○犯罪被害者等給付金の支給裁定に係る事務取扱要領の制定について(通達)

平成20年7月25日

達(県サ)第308号

みだし要領を別紙のとおり制定し、平成20年8月1日から施行することとしたので、適正な運用に努められたい。

なお、犯罪被害者等給付金の支給裁定に係る事務取扱要領(平成18年8月30日達(総相)第291号。以下「旧要領」という。)は廃止する。

1 制定の趣旨

旧要領は、平成18年9月1日施行以来、迅速かつ的確な給付金支給裁定事務を推進するため運用してきたところであるが、このたび、犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律(昭和55年法律第36号)、犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律施行令(昭和55年政令第287号)及び犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律施行規則(昭和55年国家公安委員会規則第6号)の一部改正に伴い、旧要領を見直し、新たに本要領を制定するものである。

2 見直しの要点

(1) 法律、政令及び規則の題名の改正

ア 「犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律」を「犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律」に改めた。

イ 「犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律施行令」を「犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律施行令」に改めた。

ウ 「犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律施行規則」を「犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律施行規則」に改めた。

(2) 重傷病給付金の額の加算

重傷病の療養のため休業した場合には、重傷病給付金(現行は医療費の自己負担分)に、休業損害を考慮した額が加算されることとした。

(3) 遺族給付金及び障害給付金の拡充

ア 重度後遺障害者(障害等級1~3級)に対する障害給付金の引上げ

イ 生計維持関係のある遺族に対する遺族給付金の引上げ

(4) 重傷病給付金に係る申請特例の創設

やむを得ない理由により申請できなかった時は、理由のやんだ日から6月以内に申請できることとした。

別紙

犯罪被害者等給付金の支給裁定に係る事務取扱要領

第1 趣旨

この要領は、犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律(昭和55年法律第36号。以下「法」という。)、犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律施行令(昭和55年政令第287号。以下「政令」という。)、犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律施行規則(昭和55年国家公安委員会規則第6号。以下「規則」という。)その他関係規程に定めるもののほか、犯罪被害者等給付金の支給裁定事務の適正、迅速な処理を図るため、必要な事項を定めるものとする。

第2 事務取扱上の心構え

犯罪被害給付制度は、故意の犯罪行為により不慮の死を遂げた方の遺族、身体に重大な負傷又は疾病を負った被害者及び障害が残った被害者(以下「被害者等」という。)が、精神的、経済的に十分な救済措置がなされない現状を、国が被害者等に対して、社会の連帯共助の精神に基づき給付金を支給することにより早期に救済しようとする制度であることから、次の点に配意して、趣旨が十分機能するよう積極的な運用に努めること。

1 給付金支給裁定事務は、被害者等の給付金の支給を受ける権利に関するもので、県民の利害に直接関わるものであることから、犯罪被害者等給付金の支給対象事件と認められる事案(以下「犯罪被害給付対象事案」という。)を認知した場合は、徹底した関係資料の収集及び調査に努め、適正な事務処理が行われるように留意すること。

2 給付金支給の裁定は、福島県公安委員会の法定受託事務であり、福島県警察はその事務を補佐する立場にあることから、制度の趣旨を正しく理解し、事務処理が適正に行われるよう関係法令の習熟に努めるものとする。

第3 犯罪被害者等給付金の種類等

法に定める犯罪被害者等給付金の種類、給付金の支給対象となる場合は、別表のとおりである。

第4 犯罪被害給付対象事案の発生報告

署長及び高速隊長(以下「署長等」という。)は、犯罪被害給付対象事案を取り扱ったときは、被害者等からの給付金支給裁定に関する相談の有無にかかわらず、速やかに、犯罪被害給付対象事案発生報告書(様式第1号)に関係資料の写しを添えて、県民サービス課長に報告するものとする。

第5 犯罪被害給付対象事案発生時の他の都道府県への通報

県民サービス課長は、報告を受けた犯罪被害給付対象事案の被害者等が、他の都道府県の居住者であるときは、速やかに、被害者等の住所地を管轄する都道府県公安委員会に、関係資料の写しを添えて通報するものとする。

第6 給付金支給裁定申請書の交付等

1 署長等は、遺族給付金、重傷病給付金又は障害給付金の支給を受けようとする者及びその代理人(以下「申請者」という。)が来庁したときは、犯罪被害者等給付金支給裁定申請書交付申込書(様式第2号)を記載させ、後日、県民サービス課から申請書を交付する旨を申請者に説明の上、速やかに様式第2号を県民サービス課長に送付するものとする。

2 県民サービス課長は、申請者の利便をはかる方法で当該申請者に対し、給付金の種類に応じた給付金支給裁定申請書(規則様式第1号から規則様式第3号。以下「裁定申請書」という。)を交付するものとする。

第7 裁定申請書の受付等

1 県民サービス課長は、第5を除き、申請者から遺族給付金、重傷病給付金又は障害給付金に係る裁定申請書を受け付けたときは、記載事項及び添付書類を確認するものとする。

2 署等において、申請者から裁定申請書の提出があったときは、署長等は、記載事項及び添付書類を確認の上、裁定申請書を速やかに県民サービス課長に送付するものとする。

3 県民サービス課長は、裁定申請書を受け付けたときは、県民サービス課で管理する犯罪被害給付処理簿に登載し、速やかに、警察庁で定める犯罪被害者等給付金支給裁定申請受付書により、警察庁長官官房給与厚生課長(以下「給与厚生課長」という。)に報告するものとする。

第8 公安委員会への報告

県民サービス課長は、申請者から裁定申請書を受け付けたときは、福島県公安委員会(以下「公安委員会」という。)に報告するものとする。ただし、受付した事案の調査期間が警察庁で示す処理期間内に裁定案の作成が見込まれる場合等においては、本部長へ報告し、早急に調査等の事務に移行するものとする。

第9 調査等

1 県民サービス課長は、裁定申請書を受け付けたときは、裁定に必要な資料の収集及び調査(以下「調査等」という。)を行うものとする。

2 県民サービス課長が調査等を行うときは、署長等は、事件記録の複写を始めとする調査等について協力しなければならない。また、照会に対しては警察庁で定めるところにより回答するものとする。

第10 裁定案の作成及び協議

1 県民サービス課長は、裁定のための調査等により収集した資料に基づき、給付金支給裁定申請に係る裁定(仮給付の決定を含む。以下同じ。)案を作成し、本部長に報告するものとする。

2 県民サービス課長は、裁定案を作成するに当たり、裁定に関する事務処理の適正を確保するため、当該裁定案に係る事件主管課長と協議するものとする。

第11 公安委員会への提案及び裁定結果の通知

1 県民サービス課長は、作成した裁定案について、公安委員会に提案して裁定を受けなければならない。

2 県民サービス課長は、公安委員会の裁定結果を、犯罪被害者等給付金支給裁定通知書(規則様式第4号)により、申請者に通知するものとする。

第12 裁定申請却下の手続及び通知

1 県民サービス課長は、申請者が給付金支給裁定申請に係る調査等に協力しないため、適正な裁定を行うことができないと認められるときは、本部長に報告し、裁定申請却下案を公安委員会に提出して決裁を受けるものとする。この場合において、県民サービス課長は、公安委員会の決裁を受ける前に給与厚生課長と協議するものとする。

2 県民サービス課長は、法第13条第3項の規定により申請を却下したときは、犯罪被害者等給付金支給裁定申請却下通知書(規則様式第5号)により通知するものとする。

第13 仮給付金支給決定の手続及び通知

1 県民サービス課長は、申請者の給付金支給裁定申請に係る事案が、犯人が不明であるなど、速やかに給付金の裁定を行うことができない事情があると認められるとき、あるいは重傷病給付金に係る重傷病が治癒又はその症状が固定する前であっても、仮給付裁定案を作成して本部長に報告し、公安委員会に提案して仮給付金支給決定を受けるものとする。この場合において、県民サービス課長は公安委員会の決定を受ける前に給与厚生課長と協議するものとする。

2 県民サービス課長は、法第12条第1項の規定により仮給付金の支給決定をしたときは、仮給付金支給決定通知書(規則様式第6号)により通知するものとする。

第14 犯罪被害者給付金支払請求書又は仮給付金支払請求書の交付

県民サービス課長は、前記第11及び第13による申請者に対する犯罪被害者等給付金支給裁定通知書又は仮給付金支給決定通知書による通知に際し、併せて犯罪被害者等給付金支払請求書又は仮給付金支払請求書(規則様式第7号)を交付するものとする。

第15 裁定結果等の報告

県民サービス課長は、公安委員会の裁定の結果又は裁定申請却下について、警察庁で定めるところにより、直ちに給与厚生課長に報告するものとする。

第16 取扱事案の管理

県民サービス課長は、犯罪被害者等給付金の申請事案について、警察庁で定めるところにより給付金支給裁定事務手続に係る処理経過を記録して、事務の適正と管理を図るものとする。

第17 関係書類の保存

1 県民サービス課長は、犯罪被害者等給付金に関する書類について、規則で定めるところにより、完結の日から5年間保存しなければならない。ただし、裁定が行われた事案について、将来、当該裁定に係る申請者以外の者から改めて裁定申請が行われる可能性のある事案については、警察庁で定めるところにより当該犯罪被害が発生した日から7年間当該関係書類を保管するものとする。

2 署長等は、「犯罪被害給付制度関係」簿冊を備え付け、県民サービス課長に報告した犯罪被害給付対象事案発生報告書(様式第1号)及び申請者から提出を受けた犯罪被害者等給付金支給裁定申請書交付申込書(様式第2号)等について確実に保管し、適正な管理を図るものとする。

第18 制度の広報及び教示の徹底

1 県民サービス課長、署長等は、警察施設その他の公共の施設等に広報用ポスター等を掲示し、又は部内外の広報資料等に本制度を掲載するなどの広報により本制度の周知を図り、被害者等からの自主的な申請の促進を図るものとする。

2 県民サービス課長、署長等は、受付事務を担当する職員が申請者に対して十分な教示を行うことができるよう、その指導・教養の徹底を図るものとする。

第19 その他

この要領に定めるもののほか、犯罪被害者等給付金支給裁定事務の運営について必要あるときは、その都度、別に定めるものとする。

別表

種類

要件

支給対象者

給付金額

遺族給付金

加害者からの故意の犯罪行為により、不慮の死を遂げた場合

第一順位遺族

その範囲と順位は、

1 被害者の①配偶者(内縁関係を含む。)

2 被害者収入による生計維持に関係のある②子③父母④孫⑤祖父母⑥兄弟姉妹

3 生計の維持に関係のない⑦子⑧父母⑨孫⑩祖父母⑪兄弟姉妹

一定の生計維持関係遺族がいる場合

2,964.5万円~872.1万円

それ以外の場合

1,210万円~320万円

(第一順位遺族が二人以上いるときは、その人数で除した額)

重傷病給付金

加害者からの故意の犯罪行為により、重傷病(加療1か月以上、かつ、入院3日以上を要する負傷又は精神疾患である場合は加療1か月以上、かつ、3日以上労務に服することができない程度の症状であること。)を負った場合

重傷病被害を負った被害者本人

上限額 120万円

(3年間における保険診療による医療費の自己負担分と休業損害を考慮した額を合算した額)

障害給付金

加害者からの故意の犯罪行為により、重傷病被害を負い、負傷又は疾病が治ったときにおける身体上の障害で、法令に定める障害等級第1級から第14級程度の後遺障害を負った場合

重傷病被害を受け、障害が残った被害者本人

重度の障害(障害等級第1級~第3級)が残った場合

3,974.4万円~1,056万円

それ以外の場合

1,269.6万円~18万円

備考

1 本表は、平成30年4月1日以降発生の事件に適用する。

2 犯罪被害者等給付金の申請は、犯罪行為による死亡、重傷病又は障害の発生を知った日から2年を経過したとき、又は当該死亡、重傷病又は障害が発生した日から7年を経過したときは、することができない。ただし、当該犯罪行為の加害者により身体の自由を不当に拘束されていたことなどのやむを得ない理由により、この期間内に申請することができなかったときは、その理由のやんだ日から6月以内に申請することができる。

様式第1号

 略

様式第2号

 略

犯罪被害者等給付金の支給裁定に係る事務取扱要領の制定について(通達)

平成20年7月25日 達(県サ)第308号

(平成30年4月1日施行)

体系情報
警務部
沿革情報
平成20年7月25日 達(県サ)第308号
平成27年2月12日 達(県サ)第44号
平成30年3月30日 達(県サ)第131号