○診断書等の提出による認知機能検査等の受検義務の免除に関する運用上の留意事項について(依命通達)
令和4年9月7日
達(運免)第395号
[原議保存期間 10年(令和15年3月31日まで)]
[有効期間 令和15年3月31日まで]
みだしのことについて、次のとおり定め、令和4年9月7日から施行することとしたので、適正な運用に努められたい。
記
1 趣旨
道路交通法の一部を改正する法律(令和2年法律第42号。以下「改正法」という。)及び道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令(令和4年内閣府令第7号。以下「改正府令」という。)により、一定の場合には、運転免許証の有効期間の更新(以下「免許証の更新」という。)等の際の認知機能検査等(改正法による改正後の道路交通法(昭和35年法律第105号。以下「法」という。)第97条の2第1項第3号イに規定する認知機能検査等をいう。以下同じ。)の受検義務を免除することとされ、令和4年5月13日から関係規定が施行された。このうち、医師が作成した診断書その他の書類を提出した場合における認知機能検査等の受検義務の免除に関して適正な運用を図るため、必要な事項を定めるものである。
2 基本的な考え方
一定の期間内に認知症かどうかについて医師の診断を受けるなどして、認知機能検査等と同等以上にその者の認知機能の状況を確認することができる場合には、認知機能検査等を受ける必要がないものとして、その受検義務を免除するものである。
3 受検義務が免除される診断書その他の書類の要件
認知機能検査等の受検義務の免除を受けるための診断書その他の書類(以下「診断書等」という。)の要件については、その者が認知症に該当する疑いがないと認められるかどうかに関する医師の意見及び当該意見に係る検査の結果が記載されたものとされている(改正府令による改正後の道路交通法施行規則(昭和35年総理府令第60号)第26条の4第3号、第29条の2の3第3号及び第29条の2の5第1項第4号)。
この点、上記2の基本的な考え方に鑑み、法第102条第1項から第4項までの規定による診断書提出命令に基づき提出する診断書のように、認知症かどうかに関する専門医又は主治医の診断結果等が記載されていることまでを要件とするものではないことに留意すること。
なお、認知機能検査等の受検義務の免除を受けるための診断書その他の書類の基準等は、別紙1のとおりとする。
4 留意事項
(1) 「認知症又はその疑い」である旨の診断書等が提出された場合
上記3の要件を満たす診断書等を提出した者については、当該診断書等が「認知症又はその疑い」である旨の医師の意見が記載されたものであっても、認知機能検査等の受検義務は免除されることに留意すること。
なお、「認知症又はその疑い」である旨の医師の意見が記載された診断書等が提出された場合には、運転免許の取消処分等又は必要に応じて臨時適性検査等を行うこととなるため、これらの手続について明確に教示すること。
(2) 診断書等の作成日及び提出時期
免許証の更新の際の認知機能検査等や法第97条の2第1項第3号に規定する特定失効者又は同項第5号に規定する特定取消処分者(以下「特定失効者等」という。)が運転免許を再取得する際の認知機能検査等については、それぞれ受検期間(免許証の更新を受けようとする者については更新期間が満了する日前6月以内、特定失効者等については免許申請書を提出した日前1年以内)が定められており、これらの受検期間内に診断書等を提出した者については、認知機能検査等を受検する必要はない。また、臨時認知機能検査等については、基準行為(法第101条の7第1項に規定する政令で定める行為をいう。)をした日の3月前の日以降に診断書等を提出した者については、認知機能検査等を受ける必要はない。
なお、当該診断書等の作成時期についても、それぞれの期間内である必要があることに留意すること。
5 認知機能検査等の受検義務の免除を証する書面の交付
認知機能検査等の受検義務の免除を受けるため、診断書等を予め提出した者に対しては、認知機能検査等の免除を証する書面を交付する。
(1) 診断書等の受付窓口
福島運転免許センター及び郡山運転免許センター並びに署(分庁舎を含む。)とする。
(2) 認知機能検査等の受検義務免除対象者
免許申請書を提出する日又は免許証の更新満了日における年齢が75歳以上で、かつ、改正法施行後の道路交通法(以下「新法」という。)が適用される者(以下「対象者」という。)である。
(3) 診断書等の提出を受けた場合の対応
ア 提出書の作成
運転免許課長並びに署長及び分庁舎所長は、診断書等が提出された場合には、提出者が医師の診断を受けた本人であることを確認した上、認知機能検査等の受検義務免除に関する診断書等提出書(様式第1号。以下「提出書」という。)に人定事項等を記載(代筆可)させること。
イ 提出者への教示
診断書等を提出した者に対しては、後日、運転免許課から認知機能検査等免除に関する書類が郵送される旨を教示すること。
ウ 運転免許課への提出書等の送付
診断書等を受領後は、診断書等と提出書を運転免許課へ送付すること。
エ 書面の交付
運転免許課長は、提出された診断書等が、認知機能検査等の受検義務免除の要件を満たしている場合は、対象者に認知機能検査等受検免除確認書(様式第2号。以下「確認書」という。)を郵送すること。
また、確認書を郵送した者については、速やかに運転者管理システムへ登録し、認知機能検査等の受検義務が免除されていることを把握できるようにすること。
6 経過措置
改正法には、経過措置が設けられている。改正法施行前の道路交通法と新法のいずれが適用されるかは、改正法の施行日(令和4年5月13日)から起算して6月を経過した日(令和4年11月13日)を基準日とし、運転免許証の有効期間満了日が基準日前か以後かで判断することとなる。
なお、運転免許証に記載の有効期間満了日が令和4年11月12日(土)又は同月13日(日)の場合、実質的な有効期間満了日は同月14日(月)であり、上記基準日以後となることから、新法が適用されることに留意されたい。
7 診断書等の提出を受けた場合の流れ
診断書等の提出を受けた場合の流れは、診断書等の提出を受けた際のチャート(別紙2)を参照すること。
別紙1
認知機能検査等の受検義務の免除を受けるための診断書その他の書類の基準等
1 診断書その他の書類の基準
対象者が認知症に該当する疑いがないと認められるかどうかに関する医師の意見及び当該意見に係る検査の結果が記載された診断書その他の書類で、次の基準を満たしているもの(その他の書類とは、例えば、一部自治体が医療機関と連携し、高齢者に対して独自に行っている認知機能検診の結果が記載された書面が考えられる。)とする。
(1) 対象者に関する事項
検査及び医師による検査結果の判定を受けた者の住所、氏名及び生年月日が記載されていること。
(2) 検査に関する事項
ア 以下のいずれかの認知症に関する神経心理学的検査が行われていること。
(ア) HDS-R
(イ) MoCA
(ウ) DASC-21
(エ) MMSE
(オ) ABC-DS
(カ) 認知機能検査と同等以上と認められる検査で、警察庁が別に示すもの
イ 上記アの検査結果が記載されていること。
(3) 医師による検査結果の判定に関する事項
ア 「認知機能に異常は認められない」、「明らかな認知機能の低下は認められない」等、上記(1)の対象者が認知症に該当する疑いがないと認められるかどうかに関する判定結果が記載されていること。
イ 上記アの判定を行った医師の氏名及び当該医師が所属する医療機関の名称が記載されていること。
ウ 上記アの判定が行われた年月日が記載されていること。
(4) その他
上記(2)が記載されていない書類であっても、上記(1)及び(3)が記載されており、かつ、自治体等が発行している他の書面等により、上記(3)の判定に当たって上記(2)のいずれかの検査が行われていることが明らかである場合は、「診断書その他の書類」として取り扱うことができるものとする。
2 運用上の留意事項
自治体等が実施する認知機能検査等の結果を認知機能検査等の受検義務の免除を受けるための診断書その他の書類として使用する場合は、あらかじめ、自治体等の検査実施機関及び福島県医師会等関係団体と協議し、その同意を得ること。
別紙2
診断書等の提出を受けた際のチャート
様式第1号
略
様式第2号
略