○福島県警察再被害防止要綱の制定について(通達)

令和4年5月27日

達(刑総、県サ、生企、交企、公)第287号

[原議保存期間 10年(令和15年3月31日まで)]

[有効期間 令和15年3月31日まで]

みだし要綱を別紙のとおり制定し、令和4年6月1日から施行することとしたので、適正な運用に努められたい。

なお、福島県警察再被害防止要綱の制定について(令和3年12月24日付け達(刑総、県サ、生企、交企、公)第484号)は、廃止する。

別紙

福島県警察再被害防止要綱

第1 目的

本要綱は、犯罪の被害者又はその親族(以下「被害者等」という。)が、警察等に検挙された犯罪の被疑者(以下「加害者」という。)により再び危害を加えられるおそれの大きい場合における被害者等の保護に関して必要な基本的事項を定めることを目的とする。

第2 定義

本要綱において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによる。

1 刑事施設

刑務所、少年刑務所、拘置所及び受刑者を収容する少年院をいう。

2 刑事施設等

検察庁、刑事施設、地方更正保護委員会及び保護観察所をいう。

3 関係刑事施設等

刑事施設、地方更正保護委員会及び保護観察所をいう。

4 窓口刑事施設

福島刑務所をいう。

第3 再被害防止対象者

本要綱において、再被害防止対象者とは、犯罪の被害者等で、犯罪の手口、動機及び組織的背景、加害者と被害者等との関係、加害者の言動その他の状況から、加害者から再犯による生命又は身体に関する犯罪被害を受けるおそれが大きく、組織的かつ継続的な再被害防止措置を講じる必要があるものとして、当該事件の捜査を主管する県本部の部長(以下「主管部長」という。)が指定する者をいう。ただし、再被害防止対象者が、保護対策実施要綱(平成24年3月28日付け達(組対)第120号)に定める保護対象者に該当するときは、再被害防止対象者の指定を、保護対策実施要綱による指定と同時に行うことは差し支えないが、第5の再被害防止措置の実施に関する規定(加害者の釈放等に関する情報その他の関連情報に係る部分を除く。)は適用せず、保護対策実施要綱に基づく保護対策を実施することとする。

第4 再被害防止対象者の指定等

1 再被害防止対象者の指定

(1) 指定上申

署長又は当該事件の捜査を主管する県本部の課長(以下「事件主管課長」という。)は、犯罪を検挙した場合において、再被害防止対象者に指定する必要がある被害者等を認めたときは、再被害防止対象者指定上申書(様式第1号)に、再被害防止対象者指定理由書(様式第2号)を添付し、県本部の事件捜査を担当する部の庶務担当課長(以下「主管庶務担当課長」という。)を経て、主管部長に上申するものとする。

また、被害者等からの相談、関係機関からの通報等があった場合には、当該相談等に関係する署長又は事件主管課長は、再被害防止対象者の指定の要否について検討し、必要に応じ、主管庶務担当課長を経由して主管部長に再被害防止対象者の指定を上申するものとする。

(2) 指定

主管部長は、指定の上申があった被害者等が、第3に定める再被害防止対象者に該当すると認めるときは、当該被害者等を再被害防止対象者に指定するものとする。

2 再被害防止措置実施署の指定

主管部長は、再被害防止対象者を指定したときは、再被害防止対象者及び加害者の住居地、勤務地等を勘案し、一の署を再被害防止措置実施署に指定するものとする。

3 再被害防止担当官の指定

(1) 再被害防止措置実施署に指定された署の署長(以下「再被害防止措置実施署長」という。)は、原則として警部以上の階級にある者の中から、再被害防止担当官を指定するものとする。

(2) 再被害防止措置実施署長は、再被害防止担当官が異動等の際には、新たな者を指定し、組織的かつ継続的な再被害防止措置を遺漏なく実施するものとする。

第5 再被害防止措置の実施

1 実施体制

再被害防止措置は、原則として、次の(1)から(4)までの分担により、相互に緊密な連絡を保ち、実施するものとする。

(1) 主管庶務担当課長

主管庶務担当課長は、加害者の釈放等に関する情報を把握するほか、再被害防止措置の実施に必要な関連情報を集約及び分析し、再被害防止措置の実施について、再被害防止措置実施署長を指導する。

(2) 再被害防止措置実施署長

再被害防止措置実施署長は、総合的な体制を確立するとともに、再被害防止措置を実施するに当たり、事件主管課長及び関係する他の署長と連携の上、下記2に定める措置事項の実施に当たる。

(3) 再被害防止担当官

再被害防止担当官は、再被害防止措置実施署長の指揮を受け、再被害防止措置の実施及び関係所属との連絡調整に当たる。

(4) 県民サービス課長

県民サービス課長は、再被害防止対象者の指定及び再被害防止措置の実施について、主管庶務担当課長からの連絡によりその状況を把握するとともに、当該課長に対し、本要綱の運用及び被害者対策に関連する事項について助言及び協力する。

2 措置事項

(1) 関連情報の収集

再被害防止措置の実施に必要な関連情報を収集するものとする。

(2) 再被害防止対象者に対する措置

再被害防止対象者への連絡体制を確立し、その要望を把握するとともに、非常時の通報要領、自主警戒等について防犯指導を行い、必要に応じ、所要の警戒措置を講ずるものとする。

なお、再被害防止対象者から加害者の釈放等に関する情報その他の関連情報について教示を求められた場合又は再被害防止のために必要な場合には、次のア及びイにより対応するものとする。

ア 加害者の釈放等に関する情報

再被害防止対象者から加害者の釈放等に関する情報の教示の求めがある場合又は再被害防止のため再被害防止対象者に加害者の釈放等に関する情報を教示する必要がある場合には、刑事施設等から通報又は回答を受けた情報のうち、次の(ア)から(エ)までの事項に限り教示することを原則とする。ただし、刑事施設等から通報又は回答を受けた際に、教示する情報の範囲、時期等について意見及び理由が付されている場合には、当該意見を踏まえて行うこと。

(ア) 自由刑の執行終了又は一部執行猶予刑の実刑部分の期間の執行終了による釈放

a 釈放予定の場合には釈放予定月

b 釈放後の場合には釈放の事実及び釈放年月日

(イ) 仮釈放、仮出場又は不定期刑の終了による釈放

釈放後における釈放の事実及び釈放年月日

(ウ) 自由刑の執行停止又は恩赦による釈放

釈放後における釈放の事実及び釈放年月日

(エ) 刑事施設に収容中の死亡又は逃走及び再収容

当該事実及び死亡等の年月日

イ 加害者に関する詳細な情報

加害者に関する上記ア以外の詳細な情報は、原則として教示しないが、次の(ア)から(ウ)までのとおり再被害防止のために特に必要がある場合に限り、再被害防止対象者に教示することができる。ただし、刑事施設等から通報又は回答を受けた情報を教示する場合で、教示する情報の範囲、時期等について意見及び理由が付されているときには、当該意見を踏まえて行うこと。

(ア) 釈放予定

自由刑の執行終了若しくは一部執行猶予刑の実刑部分の期間の執行終了による具体的な釈放予定又は仮釈放若しくは仮出場による釈放予定については、身辺警戒を開始するため若しくは行動範囲に注意を喚起するためなど、再被害防止に特に必要がある場合に限り教示することができるが、教示する内容は「何月上旬」等おおむねの釈放予定日にとどめるものとする。さらに、再被害防止のために不可欠である場合に限り、詳細な釈放予定日を教示することができる。

不定期刑の執行終了、自由刑の執行停止及び恩赦による釈放についても上記に準じて取り扱うものとするが、これらは、釈放が決まった後、受刑者が釈放されるまでの期間が短いため、釈放前に通報を受けることができないことがある。

(イ) 帰住先

帰住先については、再被害防止対象者の行動範囲について注意を喚起するためなど、再被害防止のために特に必要な場合に限り、次のa及びbの範囲内で教示することができる。

a 帰住先が再被害防止対象者の住居地と同一都道府県内の場合は、当該市区町村名までとする。ただし、帰住先が被害者等の住居地と近接しており、再被害防止のために不可欠な場合に限り、地名までとする。

b 帰住先が再被害防止対象者の住居地と異なる都道府県の場合は、都道府県名までとする。ただし、都道府県が異なる場合であっても、帰住先と再被害防止対象者の住居地とが近接しているときには上記aに準じる。

(ウ) その他の情報

再被害防止対象者の注意を喚起するためなど、再被害防止のために特に必要な場合に相当と認められる範囲で教示することができる。

(3) 加害者に対する措置

加害者の動向把握を行うほか、必要に応じ、指導警告等の措置を実施するものとする。また、刑罰法令に触れる行為を認知した場合には、厳正に対処するものとする。

第6 指定の期間、解除等

1 指定期間

指定期間は指定の日から1年間とする。ただし、加害者の未決勾留期間及び自由刑の執行期間は算入しない。

2 指定の解除

指定から1年が経過したときは、指定が解除されたものとみなす。ただし、指定期間満了に伴う解除を行う際、再被害防止措置実施署長は、その旨を主管庶務担当課長宛てに報告すること。

3 指定期間の延長等の上申

(1) 指定期間の延長の上申

再被害防止措置実施署長は、指定期間経過前に指定期間延長の要否を検討し、その必要があると認めるときは、事件主管課長と協議し延長の期間を定めた上、その理由を付し主管庶務担当課長を経て、主管部長に指定期間の延長を上申するものとする。

(2) 指定期間内の解除の上申

再被害防止措置実施署長は、指定期間内であっても、指定の必要がなくなったと認めるときは、事件主管課長と協議の上、その理由を付し主管庶務担当課長を経て、主管部長に指定の解除を上申するものとする。

4 主管部長の決定

主管部長は、上記3の上申がなされたときは、再被害防止対象者の指定期間の延長又は指定期間内の解除の要否を決定するものとする。

第7 関連情報の秘密の厳守

関連情報は、適正に管理し、その秘密を厳守するものとする。

第8 関係都道府県警察との連携

再被害を防止する上で関係を有する署が他の都道府県警察に属するときは、再被害防止措置実施署長は、主管庶務担当課長を経て、当該都道府県警察本部主管庶務担当課長を通じ、当該署長に協力を依頼するものとし、他県警察から協力の依頼を受けたときは、誠実にこれに当たるものとする。

第9 刑事施設等との連携

刑事施設等との連携については、次の1から5までにより行うものとする。

1 釈放事実等の照会

被害者等からの相談、関係機関からの通報等があり、再被害を防止する上で加害者の釈放の有無を把握する必要があるときは、主管庶務担当課長は、窓口刑事施設に対し、釈放事実等照会書(様式第3号)により釈放事実等の照会を行うものとする。当該照会については、再被害防止対象者の指定前であっても実施できるので、必要に応じてこれを活用すること。

2 釈放等に関する情報の通報要請

主管庶務担当課長は、再被害防止措置を実施するに当たり、再被害防止対象者の加害者の釈放等に関する情報を把握する必要があるときは、釈放等通報要請書(様式第4号)に、再被害防止対象者指定理由書を添付し、窓口刑事施設に加害者の釈放等に関する情報の通報を要請すること。

3 関係刑事施設等からの釈放に関する情報の通報

関係刑事施設等に対し、受刑者の釈放に関する通報の要請を行った場合には、加害者を収容している刑事施設又は釈放を行った刑事施設からは、要請した主管庶務担当課長宛てに、受刑者釈放等通報書(様式第5号)により通報がなされ、加害者を収容している刑事施設の所在地を管轄する地方更正保護委員会からは、受刑者釈放予定通報書(警)(様式第6号)により通報がなされ、また、加害者の帰住地を管轄する保護観察所又は加害者の指定帰住地を管轄する保護観察所からは、帰住地等に関する通報書(様式第7号)により通報がなされるので、主管庶務担当課長は再被害防止措置実施署長と連携を図り、適切な対策を講じること。

4 要請の撤回

要請後、関係刑事施設等から通報がなされる前に、再被害防止対象者の指定を解除したときは、主管庶務担当課長は、釈放等通報要請撤回書(様式第8号)2通を窓口刑事施設に送付して、通報要請を撤回する旨通知すること。

5 刑事施設等からの加害のおそれ等を示す情報の通報

釈放等に関する情報の通報要請を行っていない加害者について、刑事施設等が、加害者が被害者等に対し加害行為を行うおそれがあることを示す情報その他特異な動向に関する情報を認知したときは通報がなされるので、関係都道府県警察への連絡や再被害防止対象者の指定の検討を行うなどし、所要の措置を講ずること。

第10 報告

1 定期報告

(1) 主管庶務担当課長等への報告

署長は、年間における再被害防止対象者の指定状況等について、翌年1月に再被害防止対象者の指定状況報告(様式第9号)の報告様式により、次のアからウまでの事項を事件主管課長、主管庶務担当課長及び県民サービス課長に報告すること。

ア 報告対象期間の前年から指定を継続している再被害防止対象事件及び対象者数

イ 報告対象期間の当年に指定又は指定を解除した再被害防止対象事件数及び対象者数

ウ 翌年へ指定を継続する再被害防止対象事件数及び対象者数

(2) 警察庁への報告

上記(1)により、報告を受けた主管庶務担当課長は、年間の状況を取りまとめた上、警察庁刑事局刑事企画課長へ報告すること。

2 随時報告

(1) 本部長への報告

署長は、再被害防止対象者又は関係者に、危害が加えられた事案(未遂を含む。)その他特異な事案を認知した場合には、速やかに、その概要、対応状況等について、再被害防止対象者に危害が加えられた事案等報告書(様式第10号)により事件主管課長、各部の庶務担当課長及び主管部長を経て、本部長に報告すること。

(2) 警察庁への報告

上記(1)により報告を受けた主管庶務担当課長は、速やかに、それぞれに対応する警察庁各局(部)の事件捜査主管課長及び庶務担当課長宛てに報告すること。

第11 本要綱の準用

被害者等以外の関係者(捜査を行うに当たり関係を有することとなる全ての者をいう。)について、被疑者の逆恨み等により加害行為の対象となるおそれがあり、保護措置を実施する必要がある場合には、本要綱を準用するものとする。

様式第1号(第4関係)

 略

様式第2号(第4関係)

 略

様式第3号(第9関係)

 略

様式第4号(第9関係)

 略

様式第5号(第9関係)

 略

様式第6号(第9関係)

 略

様式第7号(第9関係)

 略

様式第8号(第9関係)

 略

様式第9号(第10関係)

 略

様式第10号(第10関係)

 略

福島県警察再被害防止要綱の制定について(通達)

令和4年5月27日 達(刑総、県サ、生企、交企、公)第287号

(令和4年6月1日施行)