○性犯罪・性暴力対策の更なる強化について(通達)

令和5年6月9日

達(捜一、県サ、生環、少対)第247号

[原議保存期間 5年(令和11年3月31日まで)]

[有効期間 令和11年3月31日まで]

みだしのことについては、次のとおり推進することとしたので、適切な対応に努められたい。

1 趣旨

性犯罪・性暴力は、被害者の尊厳を著しく踏みにじる行為であり、その心身に長期にわたり重大な悪影響を及ぼすものであることから、その根絶に向けた取組や被害者支援を強化していくため、関係機関と連携して各種施策を推進するものである。

2 各種施策について

(1) 被害届の即時受理の徹底

性犯罪に関して被害の届出がなされた場合には、被害者の立場に立ち、明白な虚偽又は著しく合理性を欠くものである場合を除いて、即時に受理することを引き続き徹底するとともに、被害届受理時の説明によって、被害者に警察が被害届の受理を拒んでいるとの誤解を生じさせることがないよう必要な指導を行うこと。

(2) 証拠資料採取・保管体制の整備

警察への被害の届出を躊躇している被害者が、後日警察への届出意思を有するに至った場合に備え、県ワンストップ支援センター(性暴力等被害救援協力機関「SACRAふくしま」をいう。以下同じ。)、医療機関と連携し、被害者の希望に応じ、証拠資料の採取・保管を行うことができる体制を整備すること。

(3) 捜査段階における二次被害の防止

性犯罪捜査を担当する係への女性警察官の配置を引き続き推進し、被害者の希望する性別の警察官が対応することや、各種捜査の必要性を丁寧に説明し、被害者の理解と協力を得た上で行うなど、捜査段階における被害者の精神的負担の軽減に努めること。

また、被害者の心情に十分配意した対応を取ることができるよう、性犯罪指定捜査員を指定するとともに、実効性のある研修を実施すること。

(4) 警察における相談窓口の周知や支援の充実

県本部の性犯罪被害相談電話につながる「性犯罪被害110番(0120―503―732)」や全国共通番号「#8103(ハートさん)」等の相談窓口について、引き続き広報等により、更なる周知を図ること。

また、性犯罪被害者の緊急避妊等に要する経費や、性犯罪被害者を含む犯罪被害者が自ら選んだ精神科医、臨床心理士等を受診した際の診療料又はカウンセリング料について、公費負担の支援がなされるようにすること。

(5) 多様な被害者支援の充実

警察、検察、県ワンストップ支援センター等の関係者が、障害者、男性、性的マイノリティ等を含む様々な被害者への適切な対応や支援を行えるよう、関係機関において協力しつつ、相談支援の実情等を踏まえた支援要領について研修を実施すること。

(6) こどもの犯罪被害防止対策の実施

こどもの性犯罪・性暴力の被害において、インターネットの利用に伴うものが多くみられることを踏まえ、こどもの犯罪被害防止対策を周知するため、広報啓発活動を推進すること。

(7) AV出演被害の防止及び被害者の救済

AV出演被害防止・救済法等に基づき、相談者の心情等を十分に酌み取りつつ、必要な聴取を行い、犯罪行為が認められる場合には厳正な取締りを行うとともに、相談者の意向に照らして、県ワンストップ支援センター等の関係機関と連携して支援を行うこと。

(8) インターネット上の性暴力等への対応

児童買春・児童ポルノ等に関する被害の問題については、関係法令の適用により、違法行為に対して、事案に応じたより一層厳正な対処を行うこと。

また、リベンジポルノやいわゆるディープフェイクポルノ等に関しては、事案に応じて各種法令を適用することにより、違法行為に対して厳正に対処すること。

(9) 児童ポルノ画像等の流通・閲覧防止対策の推進

サイバーパトロールやインターネット・ホットラインセンター、匿名通報事業等に寄せられた通報を通じて児童ポルノ画像等の違法情報等の把握に努め、把握した違法情報等については、管理者等に対して削除依頼を実施すること。

(10) SNSに起因する被害の防止

SNSに起因する事犯を防止するため、こどもの性被害等につながるおそれのある不適切な書き込みの発見に努め、注意喚起・警告のためのメッセージを投稿する取組を引き続き推進すること。

また、本取組に際しては、AI技術の活用やボランティアとの連携等、より効果的な手法の導入を検討すること。

(11) 安全・安心な利用のための教育・広報啓発

インターネット上の性的な暴力やハラスメントの被害者にも加害者にもならないようにするという観点から、関係機関・団体等と連携して、安全・安心な利用のための広報啓発を行うとともに、ICTリテラシーやメディア・リテラシーの向上のための取組を推進すること。

特に、自画撮り被害(だまされたり、脅かされたりして若年層・児童生徒等が自分の裸体等を撮影し、メール等で送らされる形態の被害をいう。)を防止するため若年層、児童生徒等や保護者に対する教育・啓発等の包括的な対策を総合的に推進すること。

(12) 痴漢撲滅に向けた政策パッケージの確実な実行

痴漢事犯の撲滅に向けて、「痴漢撲滅に向けた政策パッケージ」において取りまとめた痴漢を防ぐ取組、被害者を支える取組、社会の意識変革を促す取組等を推進すること。

(13) インターネット上等における誹謗中傷への対応

性犯罪・性暴力の被害者や支援者等に対する、インターネット上等での誹謗中傷に係る相談に際し、その内容が刑罰法令に触れる行為であると認められる場合には、個々の事案の具体的な事実関係に即して、厳正に対処すること。

性犯罪・性暴力対策の更なる強化について(通達)

令和5年6月9日 達(捜一、県サ、生環、少対)第247号

(令和5年6月9日施行)

体系情報
刑事部
沿革情報
令和5年6月9日 達(捜一、県サ、生環、少対)第247号