○道路交通法の一部を改正する法律の一部の施行等に伴う適切な運用について(通達)
令和4年9月29日
達(交企、交規、交指、運免)第427号
[原議保存期間 10年(令和15年3月31日まで)]
[有効期間 令和15年3月31日まで]
みだしのことについて、次のとおり定め、令和4年10月1日から施行することとしたので、誤りのないようされたい。
記
1 趣旨
令和4年4月27日に公布された道路交通法の一部を改正する法律(令和4年法律第32号。以下「改正法」という。)のうち、改正法附則第1条第2号に掲げる規定については、道路交通法の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令(令和4年政令第303号)により、令和4年10月1日から施行されることとなった。
また、改正法の施行に伴い、道路交通法施行令及び自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律施行令の一部を改正する政令(令和4年政令第304号)、道路交通法施行規則及び自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律の施行に伴う道路交通法施行規則の規定の読替えに関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(令和4年内閣府令第54号)及び道路交通法の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係国家公安委員会規則の整理に関する規則(令和4年国家公安委員会規則第16号)が令和4年9月14日に公布され、令和4年10月1日から施行されることとなった。
今回施行される改正規定は、停車及び駐車を禁止する場所の規制から除外する対象の拡大に関する規定の整備、安全運転管理者に関する規定の整備等に関するものであり、その適切な運用を図るものである。
2 今回施行される改正規定の趣旨、内容及び留意事項
別紙のとおり
別紙
(凡例)
「改正法」:道路交通法の一部を改正する法律(令和4年法律第32号)
「旧法」:改正法による改正前の道路交通法(昭和35年法律第105号)
「法」:改正法による改正後の道路交通法
「改正府令」:道路交通法施行規則及び自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律の施行に伴う道路交通法施行規則の規定の読替えに関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(令和4年内閣府令第54号)
「府令」:改正府令による改正後の道路交通法施行規則(昭和35年総理府令第60号)
第1 停車及び駐車を禁止する場所の規制から除外する対象の拡大に関する規定の整備
1 趣旨
旧法第44条第2項第2号の規定に基づき、乗合自動車の停留所又はトロリーバス若しくは路面電車の停留場(以下「停留所等」という。)における停車及び駐車(以下「駐停車」という。)を禁止する場所の規制から除外することができる自動車は、一般旅客自動車運送事業用自動車又は自家用有償旅客運送用自動車(以下「一般旅客自動車運送事業用自動車等」という。)に限られていた。
今般、当該規制から除外する対象を拡大し、地方公共団体による行政サービスや企業による実証実験として住民の無償運送を行うバスをはじめ、一般旅客自動車運送事業用自動車等には当たらないものの、地域住民の生活に必要な旅客輸送を確保するために有用な自動車についても、関係者が合意し、その旨を福島県公安委員会(以下「公安委員会」という。)が公示した場合には、停留所等における駐停車を可能とすることとされた。
2 内容
停留所等における駐停車を禁止する場所の規制から除外することができる対象について、「旅客の運送の用に供する自動車」が、停留所等において、乗客の乗降のため停車するとき、又は運行時間を調整するため駐車するとき(地域住民の生活に必要な旅客輸送を確保するために有用であり、かつ、道路又は交通の状況により支障がないことについて、関係者が合意し、その旨を公安委員会が公示したものをする場合に限る。)に改めることとされた(法第44条第2項第2号)。
また、当該合意の方法について、従来の一般旅客自動車運送事業用自動車等による駐停車に関する合意の方法と同様とし、これを定める規定を「旅客の運送の用に供する自動車」に関するものに改めることとされた(府令第6条の3の2)。
3 留意事項
新たに停留所等における駐停車が可能となる自動車が増加すること等により、新たな渋滞の発生等の道路に関する課題が生じることも予想されるところ、停留所等における駐停車を禁止する場所の規制から除外するためには、道路又は交通の状況により支障がないこと等について関係者が合意することが必要とされることから、支障の有無や支障がないものとするための措置等について、あらかじめ十分に道路管理者と協議・調整すること。
また、停留所等における駐停車を禁止する場所の規制から除外する対象が拡大されることから、停留所等に駐停車する自動車が当該規制から除外された自動車であるか否かの確認を十分に行うなど、駐停車違反の取扱いに誤りがないようにすること。
第2 安全運転管理者に関する規定の整備
1 改正法
(1) 趣旨
道路運送法(昭和26年法律第183号)第79条の規定による国土交通大臣の登録を受けた者(以下「自家用有償旅客運送者」という。)については、道路運送法施行規則(昭和26年運輸省令第75号)第51条の17第1項の規定に基づき、自家用有償旅客運送自動車の運行管理の責任者を選任しなければならないこととされているところ、道路運送法施行規則の改正により、運行管理の責任者に対し、安全運転管理者が行うべき業務と同等の業務を行うこと等を新たに義務付けることとされたことを踏まえ、自家用有償旅客運送者を安全運転管理者の選任義務の対象外とすることとされた。
また、令和3年6月、千葉県八街市において飲酒運転のトラックによる交通事故が発生したが、当該トラックの属する事業所は安全運転管理者を選任すべき事業所であったにもかかわらず、安全運転管理者が選任されていなかったことを踏まえ、飲酒運転の防止をはじめとする自動車の安全な運転を確保するために必要な業務が適切に行われるよう、安全運転管理者を選任する自動車の使用者の義務等に係る規定を整備するとともに、安全運転管理者の選任義務違反等に対する罰則を引き上げることとされた。
(2) 内容
ア 安全運転管理者の選任義務の対象外となる自動車の使用者の範囲の拡大
道路運送法の規定による自動車運送事業者及び貨物利用運送事業法(平成元年法律第82号)の規定による第二種貨物利用運送事業を経営する者に加え、自家用有償旅客運送者を、安全運転管理者の選任義務の対象となる自動車の使用者から除くこととされた(法第74条の3第1項)。
イ 安全運転管理者を選任する自動車の使用者の義務等に係る規定の整備
自動車の使用者の義務として、安全運転管理者に対し、法第74条の3第2項の業務を行うため必要な権限を与えることに加え、同項の業務を行うため必要な機材を整備しなければならないこととするとともに(法第74条の3第7項)、自動車の使用者が法第74条の3第7項の規定を遵守していないため自動車の安全な運転が確保されていないと認めるときは、公安委員会において、自動車の使用者に対し、その是正のために必要な措置をとるべきことを命ずることができることとし(法第74条の3第8項)、当該命令に従わなかった場合には、罰則の対象とすることとされた(法第119条の2)。
ウ 安全運転管理者の選任義務違反等に対する罰則の引上げ
法第74条の3第1項又は第4項の規定に違反し、安全運転管理者又は副安全運転管理者(以下「安全運転管理者等」という。)を選任していなかった者に科される罰則について、5万円以下の罰金から50万円以下の罰金に引き上げることとされた(法第119条の2)。
また、法第74条の3第6項の規定による公安委員会の自動車の使用者に対する安全運転管理者等の解任命令に従わなかった場合に科される罰則についても、同様に、5万円以下の罰金から50万円以下の罰金に引き上げるとともに、改正法により新設された同条第8項の規定による公安委員会の自動車の使用者に対する是正措置命令に従わなかった場合についても、50万円以下の罰金を科すこととされた(法第119条の2)。
さらに、法第74条の3第5項の規定に違反して安全運転管理者の選任等に関する届出を行わなかった場合に科される罰則については、選任義務違反に対する罰則を引き上げることとの均衡を図りつつも、いわゆる形式犯であることを踏まえ、2万円以下の罰金又は科料から5万円以下の罰金に引き上げることとされた(法第120条第2項第3号)。
加えて、安全運転管理者等に係る罰則に関する両罰規定を整備することとされた(法第123条)。
(3) 留意事項
安全運転管理者の未選任事業所の一掃に向けて、関係機関と連携し、選任義務等の周知を図るとともに、自動車保管場所証明業務との連携等により未選任事業所の効果的・効率的な把握に努めるなどして、安全運転管理者の確実な選任に向けた取組を推進すること。
また、事業活動に関して行われた飲酒運転について、運転者の取締りにとどまらず、飲酒運転の下命・容認をしていた自動車の使用者等に対する責任追及を徹底し、必要に応じて、法第74条の3第8項の規定による是正措置命令を行うなど、飲酒運転の根絶に向けた使用者対策を強化すること。
2 改正府令
(1) 趣旨
令和3年6月、千葉県八街市において飲酒運転のトラックによる交通事故が発生したことを受け、業務使用の自家用自動車における飲酒運転防止対策を強化することを目的として、道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令(令和3年内閣府令第68号)により、安全運転管理者に対するアルコール検知器の使用義務化に係る規定(以下「アルコール検知器使用義務化規定」という。)が設けられ、令和4年10月1日から施行することとされていたところ、最近のアルコール検知器の供給状況等を踏まえ、当分の間、アルコール検知器使用義務化規定を適用しないこととされた。
(2) 内容
府令の本則において、アルコール検知器使用義務化規定を維持することとした上で(府令第9条の10第6号及び第7号)、附則において、当分の間、府令第9条の10第6号中「確認するほか、アルコール検知器(呼気に含まれるアルコールを検知する機器であつて、国家公安委員会が定めるものをいう。次号において同じ。)を用いて確認を行う」とあるのは「確認する」と、同条第7号中「保存し、並びにアルコール検知器を常時有効に保持する」とあるのは「保存する」と、それぞれ読み替える規定を定めることとされた(府令附則第6項)。
(3) 留意事項
安全運転管理者による運転者の酒気帯びの有無の確認は、飲酒運転の防止を図る上で重要なものであり、目視等による確認は、令和4年4月1日から義務付けられていることから、安全運転管理者に対する講習の機会の活用等により、当該義務の徹底を図るなどの使用者対策等を着実に推進すること。
また、十分な数のアルコール検知器が市場に流通するようになる見通しが立った時点で、再度、府令を改正し、アルコール検知器使用義務化規定を適用することとしていることから、できるだけ早期に必要な数のアルコール検知器を入手することができるよう努めるとともに、既にアルコール検知器を入手することができた事業所においては、法令上の義務ではないものの、これを用いた運転者の酒気帯びの有無の確認を行うことによって飲酒運転の防止が図られるよう、積極的に事業者に対する働き掛けを行うこと。
第3 その他
改正法の施行に伴い、道路交通法施行令(昭和35年政令第270号)、自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律施行令(平成14年政令第26号)、自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律の施行に伴う道路交通法施行規則の規定の読替えに関する内閣府令(平成14年内閣府令第35号)、指定講習機関に関する規則(平成2年国家公安委員会規則第1号)、届出自動車教習所が行う教習の課程の指定に関する規則(平成6年国家公安委員会規則第1号)、運転免許取得者等教育の認定に関する規則(平成12年国家公安委員会規則第4号)及び運転免許取得者等検査の認定に関する規則(令和4年国家公安委員会規則第8号)について、所要の規定の整理が行われた。
(参考資料)
○ 道路交通法の一部を改正する法律(令和4年法律第32号)の官報の写し及び新旧対照条文
○ 道路交通法の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令(令和4年政令第303号)の官報の写し
○ 道路交通法施行令及び自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律施行令の一部を改正する政令(令和4年政令第304号)の官報の写し及び新旧対照条文
○ 道路交通法施行規則及び自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律の施行に伴う道路交通法施行規則の規定の読替えに関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(令和4年内閣府令第54号)の官報の写し
○ 道路交通法の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係国家公安委員会規則の整理に関する規則(令和4年国家公安委員会規則第16号)の官報の写し
○ 道路交通法施行規則及び自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律の施行に伴う道路交通法施行規則の規定の読替えに関する内閣府令の一部を改正する内閣府令関係読替表