○集団的不良交友関係の解消に向けた対策の推進について(依命通達)

令和4年5月30日

達(少対)第291号

[原議保存期間 5年(令和10年3月31日まで)]

[有効期間 令和10年3月31日まで]

みだしのことについて、次のとおり定め、令和4年5月30日から施行することとしたので、効果的な推進に努められたい。

なお、集団的不良交友関係の解消に向けた対策の推進について(平成29年4月7日付け達(少)第150号)は、廃止する。

1 趣旨

少年事件の共犯率は20歳以上の者に係る事件よりも高く、集団的不良交友関係が背景にうかがわれる凶悪事件の発生も後を絶たない状況にあることから、各署管内の実情や、集団的不良交友関係のインフラとなっている活動エリアの特性等を踏まえつつ、集団的不良交友関係の解消を推進するものである。

2 「集団的不良交友関係」の意義

非行集団等及びその構成員又はこれに準じる2人以上の交友関係をいう。

なお、非行集団等とは、暴走族等にみられるように、組織性・継続性を有する3人以上の集団であって、自らの非行行為を繰り返すほか、構成員の非行を容認及び助長し、かつ、非行により構成員間の連帯を強める性格のあるもの(以下「非行集団」という。)及び非行集団には至らないものの、非行や不良行為を繰り返している3人以上のグループをいう。

3 集団的不良交友関係の解消に向けた対策の具体的推進要領

(1) 情報収集及び実態把握

集団的不良交友関係の実態を把握するには、非行集団のような組織性の高い集団のみならず、集団の形成に至る前の段階における不良交友関係に関する情報を収集することが重要であり、そのためには、断片的なものや疑いのあるものも含めて幅広く収集する必要がある。

このため、情報収集は、全ての部門が協力し、事件検挙、交通違反の取締り、職務質問、街頭補導、巡回連絡等あらゆる警察活動を通じて行うこと。

また、暴走族等の非行が進んだ少年等で構成される組織性の高い集団については、暴力団を後ろ盾として勢力の拡大を図ろうとする例も見られることから、組織犯罪対策部門との連携にも配意すること。

(2) 情報分析と具体的な対策の検討

収集した情報や把握した実態を踏まえて、個々の集団的不良交友関係について、具体的な対策やその進め方を検討すること。

特に、非行を繰り返し敢行しているもの、非行が進んでいると認められる少年が含まれるもの及びいわゆるたまり場にい集するなどして地域住民からの通報が絶えないものについては、優先的かつ重点的な対策を検討すること。

(3) 戦略的な検挙・補導とSOSを発している少年の救出

集団的不良交友関係に対しては、情報や実態を踏まえて、優先度の高いものから戦略的に検挙・補導を進めること。

また、集団的不良交友関係が原因で、いじめや暴力等に苦しみSOSを発している少年を発見し、救出すること。

さらに、SOSを積極的に発信できない少年もいることから、少年が自ら助けを求めて来るのを待ち受けるだけではなく、少年警察ボランティア等と連携して、非行少年を生まない社会作りの推進について(平成30年5月30日付け達(少)第179号)及び少年に手を差し伸べる立ち直り支援活動実施要領の制定について(令和2年6月17日付け達(少)第249号)に基づいて実施している「手を差し伸べる立ち直り支援活動」を積極的に推進すること。

(4) 立ち直り支援

検挙・補導した少年に対しては、少年警察ボランティア等と連携し、集団的不良交友関係に代わる居場所づくりなどの立ち直り支援活動を行うこと。

なお、少年が暴力団やぐ犯グループ等との集団的不良交友関係を遮断できないまま20歳となった後においては、本人の脱退や当該集団の早期解体等は組織犯罪対策部門等が担当することとなる一方で、当該20歳以上の者が新たに少年と集団的不良交友関係を形成すること、当該20歳以上の者から少年が福祉犯被害に遭うこと等の防止は、少年警察部門が引き続き実施することとなるため、組織犯罪対策部門等と的確な情報の引継ぎを行うとともに、20歳となった後の情報の提供を受けるなど間隙を生じさせないための対応を図ること。

4 対策を推進する上での留意事項

(1) 情報収集及び実態把握について

情報収集及び実態把握を進める上で、着目すべきエリアは次のとおりである。

ア 中学校区エリア

集団的不良交友関係については、同じ中学校あるいはその卒業生を単位として形成される例が少なくないことから、各署においては、管内の中学校区を単位として、集団的不良交友関係の把握及び分析を行うこと。

また、立ち直り支援活動や社会気運の醸成について、学校・教育委員会のみならず、自治体、少年警察ボランティア、商店街振興組合、保護者やPTA団体等との連携を強化すること。

なお、中学校区に着目した対策を推進する上においては、学校との的確な連携が特に重要であるので、学校警察連絡制度等による情報共有や自治体・教育委員会の理解を得たスクールサポーター制度の有効活用を図ること。

イ 少年い集エリア

少年らが繁華街・歓楽街等にい集することにより集団的不良交友関係が形成され、暴力行為、万引き、乗り物盗等の発生の要因となっている状況がうかがえることから、繁華街・歓楽街等を管轄する署にあっては、関係部門と緊密に連携して実態の把握及び分析を推進すること。

その際、商店街振興組合のほか、繁華街・歓楽街特有の商業施設との連携を図るとともに、風俗営業所等において少年の健全な育成の観点から障害があると認められる行為を行っている少年の把握及び補導を適切に行うこと。

このほか、繁華街・歓楽街を除く市街地に存在するゲームセンター、カラオケボックス、インターネットカフェ等の施設や郊外型大型商業施設等においても、それぞれの特徴に応じ、周辺からの少年のい集状況を踏まえ、管理者と連携した対策を推進すること。

(2) その他

少年い集エリアを管轄する署と少年の居住地を管轄する署が異なる場合のほか、同一の中学校区や少年い集エリアを複数の署が管轄する場合等においては、少年女性安全対策課(以下「少対課」という。)が指導・調整を行い、集団的不良交友関係の把握及び分析、立ち直り支援活動等の推進における連携の確保を図ること。

また、暴走族のように活動区域が広域となる場合は、少対課が交通指導課を始めとする関係部門と連携しつつ、署との適切な役割分担の下で集団的不良交友関係の把握及び分析、立ち直り支援活動等を推進すること。

都道府県警察の区域を越えた連携を確保する必要がある場合においては、少対課が関係都道府県警察の少年警察部門と適切な協力関係を構築すること。

5 報告

本通達に基づき各所属が行った施策や措置については、その都度、犯罪抑止活動等報告管理システムの運用について(令和2年12月14日付け達(生企、少、生環)第414号)に基づき運用している犯罪被害抑止活動等結果報告書により、少対課に報告すること。

集団的不良交友関係の解消に向けた対策の推進について(依命通達)

令和4年5月30日 達(少対)第291号

(令和4年5月30日施行)

体系情報
生活安全部
沿革情報
令和4年5月30日 達(少対)第291号