○梅雨期及び台風期における災害警備態勢の強化について(依命通達)

令和5年6月1日

達(災対)第244号

[原議保存期間 1年(令和7年3月31日まで)]

[有効期間 令和6年3月31日まで]

みだしのことについては、次により災害警備態勢の強化に努め、災害発生に対する警備の万全を期されたい。

なお、本通達の発出に伴い、「梅雨期及び台風期における災害警備態勢の強化について」(令和4年6月22日付け達(災対)第323号)は、廃止する。

1 趣旨

梅雨期及び台風期における風水害の発生に備え、管内の災害危険箇所等の実態を把握し、災害発生時等には警備態勢を早期に確立するとともに、人命保護を最優先とした迅速・的確な災害警備活動を実施しようとするものである。

2 平素の措置

(1) 災害危険箇所の実態把握等

ア 過去の風水害の発生状況から、集中豪雨、台風、突風(竜巻等)等による被害の発生が予想される

○ 山(崖)崩れ危険箇所、危険が確認された盛土等

○ 倒壊及び落下のおそれのある建造物、工作物

○ 宅地造成地等における地滑り危険箇所

○ 洪水及び高潮による浸水危険箇所

○ 局地的大雨による河川の氾濫、急な増水、道路冠水等の危険箇所

○ 土石流、鉄砲水等流出危険箇所

○ 地下施設等地下空間における浸水危険箇所

○ 最近の風水害・地震・火山噴火等による被災箇所

等の災害危険箇所の実態把握を行い、平時から関係自治体との情報共有を積極的に図るとともに、同所に対する警戒を徹底すること。

イ 災害復旧事業施行中の箇所については、災害の再発、復旧作業中の事故等を未然に防止するため、気象情報等に留意しつつ警戒監視を行うなど、適切な措置を講じること。

ウ 自治体、施設管理者等に対する管理者対策を積極的に推進すること。とりわけ、要配慮者利用施設に対しては、自治体と連携した避難訓練の実施、避難状況の確認等に必要な連絡・情報伝達体制の確立、避難の確保のための措置に関する計画の作成等について、過去の被害事例を踏まえた実効性のある対策を講じること。

エ 災害危険箇所周辺の避難路及び避難場所の点検・検証を行うこと。

(2) 指揮体制の確立等

指揮体制の確立等に際しては、特定の職員に過度な負担がかかり、機能不全に陥ることがないよう、平時から災害時において優先すべき業務を絞り込むとともに、当該業務を遂行するための役割を分担するなど、組織を挙げた体制をあらかじめ構築しておくこと。

(3) 情報収集と的確な情勢判断

各種気象情報、河川の水位情報や流域の浸水情報、土砂災害、竜巻等突風に関する異常な自然現象等の災害情報を迅速かつ正確に収集するため、国土交通省の地方機関、気象台、自治体等の防災関係機関との連携体制の確立を図るとともに、地域住民やボランティア団体との協力体制の強化に努めること。また、収集した災害関連情報については、多角的に分析・検討を加えるなど、的確な情勢判断を行うこと。

(4) 災害警備活動用装備資機材及び庁舎機能の点検整備等

災害の発生に備え、災害警備活動用装備資機材の保有実態を確認し、必要数を常備しておくとともに、点検整備及び操法訓練を反復して実施することにより、常に使用できる状態にしておくこと。また、福島県警察緊急時業務継続計画に基づき、業務継続のために必要な庁舎機能及び非常用電源の確保状況について点検を行い、必要に応じて業務継続計画の見直しを行うなど、災害発生時の業務継続に遺漏のないようにすること。

(5) 情報通信部門との連携

災害の発生に備え、管内の無線不感地帯を把握した上で、簡易中継機能等による対処法についての指導教養等を行うとともに、災害発生時において、災害警備部隊等が出動する際には、機動警察通信隊の出動を要請し、通信の確保に努めるなど、情報通信部門との連携体制を構築すること。

(6) 住民等の主体的な避難行動に資する環境の構築

災害が発生するおそれのある地域については、警察職員の認知した災害危険箇所等の情報を積極的に関係自治体に提供するなど、市町村が行う避難指示等の発令に関する各種取組について協力すること。また、国や県は、各種防災気象情報と併せて、参考となる警戒レベルも提供し、住民等の主体的な避難行動等のほか、市町村の避難指示の発令を支援していることから、各所属においてもこれらの情報に留意し、必要に応じて、住民等に直接声かけすることも含め、地域の実態に応じた適切な情報伝達を実施し、住民等の主体的な避難行動を支援すること。

さらに、避難が必要となる地域においては、自治体等関係機関と早めの情報共有や調整、意思決定がなされるよう、平時より顔の見える関係を構築しておくことで、円滑な避難の実施に向けた取組を支援すること。

(7) 要配慮者への情報伝達等

高齢者、障害者、乳幼児等の要配慮者に対しては、安全かつ迅速な避難が実施されるよう、関係自治体と連携し、要配慮者に避難指示等の必要な情報が確実に伝達されるような措置を促すなど適切な取組を推進すること。

3 災害発生時等の措置

(1) 警備態勢の早期確立

災害が発生していない場合であっても、防災気象情報・警戒レベル情報等を踏まえ、災害の切迫度が高まっていると判断したときは、「災害警備対策室」等を設置し、事態の変化に応じて体制の強化を図るなど、適切な指揮体制を確立すること。また、迅速に災害警備部隊等の出動態勢を整えるとともに、多数の被災者の救出救助が予想される場合には、躊躇なく警察災害派遣隊即応部隊の派遣を求めるなど、早期に警備態勢を確立し、人命の保護に万全を期すること。

(2) 県本部への即報

災害の被害規模を推定し得るような象徴的な事案(大規模な土石流、土砂崩れ、河川決壊、爆発、橋梁崩壊等)については、情報源(誰からの通報なのか)を明らかにした上で即報すること。

大規模な被害発生が危惧される地域を管轄する警察署については、道路の冠水や土砂崩れ等の被害状況、停電、警察施設の損壊等を即報すること。

(3) 映像による被災状況等の実態把握

映像情報は、被害の現状を把握する上で非常に重要な要素となることを認識し、ヘリコプターテレビシステム、モバイル、高度警察情報通信基盤システム(PⅢ)等の活用により映像を早期に収集するとともに、迅速な情報共有及び対応に努めること。

(4) 自治体等との情報共有

リエゾン業務の内容及び重要性を十分理解した幹部を指定・派遣し、関係機関に対して情報共有について積極的に働きかけること。

市町村等にリエゾンを派遣した場合は、自治体の相談窓口、消防団、町内会、避難所等を通じて把握された連絡の取れなくなった者等に関して積極的な情報収集と適時の報告を行わせること。

(5) 安全対策の徹底

ア 現場活動時における安全対策

現場での災害警備活動に当たっては、土砂災害等の二次災害の発生のおそれが高いことから、安全管理を徹底するとともに、防災気象情報等にも留意し、各種事故防止に万全を期すること。

イ 災害対応における感染防止対策

(ア) 災害警備本部等における感染防止対策

災害警備本部等を設置する際は、従事者の健康管理を徹底するとともに、必要に応じて、透明アクリル板・ビニールシート等の設置、手洗い・手指消毒、マスクの着用等を行うこと。

(イ) 部隊活動における感染防止対策

部隊活動の際は、活動エリアを細分化するなどして部隊間の接触を回避するとともに、感染防止に配慮した宿営地の選定、消毒等の徹底、感染防護資機材の適切な使用に配意すること。

(6) 災害警備活動の積極的な広報

ア 広報の重要性を理解した適切な対応

災害現場における災害警備活動について、積極的かつ効果的な広報を実施することの重要性を理解すること。

反響が大きいと思料される案件や報道対応等については、災害警備本部等への事前報告や調整を行うこと。

イ 広報における配意事項

各種現場における警察活動の状況については、プライバシーの保護に留意しつつ現場写真等を撮影することに努め、撮影日時・場所等の確実な資料化措置を講じるとともに、遅滞なく災害警備本部等に送付し、広報への積極的な活用を検討すること。

4 報告

各署に対する管内の実態把握及び災害発生時の報告要領については、別途連絡することとする。

梅雨期及び台風期における災害警備態勢の強化について(依命通達)

令和5年6月1日 達(災対)第244号

(令和5年6月1日施行)

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