○安全運転相談等事務処理要領の制定について(通達)
令和4年5月11日
達(運免)第259号
[原議保存期間 10年(令和15年3月31日まで)]
[有効期間 令和15年3月31日まで]
みだし要領を別紙のとおり制定し、令和4年5月13日から施行することとしたので、事務処理上誤りのないようにされたい。
なお、安全運転相談等事務処理要領の制定について(平成29年2月22日付け達(運免)第50号)は、廃止する。
別紙
安全運転相談等事務処理要領
第1 趣旨
この要領は、安全運転相談、個別聴取及び臨時適性検査(以下「安全運転相談等」という。)の実施に関し、道路交通法(昭和35年法律第105号。以下「法」という。)、道路交通法施行令(昭和35年政令第270号。以下「令」という。)、道路交通法施行規則(昭和35年総理府令第60号。以下「施行規則」という。)及び福島県道路交通規則(昭和35年福島県公安委員会規則第14号。以下「県規則」という。)に定めるもののほか、必要な事項を定めるものとする。
第2 用語の定義
この要領において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 一定の病気等 法第90条第1項第1号から第2号まで並びに第103条第1項第1号、第1号の2及び第3号に掲げるものをいう。
(2) 安全運転相談 身体の状況による運転免許(以下「免許」という。)の取得又は継続(以下「免許の取得等」という。)の可否に関する相談をいう。
(3) 個別聴取 安全運転相談を申し出た者(以下「相談申出者」という。)又は免許を受けようとする者若しくは運転免許証(以下「免許証」という。)の有効期間の更新(以下「更新」という。)を受けようとする者(以下「申請者」という。)に対する病気の症状等についての聴取をいう。
(4) 臨時適性検査 法第102条第1項から第5項まで及び第107条の4第1項の規定による適性検査をいう。
(5) 質問票 法第89条第2項、第101条第4項及び第101条の2第2項の質問票(施行規則別記様式第12の2)をいう。
(6) 報告書 法第101条の5及び第107条の3の2の規定による報告徴収の際に提出を求める報告書(施行規則別記様式第18の5)をいう。
(7) 診断書提出命令 法第90条第8項、第102条第1項から第4項まで及び第103条第6項の規定による医師の診断書を提出すべき旨の命令をいう。
(8) 暫定停止 法第104条の2の3第1項の規定による臨時適性検査の実施又は診断書提出命令に伴う免許の効力の停止をいう。
(9) 臨時認知機能検査 法第101条の7第1項の規定による認知機能検査をいう。
(10) 専門医 施行規則第18条の4第1項、第29条の3第2項、第3項及び第5項並びに第29条の5第1項に規定する医師で、病気等ごとの専門医の基準(別表1)に該当するものをいう。
(11) 主治医 施行規則第18条の4第2項、第29条の3第3項及び第5項並びに第29条の5第2項に規定する主治の医師で、病気等ごとの主治医の基準(別表2)に該当するものをいう。
第3 安全運転相談窓口の充実等
1 安全運転相談の体制
(1) 安全運転相談窓口の設置
安全運転相談は、福島運転免許センター及び郡山運転免許センター(以下「免許センター」という。)並びに署(分庁舎を含む。以下同じ。)に置く安全運転相談窓口(以下「相談窓口」という。)において受理するものとし、その内容等については、運転免許課長が一元的に管理するものとする。
(2) 安全運転相談への対応
免許センターにおいては、運転免許課長が指定する職員(以下「指定相談員」という。)が適切に対応するものとする。
署においては、署長が指定する職員(以下「署相談担当者」という。)が指定相談員と連携し、適切に対応するものとする。
(3) 指定相談員の役割
指定相談員は、自らが受けた安全運転相談への対応のほか、署相談担当者から免許取得可能性等に係る安全運転相談に関する問合せに対し、指導助言等を行うものとする。
2 安全運転相談等への適切な対応
(1) 安全運転相談に対しては、誠実に応じるものとし、免許の取得等に係る具体的な基準について問合せがなされた場合は、一定の病気等に係る免許の可否等の運用基準(別添。以下「運用基準」という。)を教示するなど、適切に対応するものとする。
(2) 安全運転相談及び個別聴取に対しては、次の事項に配意するものとする。
ア 相談申出者のプライバシー保護に十分配慮すること。
イ 相談申出者の心情に十分配慮した適切な応接を行うこと。
ウ 自動車等の安全な運転に支障のない者が免許の取得等をできないことのないよう、また、自動車等の安全な運転に支障のある者が免許の取得等をすることのないよう、適切に対応すること。
3 安全運転相談への適切な対応に向けた体制の確立
件数の増加及び内容の複雑化が予想される中で、安全運転相談に適切に対応するため、運転免許課長及び署長は、安全運転相談に関する体制の整備や相談室等の場所の確保に配意するとともに、指定相談員及び署相談担当者に対して専門的知識、適切な対応要領等に関する指導教養を行うものとする。
4 安全運転相談の実施
また、個別聴取を行った場合は、病状等調査票(様式第3号)を作成するものとする。
(2) 福島運転免許センター長及び郡山運転免許センター長(以下「免許センター長」という。)並びに署長は、安全運転相談を受けたとき又は個別聴取を行ったときは、速やかに安全運転相談受理簿又は病状等調査票の写しその他関係資料を添付の上、運転免許課長に報告するものとする。
(3) 運転免許課長は、相談申出者が安全運転相談を終了した時点で免許の取得等が可能であると認められたときに限り、安全運転相談終了書(様式第4号)を作成し、当該相談申出者に交付するものとする。
第4 免許申請等における質問票の交付等
1 質問票の交付及び受理
質問票は、免許申請等時において全ての申請者に対して交付するものとする。
提出された質問票については、申請者に対し、記載漏れや誤記の有無を確認した後に受理するものとする。この場合において、申請者が誤記等を理由に訂正を申し出たときは、誤記等に係る質問票を回収し、申請者の面前において、復元できない措置を講じた上で新たな質問票を交付し、改めて記載させた上で受理するものとする。
また、記載漏れについては、行政手続法(平成5年法律第88号)第7条の規定により申請者に是正を求め、是正後受理するものとし、また、是正に応じない場合は、以後の免許手続を打ち切るものとする。
2 免許申請等における記載場所の整備
免許センター長及び署長は、免許申請書(施行規則別記様式第12)又は更新申請書(施行規則別記様式第18。以下「免許申請書等」という。)を記載する場所においては、申請者の手元が周囲から見られることのないよう目隠し板を設ける等プライバシーの保護に必要な措置を講ずるものとする。
3 免許申請等の窓口における対応
申請者から免許申請書等及び質問票の提出を受ける際は、申請者のプライバシーが害されることのないよう特段の配意をするものとする。
また、業務の一部を外部に委託している場合は、委託先の職員に対する指導を行うものとする。
4 個別聴取の実施等
(1) 質問票の回答による対応
ア 質問票の提出を受けた場合に、当該質問票回答欄の「はい」にチェックがあるときは、病状等調査票により指定相談員又は署相談担当者が個別聴取を行い、その内容に応じて適切に対応するものとする。
また、相談窓口には、免許申請等個別聴取一覧表(様式第5号)を備え付け、個別聴取の処理経過を明らかにしておくものとする。
イ 署相談担当者は、個別聴取に当たっては、指定相談員と連携し、適切に対応するものとする。
ウ 免許センター長及び署長は、個別聴取の結果、臨時適性検査又は診断書提出命令の必要があると認めたときは、速やかに臨時適性検査等該当者発見報告書(様式第6号)を作成し、当該個別聴取に係る病状等調査票の写しその他関係資料を添付の上、運転免許課長に報告するものとする。
(2) 個別聴取の実施場所の確保等
個別聴取については、プライバシー保護の観点から、申請窓口以外の場所を確保して行うとともに、当該場所が個別聴取の実施場所であることが外見上分からないように配意するものとする。
また、申請者を個別聴取の実施場所に誘導するに当たっては、プライバシー保護の観点から、申請者が個別聴取を受ける者であることが分からないよう配意した誘導方法をとること。
(3) 安全運転相談終了書の交付を受けた者に対する取扱い
質問票の提出を受け個別聴取を行う場合で、申請者が免許申請等の前1年(病状により6月)以内に安全運転相談を終了したものであるときは、安全運転相談終了後の病状の変化に重点を置いた、より簡単な聴取による対応が可能となることに留意するものとする。
また、他の都道府県公安委員会の安全運転相談終了書の交付を受けた者から免許申請等を受けた場合は、免許の取得等の可否の判断は住所地を管轄する都道府県公安委員会(以下「住所地公安委員会」という。)が行うものであることに鑑み、再度、相談窓口において病気の症状等について聴取を行った上、免許の取得等の可否を決定するものとする。
(4) 署において免許証の更新の申請が行われる場合の留意事項
ア 臨時適性検査等の必要性を認めた場合の措置
署長は、署における個別聴取の結果、臨時適性検査又は診断書提出命令(以下この(4)において臨時適性検査等という。)を行う必要があると認める場合は、その旨を運転免許課長に通報するとともに、当該申請者に対し、福島県公安委員会から後日臨時適性検査等の通知がなされる可能性があること等を教示するものとする。この場合において、申請者が自動車等の運転に必要な適性検査に合格したときは、免許証の更新は可能であることに留意すること。
イ 運転免許課及び署との連絡協調
安全運転相談終了書の交付を受けた者から免許証の更新の申請を受理した場合及び申請者に対して臨時適性検査等を行う場合には、迅速かつ適切な対応が行われるよう配意するものとする。
5 質問票の適正な管理
(1) 質問票の送付
免許センター長及び署長は、提出を受けた質問票を速やかに運転免許課長に送付するものとする。
なお、郡山運転免許センター長及び署長は、質問票を送付する際は、封かんするものとする。
(2) 質問票の保存
質問票の保存は、9年間とする。ただし、記載から3年が経過した質問票について、当該質問票を記載した者が新たに質問票又は報告書(以下「質問票等」という。)を提出した場合は、この限りでない。
なお、虚偽の記載をして提出した者については法第117条の4第2号違反が成立することとなることから、注意すること。
6 経由申請を行う者に対する取扱い等
運転免許課長は、法第101条の2の2の規定により、住所地公安委員会以外の都道府県公安委員会を経由した免許証の更新の申請(以下「経由申請」という。)を行おうとする者に対しては、質問票回答欄の「はい」にチェックがあるときは経由申請の受理後、住所地公安委員会から病気の症状等について聴取される旨を教示するものとする。この場合において、経由申請を不受理とする根拠はないこと及び当該申請者に対して個別聴取を実施する必要はないことに留意すること。
第5 特定取消処分者の免許再取得に係る試験の一部免除
1 内容
一定の病気等に該当すること等(法103条第1項第1号から第2号までに掲げるものに限る。第5において同じ。)を理由に免許を取り消された者が、その後、病気の回復等によりその者が受けていた免許を取得しようとする場合(以下「再取得」という。)は、その者の免許が取り消された日から起算して3年を経過しない場合に限り、運転免許試験(以下「試験」という。)の一部を免除するものである。ただし、その者が、免許を取り消された日前の直近において提出した質問票等に虚偽の記載がある場合は、試験の一部免除の対象外となる(法第97条の2第1項第5号)。
2 特定取消処分者の認定上の留意事項
(1) 質問票等の確認
特定取消処分者の免許の再取得に係る制度に基づき試験の一部を免除する場合は、免許を取り消された日前の直近に提出された質問票等の記載状況を確認するものとする。この場合において、直近に提出された質問票等が他の都道府県公安委員会において保管されているときは、直近の質問票を保管する当該都道府県公安委員会に対し、記載状況を照会するものとする。
(2) 運転免許課との連携
法第97条の2第1項第5号に規定する特定取消処分者のうち、法第100条の2第1項に規定する基準該当初心運転者で再試験を受けていない者等については、試験の一部免除の適用対象にならないことから、運転免許課に試験の一部免除の適用の是非について確認するものとする。
(3) 取消し理由消滅の確認
一定の病気等に該当すること等を理由に免許を取り消された者が再取得に係る申請を行った場合は、当該取消処分の理由が消滅したことを確認するものとする。
第6 報告徴収
1 内容
都道府県公安委員会は、申請者に対して質問票を交付することができるが、免許申請等以外の場合において、第三者の通報等によって一定の病気等に該当する疑いを把握することもあることから、調査のため必要があると認めるときは、免許保有者に報告を求めることができる(法第101条の5)。
2 留意事項
(1) 報告を求める場合の判断基準
免許センター長及び署長は、交通事故の状況等から、一定の病気等との関連性について調査する必要がある場合、免許保有者に対し報告を求めるものとする。
(2) 報告を求める方法等
免許センター長及び署長は、免許保有者に対して報告書を手交し、速やかに徴収するものとする。
なお、受取を拒否された場合又は報告をしない場合は、臨時適性検査等該当者発見報告書を作成し、運転免許課長に報告するものとする。
3 報告書の適切な管理
(1) 報告書の送付
免許センター長及び署長は、提出を受けた報告書を速やかに運転免許課長に送付するものとする。
なお、郡山運転免許センター長及び署長は、報告書を送付する際は、封かんするものとする。
(2) 報告書の保存
報告書の保存は、9年間とする。ただし、記載から3年が経過した報告書について、当該報告書を記載した者が新たに質問票等を提出した場合は、この限りでない。
なお、虚偽の報告をした者については法第117条の4第2号違反が成立することとなることから、注意すること。
第7 医師の届出等
1 内容
医師が、患者の病状から運転に支障があると思われる場合には、当該患者の診察結果を都道府県公安委員会に任意に届け出ることができること及び当該届出行為が守秘義務違反とならないことを明確化したものである(法第101条の6第1項及び第3項)。
2 留意事項
(1) 届出受理の要領
届出の受理に当たっては、届出を行う医師の負担を軽減するとともに、一定の病気等の診察結果という極めて機微な情報を取り扱うこととなることから、次のアからエまでにより所要の措置を講ずるものとする。
ア 口頭による届出があった場合の措置
医師から口頭により届出をする旨の連絡を受けた場合は、医師の本人確認を行った上で、届出書(県規則様式第19号の7)を交付し、これに記載させるものとする。ただし、当該医師が届出書への記載を拒んだときは、担当者が届出内容を聞き取り、届出受理報告書(様式第7号)を作成することにより対応するものとする。
イ 電話による届出があった場合の措置
医師から電話により届出をする旨の連絡を受けた場合は、医師の本人確認を行った上で、当該医師に対し、届出書及び返送用封筒を郵送する旨の説明をするものとする。ただし、当該医師が届出書への記載を拒んだときは、担当者が届出内容を聞き取り、届出受理報告書を作成することにより対応するものとする。
ウ 文書等による届出があった場合の措置
上記ア又はイにより、医師が届出書を郵送等してきた場合は、医師の届出として受理するものとする。
また、上記ア又はイによることなく、医師が届出書その他文書の郵送等によって届け出た場合は、医師の本人確認を行った上で受理するものとする。
なお、届出を受理したときは、届出受理報告書を作成するものとする。
エ 受理後の措置
届出を受理した所属長は、速やかに届出受理報告書の写し及び届出書(医師から提出された場合に限る。)により、運転免許課長に報告するものとする。
また、当該報告を受けた運転免許課長は、速やかに、臨時適性検査又は診断書提出命令及び第8の6の暫定停止について、必要な措置を講ずるものとする。
(2) 他の都道府県公安委員会の管轄区域に住所を有する者に係る届出を受けた場合の措置
上記(1)エ前段の規定により報告を受けた運転免許課長は、報告に係る免許保有者の住所が他の都道府県公安委員会の管轄区域にある場合は、届出移送通知書(様式第8号)により、当該都道府県公安委員会に、速やかに通知するものとする。
(3) 他の都道府県公安委員会から通知を受けた場合の措置
上記(1)エ後段に準じて措置するものとする。
3 確認回答要領
(1) 内容
医師は、上記1の届出を行う判断をするため必要があるときは、その者が免許を受けた者であるかを都道府県公安委員会に確認することができる。一方、都道府県公安委員会は、医師からその診察を受けた者が免許を受けた者であるかの確認を求められたときは、これに回答するものである(法第101条の6第2項)。
(2) 留意事項
確認を求める医師の負担を軽減するとともに、行政機関が保有する個人情報を提供することから、次のアからエまでにより所要の措置を講ずるものとする。
ア 口頭による確認の要求があった場合の措置
医師から口頭により確認を求められた場合は、医師の本人確認を行った上で、確認要求書(県規則様式第19号の8)を交付し、これに記載させるものとする。ただし、当該医師が確認要求書への記載を拒んだときは、担当者が内容を聞き取り、確認要求受理報告書(様式第9号)を作成することにより対応するものとする。
イ 電話による確認の要求があった場合の措置
医師から電話により確認を求められた場合は、医師の本人確認を行った上で、当該医師に対し、確認要求書及び返送用封筒を郵送する旨の説明をするものとする。ただし、当該医師が確認要求書への記載を拒んだときは、担当者が内容を聞き取り、確認要求受理報告書を作成することにより対応するものとする。
ウ 文書等による確認の要求があった場合の措置
上記ア又はイにより、医師が確認要求書を郵送等してきた場合は、医師からの確認の要求として受理するものとする。
また、上記ア又はイによることなく、医師が確認要求書その他文書の郵送等によって確認を求めた場合は、医師の本人確認を行った上で受理するものとする。
なお、免許を受けた者であるかの確認の要求を受理したときは、確認要求受理報告書を作成するものとする。
エ 受理後の措置
確認の要求を受理した所属長は、速やかに確認要求受理報告書の写し及び確認要求書(医師から提出された場合に限る。)により、運転免許課長に報告するものとする。この場合において、確認の要求に係る患者の住所が他の都道府県にあるときであっても、確認の要求を受けた福島県公安委員会で調査すること。
(3) 回答方法
回答は、確認要求を受理した所属長が回答書(様式第10号)を郵送することにより行うものとする。
なお、郵送に当たっては、特定記録郵便等により、確実に行うものとする。
第8 臨時適性検査、診断書提出命令、臨時認知機能検査及び適性検査の受検命令(法第90条第8項又は法第103条第6項の規定による命令をいう。以下同じ。)に関する免許の拒否又は取消し等
1 臨時適性検査等に関する通知、命令又は処分等に関する迅速な対応
臨時適性検査等に関する通知、命令又は処分等に関する事務については、免許を受けようとする者又は免許を受けた者の権利義務に大きく影響を及ぼすこと及び当該処分は交通の安全を確保するためのものであることを踏まえて、迅速的確に処理をすること。
2 法第102条第4項の規定による臨時適性検査又は診断書提出命令を行う場合の判断基準
法第102条第4項の規定による臨時適性検査又は診断書提出命令については、その理由とされる事由に係る主治の医師(以下「主治医」という。)の診断書の作成及び提出が期待でき、それによって判断できると認められる場合は、診断書提出命令を行うこと。それ以外の場合(主治医がいない場合、主治医の診断書の作成及び提出が期待できない場合等)においては臨時適性検査を行うこと。
3 臨時適性検査の実施等
(1) 審査責任者
ア 運転免許課長は、職員の中から臨時適性検査審査責任者(以下「審査責任者」という。)を指定するものとする。
イ 審査責任者は、臨時適性検査を行う必要があると認めるときは、臨時適性検査実施伺書(様式第11号)により、運転免許課長の指揮を受けるものとする。
(2) 臨時適性検査の通知
運転免許課長は、臨時適性検査を行うときは、県規則第30条に規定する臨時適性検査通知書により対象者に通知するものとする。
(3) 臨時適性検査の実施
ア 運転免許課長は、臨時適性検査の実施に当たっては、審査責任者を立ち会わせるとともに、可能な限り、対象者の家族等の立会いを求めるものとする。
イ 審査責任者は、臨時適性検査の実施結果について、臨時適性検査実施結果報告書(様式第12号)により、運転免許課長に報告するものとする。当該報告を受けた運転免許課長は、必要により行政処分の措置を講ずるものとする。
ウ 運転免許課長は、臨時適性検査管理簿(様式第13号)を備え付け、臨時適性検査の処理経過を明らかにしておくものとする。
4 試験に合格した者に対する診断書提出命令及び臨時適性検査
(1) 内容
都道府県公安委員会は、免許を受けた者に加えて、試験に合格した者に対しても、一定の病気等に該当すること等を疑う理由があるときは、臨時適性検査又は診断書提出命令を行うことができる(法第102条第4項)。
また、都道府県公安委員会は、試験に合格した者が診断書提出命令又は臨時適性検査の通知(以下「診断書提出命令等」という。以下この4において同じ。)を受けた場合は、次のアからウまでにより処分を行うことができる(法第90条第1項第7号及び令第33条の2の2)。
ア 診断書提出命令等を受けたことを理由として免許(仮免許を除く。以下この4及び下記5において同じ。)を保留された者が当該期間内に重ねて診断書提出命令等を受けた場合で、その者が診断書提出命令に違反したと認めるとき又は臨時適性検査をやむを得ない理由がなく受けないと認めるとき 免許の拒否
イ 上記ア以外の場合 6月を超えない範囲内における免許の保留
ウ 仮免許の試験に合格した者に対しては、診断書提出命令等を理由とした場合の仮免許の拒否又は保留を行うことができない(法第90条第13項及び令第33条の5の2)ため、仮免許を与えなければならない。
また、その者が診断書提出命令等を受け、仮免許を取得した後に、診断書提出命令に応じない、又は臨時適性検査を受けない場合は、仮免許を取り消すことはできない(法第106条の2第2項)ため、再度、診断書提出命令等を行うこと。
(2) 処分量定等
別に定めるところによる。
5 免許を受けた者に対する臨時認知機能検査、診断書提出命令及び臨時適性検査
(1) 内容
臨時認知機能検査の通知を受けた者(免許を受けた者に限る。)がやむを得ない理由がないのに当該通知に係る臨時認知機能検査を受けないと認めるとき、診断書提出命令を受けた者(免許を受けた者に限る。)が当該診断書提出命令に違反したと認めるとき又は臨時適性検査の通知を受けた者(免許を受けた者に限る。)がやむを得ない理由がないのに当該通知に係る臨時適性検査を受けないと認めるときは、当該通知又は命令の期日における住所地公安委員会は、次のア及びイにより処分を行うことができる(法第104条の2の3第3項及び令第39条の2)。
ア 臨時認知機能検査を受けない、診断書提出命令に応じない又は臨時適性検査を受けないことを理由として、免許の効力を停止された者が当該停止の期間内に重ねて臨時認知機能検査の通知、診断書提出命令又は臨時適性検査の通知を受けた場合で、その者が当該臨時認知機能検査を受けない、当該診断書提出命令に応じない又は当該臨時適性検査を受けないと認めるとき 免許の取消し
イ 上記ア以外の場合 6月を超えない範囲内で期間を定めての免許の効力の停止
また、臨時認知機能検査の通知を受けた者(仮免許を受けた者に限る。)がやむを得ない理由がないのに当該通知に係る臨時認知機能検査を受けないと認めるとき、診断書提出命令を受けた者(仮免許を受けた者に限る。)が当該診断書提出命令に違反したと認めるとき又は臨時適性検査の通知を受けた者(仮免許を受けた者に限る。)がやむを得ない理由がないのに当該通知に係る臨時適性検査を受けないと認めるときは、当該通知又は命令の期日における住所地公安委員会は、仮免許を受けた者から当該臨時適性検査を受けたい旨の申出があり、その申出に理由があると認めて当該臨時適性検査を行うこととした場合を除き、仮免許を取り消すことができる(法第106条の2第2項及び令第39条の3第2項)。
(2) 処分量定等
別に定めるところによる。
6 暫定停止
(1) 内容
都道府県公安委員会は臨時適性検査又は診断書提出命令を行う場合、当該臨時適性検査を受けるべき者又は当該命令を受け診断書を提出することとされている者が交通事故を起こし、当該交通事故の状況から判断して一定の病気等にかかっている疑いがあると認められるとき又は医師の診断に基づくときは、自動車等を運転させることにより発生する危険を防止する観点から、3月を超えない範囲内で期間を定めて免許の効力を停止することができる(法第104条の2の3第1項及び令第39条の2第1項)。
(2) 処分量定等
別に定めるところによる。
7 適性検査の受検等命令
(1) 内容
都道府県公安委員会は、一定の病気等に該当すること等を理由として免許の保留又は効力の停止を行う場合において、必要があると認めるときは、当該処分の際に、その者に対し、都道府県公安委員会が指定する期日及び場所において適性検査を受け、又は都道府県公安委員会が指定する期限までに所定の医師の診断書を提出すべき旨を命ずることができる(法第90条第8項及び法第103条第6項)。
さらに、都道府県公安委員会は、上記の命令に違反した者に対し、次のア及びイにより処分を行うことができる(法第90条第1項第3号、法第103条第1項第4号、令第33条第2項及び令第38条第4項)。
ア 免許の保留又は効力の停止をされた者が重ねて命令に違反した場合(命令に違反したことについてやむを得ない理由がある場合を除く。) 免許の拒否又は取消し
イ 上記ア以外の場合 免許の保留又は効力の停止
(2) 処分量定等
別に定めるところによる。
8 臨時適性検査を受けない場合又は適性検査の受検等命令に違反した場合におけるやむを得ない理由
法第104条の2の3第3項、法第106条の2第2項、令第33条第2項第1号、令第33条の2の2第1号及び令第38条第4項第1号に規定する「やむを得ない理由」については、次の(1)から(5)までのものが考えられる。
(1) 災害
(2) 病気にかかり、又は負傷したこと。
(3) 法令の規定により身体の自由を拘束されていたこと。
(4) 社会の慣習上又は業務の遂行上やむを得ない緊急の用務が生じたこと。
(5) 上記(1)から(4)までに掲げるもののほか、福島県公安委員会がやむを得ないと認める事情があること。
9 専門医との連携
法第102条第1項から第4項までに規定する臨時適性検査並びに法第90条第8項及び法第103条第6項に規定する適性検査(以下「臨時適性検査等」という。)については、専門医の診断により行うこととされていることから、当該専門医とは、運用基準を踏まえ、手続について事前に十分な打合せを行うものとする。
また、臨時適性検査等を行う場合は、その通知又は命令に先んじて当該臨時適性検査等の期日を速やかに決定することが必要であるので、専門医との密接な連絡を図るものとする。
運転免許課長は、専門医に臨時適性検査等を依頼する場合は、当該専門医に臨時適性検査等実施依頼書(様式第14号)を送付するものとする。
10 他部門との連携
一定の病気等に該当すること等を理由として、免許の取消し又は効力の停止(以下「免許の取消し等」という。)の事由に該当すると疑う理由がある者を早期に発見し、適切な対応を図るため、臨時適性検査又は診断書提出命令に係る警察各部門間の連携について適切な対応が図られるよう、次の(1)及び(2)により所要の措置を講ずるものとする。
(1) 臨適等検討対象者を発見した所属の措置
所属長は、第3及び第4に定めるもののほか、交通指導取締り、交通事故捜査、保護活動その他の各種警察活動を通じて、免許を受けている者で法第102条第4項に規定する臨時適性検査又は診断書提出命令の対象となり得る者(以下「臨適等検討対象者」という。)を発見した場合は、臨時適性検査等該当者発見報告書により、運転免許課長に通報するものとする。
(2) 運転免許課長の措置
ア 上記(1)の通報を受けた運転免許課長は、当該臨適等検討対象者の住所が本県にある場合は、必要により臨時適性検査又は診断書提出命令を行うとともに、その結果等に応じ、速やかに、免許の取消し等の必要な措置を執るものとする。
イ 上記(1)の通報を受けた運転免許課長は、当該臨適等検討対象者の住所が他の都道府県にある場合は、上記(1)の通報内容について、臨適等検討対象者通報書(様式第15号)により、当該都道府県警察に通報するものとする。
ウ 他の都道府県警察から通報を受けた場合は、上記アに準じて措置するものとする。
11 一定期間後に行う臨時適性検査又は診断書提出命令
現時点では免許の取消し等の事由に該当するとは認められないが、病状の進行等により一定期間後には免許の取消し等の事由に該当すると疑う理由があると認められる者に対しては、当該期間の経過後に法第102条第4項に基づき臨時適性検査又は診断書提出命令を行うものとする。
なお、当該臨時適性検査又は診断書提出命令を行う前に当該者から診断書が提出されること等により、公安委員会が当該者に対して免許の継続、免許の取消し等を行う判断ができる場合は、当該臨時適性検査又は診断書提出命令を行う必要はないことに留意すること。
第9 自動車教習所に対する指導に関する留意事項
1 自動車教習所に対する指導
自動車教習所に対しては、制度内容等を周知徹底するとともに、プライバシーの保護に十分注意した対応を行うよう指導するものとする。
また、自動車教習所に入所しようとする者に対しては、法第90条第1項第1号から第2号までに該当する場合は免許の拒否等の対象となること、免許の申請時における病気等の症状に関する質問等について説明するほか、本人において拒否等の対象となる可能性があると考えられる場合は事前に相談窓口の利用を促すよう指導するものとする。
2 仮免許申請に係る対応
(1) 指定自動車教習所における対応
仮免許申請に係る事務の委託先である指定自動車教習所に仮免許申請が行われる場合、申請者に対し、質問票に虚偽の記載をして提出したときは罰則が適用されることを理解させた上で、正しく申告させるよう指定自動車教習所の職員を指導するものとする。
当該指定自動車教習所の職員等には守秘義務が課せられることとなるが、申請者に対する一層のプライバシー保護を期すため、記入済みの質問票は、必要最小限の職員によって取りまとめ、封かんするものとする。
また、仮免許申請受理時において、当該自動車教習所の職員は、口頭により質問票の各項目について記載漏れがないか確認し、誤記等による訂正の申出があった場合は、新たに質問票を交付し、誤記に係る質問票はその旨を明記し、他の質問票と共に封かんするものとする。
なお、質問票の回答内容によっては福島県公安委員会から当該者に別途連絡することがある旨申し添えるものとする。
(2) 署における対応
仮免許申請に係る事務の委託先である指定自動車教習所から署に提出された質問票回答欄の「はい」にチェックがあるときは、署においては運転免許課に速やかに報告するとともに、できる限り申請に係る仮免許証の交付の前に個別聴取を行うものとする。
第10 広報啓発活動
免許制度、運転免許課及び署において安全運転相談を行っていること等の周知のため、県警察ホームページ、免許申請等窓口、自動車教習所等を通じての広報啓発活動を継続的に推進するものとする。
第11 関係簿冊等の保存期間
本要領に規定する文書(安全運転相談終了書を除く。)の保存期間は、9年とする。
別表1(第2関係)
病気等ごとの専門医の基準
病気等 | 当該病気等の専門医 | ||||
統合失調症 そううつ病 その他精神障害 | 精神保健指定医 | ||||
てんかん | 一般社団法人日本てんかん学会専門医又は同学会の認める医師 | ||||
再発性の失神 | 神経起因性失神 | 内科医のうち当該病気の専門的知識及び経験を有すると認められる医師 | |||
不整脈 | 一般社団法人日本循環器学会専門医又は特定非営利活動法人日本胸部外科学会認定医 | ||||
植え込み型除細動器を植え込んでいる場合 | 植え込み型除細動器を植え込んでいる者に対する適性検査については、上記資格に加え、一般社団法人日本不整脈心電学会の主催するICD研修履修者であることが必要 | ||||
無自覚性の低血糖症 | 薬剤性低血糖症 | 一般社団法人日本糖尿病学会専門医 | |||
その他の低血糖症 | 一般社団法人日本内分泌学会専門医又は一般社団法人日本糖尿病学会専門医 | ||||
重度の眠気の症状を呈する睡眠障害 | 一般社団法人日本睡眠学会が当該病気についての専門的知識及び経験を有すると認める医師又はこれに準ずる医師 | ||||
認知症 | 認知症疾患医療センター、公益社団法人日本老年精神医学会又は一般社団法人日本認知症学会等の専門医 | ||||
脳卒中 | 神経内科専門医又は脳神経外科専門医 | ||||
アルコール等の中毒者 | 精神保健指定医 | ||||
身体の障害 | 視聴覚障害 | 眼科医又は耳鼻咽喉科医 | |||
筋ジストロフィー パーキンソン病 その他の神経系の病気 | 神経内科専門医 | ||||
その他 | 整形外科医 |
別表2(第2関係)
病気等ごとの主治医の基準
病気等 | 当該病気等の主治医 | ||||
統合失調症 そううつ病 その他精神障害 | 精神科、神経科の医師である主治医(継続的に診察している医師) | ||||
てんかん | 主治医(継続的に診察している医師) | ||||
再発性の失神 | 神経起因性失神 | 当該病気の専門的知識及び経験を有すると認められる主治医(継続的に診察している医師) | |||
不整脈 | 一般社団法人日本循環器学会専門医又は特定非営利活動法人日本胸部外科学会認定医である主治医(継続的に診察している医師) | ||||
植え込み型除細動器を植え込んでいる場合 | 一般社団法人日本不整脈心電学会の主催するICD研修履修者である主治医(継続的に診察している医師) | ||||
無自覚性の低血糖症 | 薬剤性低血糖症 | 主治医(継続的に診察している医師) | |||
その他の低血糖症 | 主治医(継続的に診察している医師) | ||||
重度の眠気の症状を呈する睡眠障害 | 主治医(継続的に診察している医師) | ||||
認知症 | 主治医(継続的に診察している医師) | ||||
脳卒中 | 神経内科専門医又は脳神経外科専門医である主治医(継続的に診察している医師) | ||||
アルコール等の中毒者 | 当該中毒の専門的知識及び経験を有すると認められる主治医(継続的に診察している医師) | ||||
身体の障害 | 視聴覚障害 | 眼科医又は耳鼻咽喉科医である主治医(継続的に診察している医師) | |||
筋ジストロフィー パーキンソン病 その他の神経系の病気 | 神経内科専門医である主治医(継続的に診察している医師) | ||||
その他 | 整形外科医である主治医(継続的に診察している医師) |
様式第1号(第3関係)
略
様式第2号(第3関係)
略
様式第3号(第3関係)
略
様式第4号(第3関係)
略
様式第5号(第4関係)
略
様式第6号(第4関係)
略
様式第7号(第7関係)
略
様式第8号(第7関係)
略
様式第9号(第7関係)
略
様式第10号(第7関係)
略
様式第11号(第8関係)
略
様式第12号(第8関係)
略
様式第13号(第8関係)
略
様式第14号(第8関係)
略
様式第15号(第8関係)
略
別添
一定の病気等に係る免許の可否等の運用基準
1 統合失調症(道路交通法施行令(昭和35年政令第270号。以下「令」という。)第33条の2の3第1項関係)
(1) 医師が「自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る能力(以下「安全な運転に必要な能力」という。)を欠くこととなるおそれのある症状を呈していない」旨の診断を行った場合(当該診断を行った理由が、自動車等の安全な運転に必要な能力を欠く状態となるおそれはあるが、そのような状態になった際は、自動車等の運転ができない状態であると判断されることによるものである場合を除く。)、免許の拒否、保留、取消し又は効力の停止(以下「拒否等」という。)は行わない。
(2) 医師が「6月以内に、上記(1)に該当すると診断できることが見込まれる」旨の診断を行った場合には、6月の免許の保留又は効力の停止(以下「保留又は停止」という。)とする(医師の診断を踏まえて、6月より短期間の保留・停止期間で足りると認められる場合には、当該期間を保留・停止期間として設定する。)。
保留・停止期間中に適性検査の受検又は診断書の提出の命令を発出し、
① 適性検査結果又は診断結果が上記(1)の内容である場合には拒否等は行わない。
② 「結果的にいまだ上記(1)に該当すると診断することはできないが、それは期間中に○○といった特殊な事情があったためで、更に6月以内に上記(1)に該当すると診断できることが見込まれる」旨の内容である場合には更に6月の保留又は停止とする(医師の診断を踏まえて、6月より短期間の保留・停止期間で足りると認められる場合には、当該期間を保留・停止期間として設定する。)。
③ その他の場合には免許の拒否又は取消し(以下「拒否又は取消し」という。)とする。
(3) その他の場合には拒否又は取消しとする。
(4) 上記(1)の場合であって、かつ、今後x年間(又はx月間)程度であれば、運転に支障のある症状が再発するおそれはないと認められるなどの診断を医師が行ったときは、一定期間(x年又はx月)後に臨時適性検査又は診断書提出命令(以下「臨時適性検査等」という。)を行うこととする。
また、上記(1)の場合であって、統合失調症にかかっているとの診断がなされており、かつ、運転に支障のある症状に関する今後の再発のおそれに係る医師の診断がなかったときは、6月後に臨時適性検査等を行うこととする。
2 てんかん(令第33条の2の3第2項第1号関係)
(1) 以下のいずれかの場合には拒否等は行わない。
ア 発作が過去5年以内に起こったことがなく、医師が「今後、発作が起こるおそれがない」旨の診断を行った場合
イ 発作が過去2年以内に起こったことがなく、医師が「今後、x年程度であれば、発作が起こるおそれがない」旨の診断を行った場合
ウ 医師が、1年間の経過観察の後「発作が意識障害及び運動障害を伴わない単純部分発作に限られ、今後、症状の悪化のおそれがない」旨の診断を行った場合
エ 医師が、2年間の経過観察の後「発作が睡眠中に限って起こり、今後、症状の悪化のおそれがない」旨の診断を行った場合
(2) 医師が、「6月以内に上記(1)に該当すると診断できることが見込まれる」旨の診断を行った場合には、6月の保留又は停止とする(医師の診断を踏まえて、6月より短期間の保留・停止期間で足りると認められる場合には、当該期間を保留・停止期間として設定する。)。
保留・停止期間中に適性検査の受検又は診断書の提出の命令を発出し、
① 適性検査結果又は診断結果が上記(1)の内容である場合には拒否等は行わない。
② 「結果的にいまだ上記(1)に該当すると診断することはできないが、それは期間中に○○といった特殊な事情があったためで、更に6月以内に上記(1)に該当すると診断できることが見込まれる」旨の内容である場合には更に6月の保留又は停止とする。(医師の診断を踏まえて、6月より短期間の保留・停止期間で足りると認められる場合には、当該期間を保留・停止期間として設定する。)
③ その他の場合には拒否又は取消しとする。
(3) その他の場合には拒否又は取消しとする。
(4) 上記(1)イに該当する場合については、一定期間(x年)後に臨時適性検査等を行うこととする。
(5) 日本てんかん学会は、現時点では、てんかんに係る発作が、投薬なしで過去5年間なく、今後も再発のおそれがない場合を除き、通常は、準中型免許(準中型免許(5t限定)を除く。)、中型免許(中型免許(8t限定)を除く。)、大型免許及び第二種免許の適性はないとの見解を有しているので、これに該当する者がこれら免許の申請又は更新の申請を行った場合には、上記(2)及び(3)の処分の対象とならない場合であっても、当該見解を説明の上、当面、免許申請・更新申請に係る再考を勧めるとともに、申請取消しの制度の活用を慫慂することとする。
3 再発性の失神(令第33条の2の3第2項第2号関係)
(1) 反射性(神経調節性)失神
過去5年以内に反射性失神で意識を失ったことがある者に対しては、以下のとおりとする。
ア 医師が「発作のおそれの観点から、運転を控えるべきとはいえない」旨の診断を行った場合には拒否等を行わない。
イ 医師が「6月以内に上記アに該当すると診断できることが見込まれる」旨の診断を行った場合には6月の保留又は停止とする(医師の診断を踏まえて、6月より短期間の保留・停止期間で足りると認められる場合には、当該期間を保留・停止期間として設定する。)。
保留・停止期間中に適性検査の受検又は診断書の提出の命令を発出し、
① 適性検査結果又は診断結果が上記アの内容である場合には拒否等は行わない。
② 「結果的にいまだ上記アに該当すると診断することはできないが、それは期間中に○○といった特殊な事情があったためで、更に6月以内に上記アに該当すると診断できることが見込まれる」旨の内容である場合には更に6月の保留又は停止とする(医師の診断を踏まえて、6月より短期間の保留・停止期間で足りると認められる場合には、当該期間を保留・停止期間として設定する。)。
③ その他の場合には拒否又は取消しとする。
ウ その他の場合には拒否又は取消しとする。
(2) 不整脈を原因とする失神
ア 植込み型除細動器を植え込んでいる者に対しては、以下のとおりとする。
(ア) 植込み型除細動器を植え込み後に不整脈により意識を失った者である場合には、以下のとおりとする。
a 以下のいずれかの場合には拒否等は行わない。
(a) 医師が「植え込み後6月を経過しており、過去3月以内に除細動器の適切作動もなく、かつ、不整脈発作のおそれの観点から、運転を控えるべきとはいえない」旨の診断を行った場合
(b) 医師が「植え込み後、意識を失ったのは不整脈以外が原因であり、この原因については治療、除細動器の調整等により回復したため、不整脈発作のおそれの観点から、運転を控えるべきとはいえない」旨の診断を行った場合
(c) 医師が「植え込み後6月を経過していないが、植え込み前に不整脈により意識を失ったことがなく、過去3月以内に除細動器の適切作動もなく、かつ、不整脈発作のおそれの観点から、運転を控えるべきとはいえない」旨の診断を行った場合
b 医師が「6月以内に上記aに該当すると診断できることが見込まれる」旨の診断を行った場合には6月の保留又は停止とする(医師の診断を踏まえて、6月より短期間の保留・停止期間で足りると認められる場合には、当該期間を保留・停止期間として設定する。)。
保留・停止期間中に適性検査の受検又は診断書の提出の命令を発出し、
① 適性検査結果又は診断結果が上記aの内容である場合には拒否等は行わない。
② 「結果的にいまだ上記aに該当すると診断することはできないが、それは期間中に○○といった特殊な事情があったためで、更に6月以内に上記aに該当すると診断できることが見込まれる」旨の内容である場合には更に6月の保留又は停止とする(医師の診断を踏まえて、6月より短期間の保留・停止期間で足りると認められる場合には、当該期間を保留・停止期間として設定する。)。
③ その他の場合には拒否又は取消しとする。
c その他の場合には拒否又は取消しとする。
d 上記aの診断については、臨時適性検査等による診断に限り認められるものとする。
(イ) 植込み型除細動器を植え込み後に不整脈により意識を失ったことがない場合には、以下のとおりとする。
a 以下のいずれかの場合には拒否等は行わない。
(a) 医師が「植え込み後6月を経過しており、過去3月以内に除細動器の適切作動がなく、かつ、不整脈発作のおそれの観点から、運転を控えるべきとはいえない」旨の診断を行った場合
(b) 医師が「除細動器の不適切作動(誤作動)を認めたが、この原因については治療により回復したため、不整脈発作のおそれの観点から、運転を控えるべきとはいえない」旨の診断を行った場合
(c) 医師が「植え込み後6月を経過していないが、植え込み後7日を経過しており、植え込み前に不整脈により意識を失ったことがなく、かつ、不整脈発作のおそれの観点から、運転を控えるべきとはいえない」旨の診断を行った場合
b 医師が「6月以内に上記aに該当すると診断できることが見込まれる」旨の診断を行った場合には6月の保留又は停止とする(医師の診断を踏まえて、6月より短期間の保留・停止期間で足りると認められる場合には、当該期間を保留・停止期間として設定する。)。
保留・停止期間中に適性検査の受検又は診断書の提出の命令を発出し、
① 適性検査結果又は診断結果が上記aの内容である場合には拒否等は行わない。
② 「結果的にいまだ上記aに該当すると診断することはできないが、それは期間中に○○といった特殊な事情があったためで、更に6月以内に上記aに該当すると診断できることが見込まれる」旨の内容である場合には更に6月の保留又は停止とする(医師の診断を踏まえて、6月より短期間の保留・停止期間で足りると認められる場合には、当該期間を保留・停止期間として設定する。)。
③ その他の場合には拒否又は取消しとする。
c その他の場合には拒否又は取消しとする。
(ウ) 電池消耗、故障、不適切作動(誤作動)等により植込み型除細動器を交換した場合((ア)又は(イ)の規定による拒否等の事由に該当する者及び故障、不適切作動(誤作動)等を原因として植込み型除細動器が作動した後に交換した者を除く。)には、以下のとおりとする。
a 医師が「電池消耗、故障、不適切作動(誤作動)等により植込み型除細動器の本体及びリード線の双方又いずれかの交換を行い、当該交換後7日を経過しており、過去7日以内に発作が起こったことがなく、かつ、発作のおそれの観点から、運転を控えるべきとはいえない」旨の診断を行った場合には拒否等を行わない。
b 医師が「7日以内に上記aに該当すると診断すると診断できることが見込まれる」旨の診断を行った場合には7日の保留又は停止とする。
保留・停止期間中に適性検査の受検又は診断書の提出の命令を発出し、
① 適性検査結果又は診断結果が上記aの内容である場合には拒否等は行わない。
② 「結果的にいまだ上記aに該当すると診断することはできないが、それは期間中に○○といった特殊な事情があったためで、更に6月以内に上記aに該当すると診断できることが見込まれる」旨の内容である場合には更に6月の保留又は停止とする。(医師の診断を踏まえて、6月より短期間の保留・停止期間で足りると認められる場合には、当該期間を保留・停止期間として設定する。)
③ その他の場合には(ア)又は(イ)の規定によるものとする。
c その他の場合には(ア)又は(イ)によるものとする。
(エ) 植込み型除細動器を植え込んでいる者が免許を取得した場合(上記(ア)a、(イ)a並びに(ウ)a及びbに該当する場合)には、6月後に臨時適性検査等を行う。
(オ) 日本不整脈学会は、植込み型除細動器を植え込んでいる者については中型免許(中型免許(8t限定)を除く。)、大型免許及び第二種免許の適性はないとの見解を有しているので、これに該当する者がこれら免許の申請又は更新の申請を行った場合には、上記(ア)b若しくはc、(イ)b若しくはc又は(ウ)b若しくはcの処分の対象とならない場合であっても、当該見解を説明の上、当面、免許申請・更新申請に係る再考を勧めるとともに、申請取消しの制度の活用を慫慂することとする。
また、同学会は、植え込み型除細動器を植え込んでいる者について準中型の適性がないとはいえないが、いかなる免許区分であっえも職業運転は認められないとの見解を有しているので、この点についても併せて注意喚起を行うこととする。
イ ペースメーカーを植え込んでいる者に対しては、以下のとおりとする。
(ア) ペースメーカーを植え込み後に不整脈により意識を失った者である場合には、以下のとおりとする。
a 以下のいずれかの場合には拒否等は行わない。
(a) 医師が「植え込み後、意識を失ったのは○○が原因であるが、この原因については治療により回復したため、発作のおそれの観点から、運転を控えるべきとはいえない」旨の診断を行った場合
(b) 医師が「植え込み後、意識を失ったのはペースメーカーの故障が原因であるが、修理により改善されたため、発作のおそれの観点から、運転を控えるべきとはいえない」旨の診断を行った場合
(c) 医師が「植え込み後、意識を失ったのは○○が原因であり、この原因についてはいまだ回復しているとはいえないが、発作のおそれの観点から、運転を控えるべきとはいえない」旨の診断を行った場合
(d) 医師が「植え込み後、意識を失ったのは○○が原因であり、この原因についてはいまだ回復しているとはいえないが、今後、x年程度であれば、発作のおそれの観点から、運転を控えるべきとはいえない」旨の診断を行った場合
b 医師が「6月以内に上記aに該当すると診断できることが見込まれる」旨の診断を行った場合には6月の保留又は停止とする。(医師の診断を踏まえて、6月より短期間の保留・停止期間で足りると認められる場合には、当該期間を保留・停止期間として設定する。)
保留・停止期間中に適性検査の受検又は診断書の提出の命令を発出し、
① 適性検査結果又は診断結果が上記aの内容である場合には拒否等は行わない。
② 「結果的にいまだ上記aに該当すると診断することはできないが、それは期間中に○○といった特殊な事情があったためで、更に6月以内に上記aに該当すると診断できることが見込まれる」旨の内容である場合には更に6月の保留又は停止とする(医師の診断を踏まえて、6月より短期間の保留・停止期間で足りると認められる場合には、当該期間を保留・停止期間として設定する。)。
③ その他の場合には拒否又は取消しとする。
c その他の場合には拒否又は取消しとする。
d 上記a(d)に該当する場合については、一定期間(x年)後に臨時適性検査等を行うこととする。
(イ) ペースメーカーを植え込み後に不整脈により意識を失ったことがない者である場合には、以下のとおりとする。
a 医師が「「発作のおそれの観点から、運転を控えるべきとはいえない」(以下3(2)イにおいて「免許取得可能」という。)とまではいえない」旨の診断を行った場合には拒否又は取消しとする。
b 以下のいずれかの場合には6月の保留又は停止とする。(医師の診断を踏まえて、6月より短期間の保留・停止期間で足りると認められる場合には、当該期間を保留・停止期間として設定する。)
(a) 医師が「6月以内に免許取得可能と診断できることが見込まれる」旨の診断を行った場合
(b) 医師が「6月以内に、今後、x年程度であれば、免許取得可能と診断できることが見込まれる」旨の診断を行った場合
上記(a)及び(b)の場合には、保留・停止期間中に適性検査の受検又は診断書の提出の命令を発出し、
① 適性検査結果又は診断結果が上記aの内容である場合には拒否又は取消しとする。
② 以下のいずれかの場合には更に6月の保留又は停止とする。(医師の診断を踏まえて、6月より短期間の保留・停止期間で足りると認められる場合には、当該期間を保留・停止期間として設定する。)
i 「結果的にいまだ免許取得可能と診断することはできないが、それは期間中に○○といった特殊な事情があったためで、更に6月以内に免許取得可能と診断できることが見込まれる」旨の内容である場合
ii 「結果的にいまだ、今後x年程度であれば免許取得可能と診断することはできないが、それは期間中に○○といった特殊な事情があったためで、更に6月以内に免許取得可能と診断できることが見込まれる」旨の内容である場合
③ その他の場合には拒否等は行わない。
c その他の場合には拒否等は行わない。
d 「今後x年程度であれば、免許取得可能」旨の診断を行った場合(上記cに該当)については、一定期間(x年)後に臨時適性検査等を行うこととする。
ウ その他の場合には、以下のとおりとする。
(ア) 以下のいずれかの場合には拒否等は行わない。
a 医師が「発作のおそれの観点から、運転を控えるべきとはいえない」旨の診断を行った場合
b 医師が「今後、x年程度であれば、発作のおそれの観点から、運転を控えるべきとはいえない」旨の診断を行った場合
(イ) 医師が「6月以内に上記(ア)に該当すると診断できることが見込まれる」旨の診断を行った場合には6月の保留又は停止とする。(医師の診断を踏まえて、6月より短期間の保留・停止期間で足りると認められる場合には、当該期間を保留・停止期間として設定する。)
保留・停止期間中に適性検査の受検又は診断書の提出の命令を発出し、
① 適性検査結果又は診断結果が上記(ア)の内容である場合には拒否等は行わない。
② 「結果的にいまだ上記(ア)に該当すると診断することはできないが、それは期間中に○○といった特殊な事情があったためで、更に6月以内に上記(ア)に該当すると診断できることが見込まれる」旨の内容である場合には更に6月の保留又は停止とする。(医師の診断を踏まえて、6月より短期間の保留・停止期間で足りると認められる場合には、当該期間を保留・停止期間として設定する。)
③ その他の場合には拒否又は取消しとする。
(ウ) その他の場合には拒否又は取消しとする。
(エ) 上記(ア)bに該当する場合については、一定期間(x年)後に臨時適性検査等を行うこととする。
(3) その他特定の原因による失神(起立性低血圧等)
過去にその他特定の原因で意識を失ったことがある者に対しては、以下のとおりとする。
ア 以下の場合には拒否等は行わない。
(ア) 医師が「発作のおそれの観点から、運転を控えるべきとはいえない」旨の診断を行った場合
(イ) 医師が「今後、x年程度であれば、発作のおそれの観点から、運転を控えるべきとはいえない」旨の診断を行った場合
イ 医師が「6月以内に上記アに該当すると診断できることが見込まれる」旨の診断を行った場合には6月の保留又は停止とする。(医師の診断を踏まえて、6月より短期間の保留・停止期間で足りると認められる場合には、当該期間を保留・停止期間として設定する。)
保留・停止期間中に適性検査の受検又は診断書の提出の命令を発出し、
① 適性検査結果又は診断結果が上記アの内容である場合には拒否等は行わない。
② 「結果的にいまだ上記アに該当すると診断することはできないが、それは期間中に○○といった特殊な事情があったためで、更に6月以内に上記アに該当すると診断できることが見込まれる」旨の内容である場合には更に6月の保留又は停止とする(医師の診断を踏まえて、6月より短期間の保留・停止期間で足りると認められる場合には、当該期間を保留・停止期間として設定する。)。
③ その他の場合には拒否又は取消しとする。
ウ その他の場合には拒否又は取消しとする。
エ 上記ア(イ)に該当する場合については、一定期間(x年)後に臨時適性検査等を行うこととする。
4 無自覚性の低血糖症(令第33条の2の3第2項第3号関係)
(1) 薬剤性低血糖症
ア 過去1年以内に、起きている間にインスリン等の薬の作用により、前兆を自覚することなく意識の消失が現れたことがない場合については、以下のとおりとする。
(ア) 以下のいずれかの場合には拒否等は行わない。
a 医師が「(意識の消失その他自動車等の安全な運転に支障を及ぼす症状(以下「意識消失等」という。)の前兆を自覚できており、)運転を控えるべきとはいえない」旨の診断を行った場合
b 医師が「(意識消失等の前兆を自覚できないことがあるが、運転中における意識消失等を防止するための措置が実行できると認められることから、)運転を控えるべきとはいえない」旨の診断を行った場合
(イ) 医師が「6月以内に上記(ア)に該当すると診断できることが見込まれる」旨の診断を行った場合には6月の保留又は停止とする(医師の診断を踏まえて、6月より短期間の保留・停止期間で足りると認められる場合には、当該期間を保留・停止期間として設定する。)。
保留・停止期間中に適性検査の受検又は診断書の提出の命令を発出し、
① 適性検査結果又は診断結果が上記(ア)の内容である場合には拒否等は行わない。
② 「結果的にいまだ上記(ア)に該当すると診断することはできないが、それは期間中に○○といった特殊な事情があったためで、更に6月以内に上記(ア)に該当すると診断できることが見込まれる」旨の内容である場合には更に6月の保留又は停止とする(医師の診断を踏まえて、6月より短期間の保留・停止期間で足りると認められる場合には、当該期間を保留・停止期間として設定する。)。
③ その他の場合には拒否又は取消しとする。
(ウ) その他の場合には拒否又は取消しとする。
イ 過去1年以内に、起きている間で、インスリン等の薬の作用により、前兆を自覚することなく意識の消失が現れたことがある場合については、以下のとおりとする。
(ア) 以下のいずれかの場合には拒否等は行わない。
a 医師が「意識消失等の前兆を自覚できており、運転を控えるべきとはいえない。1年以内の意識の消失も、運転を控えるべきとはいえないと認められる状態で起きている」旨の診断を行った場合
b 医師が「意識消失等の前兆を自覚できないことがあるが、運転中における意識消失等を防止するための措置が実行できると認められることから、運転を控えるべきとはいえない。1年以内の意識の消失も運転を控えるべきとはいえないと認められる状態で起きている」旨の診断を行った場合
c 医師が「(意識の消失を起こした時には運転を控えるべき状態にあったが、)その後の治療により、意識消失等の前兆を自覚できており、又は意識消失等の前兆を自覚できないことがあるが、運転中における意識消失等を防止するための措置が実行できると認められることから、現時点では運転を控えるべきとはいえない」旨の診断を行った場合
(イ) 医師が「6月以内に上記(ア)cに該当すると診断できることが見込まれる」旨の診断を行った場合には6月の保留・停止とする(医師の診断を踏まえて、6月より短期間の保留・停止期間で足りると認められる場合には、当該期間を保留・停止期間として設定する。)。
保留・停止期間中に適性検査の受検又は診断書の提出の命令を発出し、
① 適性検査結果又は診断結果が上記(ア)cの内容である場合には拒否等は行わない。
② 「結果的にいまだ上記(ア)cに該当すると診断することはできないが、それは期間中に○○といった特殊な事情があったためで、更に6月以内に上記(ア)cに該当すると診断できることが見込まれる」旨の内容である場合には更に6月の保留又は停止とする(医師の診断を踏まえて、6月より短期間の保留・停止期間で足りると認められる場合には、当該期間を保留・停止期間として設定する。)。
③ その他の場合には拒否又は取消しとする。
(ウ) その他の場合には拒否又は取消しとする。
(エ) 上記(ア)cの診断については、臨時適性検査等による診断に限り認められるものとする。
(2) その他の低血糖症(腫瘍性疾患、内分泌疾患、肝疾患、インスリン自己免疫症候群等)
ア 以下のいずれかの場合には拒否等は行わない。
(ア) 医師が「発作のおそれの観点から、運転を控えるべきとはいえない」旨の診断を行った場合
(イ) 医師が「今後、x年程度であれば、発作のおそれの観点から、運転を控えるべきとはいえない」旨の診断を行った場合
イ 医師が「6月以内に上記アに該当すると診断できることが見込まれる」旨の診断を行った場合には6月の保留又は停止とする(医師の診断を踏まえて、6月より短期間の保留・停止期間で足りると認められる場合には、当該期間を保留・停止期間として設定する。)。
保留・停止期間中に適性検査の受検又は診断書の提出の命令を発出し、
① 適性検査結果又は診断結果が上記アの内容である場合には拒否等は行わない。
② 「結果的にいまだ上記アに該当すると診断することはできないが、それは期間中に○○といった特殊な事情があったためで、更に6月以内に上記アに該当すると診断できることが見込まれる」旨の内容である場合には更に6月の保留又は停止とする(医師の診断を踏まえて、6月より短期間の保留・停止期間で足りると認められる場合には、当該期間を保留・停止期間として設定する。)。
③ その他の場合には拒否又は取消しとする。
ウ その他の場合には拒否又は取消しとする。
エ 上記ア(イ)に該当する場合については、一定期間(x年)後に臨時適性検査等を行うこととする。
5 そううつ病(令第33条の2の3第3項第1号関係)
上記1統合失調症と同様とする。
6 重度の眠気の症状を呈する睡眠障害(令第33条の2の3第3項第2号関係)
(1) 医師が「現在、睡眠障害で重度の眠気を生ずるおそれがあり、6月以内に重度の眠気が生じるおそれがなくなる見込みがあるとはいえない」旨の診断を行った場合には拒否又は取消しとする。
(2) 医師が「現在、睡眠障害で重度の眠気を生ずるおそれがあるが、6月以内に重度の眠気が生じるおそれがなくなる見込みがある」との診断を行った場合には6月の保留又は停止とする(医師の診断を踏まえて、6月より短期間の保留・停止期間で足りると認められる場合には、当該期間を保留・停止期間として設定する。)。
保留・停止期間中に適性検査の受検又は診断書の提出の命令を発出し、
① 適性検査結果又は診断結果が「重度の眠気が生じるおそれがない」旨の内容である場合には拒否等は行わない。
② 「結果的にいまだ「重度の眠気が生じるおそれがない」旨の診断をすることはできないが、それは期間中に○○といった特殊な事情があったためで、更に6月以内に「重度の眠気が生じるおそれがなくなる見込みがある」旨の内容である場合には更に6月の保留又は停止とする。(医師の診断を踏まえて、6月より短期間の保留・停止期間で足りると認められる場合には、当該期間を保留・停止期間として設定する。)
③ 「6月以内に重度の眠気が生ずるおそれがなくなる見込みがあるとはいえない」旨の内容である場合には拒否又は取消しとする。
(3) その他の場合には拒否等は行わない。
7 その他精神障害(急性一過性精神病性障害、持続性妄想性障害等)(令第33条の2の3第3項第3号関係)
上記1統合失調症と同様とする。
8 脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、一過性脳虚血発作等)(令第33条の2の3第3項第3号関係)
(1) 慢性化した症状
見当識障害、記憶障害、判断障害、注意障害等は「認知症」、運動障害(麻痺)、視覚障害(視力障害等)及び聴覚障害については「身体の障害」に係る規定等に従うこととする。
(2) 発作により生ずるおそれがある症状
ア 脳梗塞等の発作により次の障害のいずれかが繰り返し生じている場合については、拒否又は取消しとする。
(ア) 意識障害、見当識障害、記憶障害、判断障害、注意障害等(認知症に相当する程度の障害に限る。)
(イ) 運動障害(免許の取消事由に相当する程度の障害に限る。)
(ウ) 視覚障害等(免許の取消事由に相当する程度の障害に限る。)
イ アを除き、過去に脳梗塞等の発作でアに掲げる障害のいずれかが生じたことがある場合については、以下のとおりとする。
(ア) 医師が「「発作のおそれの観点から、運転を控えるべきとはいえない」(以下8において「免許取得可能」という。)とまではいえない」旨の診断を行った場合には拒否又は取消しとする。
(イ) 以下のいずれかの場合には6月の保留又は停止とする(医師の診断を踏まえて、6月より短期間の保留・停止期間で足りると認められる場合には、当該期間を保留・停止期間として設定する。)。
a 医師が「6月以内に、免許取得可能と診断できることが見込まれる」旨の診断を行った場合
b 医師が「6月以内に、今後x年程度であれば、免許取得可能と診断できることが見込まれる」旨の診断を行った場合
上記a及びbの場合には、保留・停止期間中に適性検査の受検又は診断書の提出の命令を発出し、
① 適性検査結果又は診断結果が上記ア及びイ(ア)の内容である場合には拒否又は取消しとする。
② 以下のいずれかの場合には更に6月の保留又は停止とする(医師の診断を踏まえて、6月より短期間の保留・停止期間で足りると認められる場合には、当該期間を保留・停止期間として設定する。)。
i 「結果的にいまだ免許取得可能と診断することはできないが、それは期間中に○○といった特殊な事情があったためで、更に6月以内に免許取得可能と診断できることが見込まれる」旨の内容である場合
ii 「結果的にいまだ、今後x年程度であれば免許取得可能と診断することはできないが、それは期間中に○○といった特殊な事情があったためで、更に6月以内に、今後x年程度であれば免許取得可能と診断できることが見込まれる」旨の内容である場合
③ その他の場合には拒否等は行わない。
(ウ) その他の場合には拒否等は行わない。
(エ) 「今後x年程度であれば、免許取得可能」旨の診断を行った場合(上記イ(ウ)に該当)については、一定期間(x年)後に臨時適性検査等を行うこととする。
(3) 本基準については、脳動脈瘤破裂、脳腫瘍等についても準用する。
9 認知症(道路交通法(昭和35年法律第105号。以下「法」という。)第90条第1項第1号の2及び法第103条第1項第1号の2関係)
(1) アルツハイマー型認知症、血管性認知症、前頭側頭型認知症(ピック病)及びレビー小体型認知症
拒否又は取消しとする。
(2) その他の認知症(甲状腺機能低下症、脳腫瘍、慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、頭部外傷後遺症等)
ア 医師が「認知症について回復の見込みがない」又は「認知症について6月以内に回復する見込みがない」旨の診断を行った場合には、拒否又は取消しとする。
イ 医師が「認知症について6月以内に回復する見込みがある」旨の診断を行った場合には、6月の保留又は停止とする(医師の診断を踏まえて6月より短期間の保留・停止期間で足りると認められる場合には、当該期間を保留・停止期間として設定する。)。
保留・停止期間中に適性検査の受検又は診断書の提出の命令を発出し、
① 適性検査結果又は診断結果が「認知症について回復した」旨の内容である場合には拒否等を行わない。
② 「結果的にいまだ回復した旨の診断はできないが、それは期間中に○○といった特殊な事情があったためで、更に6月以内にその診断を行う見込みがある」旨の内容である場合には更に6月以内の保留又は停止とする。
③ その他の場合には拒否又は取消しとする。
(3) 認知症ではないが認知機能の低下がみられ今後認知症となるおそれがある場合
医師が「軽度の認知機能の低下が認められる」、「境界状態にある」、「認知症の疑いがある」等の診断を行った場合には、その後認知症となる可能性があることから、6月後に臨時適性検査等を行うこととする。
なお、医師の診断結果を踏まえて、より長い期間や短い期間を定めることも可能である(ただし、長期の場合は最長でも1年とする。)。
10 アルコールの中毒者(法第90条第1項第2号及び法第103条第1項第3号)
(1) アルコールの中毒者については、国際疾病分類(ICD-10)の「アルコール使用による精神および行動の障害」においてF10.2~F10.9までに該当し、かつ下記①から③までのいずれか又は全てを満たさないものとし、医師がその旨の診断を行った場合には拒否又は取消しとする。
① 断酒を継続している。
② アルコール使用による精神病性障害、健忘症候群、残遺性障害及び遅発性の精神病性障害(アルコール幻覚症、認知症、コルサコフ症候群等)のない状態を続けている。
③ 再飲酒するおそれが低い。
なお、①及び②といえるためには、最低でも6月以上その状態を継続していることを要し、①の期間について、入院その他の理由により本人の意思によらず飲酒できない環境にいた期間については断酒を継続している期間として算入しない。
(2) 医師が「アルコール依存症であり、現時点では上記(1)の①から③までの全てを満たすと診断することはできないが、6月以内に、上記(1)の①から③までの全てを満たすと診断することができると見込まれる」旨の診断を行った場合には、6月の保留又は停止とする(医師の診断を踏まえて、6月より短期間の保留・停止期間で足りると認められる場合には、当該期間を保留・停止期間として設定する。)。
保留・停止期間中に適性検査の受検又は診断書の提出の命令を発出し、
① 適性検査結果又は診断結果がアルコール依存症について上記(1)の①から③までの全てを満たす内容である場合には拒否等は行わない。
② 「結果的にいまだアルコール依存症について上記(1)の①から③までの全てを満たすと診断することはできないが、それは期間中に○○といった特殊な事情があったためで、更に6月以内に上記(1)の①から③までの全てを満たすと診断することができると見込まれる」旨の内容である場合には更に6月の保留又は停止とする。
③ その他の場合には拒否又は取消しとする。
(3) 医師が「アルコール依存症(国際疾病分類(ICD-10)におけるF10.2~F10.9までに該当)であるが上記(1)の①から③までの全てを満たす」旨の診断を行った場合には拒否等は行わない。
なお、慢性化した運動障害が残る場合については「身体の障害」に係る規定等に従うこととする。