○貨物集配中の車両に係る駐車規制の見直しに向けた継続的な取組の推進について(依命通達)

令和5年2月21日

達(交規、交指)第47号

[原議保存期間 5年(令和10年3月31日まで)]

[有効期間 令和10年3月31日まで]

みだしのことについては、次のとおりであるので、継続的な取組を推進されたい。

なお、貨物集配中の車両に係る駐車規制の見直しの推進について(平成30年3月26日付け達(交規)第111号。以下「前通達」という。)は廃止する。

1 趣旨

トラック・バス・タクシーといった自動車運送事業は、我が国の産業活動や国民生活の基盤となる運送サービスを提供する重要な産業であり、本サービスの供給を安定的・持続的に確保していくためにも、運転者の労働条件の改善は喫緊の課題であるとの考えの下、「働き方改革実行計画」(平成29年3月28日働き方改革実現会議決定)及び「経済財政運営と改革の基本方針2017」(平成29年6月9日閣議決定)を踏まえ、「トラック・バス・タクシーの働き方改革「直ちに取り組む施策」」(平成29年8月28日自動車運送事業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議取りまとめ。以下「施策集」という。)が取りまとめられた。

施策集では、宅配貨物が年々増加する中で、特に、駐車スペースの少ない都市部における宅配貨物の各戸配達における駐車場所の確保等に苦慮する事業者から、荷下ろし等のためのトラックの駐車場所の確保や駐車規制の緩和等についての要望がなされたことを受け、「直ちに取り組む主な施策」として「貨物集配中の車両に係る駐車規制の見直し」が盛り込まれた(別添1)ことから、これまで前通達により貨物自動車運送事業者団体等(以下「事業者団体等」という。)からの要望場所を中心に、各署の交通実態等に応じて、集中的かつ計画的に駐車規制の見直しを推進してきたところである。

しかしながら、今なお事業者団体等からの要望が続くなど、特に都市部において、貨物集配車両の運転者が駐車場所に苦慮している状況が認められることから、本県においても、下記のとおり、個々の交通実態等に応じて、安全かつ円滑に駐車できる場所における駐車規制の見直しを行い、駐車規制が交通の安全と円滑を確保するために必要最小限のものとなるよう、継続的な取組に努められたい。

2 基本的な考え方

違法駐車を始めとする無秩序な駐車は、交通事故の原因となり得るものであるほか、交通渋滞を生じさせて円滑な物流の妨げとなったり、バスの定時運行の支障となったりするなど、社会経済活動等に大きな損失を発生させるとともに、地域住民の生活環境を害することもあるものであることから、一定の駐車規制は必要不可欠である。

一方、近年においては、貨物集配中の車両による各戸配達等のための短時間の駐車需要の増加が認められるところであり、この全てが道路上のみで対応可能となるものではないものの、共同住宅やビル等における貨物集配中の車両のための駐車場所の確保、路外駐車場の整備等と共に、安全かつ円滑に駐車できる道路上の場所における駐車規制の見直しも重要となっている。

駐車規制の見直しに当たっては、各地域におけるこのような駐車需要の実態を的確に把握した上で、近年の道路整備や社会情勢の変化を受けた道路環境及び自転車・歩行者を含む交通実態の変化等に加えて、貨物自動車運転者の労働条件の改善は過労運転の防止等にもつながって交通安全の確保に資することも踏まえつつ、道路管理者や地方公共団体に対して必要な協力も呼び掛けながら、駐車規制が交通の安全と円滑を確保する上で必要最小限のものとなるよう、積極的かつきめ細やかな検討及び取組を行うこととする。

なお、本通達は上述の考え方により駐車規制の見直しを推進するものであるが、現に必要性があって駐車禁止規制を実施している場所における貨物集配中の車両等に対する交通指導取締りの取扱いを変更するものではないことに留意すること。

3 貨物集配中の車両に係る駐車規制の見直しの実施要領

(1) 事業者団体等からの要望等を踏まえた見直し場所の候補の選定

貨物集配中の車両に係る駐車規制の見直しについては、貨物の集配等を行う事業者団体等からの要望が実際に提出されている場所から検討を進めることが肝要であることから、当該要望場所を中心に、管内の交通実態を踏まえ、駐車規制の見直しを検討すること。このとき、次のような場所がある場合については、特に重点的に検討すること。

ア 貨物の集配に相当な時間を要する集合住宅、中高層オフィスビル等の建物(敷地内又は建物内に貨物集配中の車両のための駐車場所が存在するものを除く。)の付近や中低層の小規模ビル等が密集する市街地等の貨物集配中の車両に係る高い路上駐車需要が認められる場所

イ 違法駐車の取締り状況等から貨物集配中の車両に係る高い路上駐車需要が認められるにもかかわらず、駐車可能な路外駐車場が十分に整備されていない場所

ウ 次のような、駐車規制の見直しが交通の安全と円滑に与える影響が小さい場所

(ア) 車線数に比して交通量が多くない区間

(イ) 自転車・歩行者の安全な通行が阻害されない区間

(ウ) 道路幅員又は車線幅員が広い区間

(エ) 一方通行規制を実施すれば広い幅員が確保できる区間

(2) 駐車規制の見直し手法

時間帯又は対象車両の車種若しくは用途を問わない一律の駐車規制の解除又は緩和を行うと交通の安全と円滑に支障が生じると考えられる場合であっても、例えば次の手法を用いることを検討して、見直しの余地を十分に検討すること。

ア 当該道路の区間において駐車禁止の交通規制の対象から除く又は駐車可の交通規制の対象とする車両(以下「対象車両」という。)を、例えば「貨物集配中の車両」のように限定(貨物の集配は事業用自動車だけではなく自家用自動車でも行われることに留意すること。)

なお、駐車可の交通規制を行う場合は、貨物集配中の車両以外の駐車を排除するため、必要により駐車方法を指定するほか、対象車両を明記した法定外表示の設置も併せて検討すること。

イ 対象車両が駐車することのできる時間帯を、当該地域で貨物の集配が行われる一定の時間帯に限定(宅配貨物の各戸配達等は夜間まで行われていることに留意すること。)

(3) 道路管理者との連携

駐車規制の見直しの検討に当たっては、事業者団体等の要望に関する情報を道路管理者と共有するとともに、講ずる対策の内容(道路管理者又は道路管理者の承認を受けた者が行う歩道の切込みによる駐車スペースの確保等)について、道路管理者と密に調整を行うなど、道路管理者との連携を図ること。

4 貨物集配中の車両に係る駐車規制の見直し等に当たっての留意事項

(1) 地域住民への十分な説明

駐車規制の見直しを行うに当たっては、地域住民に対して、当該地域における交通実態、当該地域において貨物の集配等を行う事業者団体等から提出された具体的な要望及びその背景、当該地域で駐車規制の見直しを行うことにより一般交通に生じ得る影響、貨物の集配の円滑化等によって地域住民も当該見直しの受益者となると考えられること等を十分説明するなどして、その理解を得るよう最大限努めること。

(2) 駐車施設の整備等の働き掛けの推進

現状の道路構造や道路の整備状況を踏まえれば、道路上のみで全ての駐車需要に対応することは困難であることから、駐車規制の見直しと併せて、地方公共団体等に対して路外駐車場の整備、駐車施設の附置に係る条例の整備(貨物集配中の車両のための駐車場所の附置に関する規定の創設等を含む。)、共同住宅やビル等の敷地内又は建物内における貨物集配中の車両の駐車場所の確保等について働き掛けること。

(3) 駐車規制の見直しに関する広報等の実施

貨物集配中の車両に係る駐車規制の見直しを行った区間については、ホームページ等の各種広報媒体を活用して、積極的に地域住民、事業者団体等への周知を図ること。その際、交通規制等により貨物集配中の車両のみが駐車可能な道路上の場所に、それ以外の車両が駐車することのないよう広報啓発等に努めること。

5 その他

本件については、警察庁と国土交通省道路局及び同省自動車局との間で協議済みであり、別添2のとおり同省道路局企画課長等から各地方整備局道路部長等に、別添3のとおり同省自動車局貨物課長から各地方運輸局自動車交通部長等に、それぞれ通知が発出されていることから、道路管理者と連携を図る上での参考とされたい。

別添1

トラック・バス・タクシーの働き方改革「直ちに取り組む施策」(抄)

平成29年8月28日

自動車運送事業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議取りまとめ

トラック・バス・タクシーといった自動車運送事業は、我が国の産業活動や国民生活の基盤となる運送サービスを提供する重要な産業である。しかしながら、自動車運送事業の運転者は、全職業平均と比べ、年間労働時間が1~2割長い一方、年間賃金は1~3割低いなど、長時間労働・低賃金の状態にあり、平成28年の有効求人倍率が2倍を超え、全職業平均の約2倍に達するなど、近年、運転者不足が深刻化している状況にある。また、女性の就業割合が低く、運転者の高齢化も進行している状況にあることから、自動車運送事業の将来の担い手を確保し、我が国にとって必要不可欠な運送サービスの供給を安定的・持続的に確保していくためにも、運転者の労働条件の改善は喫緊の課題である。

このような状況も踏まえ、本年3月に決定された「働き方改革実行計画」においては、自動車の運転業務についても、改正労働基準法の施行期日の5年後に、罰則付きの時間外労働の上限規制を導入することとされた。また、これと併せ、引き続き可能な限り、時間外労働を短くする努力も求められる。

こうした規制や取組を実効性あるものとするためにも、設定された猶予期間の間に、全政府的なバックアップの下、必要な関連制度の見直しや支援措置を行い、長時間労働削減のインセンティブの強化、生産性の向上、多様な人材の確保・育成、取引環境の適正化等を強力に推進し、長時間労働を是正するための環境をしっかりと整えていく必要がある。

このため、「働き方改革実行計画」(平成29年3月28日働き方改革実現会議決定)及び「経済財政運営と改革の基本方針2017」(平成29年6月9日閣議決定)を踏まえ、本連絡会議において、上限規制の導入までの間を対象とする「自動車運送事業の働き方改革に関する行動計画」(仮称)(以下「行動計画」という。)を来年春頃までに策定・公表することとする。

また、来年度予算概算要求や制度の見直しなど、可能なものについては、行動計画の策定を待たず、迅速に取組を開始することとし、まずは、次の施策の検討・具体化を急ぐこととする。(個別の施策の詳細については別表のとおりである。)

別表

直ちに取り組む主な施策

Ⅰ.長時間労働是正のための環境整備

①労働生産性の向上

☆短い時間で効率的に運ぶ―様々なムダの解消―

1~6 (略)

番号

項目名

当面の対応方針

関係する事業

対応区分

予定時期

担当

7

貨物集配中の車両に係る駐車規制の見直し

安全・円滑な交通を確保しつつ集配中の宅配車両等を駐車させることができる場所については、一定の範囲で貨物集配中の車両の駐車を可能とする駐車規制の見直しを行うよう、都道府県警察に対して通達を発出する。

トラック

運用を見直す

平成29年度末までに通達を発出

警察庁

8~63 (略)

別添2

令和5年2月9日

国道経第56号

国道メ企第74号

国道環第94号

国道参第33号

貨物集配中の車両に係る駐車規制見直しの推進に係る道路管理者の協力について

トラック・バス・タクシーといった自動車運送事業は、我が国の産業活動や国民生活の基盤となる運送サービスを提供する重要な産業であり、本サービスの供給を安定的・持続的に確保していくためにも、運転者の労働条件の改善は喫緊の課題であるとの考えの下、「働き方改革実行計画」(平成29年3月28日働き方改革実現会議決定)及び「経済財政運営と改革の基本方針2017」(平成29年6月9日閣議決定)を踏まえ、「トラック・バス・タクシーの働き方改革「直ちに取り組む施策」」(平成29年8月28日自動車運送事業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議取りまとめ。以下「施策集」という。)が取りまとめられた。

施策集では、宅配貨物が年々増加する中で、特に、駐車スペースの少ない都市部における宅配貨物の各戸配達における駐車場所の確保等に苦慮する事業者から、荷下ろし等のためのトラックの駐車場所の確保や駐車規制の緩和等についての要望がなされたことを受け、「直ちに取り組む主な施策」として「貨物集配中の車両に係る駐車規制の見直し」が盛り込まれた(別添1)ことから、警察庁において、「貨物集配中の車両に係る駐車規制の見直しの推進について」(平成30年2月20日付け警察庁丙規発第3号)により、貨物自動車運送事業者団体等(以下「事業者団体等」という。)からの要望場所を中心に、管内の交通実態を踏まえながら、集中的かつ計画的に駐車規制の見直しを推進し、一定の効果を挙げてきたところである。

しかしながら、今なお事業者団体等からの要望が続くなど、特に都市部において、貨物自動車運転者が駐車場所に苦慮している状況が認められることから、警察庁では、交通局長から「貨物集配中の車両に係る駐車規制の見直しに向けた継続的な取組の推進について」(令和5年2月9日。以下、「警察庁通達」という。)(別添2)を発出し、個々の交通実態等に応じて、安全かつ円滑に駐車できる場所における駐車規制の見直しを行い、駐車規制が交通の安全と円滑を確保するために必要最小限のものとなるよう、継続的に取り組むとしたところであるが、その基本的な考え方、実施要領等及び道路管理者の対応については、引き続き下記のとおりであるので、遺憾のないようにされたい。

また、貴管内の都道府県、政令市に対して、本通知を参考送付していただくとともに、都道府県から管内の市町村(政令市を除く)に対しても本通知の趣旨を周知するよう依頼されたい。

1.警察庁通達の基本的な考え方、及び実施要領等

別添2のとおり

2.道路管理者の対応

各都道府県警察から、貨物自動車運送事業者等による駐車規制の見直しの要望に関する情報提供を受けるとともに、講ずる対策の内容(道路管理者又は道路管理者の承認を受けた者が行う歩道の切込みによる駐車スペースの確保等)について相談があった場合には、当該道路の交通状況等を十分に踏まえた上で、連携して取組むこと。

別添3

令和5年2月9日

国自貨第126号

貨物集配中の車両に係る駐車規制の見直しに向けた継続的な取組の推進に係る対応について

宅配貨物が年々増加する中で、特に、駐車スペースの少ない都市部における宅配貨物の各戸配達における駐車場所の確保等に苦慮する事業者から、荷下ろし等のためのトラックの駐車場所の確保や駐車規制の緩和等について要望がなされたことを受け、「トラック・バス・タクシーの働き方改革「直ちに取り組む施策」」(平成29年8月28日自動車運送事業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議取りまとめ)として、「貨物集配中の車両に係る駐車規制の見直し」が盛り込まれたことから、これまで、「貨物集配中の車両に係る駐車規制の見直しの推進について」(平成30年2月20日付け警察庁丙規発第3号。以下「前通達」という。)により、貨物自動車運送事業者団体等からの要望場所を中心に、管内の交通実態を踏まえながら、集中的かつ計画的に駐車規制の見直しを推進し、一定の効果が挙がってきたところである。

しかしながら、今なお貨物自動車運送事業団体等からの要望が続くなど、特に都市部において、貨物自動車運転者が駐車場所に苦慮している状況が依然として認められることを踏まえ、今般、警察庁交通局長から、別添のとおり「貨物集配中の車両に係る駐車規制の見直しに向けた継続的な取組の推進について」(令和5年2月9日付け警察庁丙規発第4号、丙交指発第3号)が発出されたことから、各地方運輸局等にあっては、管下運輸支局等に対し、下記のとおり対応するよう周知されたい。

なお、「貨物集配中の車両に係る駐車規制の見直しの推進に係る対応について(平成30年2月20日付け国自貨第153号)については廃止する。

① 貨物運送事業者や各都道府県トラック協会等から貨物集配中の車両に係る駐車規制の見直しに関する要望・相談等があった場合は、引き続き、各都道府県警察、道路管理者等との連携を密にし、要望の実現等に向けて適切に対応すること。

② また、その場合において、駐車規制の見直しを行うに当たっての地域住民への説明や、地方公共団体等に対する路外駐車場の整備の働き掛け等について、関係機関と協力して実施すること。

③ 加えて、貨物運送事業者や各都道府県トラック協会等が参画する会議等の場を有効に活用し、事業者等が相談しやすい関係づくりに留意した上、貨物集配中の車両に係る駐車規制の見直しに関する情報収集に努め、具体的な要望等が認められた場合には、①及び②と同様に対応すること。

貨物集配中の車両に係る駐車規制の見直しに向けた継続的な取組の推進について(依命通達)

令和5年2月21日 達(交規、交指)第47号

(令和5年2月21日施行)

体系情報
交通部
沿革情報
令和5年2月21日 達(交規、交指)第47号