○「被害者の手引」を活用した被害者等への情報提供について(依命通達)

令和5年3月15日

達(県サ)第103号

[原議保存期間 5年(令和10年3月31日まで)]

[有効期間 令和10年3月31日まで]

対号1 平成19年5月28日付け達(刑総、県サ、少、生環、地企、捜一、組対、交指、高速、公)第200号「福島県警察被害者連絡実施要領の制定について」

2 平成21年3月31日付け達(刑総、務、県サ、少、生環、地企、捜一、組対、交指、高速、公)第144号「被害者等に対する適切な説明の実施について」

みだしのことについては、現在、県警察を挙げて取り組んでいるところであるが、この度「被害者の手引」を改訂したので、引き続き効果的に活用し、被害者等に対する適切な情報提供を図られたい。

なお、「被害者の手引」を活用した被害者等への情報提供について(令和3年12月22日付け達(県サ)第465号)は、廃止する。

1 趣旨

犯罪や交通事故の被害者等(被害者及びその家族をいう。)は、被害直後から、診療、葬儀、事情聴取等の捜査への協力、公判傍聴、損害賠償請求、福祉制度の利用申請等、様々な事柄に直面し、その都度、判断し行動しなければならない。

しかしながら、被害者等の多くは、事件・事故に関する経験や十分な知識がない上、予期せぬ被害に遭って極度に混乱し、又は感情が麻痺し、相談や援助を求める方法もわからないまま孤立した状況に陥っている現状にある。

このような被害者等の被害の早期軽減には、その経過に応じた付添い等の直接的支援と併せて、刑事手続、被害者支援施策等の情報提供が特に重要であることから、「被害者の手引」の積極的な活用を推進するものである。

2 「被害者の手引」の種類及び配付対象者

(1) 「犯罪の被害者とその家族のために(刑法犯被害者用)

配付対象は、身体犯の被害者等とする。

なお、身体犯とは、以下に掲げる罪に当たる違法な行為をいう。

ア 殺人罪(刑法(明治40年法律第45号)第199条の罪であり、未遂を含む。)

イ 強盗致死傷罪(刑法第240条の罪であり、未遂を含む。)

ウ 強盗・不同意性交等罪及び強盗・不同意性交等致死罪(刑法第241条の罪であり、未遂を含む。)

エ 不同意性交等罪(刑法第177条の罪であり、未遂を含む。)

オ 不同意わいせつ罪(刑法第176条の罪であり、未遂を含む。)

カ 監護者わいせつ罪及び監護者性交等罪(刑法第179条の罪であり、未遂を含む。)

キ 不同意わいせつ等致死傷罪(刑法第181条の罪)

ク 未成年者略取及び誘拐罪(刑法第224条の罪であり、未遂を含む。)

ケ 営利目的等略取及び誘拐罪(刑法第225条の罪であり、未遂を含む。)

コ 身代金目的略取及び誘拐罪(刑法第225条の2の罪であり、未遂を含む。)

サ 所在国外移送目的略取及び誘拐罪(刑法第226条の罪であり、未遂を含む。)

シ 人身売買罪(刑法第226条の2の罪であり、未遂を含む。)

ス 逮捕及び監禁罪(刑法第220条の罪)

セ 逮捕等致死傷罪(刑法第221条の罪)

ソ 傷害致死罪(刑法第205条の罪)

タ 傷害罪(刑法第204条の罪)

チ 前各号の罪以外で、致死傷を結果とする結果的加重犯において、致死又は致傷の結果が生じたもの(交通事故事件に係るものを除く。)

(2) 「交通事故にあわれた方とその家族のために(交通事故用)

配付対象は、重大な交通事故事件の被害者等(重大な交通事故の場合は、第一当事者、その家族又は遺族を含む。)とする。

なお、重大な交通事故事件とは、次に掲げるものをいう。

ア ひき逃げ事件

車両等の交通により人が死亡し、又は負傷した場合において、道路交通法(昭和35年法律第105号)第72条第1項前段に規定する措置を講じなかった違反にかかる事件

イ 重大な交通事故

前記アに掲げるもののほか、車両等の交通により人が死亡し、又は負傷(全治3か月以上に限る。)した事故

ウ 危険運転致死傷罪等に該当する事件

前記ア、イに掲げるもののほか、危険運転致死傷罪(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条及び第3条)、無免許危険運転致死傷罪(同法第6条第1項)及び無免許危険運転致死傷罪(同法第6条第2項)に該当する事件

(3) その他

ア 前記(1)又は(2)に掲げるもののほか、社会的反響、規模又は被害者等の精神的若しくは身体的被害が大きく、署長等が必要と認めるもの

イ 前記ア及びウに掲げるもののほか、車両等の交通により人が負傷(全治1か月以上3か月未満)した事故の当事者に対しては、「交通事故にあわれた方々へ(交通事故用リーフレット)」を配付するものとする。

(4) 除外事由

(1)及び(2)の規定にかかわらず、次に掲げる場合は、配付対象から除くものとする。

ア 被害者等が支援を希望しない場合

イ 被害者等が集団的に、又は常習的に暴力的不法行為を行うおそれがある組織に属している場合

ウ 加害者において正当防衛、正当行為に係る場合

エ その他、支援を行うことが事後の捜査に支障を及ぼすおそれがある、又は被害者等に報復の言動があるなど、社会通念上適切でないと認められる場合

3 「被害者の手引」の配付要領

(1) 原則として、被害認知の際に、被害者等から事情聴取を行った捜査員等が手交すること。

なお、その際に手交できなかった場合は、事後速やかに手交すること。

(2) 配付に当たっては、被害者等の個々の事情に応じて必要と思われる情報を漏れなく説明すること。

(3) 「被害者の手引」の担当者欄に所属、係、氏名及び電話番号を必ず明記すること。

(4) 被害者が少年の場合は、原則として、被害少年本人及びその保護者に前記2(1)又は(2)を手交すること。

4 留意事項

(1) 「被害者の手引」による刑事手続や各種支援施策に関する情報提供については、被害者等の必要度が高く、かつ、その不安の軽減に大きな役割を果たしていることから、積極的に行うこと。

あわせて、被害者等が事件・事故の状況等を知ることは、被害を受けた厳しい現実と向き合い、再び生きる意味を見出そうとする気持ちを支えるために必要との指摘があることを踏まえ、捜査状況等の情報提供についても、被害者等の求めに応じ、対号通達に基づき適切に行うこと。

(2) 事件・事故の発生当初における被害者等は、混乱等によってその内容を十分に認識することができないおそれがあるほか、どのような支援がどの時期に必要であるかは個別の事情によって異なるため、被害者等の置かれた状況に応じて、適切な時期に情報の提供等を行うよう努めること。

(3) 「被害者の手引」についてわかりやすく説明し、又は被害者等の質問や相談に的確に応えることができるよう、職員一人一人がその内容の理解に努めること。

特に、犯罪被害給付制度等の個人の権利・利益に関する事項については、説明が不十分であると、被害者等が当然受けるべき利益を受けられず、経済的負担等を強いる結果となりかねないので、十分留意すること。

(4) 被害者等の被害軽減のためには、カウンセリング又は犯罪被害者等早期援助団体による支援が有効であることから、被害者等の状況に応じ、積極的に紹介すること。

(5) 被害者等が、家庭内で互いに不信感や孤立感を感じて、支援のために必要な情報が共有できない場合も見られることから、それぞれに必要な説明に努め、場合によっては複数配付するなど、ひとりで抱え込むことなく、なるべく多くの被害者等が読むことができるよう配意すること。

(6) 身体犯の被害者については、怪我の程度にかかわらず「被害者の手引」を配付することとなっているので、誤りのないようにすること。

(7) 関係機関が提供している援助の内容についても、被害者等の求めに応じて確実に情報提供を行うこと。ただし、関係機関が所掌する事務であり、警察が責任を持って説明することが難しい事項については、対号通達に基づき、当該機関に警察から連絡を行うなどして確実に引き継ぐこと。

なお、手引中における関係機関の記述内容については、今回の改正に当たって協議済みである。

「被害者の手引」を活用した被害者等への情報提供について(依命通達)

令和5年3月15日 達(県サ)第103号

(令和5年7月13日施行)

体系情報
警務部
沿革情報
令和5年3月15日 達(県サ)第103号
令和5年7月13日 達(刑総)第291号