○経済安全保障に係る警察活動の推進について(通達)

令和4年11月22日

達(外)第494号

[原議保存期間 5年(令和10年3月31日まで)]

[有効期間 令和10年3月31日まで]

みだしのことについて、次のとおり定め、令和4年11月22日から施行することとしたので、効果的な取組を推進されたい。

1 趣旨

近年、国際情勢の複雑化、AI、量子等の革新的技術の出現、宇宙・サイバー・電磁波といった安全保障上の新たな領域の誕生等により、安全保障の裾野が経済・技術分野に急速に拡大しつつあるとの認識が広がっている。また、新型コロナウイルス感染症の影響により、サプライチェーンのぜい弱性が顕在化した。

諸外国においては、産業基盤強化の支援、重要技術の流出防止、輸出管理強化等の経済安全保障政策が推進され、我が国においても、経済構造の自律性の確保、重要技術の育成等を通じた優位性・不可欠性の獲得及び基本的価値に基づく国際秩序の維持・強化を目標として、政府一体となった取組を進めていくこととしている。このうち、法制上の措置を講ずべき分野については、令和4年5月18日に公布された経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律(令和4年法律第43号。以下「推進法」という。)に盛り込まれたところである。

本県においても、従前より、高度な技術情報を持つ企業が多数存在している上、東日本大震災からの復興事業として立ち上げられた各種国家プロジェクトに基づいた高度先端技術の集積及び研究が進められていることから、他県に比べ、これらの技術・情報が諸外国から狙われる可能性が高いことが懸念されている。

こうした情勢を踏まえ、県警察においては、経済安全保障対策プロジェクトチームの編成について(令和4年2月25日付け達(外、生環、公)第57号)に基づき、令和4年3月1日から経済安全保障対策プロジェクトチームの運用を開始し、技術情報等の流出事案に係る情報収集・分析、違法行為の取締り及び未然防止のための諸対策を実施してきたところであるが、本通達は、今後の経済安全保障政策の更なる進展を見据え、これら政策において県警察が果たすべき役割及び取組を具体的に示すものである。

2 経済安全保障政策における県警察の役割についての基本的な考え方

県警察においては、公共の安全と秩序の維持に資する活動の一環として、政府における経済安全保障政策の実効性を確保するため、これら政策に係る各種制度を所管する関係省庁出先機関等と緊密に連携の上、技術情報等の流出事案等に関し、情報収集・分析及び違法行為の取締りを行うとともに、技術情報等を保有する企業、研究機関等(以下「企業等」という。)に対し、技術流出防止に資する情報提供活動を推進する。

3 具体的取組

(1) 情報収集及び分析

我が国の経済安全保障政策、すなわち自律性の確保、優位性・不可欠性の獲得及び国際秩序の維持・強化という柱で示される個別の施策に不当に影響を及ぼし得る外国の工作活動等について広く情報収集・分析を行うこと。

特に、我が国の技術情報等について、これらが国外へ流出することは、我が国の産業競争力や安全保障を確保する観点から看過できない事態であることに鑑み、外国による技術情報等の窃取を目的とした我が国の企業等への働き掛けや、こうした働き掛けによる技術情報等の国外への流出事案等についての情報収集・分析を強化すること。

(2) 実態解明及び違法行為の取締り

外事課においては、上記(1)により関係所属が収集・分析した情報について集約し、背景事情、具体的手口、構図等を明らかにすることにより、外国による技術獲得動向等の実態を解明すること。

また、違法行為について、厳正な取締りを行うとともに、無害化や抑止が可能な場合には、このための適切な措置を講じること。

(3) アウトリーチ活動

我が国の技術情報等の国外への流出を未然に防止することの重要性に鑑み、企業等に対し、その自主的な情報流出防止対策を支援するため、県警察が捜査等の過程において解明した外国からの働き掛けによる技術情報等の流出の実態や、その対策等について情報提供する「アウトリーチ活動」を推進すること。

また、当該活動を効果的に実施する観点から、管内の企業等について的確な実態把握を行うこと。

(4) その他

ア 部門間連携の推進

上記(1)(2)及び(3)に掲げた取組を推進し、実態解明等を行うべき事案を適切に把握するため、平素から各部門間における連携を確保すること。

イ 人材の育成及び教養の充実

上記(1)(2)及び(3)に掲げた取組を持続的に推進するため、それぞれの取組において必要とされる基礎知識、スキル等の観点から適格性のある人材を育成するとともに、適切な指導・教養を行うこと。

4 留意事項

推進法に係る衆参両院の内閣委員会における附帯決議において、推進法の施行等に当たっての留意事項として、安全保障の確保に関する経済施策と自由かつ公正な経済活動の促進の両立が重要である旨のほか、経済活動の自由を不正に阻害することがないよう、また、事業者等の自主性が十分尊重され、かつ、事業者間の適正な競争関係を不当に阻害することのないようにする旨が盛り込まれたこと等に鑑み、上記活動により、経済活動の自由等を不当に侵害することのないよう留意すること。

経済安全保障に係る警察活動の推進について(通達)

令和4年11月22日 達(外)第494号

(令和4年11月22日施行)

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令和4年11月22日 達(外)第494号