○「第六次薬物乱用防止五か年戦略」について(通達)
令和5年11月21日
達(組対、少対)第414号
[原議保存期間 5年(令和11年3月31日まで)]
[有効期間 令和11年3月31日まで]
みだしのことについては、新戦略を策定し、令和5年11月21日から施行することとしたので、周知徹底を図り、同戦略に沿った諸施策の推進に努められたい。
なお、「第五次薬物乱用防止五か年戦略」について(平成30年10月19日付け達(組対、少、生環)第289号)は、廃止する。
記
1 趣旨
薬物乱用防止に関する各種施策については、平成30年8月に政府の薬物乱用対策推進会議において策定された「第五次薬物乱用防止五か年戦略」に基づき推進してきたところであるが、令和4年の全国における覚醒剤事犯の検挙人員は6,289人にまで減少したものの、全薬物事犯の検挙人員を見ると、大麻事犯の急激な増加等により、この10年間で1万4,000人前後の横ばい状態であり、引き続き予断を許さない状況にある。
本県においては、覚醒剤事犯の検挙人員は昨年の約半数となる46人にまで減少している一方、大麻事犯の検挙人員は過去最多となる29人となっており、依然として薬物が蔓延する危険性が憂慮される状況に変わりはないことから、令和5年8月8日に薬物乱用対策推進会議において策定された「第六次薬物乱用防止五か年戦略」に基づいた新戦略により、引き続き、薬物乱用防止に向けた諸対策を推進するものである。
2 戦略目標
(1) 目標1
青少年を中心とした広報・啓発を通じた国民全体の規範意識の向上による薬物乱用未然防止
ア 薬物乱用防止教室の効果的な実施
イ 有職・無職少年に対する啓発の強化
ウ 各種広報媒体による広報活動の強化
(2) 目標2
薬物乱用者に対する効果的な社会復帰支援による再乱用防止
ア 再犯防止に資する情報提供の促進
イ 少年に手を差し伸べる立ち直り支援活動の推進
(3) 目標3
薬物密売組織の壊滅、薬物乱用者に対する取締りの徹底及び多様化する乱用薬物等に対する迅速な対応による薬物の流通阻止
ア 暴力団等の薬物密売組織対策の推進
イ 薬物犯罪収益対策の推進
ウ 巧妙化・潜在化する密売事犯への対応
エ 薬物乱用者に対する取締りの徹底
(4) 目標4
水際対策の徹底による薬物の密輸入阻止
ア 事件等を通じた情報収集の促進
イ 暴力団等と海外密輸組織の結節点の解明
ウ 水際監視対策協力員等との連携強化
3 推進事項
別紙「第六次薬物乱用防止五か年戦略目標推進事項」のとおり
4 その他
新戦略に基づく具体的実施要領等については、別に定める。
別紙
第六次薬物乱用防止五か年戦略目標推進事項
戦略目標 | 推進事項 |
目標1 青少年を中心とした広報・啓発を通じた国民全体の規範意識の向上による薬物乱用未然防止 | 1 薬物乱用防止教室の効果的な実施 県内の小・中・高校、専門学校、大学等において、各年代に応じた分かりやすい薬物乱用防止教室を開催するとともに、薬物乱用防止広報車を活用し、視覚的教材を用いた効果的な広報活動を推進する。 2 有職・無職少年に対する啓発の強化 少年相談、街頭補導等の少年警察活動の機会を通じて、薬物の危険性や依存性など有害性について指導する。 3 各種広報媒体による広報活動の強化 デジタルツールを含む各種広報媒体を活用して薬物乱用防止に関する記事を掲載するとともに、広報用チラシの配布、ポスターの掲示、ラジオ広報等による広報活動を推進する。 |
目標2 薬物乱用者に対する効果的な社会復帰支援による再乱用防止 | 1 再犯防止に資する情報提供の促進 薬物乱用事犯者で、即決裁判手続の対象となる者その他執行猶予付き判決が見込まれる者等に対し、必要に応じて面接を行い、薬物再乱用防止パンフレットを活用するなどして再犯防止に資する情報の提供を行う。 2 少年に手を差し伸べる立ち直り支援活動の推進 薬物の非行歴を有する支援対象少年に対して、少年及び保護者と継続的に連絡を取り、就学・就労支援や社会参加活動等への参加を促すなど、個々の少年の状況に応じた立ち直り支援活動を推進する。 |
目標3 薬物密売組織の壊滅、薬物乱用者に対する取締りの徹底及び多様化する乱用薬物等に対する迅速な対応による薬物の流通阻止 | 1 暴力団等の薬物密売組織対策の推進 (1) 薬物密売に関わる暴力団等に係る情報を集約・分析して取締りに活用するとともに、末端乱用者からの突き上げ捜査等により暴力団等の薬物密売組織による薬物密売の実態を解明し、首領、幹部等の中枢に位置する者の検挙を推進する。 (2) 暴力団等が大麻を重要な資金源と見て大麻事犯への関与を強めていることを念頭に、組織的な大麻栽培や密売等の大麻事犯の取締りを徹底する。 2 薬物犯罪収益対策の推進 (1) 薬物犯罪収益等に係る実態解明を推進して、薬物犯罪収益等の隠匿・収受行為の発見に努める。 (2) 麻薬特例法の薬物犯罪収益等の隠匿・収受罪及び没収保全命令・追徴保全命令を適用し、組織の資金基盤に打撃を与える。 (3) 薬物犯罪収益に関する税務当局への課税通報を実施し、犯罪収益の剥奪を強化する。 3 巧妙化・潜在化する密売事犯への対応 (1) インターネット・ホットラインセンター(IHC)等からの通報及びサイバーパトロールにより、薬物密売に関する違反情報の収集を推進する。 (2) 通常の捜査手法のみにとらわれることなく、コントロールド・デリバリー捜査、通信傍受といった密売事犯の取締りに有効な捜査手法を積極的に活用する。 4 薬物乱用者に対する取締りの徹底 (1) 薬物乱用の傾向等を分析し、末端乱用者に対する取締りを徹底するとともに、薬物乱用をほう助する大麻種子や注射器の不正販売者等の取締りを推進する。 (2) 大麻事犯等の乱用拡大が懸念される薬物事犯を対象として、より重点的に取締りを実施して需要の根絶を図る。 |
目標4 水際対策の徹底による薬物の密輸入阻止 | 1 事件等を通じた情報収集の促進 検挙被疑者の突き上げ捜査等による核心をついた密輸情報の入手に努める。 2 暴力団等と海外密輸組織の結節点の解明 関係機関と連携の上、捜査等を通じて入手した情報を分析し、暴力団等と海外密輸組織の結節点を解明する。 3 水際監視対策協力員等との連携強化 水際監視対策協力員をはじめ、税関、入国管理局、海上保安庁といった関係機関等との連携を強化し、薬物の密輸入等に関する情報収集及び取締りを推進する。 |