○高齢者対策の推進について(通達)
平成29年9月11日
達(交企、務、生企、地企、刑総、公)第272号
福島県の人口は、平成20年と比較すると約18万3千人減少しているが、高齢者については、逆に約6万9千人増加し、今後更に毎年約1万人ずつの増加が見込まれる状況にある。
このような情勢の中、高齢者に係る取扱いの増加等を踏まえ、県警察では各部門において高齢者対策を推進しているところであるが、当面の治安の維持は高齢者対策の適否によって大きく左右されるものと思料されることから、各部門においては、部門横断的に連携し、下記のとおり高齢者に係る諸対策を推進されたい。
記
1 目的
本対策は、各部門の横断的な連携により高齢者の犯罪被害防止や交通事故防止対策に加え、自治体等と連携した大規模災害等への対応や高齢化率が非常に高い避難指示解除区域の安全・安心の確保を推進するとともに、高齢者自身にボランティア活動等の社会参加を促すことによって、高齢者が安全に暮らせる社会づくりを推進し、福島県の安定した治安の維持を図ることを目的とする。
2 定義
本対策における高齢者とは、65歳以上の者をいう。
3 福島県における人口(高齢者人口)の推移
別表1のとおり
4 重点推進事項
別表2のとおり
5 県警察における対策の基本的な考え方
(1) 各部門の横断的な連携
本対策の目的を踏まえ、高齢者に係る問題、施策等を集約し、各部門の横断的な連携により、重点推進事項を中心として対策を推進すること。
(2) 管内の実態把握
高齢者の人定、居住・生活等実態、健康状態、緊急連絡先等及び高齢者に係る情報の収集に努めること。
(3) 各種分析に基づく効果的な対策
効果的な対策を講じていくためには、高齢者に係る事件事故の特徴及び要因を浮き彫りにし、その実態を的確に把握・分析した上で、効果的な対策を推進すること。
(4) 関係機関・団体等との連携
高齢者対策は、県警察による取組を強化するだけでは達成できないことから、関係機関・団体等との緊密な連携を図りながら対策を推進すること。
(5) 高齢者の特性に応じたきめ細かな対策
高齢者の身体機能及び認知機能の低下には個人差があることから、専門的知識を有する者や高齢者からの意見を参考にするなど、高齢者の特性に応じたきめ細かな対策を推進すること。
別表1
福島県における人口(高齢者人口)の推移
1 福島県の総人口分析
本県の人口は、平成9年(1997年)までは増加傾向にあったが、平成10年(1998年)以降は減少傾向が続いており、平成17年(2005年)以降は、毎年1万人を超える人口減少が続き、平成23年(2011年)には東日本大震災・原子力災害の影響により、約4万人の大幅な人口減少となった。
今後、2040年に約147万人、2060年に約107万人になるものと推測される。
2 福島県の高齢者(65歳以上)人口分析
高齢者人口は、昭和35年(1960年)頃ころから増加傾向になり、平成8年(1996年)に高齢者人口が年少者人口(14歳以下)を上回った。
今後、2025年の約60万人をピークに緩やかな減少に転じていくものの、本県の総人口が大幅に減少していくため、高齢化率は2040年に39.5%、2060年に42.0%となるものと推測される。
1・2参考:総務省「国勢調査」及び福島県統計課による推計
3 福島県の総人口と高齢者(65歳以上)の人口推移
参考:福島県統計課
4 福島県総人口における高齢化率推移
平成20年 (2008年) | 平成25年 (2013年) | 平成29年8/1 (2017年) | 平成52年 (2040年) | 平成72年 (2060年) | |
福島県総人口 | 2,066,796人 | 1,959,644人 | 1,883,609人 | 1,470,000人 | 1,070,000人 |
高齢化率 | 23.7% | 26.0% | 29.7% | 39.5% | 42.0% |
(福島県統計課推計) |
参考:福島県統計課
別表2
重点推進事項
1 安全対策
安全の確保 | ○ 警察安全相談に対する迅速・的確な対応 ○ 巡回連絡等を通じた対応 ○ 孤独死問題対策 |
人身安全関連事案対処 | ○ 認知症等による徘徊及び行方不明 ○ 高齢者虐待事案 ○ 配偶者等暴力 |
2 犯罪被害対策
犯罪被害の防止 | ○ なりすまし詐欺 ○ 住宅対象侵入窃盗 ○ 悪質商法 ○ サイバー犯罪 |
高齢者犯罪等への対策 | ○ 万引き ○ 認知症等に起因する事案 |
3 交通事故防止対策
高齢歩行者対策 | ○ 要指導高齢者の実態把握 ○ 参加・体験・実践型による交通安全教育 ○ 個別訪問による交通安全指導 |
高齢運転者対策 | ○ 要指導高齢運転者の実態把握と安全運転教育 ○ 安全運転相談への対応 ○ 運転免許証の自主返納への支援と環境づくり |
交通環境の整備 | ○ 高速道路等の逆走防止対策 ○ 生活道路における交通安全対策 |
4 大規模災害等からの保護
安全の確保 | ○ 自治体等と連携した大規模災害等への対応 ○ 雪害等私生活の中での事故防止 |
5 避難指示解除区域における対策
当該区域の安全確保 | ○ 居住実態の把握 ○ 帰還高齢者の安全・安心の確保 |
当該区域の交通事故防止 | ○ 再開された学校の通学路での見守りへの参加 ○ 帰還高齢者の交通事故防止対策 |
6 ボランティア活動等の社会参加の促進
地域安全活動 | ○ 子供の見守り、防犯パトロール等への参加 ○ 防犯教室への参加 |
交通安全活動 | ○ 交通安全活動への参加 ○ 夜光反射材等の普及活動 |
7 その他
その他 | ○ 特に必要と認められるもの |