる電話番号に電話をかけてはならない旨を明らかにする方法は、施行規則第74条第1項において準用する施行規則第47条第1項で規定されている。

2 会話の申込みをした者等が18歳以上であることを確認するための措置

法第31条の18第3項の趣旨等については、第22中3を参照すること。

3 違反広告物の除却

無店舗型電話異性紹介営業に係る違反広告物の除却については、第20中5を参照すること。

第24 特定遊興飲食店営業の許可について(法第31条の22及び第31条の23関係)

1 一般的留意事項等

特定遊興飲食店営業の許可に係る一般的留意事項等については、第12中1から7まで、9、10及び12を参照すること。

2 構造及び設備の技術上の基準

施行規則第75条中「見通しを妨げる設備」、「善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害し、又は少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備」、「営業所内の照度が10ルクス以下とならないように維持されるため必要な構造又は設備を有する」、「騒音又は振動の数値が法第31条の23において準用する法第15条の規定に基づく条例で定める数値に満たないように維持されるため必要な構造又は設備を有する」については、第12中8(1)及び(3)から(5)までを参照すること。

3 許可申請書の添付書類

特定遊興飲食店営業の許可申請書の添付書類については、第12中13を参照すること。

なお、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律(平成27年法律第45号)の施行に伴い、同法による改正前の法第2条第1項第3号の営業(以下「旧3号営業」という。)を、賃借権を有している営業所において現に営んでいる者が、当該賃借権が継続している期間内に当該営業所における営業を特定遊興飲食店営業に変更しようとする場合、「営業所の使用について権原を有することを疎明する書類」は、具体的には以下のものとする。

① 営業所に係る登記簿謄本又は登記事項証明書等

② 営業所に係る次のいずれかの書類

(i) 特定遊興飲食店営業の営業所として使用することについて所有者及び賃貸人(所有者と賃貸人の間に当該営業所に係る賃貸借契約を締結した者がいる場合には、これらの契約当事者全てを含む。(iii)において同じ。)から承諾を受けている旨の誓約書及び旧3号営業に関する賃貸借契約書の写し

(ii) 特定遊興飲食店営業に関する賃貸借契約書の写し(所有者と賃貸人の間に当該営業所に係る賃貸借契約を締結した者がいる場合には、全ての当該賃貸借契約書の写しを含む。)

(iii) 特定遊興飲食店営業に関する所有者及び賃貸人の使用承諾書

4 法第2条第1項第5号の遊技設備を設置する場合の取扱い

特定遊興飲食店営業を営もうとする者が、営業所内に法第2条第1項第5号の遊技設備を設置しようとする場合が考えられる。

(1) 例えば、遊技設備を設置しているが、それを用いた競技大会は開催していないナイトクラブのように、遊技設備を設置して客自身に使用させるとともに、当該遊技設備を用いずに客に遊興をさせ、かつ、客に飲酒をさせる業態の営業を深夜に営もうとする場合は、遊技設備を客自身に使用させることにつき法第2条第1項第5号の営業の許可を受け、遊技設備を用いずに深夜に客に遊興と飲酒をさせることにつき特定遊興飲食店営業許可を受ける必要がある。この場合、法第2条第1項第5号の営業の部分には、風俗営業に係る営業時間の制限が適用され、風俗営業が認められない時間になった場合には、当該遊技設備を客に使用させないための措置を講じる必要がある(第17中2②を参照すること。)。このような営業において、仮に遊技設備が少なく、客の遊技の用に供される客室の部分の床面積が小さいときは、第3中3(1)イの取扱いを行うこととする。これによって法第2条第1項第5号の営業の許可が不要とされた場合には、風俗営業が認められない時間になった後も、当該遊技設備を客自身に使用させることが可能である。

(2) 例えば、遊技設備を用いた競技大会であって客に参加させるものを恒常的に開催するバーのように、遊技設備を用いて客に遊興をさせ、かつ、客に飲酒をさせる業態の営業を深夜に営もうとする場合は、遊技設備を用いて客に遊興をさせることにつき法第2条第1項第5号の営業の許可を受ける必要がある。当該営業は全体として風俗営業に該当し、これを営業延長許容地域で深夜に営もうとする場合には、特定遊興飲食店営業の許可を受ける必要はない。このような営業において、仮に遊技設備が少なく、客の遊技の用に供される客室の部分の床面積が小さかったとしても、第3中3(1)イの取扱いは行わず、法第2条第1項第5号の許可を受けなければならないこととする。これは、深夜に客に飲酒をさせ、かつ、営業者が客に働き掛けて当該遊技設備による遊興をさせることにより、享楽的雰囲気が過度のものとなって賭博を始めとする風俗上の問題を誘発するおそれがあり、風俗営業として規制する必要性が小さいとは言えないためである。

第25 特定遊興飲食店営業に係る相続並びに法人の合併及び分割について(法第31条の23関係)

特定遊興飲食店営業に係る相続並びに法人の合併及び分割については、第13から第15までを参照すること。

第26 特例特定遊興飲食店営業者の認定について(法第31条の23関係)

特例特定遊興飲食店営業者の認定については、第16を参照すること。

第27 特定遊興飲食店営業の規制について(法第31条の22、第31条の23、第31条の24及び第31条の25関係)

1 営業所の構造及び設備の変更

特定遊興飲食店営業の営業所の構造及び設備の変更については、第17中1を参照すること。

なお、例えば、特定遊興飲食店営業の許可を受けた営業所において、午前11時から午後3時までは飲食店営業を営み、午後9時から翌日午前5時までは特定遊興飲食店営業を営み、双方の営業の継続性が完全に断たれているような場合には、飲食店営業の時間帯は特定遊興飲食店営業の規制を受けない。このため、例えば、飲食店営業の営業時間中に営業所の構造及び設備を変更し、特定遊興飲食店営業の営業時間が始まる前にその構造及び設備を復元する場合は、承認や届出は不要である。

2 営業時間の制限

特定遊興飲食店営業の営業時間が制限されている場合における当該営業の終業後の飲食店営業については、第17中2を参照すること。

3 照度の規制

法第31条の23において準用する法第14条は、特定遊興飲食店営業に係る営業所内の照度について、規制の内容を明確にするため、数値により規制することとしている。

この規制により、特定遊興飲食店営業者は、深夜においては施行規則第95条に規定する方法で計った照度が常態として10ルクスを超えるようにしてその営業を営むこととなる。ただし、施行規則第2条第2号に掲げる客室(客席のみにおいて客に遊興をさせるための客室に限る。)については、深夜における個々の営業時間につき半分未満の時間に限って、いずれかの測定場所の照度を10ルクス以下とする場合は、本条の違反には当たらないこととする。

なお、客席以外の客室の部分において客に遊興をさせるための客室において、遊興をさせる部分に飲食物を持ち込ませないようにするため、当該部分の周辺に飲食物を置くためのテーブル等を設置する場合があると考えられる。このような場合は、当該テーブル等を使用して客が飲食をすることを営業者が容認していれば、当該テーブル等及びそれを使用する客が位置する場所は客席に該当するが、営業者が当該テーブル等を使用して飲食をしないよう客に注意喚起を行い、かつ、当該テーブル等を使用して飲食する客がいたときに、これを制止するような措置を講じていれば、客席には該当しない。

4 騒音及び振動の規制等

特定遊興飲食店営業に係る騒音及び振動の規制等については、第17中4、6、9及び11を参照すること。

第28 深夜における飲食店営業の規制等について(法第32条関係)

1 飲食店営業の意義

飲食店営業の意義については、第11中6を参照すること。

2 騒音及び振動の規制

騒音及び振動の規制の趣旨は、第17中4と同趣旨である。

3 年少者の従業の禁止等

飲食店営業を営む者が、当該営業所で午後10時から翌日の午前6時までの時間において、18歳未満の者を客に接する業務に従事させ、又は客として立ち入らせることは禁止される。ただし、施行規則第102条に規定する営業には、この規定の適用はない。

施行規則第102条第1号に掲げる営業は、法第2条第13項第4号に規定する「営業の常態として、通常主食と認められる食事を提供して営むもの」と同一である。

施行規則第102条第2号中「コーヒー、ケーキその他の茶菓類」とは、コーヒー、紅茶、ジュース等の飲物やケーキ、パフェ、アイスクリーム、おしるこ等の菓子類をいい、それ以外の飲食物とは、通常食事の際食べる主食以外の飲食物であり、例えば、フライドチキン、サラダ、たこ焼き等がこれに当たる。ただし、このような飲食物を提供する飲食店営業であっても、午後10時以後酒類を提供する場合(自動販売機による販売を含む。)は、同号に規定する飲食店営業から除かれることに注意する必要がある。

第29 深夜における酒類提供飲食店営業の規制について(法第33条関係)

1 酒類提供飲食店営業の意義

酒類提供飲食店営業の意義については、第11中7を参照すること。

2 構造又は設備の変更の届出

(1) 府令第22条第3号中「営業所の内部を仕切るための設備」とは、壁、ふすまのほか、カーテン、ついたて等をいうものであり、その変更には、破損箇所の原状回復、色の塗り替え等を含まない。

(2) 府令第22条第4号中「照明設備の変更」には、照度につき同性能の電球等の更新を含まない。客の利用に供しない調理室等の場所の照明設備の更新については、客室等に影響がない限り届出を要しない。

(3) 府令第22条第5号中「音響設備の変更」には、音に影響のない同性能のデッキ、プレーヤー、画像装置の変更までは含まれない。

3 地域規制

(1) 法第33条第5項中「その規定」の「適用」とは、例えば、条例で他法令等を引用して禁止地域を定めた場合に、当該条例の規定の施行後に、禁止地域が変動し、その場所にある酒類提供飲食店営業について当該条例の規定が適用されることとなった場合等をいう。

(2) 法第33条第5項の規定の適用対象となる「当該営業」とは、当該規定の施行又は適用の際現に深夜において営んでいる酒類提供飲食店営業の範囲内の営業を意味するものであり、営業所の新築、移築、増築等をした場合には、その酒類提供飲食店営業については、同項の適用はなくなる。

なお、「営業所の新築、移築、増築等」には、次のような行為が該当する。

① 営業所の建物の新築、移築又は増築

② 客室の改築

③ 営業所の建物につき行う大規模の修繕若しくは大規模の模様替又はこれらに準ずる程度の間仕切り等の変更

④ 営業所の建物内の客の用に供する部分の床面積の増加

(注) 「新築」とは、建築物の存しない土地(既存の建築物の全てを除去し、又はその全てが災害等によって滅失した後の土地を含む。)に建築物を造ることをいう。

「移築」とは、建築物の存在する場所を移転することをいう。

「増築」とは、一の敷地内の既存の建築物の延べ面積を増加させること(当該建築物内の営業所の延べ面積を増加させる場合及び別棟で造る場合を含む。)をいう。

「改築」とは、建築物の一部(客室の主要構造部の全て)を除却し、又はこれらの部分が災害等によって消滅した後、これと用途、規模、構造の著しく異ならないものを造ることをいう。

「大規模の修繕」とは、建築物の一種以上の主要構造部の過半に対しおおむね同様の形状、寸法、材料により行われる工事をいう。

「大規模の模様替」とは、建築物の一種以上の主要構造部の過半に対し行われるおおむね同様の形状、寸法によるが材料、構造等は異なるような工事をいう。

「主要構造部」とは、壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいう。ただし、間仕切り、最下階の床、屋外階段等は含まない(建築基準法第2条第5号参照)。

「これらに準ずる程度の間仕切り等の変更」とは、営業所の過半について間仕切りを変更し、個室の数、面積等を変える場合等をいう。

4 接客従業者に対する拘束的行為の規制

酒類提供飲食店営業(午前6時から午後10時までの時間においてのみ営むものを除く。)を営む者に係る拘束的行為の規制については、第17中6を参照すること。

第30 接客業務受託営業に対する規制について(法第35条の3関係)

受託接客従業者に対する拘束的行為の規制については、第17中6(1)から(3)までを参照すること。

1 趣旨

指示の規定は、営業者の自主的な努力を促す手段として設けたものである。

2 留意事項

「指示」は、比例原則に則って行うべきものであり、営業者に過大な負担を課すものであってはならない。

また、指示の内容は、違反状態の解消のための措置、将来の違反の防止のための措置等を具体的に示すものでなければならない。

3 法的性格

「指示」は、行政処分であり、施行規則第112条第1項の書面に不服申立てをすることができる旨を記載して行うものである。

4 「代理人等」の意義

法第25条中「代理人等」については、第17中11(3)アと同様である。

5 「当該営業に関し」の意義

(1) 「当該営業に関し」とは、自己の管理又は従事する営業を営むに当たってという意味である。例えば、従業者として雇い入れた女性に当該雇用関係を利用して売春をさせる行為は、その行われた場所を問わず「当該営業に関し」行われたものと認められる。

(2) 法は、風俗営業者本人でなくその代理人等が「当該営業に関し」違法行為を行った場合にも風俗営業者に対して指示等をすることができることとしているが、これは風俗営業者の責任の下に風俗営業を適法に営むことを予定していることによるものである。したがって、代理人等が自己の目的のためその地位を濫用した場合であっても、その者がそのような行為をなし得べき地位に置かれている以上、外形上風俗営業者の営業と異なるところがなく、「当該営業に関し」行為をしたものと認められる。

6 「違反し」の意義

「違反し」たとは、法律、命令、条例等に違反した行為が行われたことをいい、送致、起訴、刑の言渡し等の判決等が既になされているか否かを問わない。

第32 営業の停止等について(法第8条、第26条、第30条、第31条の5、第31条の6第2項第2号及び第3号、第31条の15、第31条の20、第31条の21第2項第2号、第31条の25、第34条第2項、第35条、第35条の2、第35条の4第2項及び第4項第2号並びに第41条の2関係)

1 風俗営業及び特定遊興飲食店営業の許可の取消し

(1) 法第41条の2の規定による診断を行う医師の指定は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)第18条第1項の規定により精神保健指定医に指定された医師のうちから行うものとし、当該医師を指定したときは公示するものとする。また、これらの旨を都道府県公安委員会規則に定めておくことが望ましい。

(2) 法第8条第3号(法第31条の23において準用する場合を含む。)の規定は、営業の意思があり、かつ、営業を行う能力が将来にわたって認められるにもかかわらず、やむを得ない事由により営業の開始又は再開ができない場合について定めたものである。

「正当な事由」(法第8条第3号)とは、経済情勢の変化や自然災害の発生等許可を受ける時点では予測し得なかった事態が発生したこと等営業を開始できず、又は営業を休止せざるを得ないことについて合理的な理由がある場合をいう。したがって、単なる経営不振や資金入手の見込み違いにより営業の開始又は再開が見込めない場合については、「正当な事由」には当たらない。

また、たとえ「正当な事由」によって営業を開始せず、又は休止したとしても、営業の開始又は再開までに通常要する期間が経過した後はもはや「正当な事由」によるものとは認められない。例えば、営業所を修繕しようとして営業を休止した後、単なる経営不振により資金繰りが悪化して営業再開のめどが立たなくなったという場合、当初予定していた修繕に要していたであろう合理的期間が経過した後6月以上が経過すれば、公安委員会は当該許可を取り消すことができる。

2 風俗営業及び特定遊興飲食店営業の停止命令等

(1) 法第26条第1項及び第31条の25第1項中「代理人等」については、第17中11(3)アと同様である。

(2) 「当該営業に関し」については、第31中5と同様である。

(3) 「違反し」たについては、第31中6と同様である。

(4) 法第26条第1項、第31条の25第1項及び第34条第2項中「法令」とは、広く法律及び命令一般を指し、必ずしも売春防止法(昭和31年法律第118号)、令第17条に掲げる法令等の風俗関係の法令に限定されない。したがって、例えば、ぱちんこ屋の営業者が客から預かった遊技メダルを過少に計測して詐欺罪を犯した場合もこれに該当する。また、いわゆるぼったくり店において料金の支払いを巡るトラブルから従業者が客に暴行を加えて傷害罪を犯した場合もこれに該当する。

(5) 法第26条第1項に規定する風俗営業の営業の停止等及び法第31条の25第1項に規定する特定遊興飲食店営業の停止等は、①風俗営業者若しくは特定遊興飲食店営業者又はその代理人等が「当該営業に関し法令若しくはこの法律に基づく条例の規定に違反した場合において著しく善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害し若しくは少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれがあると認めるとき」又は②風俗営業者若しくは特定遊興飲食店営業者が「この法律に基づく処分若しくは第3条第2項の規定に基づき付された条件に違反したとき」に命ずることができる。

①の場合には、営業の停止等の要件は、風俗営業者若しくは特定遊興飲食店営業者又はその代理人等が「その代理人等が当該営業に関し法令若しくはこの法律に基づく条例の規定に違反した場合」であること及び「著しく善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害し若しくは少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれがあると認めるとき」であることである。したがって、前段の要件が充足されるだけでは、営業の停止等を命ずることはできない。

しかしながら、前段の要件が充足された場合において、当該違反行為が法又は法に基づく条例に対する違反行為であれば、少なくとも「善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害し若しくは少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれがある」と認められる蓋然性が高いといえる。さらに、当該違反行為が例えば法第11条(第31条の23において準用する場合を含む。)に対する違反行為のように、それ自体法の立法目的を著しく害するおそれのある行為であるといえる場合には、特段の事情のない限り後段の要件も充足されると認められる。

(6) 法第26条第1項に規定する風俗営業の営業の停止等及び法第31条の25第1項に規定する特定遊興飲食店営業の営業の停止等の要件は、法令違反があり、かつ、具体的な状況で善良の風俗を害するなどのおそれがある場合に営業停止等を命じ得ることとしているものである。これに対し、法第30条第1項及び第2項、第31条の5第1項及び第2項、第31条の6第2項第2号及び第3号、第31条の15、第31条の20並びに第31条の21第2項第2号に規定する性風俗関連特殊営業の停止等の要件は、一定の罪に当たる違法な行為その他重大な不正行為をした場合に限定されるが、具体的な状況で善良の風俗を害する等のおそれがあることを要しない。

なお、法第34条第2項に規定する飲食店営業の停止の要件は、風俗営業及び特定遊興飲食店営業と同様である。

3 店舗型性風俗特殊営業の停止命令

「この法律に規定する罪・・・政令で定めるものをし」たについては、第31中6と同様である。

4 無店舗型性風俗特殊営業の停止命令

(1) 「この法律に規定する罪・・・政令で定めるものをし」たについては、第31中6と同様である。

(2) 法第31条の5第1項又は第31条の6第2項第2号の規定に基づき「当該営業の全部」の停止を命ぜられた場合には、「当該営業」すなわち命令を受けた者が営む無店舗型性風俗特殊営業(違反行為に係る無店舗型性風俗特殊営業と同一の種別のものに限る。)の全部が禁止される。

この場合、当該営業を営む者が同一の主体である限り、別の呼称や電話番号を用いて当該違反行為に係る無店舗型性風俗特殊営業と同一の種別の無店舗型性風俗特殊営業を開始することも「当該営業」を営むこととして禁止されるから、当該営業を営む者が法第31条の2第2項の規定により「当該営業」を廃止する旨の届出を提出したとしても、営業の停止を命ぜられた期間は、当該違反行為に係る無店舗型性風俗特殊営業と同一の種別の無店舗型性風俗特殊営業を開始することはできない。

(3) 「当該営業」の「一部の停止」を命ずる場合としては、例えば、特定の地域に限って、当該営業を営むことを禁止することが考えられる。また、派遣型ファッションヘルス営業の受付所において客引きが行われたような場合において、当該受付所において行われる業務のみについて営業の停止を命ずる必要があるときには、「当該営業」の「一部の停止」を命ずることとなる。

5 店舗型電話異性紹介営業の停止命令

「この法律に規定する罪・・・政令で定めるものをし」たについては、第31中6と同様である。

6 無店舗型電話異性紹介営業の停止命令

(1) 「この法律に規定する罪・・・政令で定めるものをし」たについては、第31中6と同様である。

(2) 法第31条の20又は第31条の21第2項第2号の規定に基づき「当該営業の全部」の停止を命ぜられた場合には、「当該営業」すなわち命令を受けた者が営む無店舗型電話異性紹介営業の全部が禁止される。

この場合、当該営業を営む者が同一の主体である限り、別の呼称や電話番号を用いて無店舗型電話異性紹介営業を開始することも「当該営業」を営むこととして禁止されるから、当該営業を営む者が法第31条の17第2項において準用する法第31条の2第2項の規定により「当該営業」を廃止する旨の届出を提出したとしても、営業の停止を命ぜられた期間は、無店舗型電話異性紹介営業を開始することはできない。

(3) 「当該営業」の「一部の停止」を命ずる場合としては、例えば、当該営業のうち法第31条の18第3項に規定する措置を講じることなく会話の申込みを取り次ぐ機能を有する特定の電気通信設備(法第2条第10項)を用いて営まれる部分に限って営業の停止を命ずることが考えられる。

7 飲食店営業の停止命令

(1) 「違反し」たについては、第31中6と同様である。

(2) 無許可で接待飲食等営業又は特定遊興飲食店営業を営み摘発された者が、当該接待飲食等営業又は特定遊興飲食店営業に該当する行為のみを止め、飲食店営業については引き続いて営もうとする場合には、法第34条第1項又は第2項の規定に基づき、必要な指示を行い、又は飲食店営業の停止を命ずることができる。

8 特定性風俗物品販売等営業の停止命令

(1) 「罪を犯し」たについては、第31中6と同様である。

(2) 特定性風俗物品販売等営業とは、店舗を設けて物品を販売し、又は貸し付ける営業であって、その販売し、又は貸し付ける物品が法第2条第6項第5号の政令で定める物品(以下「アダルト物品」という。)を含むもののうち同号の営業(アダルトショップ等)を除いたものをいう。すなわち、アダルト物品を販売し、又は貸し付けている店舗は、アダルトショップ等でなければ特定性風俗物品販売等営業に該当することになり、いわゆるアダルトコーナーの設置の有無やアダルト物品の多寡により左右されるものではない。

(3) 「第2条第6項第5号の政令で定める物品を販売し、又は貸し付ける部分」とは、場所的区画をいうのではなく、営業自体の部分をいう。例えば、営業所内の一角にアダルトコーナーを設けて特定性風俗物品販売等営業を営む者が、営業停止を命じられることを予測し、これを免れようとして当該コーナーを撤去したとしても、公安委員会はなお営業停止を命ずることができる。したがって、営業停止を命じられた特定性風俗物品販売等営業を営む者が、アダルトコーナーを撤去したまま客の依頼に応じてアダルト物品を販売し、又は貸し付けた場合、営業停止処分に違反することになる。また、販売や貸付けはしなくても、例えば近日に入荷する旨表示して展示するなど営業の宣伝を行っているとみられる場合には、やはり営業停止処分に違反することになる。

(4) 例えば、特定性風俗物品販売等営業を営む者が当該営業に関しわいせつなビデオテープを販売した場合、公安委員会は営業停止命令によってアダルト物品であるビデオテープの販売・貸付けの停止を命ずることができるほか、必要に応じて、ビデオテープ以外のアダルト物品についてもその販売・貸付けの停止を命ずることができる。

(5) 特定性風俗物品販売等営業を営む者が常連客にわいせつなビデオテープを通信販売した場合、当該通信販売が当該特定性風俗物品販売等営業の常連客に対する付随的なサービス行為であるなど、独立した無店舗型性風俗特殊営業と認められないものであれば、公安委員会は法第35条の2の規定に基づき営業停止を命ずることができる。他方、当該通信販売が無店舗型性風俗特殊営業と認められれば、公安委員会は法第31条の5第1項の規定に基づきその営業停止を命ずることができるが、特定性風俗物品販売等営業としての営業停止を命ずることはできない。

9 接客業務受託営業の停止命令

(1) 「この法律に規定する罪・・・政令で定めるものをし」たについては、第31中6と同様である。

(2) 法第35条の4第2項又は第4項第2号の規定に基づき「当該営業の全部」の停止を命ぜられた場合には、「当該営業」すなわち命令を受けた者が営む接客業務受託営業の全部が禁止される。

この場合、当該営業を営む者が同一の主体である限り、事務所や名称を変更して接客業務受託営業を開始することも「当該営業」を営むこととして禁止される。

また、「当該営業」の「一部の停止」を命ずる場合としては、特定の地域に限って、当該営業を営むことを禁止することが考えられる。

10 不服申立ての教示の記載

法第8条、第26条、第30条、第31条の5第1項若しくは第2項、第31条の6第2項第2号若しくは第3号、第31条の15、第31条の20、第31条の21第2項第2号、第31条の25、第34条第2項、第35条、第35条の2又は第35条の4第2項若しくは第4項第2号の規定に基づく処分は、施行規則第112条第1項の書面に不服申立てをすることができる場合にはその旨を記載して行うものである。

第33 年少者の利用防止のための命令について(法第31条の10及び第31条の11第2項第2号関係)

1 「営業を営む方法について」の意義

法第31条の10及び第31条の11第2項第2号中「営業を営む方法について」とは、具体的には、当該営業を営む者が執っている法第31条の8第3項又は第4項に係る措置についてという意味である。

2 18歳未満の者を客としないため必要な措置

法第31条の10及び第31条の11第2項第2号の「18歳未満の者を客としないため必要な措置」については、法第31条の8第3項又は第4項に違反する具体的な状況に応じて、これらの規定が遵守されることを確保するために必要な事項を命ずることとなる。

3 不服申立ての教示

法第31条の10又は第31条の11第2項第2号の規定に基づく命令は、施行規則第112条第1項の書面に不服申立てをすることができる旨を記載して行うものである。

第34 自動公衆送信装置設置者の努力義務について(法第31条の8第5項並びに第31条の9第2項及び第3項関係)

1 自動公衆送信装置設置者の努力義務

(1) 法第31条の8第5項中「自動公衆送信装置」とは公衆の用に供する電気通信回線に接続することにより、その記録媒体のうち自動公衆送信の用に供する部分に記録され、又は当該装置に入力される情報を自動公衆送信する機能を有する装置をいい(著作権法(昭和45年法律第48号)第2条第1項第9号の5イ)、「自動公衆送信装置設置者」とはこのような自動公衆送信装置を設置している者をいう。

なお、「自動公衆送信装置設置者」は、電気通信事業法(昭和59年法律第86号)による届出等を行っているかどうかを問わない。

(2) 法第31条の8第5項の努力義務の対象となるのは、自動公衆送信装置設置者が、映像送信型性風俗特殊営業を営む者がその自動公衆送信装置にわいせつな映像又は児童ポルノ映像(以下第34において「わいせつな映像等」という。)を記録したことを知ったときである。第三者から単にわいせつな映像等がある旨の一般的な苦情等があっただけでは、通常は、それだけで直ちに「知ったとき」に該当するものではないと考えられるが、例えば、当該自動公衆送信装置設置者が、映像送信型性風俗特殊営業を営む者が当該自動公衆送信装置にわいせつな映像等を記録して客に見せていることを発見した場合、映像送信型性風俗特殊営業を営む者が客に見せているわいせつな映像等を添付した苦情等があった場合、映像送信型性風俗特殊営業を営む者が客に見せているわいせつな映像等に関し同種の苦情が繰り返しあった場合等には、一般的にはこれに該当することになると解される。

なお、この規定は、自動公衆送信装置設置者が「知った」場合の措置について規定したものであり、自動公衆送信装置設置者に対し、その者の自動公衆送信装置の記録媒体に記録された映像等の一般的な調査義務を課すものではない。

(3) 法第31条の8第5項の「わいせつ」については、刑法第175条の「わいせつ」と同義である。

(4) 法第31条の8第5項中「当該映像の送信を防止するため必要な措置」とは、例えば、わいせつな映像等を記録した映像送信型性風俗特殊営業を営む者に当該わいせつな映像等を削除するよう注意喚起を行うこと、当該わいせつな映像等について送信停止の措置を執ること、当該映像送信型性風俗特殊営業を営む者との利用契約を解除すること等をいう。

(5) 法第31条の8第5項中「努めなければならない」とは、一定のことを実行し、実現することに努力しなければならないという意味である。したがって、例えば、わいせつな映像等を防止するための措置を執り得るにもかかわらず、漫然とこれを行わない場合や他に執り得る措置があるにもかかわらず既に注意喚起を行ったことを理由としてこれに従わない映像送信型性風俗特殊営業を営む者に対して何らの措置も講じない場合には、一般的には、「努めなければならない」という規範を遵守したことにはならないものと解される。

(6) 映像送信型性風俗特殊営業を営む者に自動公衆送信装置を貸している自動公衆送信装置設置者が、自己の自動公衆送信装置ではなく、リンク先等他の自動公衆送信装置設置者の自動公衆送信装置に当該映像送信型性風俗特殊営業を営む者がわいせつな映像等を記録したことを知ったような場合については、当該努力義務は生じない。

2 自動公衆送信装置設置者に対する勧告

(1) 法第31条の9第2項の「勧告」は、法第31条の8第5項の規定が遵守されていない場合に、当該規定が遵守されなかった原因に応じて、その改善措置等を具体的に示すことになる。

(2) 法第31条の9第2項の「勧告」は、行政手続法第2条第6号の行政指導に当たり、自動公衆送信装置設置者が必要な措置を執るべきことを勧め、促し、当該自動公衆送信装置設置者がこれを尊重することを期待するものであるが、法律上相手方を拘束する効果を伴うものではない。したがって、行政不服審査法に基づく不服申立て及び行政事件訴訟法(昭和37年法律第139号)に基づく取消訴訟の対象にはならない。

第35 従業者名簿等について(法第36条及び第36条の2関係)

1 従業者名簿

(1) 従業者名簿の記載については、雇用契約のある労働者に限るものではないが、労働基準法(昭和22年法律第49号)に基づく労働者名簿の記載により従業者名簿に代替できる場合には、別に従業者名簿を作成することを要しない。

(2) 業務の一部が委託される場合において、当該委託業務に携わる従業者も従業者名簿に記載することを要する。例えば、第三者から派遣されたコンパニオンやダンサー、歌手等も「当該営業に係る業務」として接待をし、ダンスを見せ、又は歌を聴かせるのであれば、「当該営業に係る業務に従事する者」に当たる。

また、「第33条第6項に規定する酒類提供飲食店営業」や「深夜」(午前0時から午前6時までの時間。法第13条第1項)において営む「飲食店営業」について、従業者名簿の記載を要する従業者とは、午後10時以降又は深夜において当該営業に係る業務に従事する従業者のみならず、全ての従業者である。

2 接客従業者の生年月日等の確認

(1) 確認を必要とする従業者

法第36条の2第1項中「客に接する業務」については、第11中4、第17中9(2)及び第20中4(1)を参照すること。

(2) 確認を必要とする事項

接客従業者の生年月日(法第36条の2第1項第1号)及び国籍(同項第2号)については、接客従業者が日本人であるか外国人であるかにかかわらず、必ず確認しなければならない。接客従業者が外国人である場合には、府令第26条第2号から第4号までの区分に応じて、法第36条の2第1項第3号に掲げる事項を確認しなければならない。

ア 特別永住者以外の外国人(府令第26条第2号又は第3号)

出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号。以下「入管法」という。)第2条の2第1項に規定する在留資格及び同条第3項に規定する在留期間については、必ず確認しなければならない。確認の結果、在留資格がないことや在留期間を経過して不法残留となっていることが判明した外国人については、これを就労させることはできない(入管法第73条の2第1項)。

入管法別表第一の上欄の在留資格をもって在留する外国人がその在留資格に応じた活動以外の就労活動を行う場合は、資格外活動の許可(入管法第19条第2項)を受ける必要があるので、当該許可の有無(法第36条の2第1項第3号イ)を確認し、さらに「有り」の場合は、許可の内容を確認しなければならない。

なお、資格外活動は、本来の在留目的である活動の遂行を阻害しない範囲内で行われると認められるときに限り許可されるものであり(入管法第19条第2項)、また、風俗営業や性風俗関連特殊営業に従事することは許可されない。

また、「興行」の在留資格により在留する者は、風俗営業や特定遊興飲食店営業の営業所においてショー、歌舞音曲等を見せたり、聴かせたりする仕事に就くことができる場合があるが、その場合においても、「接待」等の「興行」以外の活動をすることは、入管法違反の資格外活動に当たり、不法就労となる。

一方、「永住者」等の入管法別表第二の上欄の在留資格をもって在留する外国人については、その就労に制限はなく、資格外活動の許可の対象ではないことから、「許可の有無」(法第36条の2第1項第3号イ)を改めて確認することを要しない。

イ 特別永住者(府令第26条第4号)

特別永住者として永住することができる資格を有することを確認しなければならない。

(3) 確認に用いる書類

府令第26条第1号ハの「官公庁から発行され、又は発給された書類」で「当該者の生年月日及び本籍地都道府県名の記載があるもの」としては、例えば、船員手帳、小型船舶操縦免許証、身体障害者手帳、猟銃又は空気銃の所持許可証がある。一方、国民健康保険の被保険者証や児童扶養手当証書は、本籍が記載されていないことから、これに当たらない。

第36 報告及び立入りについて(法第37条関係)

1 一般的留意事項

立入り等は調査の手段であり、その実施に当たっては、国民の基本的人権を不当に侵害しないように注意する必要がある。

(1) 立入り等の限界

立入り等の行使は、法の施行に必要な限度で行い得るものであり、行政上の指導、監督のため必要な場合に、法の目的の範囲内で必要最小限度で行わなければならない。したがって、犯罪捜査の目的や他の行政目的のために行うことはできない。例えば、経営状態の把握のために会計帳簿や経理書類等の提出を求めたり、保健衛生上の見地から調理場の検査を行うこと等は、認められない。

また、立入り等の行使に当たっては、いやしくも職権を濫用し、又は正当に営業している者に対して無用な負担をかけるようなことがあってはならない。

(2) 報告又は資料の提出の要求と立入りの関係

立入りは、直接営業所内に入るものであるため、営業者にとって負担が大きいので、報告又は資料の提出で行政目的が十分に達せられるものについては、それで済ませることとし、この場合には立入りは行わない。

2 報告又は資料の提出の要求

(1) 報告又は資料の提出の要求の対象となる営業者

法第37条第1項は、「風俗営業者」、「性風俗関連特殊営業を営む者」、「特定遊興飲食店営業者」、「第33条第6項に規定する酒類提供飲食店営業を営む者」、「深夜において飲食店営業(酒類提供飲食店営業を除く。)を営む者」及び「接客業務受託営業を営む者」に対して報告又は資料の提出を求めることができる旨規定している。したがって、許可を受けずに風俗営業を営む者や食品衛生法上の許可を受けずに「設備を設けて客に飲食をさせる営業」を営む者に対しては、報告又は資料の提出を求めることができない。一方、「性風俗関連特殊営業を営む者」については、届出書を提出した者に限られていないことから、届出書を提出していない者に対しても報告又は資料の提出を求めることができる。

(2) 無店舗型性風俗特殊営業等に対する報告又は資料の提出の要求

無店舗型性風俗特殊営業、映像送信型性風俗特殊営業、無店舗型電話異性紹介営業及び接客業務受託営業については、営業が行われる地域が一の都道府県の区域内に限定されないことから、法の施行に必要な限度においては、その事務所の所在地を管轄する公安委員会以外の公安委員会であっても、報告又は資料の提出を求めることができる。

(3) 報告又は資料の内容及び種類

報告又は資料の提出を求めることができる場合における内容及び種類は、次のものに限られる。

ア 当該営業に関連する報告又は資料に限り、営業者等の私生活に関するもの及び兼業している営業がある場合における専ら当該兼業に係る営業に関するものには及ばない。

イ 法の目的の範囲内で行う指導監督等のために必要な報告又は資料に限り、法の目的に関係のない他法令の遵守状況等に関するものには及ばない。

ウ 法に基づく指導、監督等を行うため必要最小限度のものに限る。

(4) 報告又は資料の提出の回数

報告又は資料の提出を求めることができる回数については、この法律の施行に必要がある場合につき、原則として1回とする。

ただし、その提出要求が十分に履行されない場合は、更に追加要求することを妨げるものではない。

(5) 報告又は資料の提出の要求手続等

ア 当該要求は、通常は文書で行うものとする。

イ 資料の提出を受ける場合にあっては、相手方にその返還の要否を確認し、返還を要する資料については、できる限り速やかに返還することが必要である。

3 立入り

(1) 立入りの対象となる営業所等

法第37条第2項第1号及び第5号は、「風俗営業の営業所」及び「特定遊興飲食店営業の営業所」に立ち入ることができると規定しており、許可を受けた風俗営業及び特定遊興飲食店営業の営業所に限られてはいないことから、無許可の風俗営業及び特定遊興飲食店営業の営業所であっても立ち入ることができる。同様に、「店舗型性風俗特殊営業の営業所」(同項第2号)、「第2条第7項第1号の営業の事務所、受付所又は待機所」(法第37条第2項第3号)、「店舗型電話異性紹介営業の営業所」(同項第4号)及び「第33条第6項に規定する酒類提供飲食店営業の営業所」(法第37条第2項第6号)についても、届出書を提出したものに限られていないことから、これらの営業の営業所、事務所、受付所又は待機所であれば、無届のものであっても、立ち入ることができる。

なお、法第2条第7項第1号の営業については、その事務所の所在地を管轄する公安委員会に届出書を提出すれば、他の都道府県の区域においても当該営業を営むことができるものであるから、当該営業の「事務所、受付所又は待機所」に立ち入ることができる警察職員は、その所在地を管轄する都道府県警察の職員に限られない。

「第33条第6項に規定する酒類提供飲食店営業」(法第37条第2項第6号)とは、午後10時から翌日の午前6時までの時間においても営業している酒類提供飲食店営業であり、警察職員が立ち入る時間も、通常はこの時間となる。

「第33条第6項に規定する酒類提供飲食店営業」以外の「設備を設けて客に飲食をさせる営業」(法第37条第2項第7号)とは、食品衛生法上の許可を受けた「飲食店営業」(法第2条第13項第4号)に限られてはいないことから、食品衛生法上の許可の有無にかかわらず、その営業所に立ち入ることができる。ただし、立ち入ることができるのは、「深夜」(午前0時から午前6時までの時間。法第13条第1項)において、かつ、現に「営業している」営業所に限られる。

(2) 立入りの手続及び方法

ア 立入りは、公安委員会の定めるところにより行い、事後において報告書を作成し、これにより幹部に報告するとともに、これを保存する必要がある。

イ 個室又はこれに類する施設内に立ち入る場合にあっては、事前にノックするなどにより客が在室しないことを確認する必要がある。

ウ 調査の必要上質問を行う場合にあっては、原則として、営業者、従業者等営業者側の者に対する質問に限り、客に対する質問は、営業者側への質問で十分に目的を達しない場合に限り行うこととし、通常は行わないようにすることとする。

エ 営業時間中に立入りを行う場合には、できるだけ営業の妨げとならないようにする必要がある。

第37 少年指導委員について(法第38条、第38条の2及び第38条の3関係)

1 心構え

少年指導委員制度の趣旨に鑑み、少年指導委員は、常に少年に対する深い理解と愛情を持ち、少年の人格を尊重するとともに、自らの人格識見を高め、関係者から尊敬と信頼を得られるよう努めるものとする。

2 委嘱

(1) 公安委員会は、地域の実情を踏まえて少年指導委員の活動区域を定め(少年指導委員規則第2条第1項)、当該活動区域内の状況に精通している者のうちから、法第38条第1項の資格要件を満たすか否かについて慎重に判断した上、適任者を少年指導委員として委嘱する。

(2) 少年指導委員の活動区域は、繁華街・歓楽街に限られず、それ以外であっても、風俗営業及び性風俗関連特殊営業等の営業所が存在し、その有害な環境から少年を守る必要が認められる地域であれば、活動区域として定めることができる。

3 活動内容

少年の補導、援助等の少年指導委員の活動は、犯罪を摘発するためのものではなく、有害環境から少年を守り、その健全な育成に資するためのものであり、法第38条の2第1項の規定により公安委員会の指示に基づき行う立入りを除き、いずれも強制にわたる行為を行う権限ではないことに留意する。

4 研修

公安委員会は、少年指導委員が適正かつ効果的に職務を遂行するために必要な知識及び技能を修得させるため、法第38条第5項に規定する研修を実施するものとする。

5 立入り

(1) 立入りの限界

法第38条の2第1項中「少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要があると認めるとき」とは、具体的には、少年の健全育成のための施策を推進するために立入りをして少年の健全育成に障害を及ぼす行為を防止する場合等がこれに当たる。

また、同項の「この法律の施行に必要な限度において」とは、法第37条第2項に規定する警察職員の立入りと同様、行政上の指導、監督のため必要な場合に、法の目的の範囲内で必要最小限で行わなければならないことをいう。したがって、例えば、経営状態の把握のために会計帳簿や経理書類等の提出を求めたり、保健衛生上の見地から調理場の検査を行うこと等は認められない。

なお、立入りの実施に当たっては、正当に営業している者に対して無用の負担をかけるようなことがあってはならない。

(2) 立入りの対象となる営業所等

第36中3(1)と同様である。

(3) 立入りの手続及び方法

次のア及びイのほか、少年指導委員の立入りの方法については、第36中3(2)イ及びエと同様である。

ア 立入りは、警察職員が同行して、又は複数の少年指導委員により、行うものとする。

イ 調査の必要上質問を行う場合にあっては、原則として、営業者、従業者等営業者側の者に対する質問に限り、客に対する質問は、当該客が20歳未満の者であって、補導(法第38条第2項第1号)又は援助(同項第3号)を行う必要がある場合に限り行うこととする。

(4) 指示

ア 法第38条の2第2項の規定による指示は、あらかじめ文書により個別の少年指導委員に対して行うものとする。

イ 法第38条の2第2項中「立入りの場所」は、法第37条第2項各号に掲げる場所のいずれであるかの別及び立入りを実施すべき地域(指示の対象となる少年指導委員の活動区域内に限る。)を示して特定すれば足りる。

また、指示により示す期日又は期間は、例えば「青少年の非行・被害防止全国強調月間」等の少年の健全育成に関する施策を推進する期間、公安委員会として立入りを必要と認める特定の日等を示して特定すれば足りる。

なお、期間を示す場合には、過度に長期にならないように留意する必要がある。

(5) 報告

法第38条の2第3項の規定による報告は、立入り実施後、速やかに文書により行うものとする。

なお、複数の少年指導委員により立入りを実施した場合には、連名で報告書を作成し、これにより公安委員会に報告すれば足りる。

6 活動上の注意

少年指導委員の活動に関しては、その公務性を可能な限り明らかにするとともに、いやしくも関係者の正当な権利及び自由を侵害することのないように留意しなければならない。

第38 都道府県風俗環境浄化協会について(法第39条関係)

1 総説

都道府県風俗環境浄化協会は、民間における環境浄化の気運を一層促進するため、2に掲げるような任意的な活動を行う民間団体である。その活動は、許可申請書類等の記載の代行等を行うものではなく、風俗営業者等の自主性を尊重して行うものである。

2 事業

法第39条第2項各号に規定する事業は、具体的には、次のような事業をいう。

(1) 苦情処理

住民等から風俗環境に関する苦情を受理し、業界団体、警察等に連絡すること等によりその解決を図ること。

(2) 啓発活動

街頭での客引きや悪質なビラ貼り等の一掃の呼び掛け、広報紙の発行等を行うこと。

(3) 少年指導委員の活動の援助

少年指導委員に対する情報の提供等を行うこと。

(4) 民間の自主的な組織活動の支援

違法な広告物の除却活動を行っている団体に対して、必要な資材等の貸出等を行うこと。

(5) 委託事業

公安委員会の委託を受けて、管理者講習、調査等の業務を行うこと。

調査業務については、風俗環境浄化協会等に関する規則(昭和60年国家公安委員会規則第3号)第4条に規定するとおり調査員には厳格な要件を課しており、公正かつ的確な調査業務の実施を期することとしている。

(6) 付帯事業

風俗環境の浄化のため必要な出版活動等を行うこと。

第39 風俗営業者及び特定遊興飲食店営業者の団体について(法第44条関係)

届出をしなければならない団体は、風俗営業者又は特定遊興飲食店営業者が組織する団体であって、当該団体の目的が風俗営業又は特定遊興飲食店営業の健全化と風俗営業又は特定遊興飲食店営業の業務の適正化にあるものであればよく、他の目的を併せ持つ団体もこれに含まれる。

なお、風俗営業者又は特定遊興飲食店営業者の団体による自主的活動については、営業延長許容地域又は営業所設置許容地域の指定及び変更の際に考慮すべき配慮要件とされている(令第9条第2号及び第22条第2号)。

この基準は、令和4年4月1日から施行する。

別記様式第1号(第12中の13(7)関係)

 略

別記様式第2号(第12中の13(9)関係)

 略

別記様式第3号(第12中の13(11)、第17中の8(1)ア(イ)、第17中の8(3)オ(イ)関係)

 略

別記様式第4号(第12中の13(11)、第17中の8(1)ア(イ)関係)

 略

別記様式第5号(第17中の8(2)ア(イ)関係)

 略

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について(依命通達)

令和4年5月9日 達(生企)第252号

(令和4年5月9日施行)