○道路交通法の一部を改正する法律の施行等に伴う適切な運用について(通達)

令和5年5月25日

達(交企、交規、交指、運免)第232号

[原議保存期間 10年(令和16年3月31日まで)]

[有効期間 令和16年3月31日まで]

みだしのことについて、次のとおり定め、令和5年7月1日から施行するので、誤りのないようにされたい。

1 趣旨

令和4年4月27日に公布された道路交通法の一部を改正する法律(令和4年法律第32号。以下「改正法」という。)附則第1条第3号に掲げる規定については、道路交通法の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令(令和5年政令第53号)により、令和5年7月1日から施行されることとなった。

また、改正法の施行に伴い、道路交通法施行令の一部を改正する政令(令和5年政令第54号)、道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令(令和5年内閣府令第17号)、道路標識、区画線及び道路標示に関する命令の一部を改正する命令(令和5年内閣府・国土交通省令第1号)、指定講習機関に関する規則等の一部を改正する規則(令和5年国家公安委員会規則第5号)、道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令附則第二項の規定に基づき、型式認定番号標に準ずるものとして国家公安委員会が定めるものを定める件(令和5年国家公安委員会告示第14号)及び交通の方法に関する教則及び交通安全教育指針の一部を改正する件(令和5年国家公安委員会告示第15号)が令和5年3月17日に公布され、同年7月1日から施行されることとなった。

2 今回施行される改正規定の趣旨、内容及び留意事項

別紙のとおり

別紙

(凡例)

「改正法」:道路交通法の一部を改正する法律(令和4年法律第32号)

「旧法」:改正法による改正前の道路交通法(昭和35年法律第105号)

「法」:改正法による改正後の道路交通法

「改正令」:道路交通法施行令の一部を改正する政令(令和5年政令第54号)

「令」:改正令による改正後の道路交通法施行令(昭和35年政令第270号)

「改正府令」:道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令(令和5年内閣府令第17号)

「府令」:改正府令による改正後の道路交通法施行規則(昭和35年総理府令第60号)

「改正命令」:道路標識、区画線及び道路標示に関する命令の一部を改正する命令(令和5年内閣府・国土交通省令第1号)

「命令」:改正命令による改正後の道路標識、区画線及び道路標示に関する命令(昭和35年総理府・建設省令第3号)

「改正規則」:指定講習機関に関する規則等の一部を改正する規則(令和5年国家公安委員会規則第5号)

第1 趣旨

いわゆる電動キックボード等については、旧法上、その車体で用いられている原動機の定格出力等に応じて、原動機付自転車又は自動車に該当し、これを運転するに当たっては、運転免許を受け、その車両区分に応じた交通方法によって運転しなければならないこととされていた。他方で、その大きさや性能上の最高速度を踏まえると、原動機付自転車又は自動車と同様の交通方法等を適用することは必ずしも適当ではないと認められた。

そこで、電動キックボード等のうち、大きさが普通自転車と同程度であるなど一定の基準に該当するものを「特定小型原動機付自転車」として定義し、その交通方法等に関する規定について整備されたものである。

第2 内容

1 改正法

(1) 原動機付自転車のうち、車体の大きさ及び構造が自転車道における他の車両の通行を妨げるおそれのないものであり、かつ、その運転に関し高い技能を要しないものである車として一定の基準に該当するものを「特定小型原動機付自転車」と定義された(法第2条第1項第10号ロ)。

(2) 特定小型原動機付自転車は、自転車道を通行することができることとされた(法第17条第3項)。

(3) 特例特定小型原動機付自転車(特定小型原動機付自転車のうち、歩道又は路側帯(以下「歩道等」という。)を通行する間当該特定小型原動機付自転車が歩道等を通行することができるものであることを一定の方法により表示していること、車体の構造が歩道等における歩行者の通行を妨げるおそれのないものとして一定の基準に該当すること等の一定の要件に該当するもので、他の車両を牽引していないものをいう。)は、道路標識等により特例特定小型原動機付自転車が歩道を通行することができることとされている場合等には、歩道等と車道の区別のある道路においても、歩道等を通行することができることとされた(法第17条の2及び第17条の3)。

(4) 特定小型原動機付自転車は、道路の左側端に寄って当該道路を通行しなければならないこととされたほか、右折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、交差点の側端に沿って徐行しなければならないこととされた(法第18条第1項及び第34条第3項)。

(5) 特定小型原動機付自転車は、運転免許を受けないで運転することができることとされた(法第64条)。

(6) 16歳未満の者は、特定小型原動機付自転車を運転してはならないこととされたほか、何人も、特定小型原動機付自転車を運転することとなるおそれがある16歳未満の者に対し、特定小型原動機付自転車を提供してはならないこととされた(法第64条の2)。

(7) 特定小型原動機付自転車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶるよう努めなければならないこととされた(法第71条の4第3項)。

(8) 都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)は、特定小型原動機付自転車の運転に関し特定小型原動機付自転車危険行為を反復してした者が、更に特定小型原動機付自転車を運転することが道路における交通の危険を生じさせるおそれがあると認めるときは、その者に対し、3か月を超えない範囲内で期間を定めて、公安委員会が行う特定小型原動機付自転車の運転による危険を防止するための講習を受けるべき旨を命ずることができることとされた(法第108条の3の5第1項)。

(9) 特定小型原動機付自転車を販売し、又は貸し渡すことを業とする者は、当該特定小型原動機付自転車の購入者又は利用者に対し、交通安全教育指針に従って特定小型原動機付自転車の安全な運転を確保するために必要な交通安全教育を行うように努めなければならないこととされた(法第108条の32の4)。

2 改正令

(1) 軽車両若しくは自転車又は普通自転車に対して表示するものとされている信号の意味について、特定小型原動機付自転車又は特例特定小型原動機付自転車に対しても表示されるものであることとされた(令第2条)。

(2) 特定小型原動機付自転車危険行為が定められた(令第41条の3第1項)。

(3) 特定小型原動機付自転車運転者講習に係る手数料の標準が定められた(令第43条第1項)。

(4) 特例特定小型原動機付自転車の歩道徐行等義務違反(法第17条の2第2項違反)及び路側帯進行方法違反(法第17条の3第2項違反)を反則行為の種類として追加し、その反則金の額が定められた(令別表第六)。

3 改正府令

(1) 特定小型原動機付自転車の車体の大きさ及び構造に係る基準が定められた(府令第1条の2の2)。

(2) 特例特定小型原動機付自転車の歩道通行に関する基準が定められた(府令第5条の6の2)。

(3) 特定小型原動機付自転車運転者講習について、講習の内容等及び受講命令の方法が定められたほか、受講命令をした場合等に公安委員会が国家公安委員会に報告しなければならない事項が定められた(府令第38条第15項、第38条の4の4第1項及び第38条の4の5)。

(4) 国家公安委員会関係産業競争力強化法第十二条の規定に基づく内閣府令の特例に関する措置を定める内閣府令(令和3年内閣府令第28号)が廃止された(改正府令附則第3項)。

4 改正命令

(1) 規制標識に係る規定(命令別表第一及び別表第二)

ア 規制標識「二輪の自動車・原動機付自転車通行止め(307)」により通行を禁止する対象のうち「原動機付自転車」が「一般原動機付自転車」に改められた。

イ 規制標識「自転車通行止め(309)」及び規制標識「自転車一方通行(326の2―A・B)」による交通規制の対象となる車両に特定小型原動機付自転車が含まれるよう、その表示する意味が改められた。

ウ 規制標識「自転車専用(325の2)」の表示する意味のうち、法第8条第1項に基づき通行を禁止する対象が特定小型原動機付自転車及び自転車(これらの車両で法第17条第3項の規定により自転車道を通行してはならないものを除く。後記エにおいて同じ。)以外の車両及び歩行者等に改められた。

エ 規制標識「自転車及び歩行者等専用(325の3)」の表示する意味が次のとおり改められた。

(ア) 法第8条第1項に基づき通行を禁止する対象が特定小型原動機付自転車及び自転車以外の車両に改められた。

(イ) 表示する意味として、法第17条の2第1項の道路標識により、特例特定小型原動機付自転車が歩道を通行することができることとされた。

オ 規制標識「普通自転車専用通行帯(327の4の2)」により普通自転車が通行しなければならない車両通行帯を指定する場合に、当該車両通行帯以外の車両通行帯を通行しなければならない対象から特定小型原動機付自転車が除かれるよう、その表示する意味が改められた。

(2) 補助標識に係る規定(命令別表第一)

本標識に附置されている「車両の種類(503―A)」で、普通自転車が交通規制の対象であること(ないこと)を示すものについては、特定小型原動機付自転車も交通規制の対象であること(ないこと)を示すものとし、特に区別する必要がある場合に限り、別に示すこととされた。

(3) 車両の種類の略称に係る規定(命令別表第二)

ア 略称「原付」、略称「二輪」及び略称「小二輪」の意味する車両の種類について、「原動機付自転車」が「一般原動機付自転車」に改められた。

イ 特定小型原動機付自転車を意味する略称が「特定原付」と、特例特定小型原動機付自転車を意味する略称が「特例特定原付」と、それぞれ定められた。

(4) 規制標示に係る規定(命令別表第五及び別表第六)

ア 規制標示「歩行者用路側帯(108の3)」により通行等を禁止する対象に特例特定小型原動機付自転車が含まれるよう、その表示する意味が改められた。

イ 規制標示「普通自転車歩道通行可(114の2)」により歩道を通行することができることとする対象に、特例特定小型原動機付自転車が含まれるよう、その表示する意味が改められた。

ウ 規制標示「普通自転車の歩道通行部分(114の3)」により歩道を通行することができることとされ、かつ、歩道を通行する場合において、通行すべき歩道の部分を指定する対象に、特例特定小型原動機付自転車が含まれるよう、その表示する意味が改められた。

エ 規制標示「特例特定小型原動機付自転車・普通自転車歩道通行可(114の2)」及び規制標示「特例特定小型原動機付自転車・普通自転車の歩道通行部分(114の3)」には、「特例特定原付を除く」の文字を表示することができることとされ、当該文字が表示されている当該規制標示の意味については、特例特定小型原動機付自転車が当該規制標示が表示する交通の規制の対象となる車両でないことを示すものとされた。

(5) 国家公安委員会・国土交通省関係産業競争力強化法第十二条の規定に基づく内閣府令・国土交通省令の特例に関する措置を定める命令(令和2年内閣府・国土交通省令第3号)が廃止された(改正命令附則第4項)。

5 改正規則

届出自動車教習所指導員の欠格要件から、特定小型原動機付自転車の運転に関するものが除くなどされた(改正規則による改正後の届出自動車教習所が行う教習の課程の指定に関する規則(平成6年国家公安委員会規則第1号)第1条第2項第1号ロ(4)等)。

6 経過措置

(1) 施行前にした行為を理由とする運転免許の拒否、保留、取消し若しくは効力の停止又は自動車及び一般原動機付自転車の運転の禁止については、なお従前の例によることとされた(改正法附則第3条)。

(2) 施行前にした行為に対する罰則の適用、放置違反金の取扱い及び反則行為の取扱いに関しては、なお従前の例によることとされた(改正法附則第6条、第7条及び第8条)。

(3) 施行前にした違反行為に付する点数については、なお従前の例によることとされた(改正令附則第6条)。

(4) 施行前に製作された特定小型原動機付自転車の構造の基準として、令和6年12月22日までの間、最高速度表示灯が備えられていることに代えて、特定小型原動機付自転車に係る型式認定番号標、性能等確認済シール又は標識(地方税法(昭和25年法律第226号)第463条の18第3項(同法第1条第2項において準用する場合を含む。)に規定する標識をいう。)を見やすいように表示していることも認められることとされた(改正府令附則第2項及び道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令附則第二項の規定に基づき、型式認定番号標に準ずるものとして国家公安委員会が定めるものを定める件)。

第3 留意事項

特定小型原動機付自転車の安全な利用を促進するため、関係機関・団体と連携して、利用者及び他の交通参加者への交通安全教育・広報啓発活動を通じ、特定小型原動機付自転車の交通ルールの周知徹底を図るとともに、飲酒運転はもとより、通行区分違反、信号無視をはじめ、危険性が高く重大な交通事故に直結する違反行為の根絶に向け、厳正な指導取締りを推進すること。

関連して、特定小型原動機付自転車及び特例特定小型原動機付自転車の交通ルール、満たすべき構造に係る基準等について、警察職員に対する教養を徹底すること。

(参考資料)

○ 道路交通法の一部を改正する法律(令和4年法律第32号)の官報の写し(別添1)及び新旧対照条文(別添2)

○ 道路交通法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(令和5年政令第53号)の官報の写し(別添3)

○ 道路交通法の一部を改正する政令(令和5年政令第54号)の官報の写し(別添4)及び新旧対照条文(別添5)

○ 道路交通法施行規則等の一部を改正する内閣府令(令和5年内閣府令第17号)の官報の写し(別添6)

○ 道路標識、区画線及び道路標示に関する命令の一部を改正する命令(令和5年内閣府・国土交通省令第1号)の官報の写し(別添7)

○ 指定講習機関に関する規則等の一部を改正する規則(令和5年国家公安委員会規則第5号)の官報の写し(別添8)

○ 道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令附則第二項の規定に基づき、型式認定番号標に準ずるものとして国家公安委員会が定めるものを定める件(令和5年国家公安委員会告示第14号)の官報の写し(別添9)

○ 交通の方法に関する教則及び交通安全教育指針の一部を改正する件(令和5年国家公安委員会告示第15号)の官報の写し(別添10)

別添1

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別添2

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別添3

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別添5

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別添6

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別添7

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別添8

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別添10

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道路交通法の一部を改正する法律の施行等に伴う適切な運用について(通達)

令和5年5月25日 達(交企、交規、交指、運免)第232号

(令和5年8月25日施行)

体系情報
交通部
沿革情報
令和5年5月25日 達(交企、交規、交指、運免)第232号
令和5年8月25日 達(交企、交規、交指、運免)第329号