○「被害者に優しいふくしまの風運動」の推進について(通達)
平成25年3月25日
達(県サ)第112号
みだしのことについては、更なる推進を図るため、次により実施することとしたので、実効が上がるよう努められたい。
記
1 趣旨
「被害者に優しいふくしまの風運動」は、犯罪被害者及びその家族又は遺族(以下「被害者等」という。)の心情に対する県民一人一人の共感を得ることにより、社会全体で被害者等を支えるという気運を醸成し、犯罪や交通事故のない安全で安心な地域社会を実現するため、県警察を挙げて取り組んでいる広報啓発活動である。これらの活動は、被害者等の実情や命の大切さへの理解、規範意識の醸成などに関して聴講者から極めて高い評価を得ているが、県民の被害者支援に対する理解はいまだ十分とはいえないことから、その浸透を図るため、あらゆる機会を活用して本運動を推進するものである。
2 推進事項
被害者等の被害の回復又は軽減には、被害者等を直接対象とする支援施策だけでなく、社会全体で被害者等を思いやり、支えることが必要不可欠であり、そのためには、被害者等の実情を県民一人一人が正しく理解し、共感することが重要である。
福島県においても福島県総合計画ふくしま新生プランにおける政策分野別の主要施策に犯罪被害者の支援に関する取組みを掲げ、福島県一体となって取り組んでいる。
そこで県警察では、公益社団法人ふくしま被害者支援センター、県教育庁等と協力し、犯罪被害の実態、その置かれた厳しい状況、故人に対する被害者遺族の深い愛情等を広く県民に伝えるため、次の事業を行うものとする。
(1) 被害者に優しい人づくり事業
ア 意義
青少年を対象として、被害者等の実情を正しく理解し、共感することにより、命の大切さを考え、自尊意識や規範意識等を育むことを目的とした講演その他の各種広報活動であり、青少年の人格形成に深く根ざした被害者支援意識のかん養を図り、被害者等の個人の尊厳が重んぜられる地域社会の実現に向け、その社会を構築する人材の育成を目指すものである。
イ 活動の重点
県教育庁、市町村教育委員会等の協力を得て、中学校、高等学校、専門学校、大学その他教育機関(以下「学校等」という。)において、学校行事の一環として、被害者等又は警察職員が行う被害者支援に関する講演を「命の大切さを学ぶ授業」(以下「命の授業」という。)として重点的に実施するものとする。
(2) 被害者に優しい地域づくり事業
ア 意義
地域社会を担っている大人を対象として、被害者等の実情を正しく理解し、共感することにより、学校等、地域、職域等における被害者等への配慮の重要性等を認識することを目的とした講演その他の各種広報活動であり、被害者等の日常を取り巻く地域社会の一員に対して被害者等の困難や心情を伝え、被害者支援意識の醸成を図ることで、被害者等の個人の尊厳が重んぜられる地域社会の実現を目指すものである。
イ 活動の重点
学校等、地域、職域等において開催される各種会合、防犯教室、交通安全教室その他の各種講習会に併せて、警察職員が被害者等の手記を朗読するなどしてその心情を伝えるとともに、警察が行う支援施策等を説明する短時間の講演を「被害者に優しい地域づくりミニ講座」(以下「ミニ講座」という。)として重点的に実施するものとする。
3 留意事項
(1) 被害者に優しい人づくり事業
ア 人格形成に重要な時期を迎えている中学生を命の授業の重点対象に位置付け、数年を掛けて県内全中学校での実施を目指すので、市町村教育委員会等と協議の上、長期的な視野で開催校を選定すること。
イ 命の授業における被害者等の講演は、講演者自らのつらい経験を思い出すなどの重い精神的負担と引換えに、聴講者に犯罪被害の悲惨さ、命の大切さ等を伝える貴重で有意義な内容であることから、全校生徒の聴講を働き掛けること。また、その一方で、聴講者にも相応の心理的負担を生じさせることから、学校等、市町村教育委員会等に対して事業の趣旨、効果等を丁寧に説明し、理解と協力が得られるよう努めること。
ウ 作文コンクールへの応募、防犯教室、交通安全教室等との複合開催、道徳教育との連携、被害者支援広報キャンペーンへの参加等を依頼するなど、管内情勢及び学校等の実情を踏まえた工夫に努め、更に効果が上がるよう配意すること。
(2) 被害者に優しい地域づくり事業
ア 被害者等の心情を理解することで二次的被害の防止が図られ、被害者等を支えようという気運の醸成につながるため、聴講者、広報紙の読者等が被害者等の心情を具体的に理解できるよう配意すること。また、警察が行う支援施策を聴講者等が事前に知っておくことは、自身、その家族、友人等が被害者等になった際の一助となることから、公費負担制度、カウンセリング制度等の施策についても説明するよう努めること。
イ ミニ講座は、聴講者の多少、講演時間の長短等にかかわらず、あらゆる機会を活用して実施するよう努めること。
4 その他
実施に当たっての具体的要領等については、別途指示する。