○福島県警察被害者連絡実施要領の制定について(通達)

令和5年7月31日

達(刑総、県サ、生企、少対、地企、捜一、組対、交企、交指、公)第299号

[原議保存期間 5年(令和11年3月31日まで)]

[有効期間 令和11年3月31日まで]

対号 令和4年3月1日付け達(刑総)第79号「被害者連絡実施状況の報告要領について」

みだし要領を別紙のとおり制定し、令和5年7月31日から施行することとしたので、確実に被害者連絡が実施されるよう努められたい。

なお、福島県警察被害者連絡実施要領の制定について(平成19年5月28日付け達(刑総、県サ、少、生環、地企、捜一、組対、交指、高速、公)第200号)及び被害者等に対する適切な説明の実施について(平成21年3月31日付け達(刑総、務、県サ、少、生環、地企、捜一、組対、交指、高速、公)第144号)は、廃止する。

別紙

福島県警察被害者連絡実施要領

第1 目的

この要領は、身体犯又は重大な交通事故事件及び本部長又は署長が必要と認める事件(触法少年事件を含む。以下「対象事件」という。)の被害者及びその家族又は遺族に対し、捜査状況等についての確実な連絡を期するため、連絡内容、連絡に係る体制等について定めることを目的とする。

第2 連絡対象者

1 連絡対象者は、対象事件の被害者とする。ただし、被害者が18歳未満の場合は原則としてその保護者に、被害者が死亡等により連絡できない状況にある場合はその家族又は遺族に連絡するものとする。

2 身体犯とは、次に掲げる罪に当たる違法な行為をいう(未遂罪の規定があるものは未遂を含む。)。

(1) 殺人罪(刑法(明治40年法律第45号)第199条)

(2) 強盗致死傷罪(刑法第240条)

(3) 強盗・不同意性交等罪及び同致死罪(刑法第241条)

(4) 不同意性交等罪(刑法第177条)

(5) 不同意わいせつ罪(刑法第176条)

(6) 監護者わいせつ罪及び監護者性交等罪(刑法第179条)

(7) 不同意わいせつ等致死傷罪(刑法第181条)

(8) 未成年者略取及び誘拐罪(刑法第224条)

(9) 営利目的等略取及び誘拐罪(刑法第225条)

(10) 身の代金目的略取及び誘拐罪(刑法第225条の2)

(11) 所在国外移送目的略取及び誘拐罪(刑法第226条)

(12) 人身売買罪(刑法第226条の2)

(13) 逮捕及び監禁罪(刑法第220条)

(14) 逮捕等致死傷罪(刑法第221条)

(15) 傷害致死罪(刑法第205条)

(16) 傷害罪(刑法第204条)のうち、被害者が全治1か月以上の傷害を負ったもの

(17) 前各号の罪以外で、致死傷を結果とする結果的加重犯において、致死の結果が生じたもの又は致傷の結果が生じたもののうち被害者が全治1か月以上の傷害を負ったもの(交通事故事件に係るものを除く。)

3 重大な交通事故事件とは、次に掲げる交通事故事件をいう。

(1) 死亡ひき逃げ事件

車両等の交通により人が死亡した場合において、道路交通法(昭和35年法律第105号)第72条第1項前段に規定する措置を講じなかった違反に係る事件

(2) ひき逃げ事件

車両等の交通により人が傷害を負った場合において、道路交通法第72条第1項前段に規定する措置を講じなかった違反に係る事件

(3) 交通死亡事故等

(1)及び(2)のほか、車両等の交通による人の死亡があった事故及び人が全治3か月以上の傷害を負った事故

(4) 危険運転致死傷罪等に該当する事件

(1)から(3)までのほか、危険運転致死傷罪(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(平成25年法律第86号)第2条及び第3条)、無免許危険運転致傷罪(同法第6条第1項)及び無免許危険運転致死傷罪(同法第6条第2項)に該当する事件

第3 連絡体制等

連絡は、原則として、被害が発生した場所を管轄する所属(以下「被害発生所属」という。)が担当するものとし、体制は次のとおりとする。

1 所属長

所属長は、署にあっては対象事件の捜査を担当する課長を、本部所属にあっては警部以上の者を被害者連絡責任者(以下「連絡責任者」という。)に指定するとともに、連絡の実施状況を把握し、連絡が確実に行われるように必要な措置を講ずるものとする。

また、所属長は、連絡責任者等の指定状況を被害者連絡体制指定簿(様式第1号)に記載するものとする。

2 連絡責任者

連絡責任者は、原則として、当該事件の捜査を担当し、連絡対象者から事情聴取を行う捜査員(触法少年事件に携わる警察職員を含む。)を連絡担当者に指定するとともに、連絡の実施状況を把握し、連絡が確実に行われるように必要な措置を講ずるものとする。

また、身体犯に係る連絡対象者が地域警察官による訪問・連絡活動(以下「訪問活動等」という。)を希望した場合は、当該連絡対象者の住居地を管轄する署の署長の承認を得た上で、当該署の地域課長、地域交通課長、地域課長代理、地域交通課長代理(以下「地域課長等」という。)に被害者連絡経過票(様式第2号)の写しを交付するなどして訪問活動等を依頼するものとする。

さらに、身体犯の対象事件を認知したとき及び連絡対象者が犯罪被害者等給付金の支給申請を要望したときは、署の犯罪被害者等支援を担当する課にその旨を連絡するものとする。

3 連絡担当者

連絡担当者は、自所属の犯罪被害者等支援を担当する係員と緊密に連携するなどして、本要領に基づき連絡を確実に行うものとする。

4 訪問責任者

2により連絡責任者から訪問活動等の依頼を受けた地域課長等を訪問責任者とする。

訪問責任者は、原則として、連絡対象者の住居地を巡回連絡の受持区とする地域警察官を訪問担当者に指定するとともに、訪問活動等の実施状況を把握し、訪問活動等が確実に行われるように必要な措置を講ずるものとする。

また、訪問活動等の実施の都度、連絡責任者にその旨を連絡するとともに、関係する書面を送付するなど緊密な連携に努めるものとする。

5 訪問担当者

訪問担当者は、第5の規定に基づき訪問活動等を担当し、訪問活動等を行った場合は、原則として、被害者連絡経過票の写しの経過欄に実施結果を記載し、訪問責任者に報告するものとする。

第4 連絡

連絡は、連絡担当者が、連絡対象者に対して課係及び氏名を教示した上、原則として、面接、架電等の方法により、次に掲げる項目について行うものとする。

1 刑事手続及び犯罪被害者のための制度

事件の認知時等、捜査の初期段階において、「被害者の手引」を配布した上で、刑事手続及び犯罪被害者のための制度についての連絡を行うものとする。

2 捜査状況(検挙した場合を除く。)

(1) 身体犯の場合

ア 被害者死亡事件

発生又は認知(以下「発生等」という。)から、おおむね2か月、6か月及び1年を経過した時点で被疑者の検挙に至っていない場合は、捜査に支障のない範囲内での捜査状況の連絡を行い、それ以降は、原則として、少なくとも1年に1度、定期的な連絡を行うものとする。

イ ア以外の身体犯

発生等から、おおむね2か月を経過した時点で被疑者の検挙に至っていない場合は、捜査に支障のない範囲内での捜査状況の連絡を行い、それ以降は、連絡対象者の意向、事案の内容等を総合的に勘案して必要により連絡を行うものとする。

(2) 重大な交通事故事件の場合

ア 死亡ひき逃げ事件

発生等から、おおむね2週間、2か月、6か月及び1年を経過した時点で被疑者の検挙に至っていない場合は、捜査に支障のない範囲内での捜査状況の連絡を行い、それ以降は、原則として、少なくとも1年に1度、定期的な連絡を行うものとする。

イ ひき逃げ事件

発生等から、おおむね2週間を経過した時点で被疑者の検挙に至っていない場合は、捜査に支障のない範囲内での捜査状況の連絡を行い、それ以降は、連絡対象者の意向、事案の内容等を総合的に勘案して必要により連絡を行うものとする。

ウ 交通死亡事故等及び危険運転致死傷罪等に該当する事件

発生等から、おおむね1か月を経過した時点で被疑者の送致に至っていない場合は、捜査に支障のない範囲内での捜査状況の連絡を行い、それ以降は、連絡対象者の意向、事案の内容等を総合的に勘案して必要により連絡を行うものとする。

3 検挙状況

被疑者を逮捕又は送致(触法少年事件における児童相談所への送致又は通告を含む。)した場合は、速やかに(ただし、検挙状況について広報するときは、広報前に)その旨、被疑者の人定、事件を担当する検察官(検察官に送致した場合に限る。)その他必要と認められる事項について連絡を行うものとする。

なお、被疑者が犯罪少年の場合で、連絡対象者に被疑者の人定その他必要と認められる事項を連絡することにより被疑者の健全育成を害するおそれがあると認められるとき又は被疑者が触法少年のときは、被疑者に代えてその保護者の人定等を連絡するものとする(この場合は、連絡後速やかに当該保護者に対してもその旨を連絡するものとする。)。

また、連絡対象者に再犯の可能性が認められる身体犯の被疑者を逮捕した場合で送致する前に釈放するなどしたときは、速やかにその旨及び理由について連絡するものとする。

4 処分状況

処分結果(起訴、不起訴等)が判明次第速やかに、処分結果その他必要と認められる事項について連絡するものとする。

第5 訪問活動等

訪問活動等は、原則として、訪問担当者が、訪問活動等を希望した連絡対象者の住居地を訪問し、課係及び氏名を教示した上で面接により行うものとし、被害回復、被害拡大防止等に関する情報の提供、防犯指導等を行うほか、警察に対する要望、苦情、相談等を聴取するものとする。

なお、原則として、連絡責任者から訪問責任者への依頼から1週間以内に初回の訪問活動等を行い、それ以降は1か月に1回程度行うものとする。ただし、初回からおおむね2か月間を経過した時点で連絡対象者の意思を確認し、連絡対象者の同意が得られた場合には、当該連絡対象者に係る連絡を担当する所属長が訪問活動等を打ち切ることを判断するものとする。

第6 簿冊の管理等

1 簿冊の備付け

所属長は、次の簿冊を備え付け、その状況等を明確にしておくものとする。

(1) 被害者連絡体制指定簿

(2) 被害者連絡経過票保管簿

2 被害者連絡経過票の作成管理

(1) 連絡担当者は、連絡を行ったときは、被害者連絡経過票を作成し、以後の経過について記載するとともに、記載の都度、連絡責任者を経由して所属長に報告するものとする。

(2) 身体犯の被害者死亡事件、死亡ひき逃げ事件で定期的な連絡を要する事件については、被害者連絡経過票管理表(様式第3号)を作成し、被害者連絡経過票とともに保管するものとする。

第7 留意事項

1 連絡等に関する配意事項

(1) 被害発生所属と被疑者検挙所属が異なる場合の取扱い

被害発生所属と被疑者を検挙した所属(以下「被疑者検挙所属」という。)が異なる場合は、被害発生所属と被疑者検挙所属は連携を密にし、確実な連絡の実施に努めるものとする。

(2) 連絡対象者及びその関係者の素行、言動等により、これらの者による被疑者への報復の可能性が認められるなど、連絡及び訪問活動等(以下「連絡等」という。)を行うことが適当でないと認められる場合には、連絡等を行わないものとする。

(3) 暴力団犯罪の被害者への連絡については、保護対策実施要綱(令和4年12月13日付け達(組対)第532号)に基づく保護対策の実施との調整を図るものとする。

(4) 連絡等の際には、連絡対象者に対して、被疑者(触法少年を含む。)及びその保護者(被疑者が少年の場合に限る。)のプライバシーの重要性について説明を行い、当該被疑者等のプライバシーに関する紛議事案が起こることのないよう配意するものとする。特に、少年事件の場合には、少年の健全育成の重要性について説明を行うとともに、触法少年事件の場合には、少年法(昭和23年法律第168号)及び児童福祉法(昭和23年法律第164号)の趣旨や刑法第41条による犯罪の不成立等についても説明を行い、少年の健全育成についての十分な配慮を行うものとする。

2 連絡対象者からの説明要望に対する組織的対応

(1) 連絡担当者等に対して説明事項等を求められた場合

ア 連絡対象者から刑事手続等について説明を求められた場合は、連絡担当者が適切に行うこと。

イ 連絡担当者及び訪問担当者(以下「連絡担当者等」という。)は、連絡対象者から説明要望事項等を聴取した結果、それが複雑な擬律判断に係る説明要望である場合、捜査結果等に対して連絡対象者の理解が十分得られておらず組織的な対応が必要と認められる場合その他必要があると認められる場合は、説明要望事項及びそれに対する対応方針等について所属長の指揮を受け、改めて連絡対象者に説明を行うこと。

なお、連絡対象者からの説明要望事項の内容等を勘案し必要があると認められる場合は、連絡責任者が説明を行うとともに、説明は可能な限り面談により行うよう努めること。

ウ 交通事故事件の連絡対象者から被害者連絡における説明内容及び説明方法について要望、意見が申し立てられるなど交通指導課において組織的な対応が必要な事案については、交通事故に係る被害者対策の一層の推進について(平成31年3月14日付け達(交指)第102号)により設置された被害者連絡調整官との連携を図った上で対応すること。

(2) 連絡担当者等不在時に説明要望等を求められた場合

連絡担当者等不在時に説明要望等を求められた場合は、連絡責任者、訪問責任者その他連絡対象者に対する説明を行うことが適当と認められる者が対応をとった上、被害者連絡経過票等を作成すること。

なお、対応をとることができない場合は、説明を求めてきた連絡対象者に対し、連絡担当者等による対応は困難であり改めてこちらから連絡する旨を丁寧に説明して理解を得るとともに、被害者連絡経過票を作成するなどして連絡担当者等に確実に引き継ぐこと。

3 関係機関・団体への引継ぎ

連絡対象者が説明を求めてくる事項の中には、起訴罪名に関する疑問や、刑事裁判への被害者参加制度、被害者国選弁護制度の具体的運用に関すること等、他機関・団体の判断により決せられ、警察が責任を持って説明することが難しいものもあると考えられるが、このような事項について警察で説明を行うと、連絡対象者に誤った情報を教示したり、誤解を与えたりすることにもなりかねないことから、このような事項について説明を求められた場合は、丁寧に説明した上で、検察庁等当該事項について責任を持って説明することができる適切な機関・団体に引継ぎを行うこと。

なお、その際には、単に当該機関・団体の名称及び連絡先を教示するだけではなく、当該機関・団体に警察から連絡を行うなど確実な引継ぎがなされるようにすること。

第8 実施状況の報告

署及び本部所属における被害者連絡の実施状況については、定期的に刑事総務課に報告するものとする。

なお、報告の時期、要領等については別に定めるものとする。

様式第1号(第3関係)

 略

様式第2号(第3、第6関係)

 略

様式第3号(第6関係)

 略

福島県警察被害者連絡実施要領の制定について(通達)

令和5年7月31日 達(刑総、県サ、生企、少対、地企、捜一、組対、交企、交指、公)第299号

(令和5年7月31日施行)

体系情報
刑事部
沿革情報
令和5年7月31日 達(刑総、県サ、生企、少対、地企、捜一、組対、交企、交指、公)第299号