○精神に障害を有する被疑者の留置等に関する留意事項について(依命通達)

令和5年8月1日

達(刑総、留管、生企)第304号

[原議保存期間 5年(令和11年3月31日まで)]

[有効期間 令和11年3月31日まで]

みだしのことについて、次のとおり定め、令和5年8月1日から施行することとしたので、適正に対応されたい。

1 適切な留置の要否の判断

被疑者の留置の要否の判断については、犯罪捜査規範(昭和32年国家公安委員会規則第2号)第130条第4項において、「その事案の軽重及び態様並びに逃亡、罪証隠滅、通謀等捜査上の支障の有無並びに被疑者の年齢、境遇、健康その他諸般の状況を考慮しなければならない。」と規定されている。署長は、逮捕した被疑者が、精神に障害を有すると認められる場合は、精神の障害の程度や状態、被疑者の病院への入院の可否等を踏まえ、留置の要否の判断を適切に行うこと。

ただし、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(平成15年法律第110号。以下「医療観察法」という。)第2条に規定する対象行為の被疑者については、同法第33条の検察官による申立ても踏まえ、検察官との連携を緊密にして対応すること。

2 適切な警察官通報等

法第23条に基づく通報(以下「警察官通報」という。)については、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第23条に基づく通報の適切な運用等について(令和3年12月9日付け達(生企、刑総)第399号)に基づく対応に加えて、逮捕した被疑者が、法第23条に規定する「異常な挙動その他周囲の事情から判断して、精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認められる状態」に至った場合においては、法第24条に基づく通報(以下「検察官通報」という。)の有無等にかかわらず、留置主任官、捜査主任官及び保護主任者に報告を行い、速やかに警察官通報を行うなど、適切に対応すること。

なお、送致後に警察官通報する場合は、原則として通報前に検察官へ連絡すること(通報前に検察官へ連絡できなかった場合は、通報後速やかに連絡すること。)

ただし、前記1と同様、医療観察法第2条に規定する対象行為の被疑者については、検察官との連携を特に緊密にして対応すること。

3 検察官との緊密な連携

捜査主任官等の捜査幹部は、前記1、2に加えて、勾留された被疑者の精神状態等を踏まえ、いわゆる簡易鑑定を省略した可及的速やかな検察官通報や勾留満期日に限定しない措置入院を依頼するなど、検察官通報や措置入院についても、検察官との連携を緊密にすること。

4 関係機関等との連携の推進

警察官通報等から措置入院までの対応方針、困難事例への対応の在り方等について、自治体、精神科医療機関、福祉関係者、警察等の協議の場が設置される場合には、警察本部の関係所属が中心となって主体的に協議に加わり、警察としての意見を申し入れるなど、必要に応じ、警察官通報や措置入院について関係機関等との連携を推進すること。

精神に障害を有する被疑者の留置等に関する留意事項について(依命通達)

令和5年8月1日 達(刑総、留管、生企)第304号

(令和5年8月1日施行)

体系情報
刑事部
沿革情報
令和5年8月1日 達(刑総、留管、生企)第304号